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ボールエンドミルによる接触検知の適応範囲

ドキュメント内   201807古賀俊彦 博士論文   (8.44MB) (ページ 93-96)

第 4 章 マシニングセンタにおけるエンドミル工具の

4.3 実験結果および考察

4.3.3 ボールエンドミルによる接触検知の適応範囲

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図 4.16は,被削材の傾斜角度を変化させボールエンドミルで加工したときの 加工痕とそのときに検出されたAE原波形である.実切削速度および切削痕の深 さは,それぞれ式(4.1),(4.2)から求め,その結果についても図 4.16に示した.

図 4.16の約 300 mV以下の信号は,マシニングセンタのテーブルの送りなどに

伴って検出されたノイズである.それ以外の突発的に検出されている信号が切 削初期のAE信号である.

図 4.16(a)の傾斜角度 0 °において,0.1 µm ずつステップ・アプローチを行 い,概算切込み深さ0.56 μm のときにAE信号が検出された.被削材の傾斜角度

が0 °でかつ切込み深さが小さいと被削材に接触する刃先はほぼ中心の切れ刃に

なり,切れ刃による切削が難しい.寺井ら7は,切れ刃退行現象として,工具回 転中心近傍で加工を行うときは,切れ刃の回転半径が小さいため,切れ刃すくい 面でなく逃げ面で被削材に接触すると報告している.その現象により,切削とい うよりも逃げ面による摩擦もしくは塑性変形による加工になり,本計測条件で はAE信号を検出しにくかったと考える.AE信号が検出されたときの切込み深 さと切削速度について考えると,実際の切削速度は 0 にはならない.正確に概 算切込み深さ(0.56 μm)を考慮して計算すると,被削材に接触した外周部(φ

115.8 μm)で4 m/minになる.この時は,切れ刃の回転半径が大きくなり,本実

験の計測条件においては切削速度が4 m/min以上になると,AE信号を検出でき たことになる.

図4.16(b),(c)の傾斜角度15 °,30 °のように切削速度が速くなると,概算

切込み深さ約40 nmと小さくてもAE信号を検出することができた.また,この 二つはほぼ同じ切込み深さでありAE信号の振幅を比較すると,実切削速度が大 きい傾斜角度30 °の方が大きい振幅値を示した.第2,3章と同様に切削速度が 大きい方がAE信号の振幅が大きいことがわかった.

AE原波形を詳細にみると,図4.16(b),(c)の傾斜角度15 °,30 °では,検出 したAE信号の周期は5 msであり,加工痕を見ても断続切削であった.この断 続切削の周期は工具1回転あたりの時間に相当する.工具は,2枚刃のボールエ ンドミルであり,2枚の切れ刃で加工すると,2.5 msの周期になる.しかしなが ら,今回は,工具の取付け精度等により外周の全振れが2 μmであっため,1枚 の切れ刃による加工であることがわかった.また図4.16(a)の傾斜角度0 °では,

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AE信号は連続的に検出された.これは,切込み深さも大きく工具刃先が常に接 触している状態をあらわしているといえる.

(a) Tilt angle 0 ° (b) Tilt angle 15 °

(c) Tilt angle 30 °

Fig. 4.16 Cutting mark and AE signal waveform at each inclination angle.

Noise AE signal

Width,b=115.8 μm

Approximate depth of cut, aa’=0.56 μm Actual cutting

speed,

V’=0 m/min 100 μm

0 20 40 60 80 100

0 2 4

Time, ms

Amplitude,V

Approximate depth of cut, aa’= 0.04 μm Width,b=32.3 μm

Noise

AE signal 100 μm Actual cutting

speed,

V’= 59 m/min

0 20 40 60 80 100

0 2 4

-2

Time, ms

Amplitude,V

-4 -2

-4

5ms

AE信 号

ノイズ

Width,b=26.4 μm Approximate

depth of cut, aa’= 0.03 μm Actual cutting

speed,

V’= 113 m/min 100 μm

Noise

AE signal

0 20 60 80 100

0 -4 2 4 -2

Amplitude,V

Time, ms 40

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本研究において,エンドミル同様にボールエンドミルでも接触検知ができる ことを確認できた.ボールエンドミル加工で異なる傾斜における刃先位置検出 が可能なため,次のような工具刃先位置検出に応用できると考えられる.一つは,

工具が理想的な形状精度をもつのであれば,接触検知した傾斜の角度から計算 により,刃先頂点位置および中心位置を求めることができる.もう一つは,工具 の形状精度が加工精度より悪い工具であっても,それぞれの加工点の位置情報 を計測し,加工形状・傾斜角度に合わせて補正値を変更しながら加工すれば,高 精度な加工も実現できる可能性がある.

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