第 2 章 :マイクロ流路内垂直多孔メンブレン集積法
2.3 実験方法
2.3.2 傾斜酸素アッシング法による垂直多孔メンブレンの加工と評価 · 25
酸素アッシングによる SU-8 のエッチング速度を測定するために、平坦面へのア ッシングによるエッチングレートを取得する。ガラス基板上の SU-8 に対して、反 応性イオンエッチング装置(ES401、日本サイエンティフィック)を利用して酸素 アッシングを行う。基本条件は、電力200 W、基板温度60 °C、酸素流量110 sccm、
圧力40 Paとする。アッシングの後、アッシング部分と未アッシング部の高低差を
表面粗さ・輪郭形状測定機(サーフコム130A、東京精密)を利用して測定する。
さらに、垂直多孔メンブレンの堅牢性を保持しつつ、開孔率を向上させることを 目的とした、傾斜酸素アッシングの有用性について評価する。ドットパターンサイ ズと間隔、露光量の調整のみでは、トレードオフの関係にある垂直多孔メンブレン の解像度と強度の両立は難しい。そこで、傾斜酸素アッシングを用い、高い解像度 の垂直多孔メンブレン構築を試みる。
傾斜酸素アッシング評価用サンプルとその評価方法について示す。傾斜酸素アッ シングに用いるサンプルは、ドットサイズ:ドット間隔を、3:5、3:7、3:9としたパ ターンを利用する。傾斜酸素アッシング法の効果を検討するため、サンプルは全て 合計露光量600 mJ/cm2で作製したパターンを利用する。垂直多孔メンブレンの傾斜 酸素アッシングの様子を図2-5に示す。垂直多孔メンブレンを有する基板を反応性 イオンエッチング装置のチャンバ内にて45 °に傾斜して配置する。傾斜により、酸 素プラズマは、垂直多孔メンブレンの側面に45 °の角度で照射される。傾斜酸素ア ッシングは、垂直多孔メンブレンの両面で行い、片面毎に、電力200 W、基板温度
60 °C、酸素流量110 sccm、圧力40 Paの条件でアッシングする。アッシング後、構
造をSEMにより観察、評価する。
図2-5 傾斜酸素アッシング時の基板設置の様子 垂直多孔メンブレン 酸素プラズマ
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2.3.3 傾斜露光法と傾斜酸素アッシング法によるマイクロ流路チップの作製
垂直多孔メンブレンを集積したマイクロ流路の設計形状について示す。作製する 構造は、細胞の代謝物質のみを透過させることを目的に、孔のサイズを10 m以下、
細胞導入と培地の送液、構築される3次元細胞組織の大きさを考慮し、垂直多孔メ ンブレン高さの目標値を50 m以上とした[16]。設計した垂直多孔メンブレン作製 用ドットパターンを有するマイクロ流路パターンを図2-6(a)に示す。流路図面には、
合計4組のinletとoutletを設計しており、各流路から細胞懸濁液を導入する。各流
路は垂直多孔メンブレンにより接続されている。傾斜露光法により作製される構造 の大きさを考慮し、垂直多孔メンブレン作製用の設計値としてドットサイズを4 m、
ドット間隔を10 mとした。また、垂直多孔メンブレン部の幅は300 m、間隔は
200 mで3層配列する。細胞を播種した際の模式図を図2-6(b)に示す。垂直多孔メ
ンブレンは細胞組織により覆われ、細胞により隔てられた空間を並列して複数層作 製する。
垂直多孔メンブレンを集積したマイクロ流路の作製は、加工評価実験と同様の手 順で行った。まず、硫酸(EL 硫酸(96%)、関東化学)と過酸化水素水(EL 過酸 化水素水、関東化学)を体積比3:1で混合し、90 °Cに熱した状態で、0.5 mm厚の ガラス基板(CS00553、松浪硝子)を5 min洗浄する。次に、目標膜厚300 nmでAl 薄膜を真空熱蒸着装置(VPC-1100、アルバック機工)により蒸着する。S1813Gを スピンコータにより、回転速度4000 rpm、回転時間30 sでスピンコートする。露光 機を用いて、露光量80 mJ/cm2でガラス基板上にドットパターンを有する流路パタ ーンを作製する。この時、現像液には2.38 wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム
(TMAH)現像液(NMD-3, 東京応化工業)、エッチング液には混酸Alエッチング 溶液(混酸P液、森田化学工業)を用いる。さらに、露光機を用いて、露光量200
mJ/cm2で基板全面を露光し、2.38 wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)
現像液を用いて、Al膜上のレジストS1813Gを除去する。パターン上に剥離防止を 目的に、Oligomeric Adhesion Promoter(OAP、東京応化工業)を、回転速度4000 rpm、
回転時間 30 s でスピンコートし、温度200 °C、加熱時間1 min で加熱する。さら
に、SU-8 3050(MicroChem)を、膜厚が50 m以上となるように、回転速度1000
rpm、回転時間30 sでスピンコートする。塗布した基板は、ホットプレートを用い
て、ベーク温度65 °C、5 minと95 °C、10 h、リラクゼーション1 hでSoft bakeに より、塗布したSU-8の溶媒を除去した後、合計露光量が420 mJ/cm2となるように
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裏面露光を行う。Post exposure bake(PEB)を65 °C、5 minと95 °C、5 min、リラクゼ ーションを1 h行う。SU-8現像液により現像時間 1 hで現像し、2-propanolによる
リンスを2 min行い、傾斜酸素アッシングを行う。傾斜酸素アッシングは、チャン
バ内で、傾斜角45 °となるように基板を設置し、片面当たり10 min間の傾斜酸素ア ッシングをメンブレンの両面に対して行う。アッシング条件は、加工精度評価時と 同様である。パターニングに利用したAl薄膜を混酸Alエッチング溶液にて除去し
た後、200 °Cで2 hハードベークを行う。各現像、エッチングおよび洗浄後には500
mLのテフロンカップに満たした純水により、リンスを3回行う。
(a) 設計したマイクロ流路平面パターン
(b)垂直多孔メンブレンを用いた細胞培養の模式図 図2-6 垂直多孔メンブレンを集積したマイクロ流路の模式図
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