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6. 総括

6.7 千葉大学附属図書館

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6.7 千葉大学附属図書館

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2)一括登録用 XML ファイルの作成

当初は Web インターフェースからの個別登録と XML による一括登録の双方をテスト する計画であったが、結果として個別登録にとどまった。本登録時には、数千件オーダ ーのデータアップロードが必要であるが、本学の機関リポジトリのシステムでは、メタ データを所定の XML 形式に変換・出力する機能はない。手作業での XML 形式の一括登 録用のデータ作成を試みたが、数千件オーダーのデータ作成は困難であり、何らかのデ ータコンバートのシステム開発が必要との結論にいった。本登録には機関リポジトリか らダイレクトではなく、NII 経由での登録が現実的であろう。

3)メタデータスキーマ

植物標本データについて、採集者/標本作成者/デジタルファイル作成者等の複数の人間 が作成にかかわっているが、それをメタデータへどのように記述するかで苦慮した。実 験データごとに、メタデータの記述方法に大きなバリエーションはあることが予想され、

効率的に入力し、かつ品質を保つためには、あらかじめ入力ガイドラインを準備するこ とが必要であろう。

4)研究プロジェクトの成果物の登録シミュレーション

研究プロジェクトの成果物の登録シミュレーションについては、検証が十分にできな かった。本センターで扱うデータは、基本的に利用者の個人情報が絡む。論文、報告書 等にもちいる場合には抽象化・統計化し、データの解析・保存はスタンドアローンの PC で行うなどの十分な注意を払っている。しかし研究データとして保存する場合に、どの 段階のデータをどのように残すべきか議論が必要である。

4.今後の課題

1)データマネジメントのポリシー

国内の大学図書館で具体的な形で定めているところは、おそらくまだない。何を集め て何を集めないのか?データ移行をどう考えるか?データ粒度をどう考えるか?など、

論文の管理よりも明らかに複雑である。そもそもデータの定義からはじめる必要がある。

個々の分野では参考とすべき例はあるが、総合的に参考にする例はない。将来的に、対 象とする研究データの範囲を大学全体、研究機関全体に拡大していくためには、それぞ れの大学、研究機関でデータマネジメントのポリシーを定める必要がある。

2)研究データ対応メタデータスキーマの検討

研究成果の流通のためには、メタデータおよび識別子は極めて重要である。しかし特に 研究データのメタデータは、海外事例などをみても多様かつ複雑である。まずは国内外 の研究データ用のメタデータスキーマを我が国の事情にあわせて整理し、国内の機関リ ポジトリの標準である junii2 のスキームでどのように扱うかを検討、最終的には図書館 員向けの運用マニュアルの整備および junii2 の拡張案提案を行うことが必要になる。

3)図書館員のトレーニング体制の構築

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先行する欧米では、データマネージメントプランの作成支援を図書館が行うケースが 多く、対応のための図書館員向けのトレーニングツールも、多数公開されている。国内 の大学においても、コンテンツを組織的かつ長期的に管理している部署は、図書館以外 はほとんどない。今後のサスティナブルなデータ管理体制を大学内で担う部署としては、

大学図書館が最適であり、そのために図書館員の組織的なトレーニング体制を構築すべ きである。

4)機関リポジトリ推進委員会

機関リポジトリを通した学術情報の流通及び発信力の強化をめざして、国立情報学研

究所と国公私立大学図書館協力委員会により、機関リポジトリ推進委員会が設置されて

いる。活動の主体は図書館となっているが、研究データの流通・促進を組織的継続的に

展開するためには機関リポジトリ推進委員会がキープレーヤーとなるであろうし、密に

連携していくべきである。

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