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切削初期の AE 信号と被削材の取付け誤差

ドキュメント内   201807古賀俊彦 博士論文   (8.44MB) (ページ 49-53)

第 2 章 超精密旋削加工における AE 技術を用いた接触検知

2.3 実験結果および考察

2.3.2 切削初期の AE 信号と被削材の取付け誤差

図2.7 は,表2.1 の工具刃先位置検出における実験条件において,AE 信号を 検出できたときのAE原波形である.図2.7(a),(b)はそれぞれA1070とC1020 の切込み深さ 10 nm で外周から中心に向かって端面加工したときに検出した切 削初期のAE原波形を示す.図2.7(a),(b)ともに,10 ms近傍からある一定の 周期で検出した信号が加工に伴うAE信号である.AE信号の周期は,最初に検 出した信号から約40 msであった.本実験の回転速度は1500 min-1で被削材が1 回転するのに要する時間が40 msであり,検出されたAE信号の周期と同じであ った.このとき,被削材の取付け誤差は外周の振れ精度で 10 μm であった.こ のことから,この周期は被削材の取付け誤差により,被削材の外周部を切削後, 被削材から離れて1回転したのちにまた切削する断続切削時の信号といえる.

ここで,被削材の振れ精度の違いによる AE 信号の変化について調べた.図 2.8は切込み深さ2 μmにおける端面加工のAE原波形である.図2.8は,図2.7 の結果よりも,AE信号の取得時間(0.8 s)を長く計測した.図2.8(a)は偏心 なし,つまり被削材の外周に振れがないときのAE原波形で,(b)は外周の振れ

を約10 μm与えたときのAE原波形である.このように,図2.8(a)の外周の振

れがないときは,1回転の周期である40 msの周期が見られず,連続的な波形で あった.図2.8(b)は,図2.7と同様に断続的な波形となった.図2.8のAE原 波形より,点A(約0.2 s)で切削初期の信号を検出しており,AB間(約0.2~

0.7 s)では,AE信号振幅に増加がみられた.点B(0.7 s)以降からほぼ一定の

振幅になっていた.

図2.9は,加工中の工具刃先の接触弧長さの変化について示した図である.図 2.9は,工具刃先が被削材の外周(図の上方)から中心(図の下方)へ加工して いる様子を示している.図2.9のAB間において,点Aでは工具刃先が被削材に 接触した瞬間に接触弧長さが最小となり,それ以降の点 B に達成するまでは,

接触弧長さが徐々に増加し,点B以降は一定となる.図2.9のAB間は図2.8に 示すAB間に相当する.図2.9のAB間の距離は,切込み深さ2 μm,コーナ半径

0.5 mmから算出すると45 μmとなる.図2.9のAB間(45 μm)の加工時間は,

1回転当たりの周期 40 ms,送り速度 3.3 μm/revから算出すると,約 0.5 s とな る.この加工時間は,図2.8のAB間の時間と同等であった.図2.8,図2.9よ

– 38 – (a) A1070

(b) C1020

Fig. 2.7 AE signal waveform at the initial stage of cutting in facing

(Outer circumferential radial runout accuracy 10 μm , a = 10 nm, N = 1500 min -1, f = 3.3 μm / rev,

from the outer circumference towards the center).

– 39 –

り,刃先と被削材の接触弧長さが増加するとAE信号振幅も増加することがわか った.

よって,これらのAE信号からAE技術によりダイヤモンド工具による微小な 切込みを検出でき,被削材の取付け誤差の有無を判断できることがわかった.さ らにAE技術は,工具切れ刃の接触弧長さの変化を検出できるので,切削状態の 監視の可能性があることがわかった.

(a) Workpiece with no eccentricity.

(b) Workpiece with eccentricity (Total runout: approx. 10 μm).

Fig. 2.8 AE signal waveforms during facing operation with a workpiece setup error (A1070, a = 2 μm, N= 1500 min-1, f = 3.3 μm/rev,

from the outer circumference towards the center).

0 0.4

0.4 0.8

0.8

Amplitude,V

Time, s

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

A B

Noise

0 0.4

0.4 0.8

0.80 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

Amplitude,V

Time, s

A B

Noise

– 40 –

Fig. 2.9 Changes in contact area between tool cutting edge and workpiece during cutting operation.

X

Z Workpiece Y

Diamond cutting tool

Facing

Cutting depth 2 μm

Feed per revolution (3.3μm/rev)

Contact arc length A

B Change in contact arc length 45 μm

Tool edge

(Corner radius 0.5mm)

Workpiece

Cutting tool

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