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切削現象と AE 信号の実効値の関係

ドキュメント内   201807古賀俊彦 博士論文   (8.44MB) (ページ 102-107)

第 5 章 マシニングセンタにおけるエンドミル工具の

5.3 実験結果および考察

5.3.1 切削現象と AE 信号の実効値の関係

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Table 5.1 Experimental conditions during cutting state monitoring.

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80 m以降は,図5.4(g)のように工具刃先が摩耗し,コーティング膜がはがれ

溶着物が発生し,それによって切りくずが付着することが多くなった.その後,

切削距離が120~130 mの間で,切れ刃の上部の摩耗幅が増加し,図5.4(h)の ように逃げ面にはく離が生じた.

図5.3より主分力は,切削距離の増加に伴い,工具摩耗幅の増加割合と同様に 上昇し,仕上げ面粗さも増加した.工具表面がはく離後,工具摩耗幅,被削材の 仕上げ面粗さおよび切削力は,今までの傾向から大きくずれた.一方,定常摩耗 域において,AE実効値はおよそ1~1.5 Vの間でほぼ一定であり,初期摩耗域と 終期摩耗域ではばらつきがみられた.

Fig. 5.3 Relationship between the various parameters and the cutting distance (SUS304).

0 50 100 150 200 250

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

0 20 40 60 80 100 120

Cuttingforce, N

AE RMSvalue, V

Cutting distance, m

Cutting

force

AE RMS value

0 2 4 6 8 10 12

0 10 20 30 40 50 60

0 20 40 60 80 100 120

Surface roughnessRz, μm

Flank wearwidth, μm

Cutting distance, m

Surface roughnessRz

Flank wear width

Initial wear Staedy wear Rapid wear

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初期摩耗域のAE実効値のばらつきについて考察する.未使用時の工具切れ刃 は,微小な凹凸のある鋭利な切れ刃が形成されている.切削初期は切れ刃先端が 鋭利で刃先強度が低いため,初期摩耗域において切削距離が長くなると,切れ刃 が破壊や摩耗し,徐々に微小で鋭利な刃先が消滅していく.その後,定常摩耗域 になると鋭利な切れ刃は丸みをおび,安定した切削が行われる.初期摩耗域の AE実効値のばらつきについては,切れ刃の微小な破壊の変動をAEセンサが検 出したと考えられる.この領域では,AE実効値にばらつきがみられるものの摩 耗量は少ないため,加工面の表面粗さはほぼ一定で小さい値を示した.終期摩耗 域では,切れ味の低下や逃げ面のこすれの増大による加工現象の変化をAEセン サが検出したと考えられる.

終期摩耗域のAE実効値にばらつきについては,工具摩耗量の違いによる加工 現象の違いにより加工が安定せずにばらつきが生じたと考えられる.

Fig. 5.4 Changes in the flank wear of tool edge with increasing cutting distance.

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旋削加工においては,工具摩耗とAE信号の間に正の相関があると報告5,6さ れている.しかしながらその結果は,本実験の定常摩耗域においてAE実効値は ほぼ一定であったこととは矛盾している.一つの要因として,本実験は,断続切 削のエンドミルによる仕上げ加工であり,工具摩耗も少ないことが考えられる.

旋削のように同じ刃先で常に削っているのではなく,エンドミル加工は切れ刃 のねじれ角により,刻々と加工点が移行している.そのため,AE実効値の変化 からは,定常摩耗域の摩耗現象を検出しづらいといえる.その他の要因として,

エンドミルのたわみによる切込み深さの減少が AE 実効値の変化と関係がある と考えられる.

ここで,切込み深さの変化を調べるために,切削距離に対する被削材の寸法値 の変化を図5.5に示す.この寸法値の変化は,加工前後の被削材の寸法(下面よ り5mm部)をそれぞれタッチプローブにより測定を行い,加工後の目標の切込 み寸法(aa = 0.1mm)からのずれ量を示したものである.ずれ量が0 mmよりも 大きいときは,切込み深さが減少したことになる.したがって,工具摩耗幅が増 加し,実際の切込み深さが一定でないため,AE実効値と逃げ面摩耗幅の相関が 得にくいと考えられる.

しかしながら,AE原波形において工具1回転で検出される波形の中に突発的 な大きな振幅の信号がみられた.また,岩田ら 7によって,工具損傷が進行す ると突発的なAE信号が検出されると報告されている.そこで本実験において,

突発的なAE信号を解析することにより,工具切れ刃の工具損傷の進行を検出で きると考えた.解析は,AE 原波形の 10 回転分のデータにしきい値を設定し,

しきい値を超えた振幅の数を数えた.この振幅の数をAE計数として評価した.

図5.6は,切削距離とAE計数の関係を示す.しきい値の設定は,図5.3の定 常摩耗域でAE実効値がほぼ一定であった区間の平均値1.1 Vの3倍の3.3 Vと して解析した.しきい値の検討については,定常摩耗域のAE実効値の平均値の 倍数でしきい値を変化させた際に,切削距離の増加に伴ってAE計数に特徴がみ られた3倍の値を採用した.図5.6より,図5.3の初期摩耗域の30~40 m近傍 まではAE計数にばらつきがみられ,定常摩耗域では,わずかながらに上昇がみ られた.終期摩耗の80~90 m 以降は,AE 計数が上昇するとともにばらつきも みられた.工具刃先の破損後は,AE計数がさらに大きくなった.これらのばら

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つきについては,図5.3の工具摩耗曲線と各種のパラメータで検出したAE実効 値のばらつきと同様であり,初期摩耗域は工具のなじみによる切れ刃の微小な 破壊の変動の影響であると考えられ,終期摩耗域は工具摩耗量の違いによる加 工現象の違いと考えられる.

本実験条件において,定常摩耗域では,初期摩耗域,終期摩耗域と比較して,

AE 実効値のばらつきが小さくなることがわかった.また,AE 原波形にしきい 値を設定してAE計数で評価することにより,工具摩耗を判断できる可能性を示 した.

Fig. 5.5 Changes in the dimensional value of the workpiece with increasing cutting distance.

Fig. 5.6 Relationship between the AE count and the cutting distance.

0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 0.03

0 20 40 60 80 100 120

Deviation from target value, mm

Cutting distance, m

5mm

0 1000 2000 3000 4000 5000

0 20 40 60 80 100 120

A E co u n t, co u n ts

Cutting distance, m

3V

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