保 井 俊 英
Toshihide YASUI
情報教育研究センター研究員 健康・スポーツ科学科講師The measure for seven years in School of Letters Department of Health and Sports Sciences.
1.はじめに
文学部健康・スポーツ科学科(以下学科とする)の 情報処理教育は、初期から現行へと発展の節目の年と して、平成7年(1995年)が上げられる。当時、教育 学科体育専攻(現健康・スポーツ科学科)では、学科 専用の「体育情報処理演習室(GⅠ‑32)」があり、
NEC98パソコンを10台保有していた。学生への情報
処理教育は、専門課程の「体育情報処理演習」と教職 課程の「教育情報処理演習」が行われており、文章作 成や表計算などを習得できるようにカリキュラムが組 まれていた。これらの情報処理教育の到達目標として は、卒業論文をパソコンによって作成することであっ たが、まだまだ手書きや電卓片手に計算をしていた時 代でもあった。この平成7年は、パソコン利用者においても大きな 変革の年でもあった。それは、「Windows 95」の発 売である。この「Windows 95」は、現行のOSの土 台となり「Windows」シリーズとして発展し続けて いる。
学科(当時教育学科体育専攻)は、情報教育研究セ ンターと連携をとりながら、学生のニーズにあった教 育やハード面の充実をめざしていた。平成7年度は、
情報処理教育のカリキュラムの見直しを行ない、また 情報処理演習室におけるパソコン入れ替えを行った年 でもある。
今回の報告は、筆者が関わった平成6年(1994年)
から平成14年(2002年)の内、平成7年(1995年)か ら7年間、学科の取り組みについてまとめたものであ る。
2.情報処理教育と教育課程
平成7年(1995年)度から平成14年(2002年)度に おける入学年度別情報処理教育科目の変化を表1に整 理した。
平成7年度入学生の教育課程は、専門科目の「体育 情報処理演習」と教職科目の「教育情報処理演習」の 2段階の積み上げ方式により実施した。平成6年度、
情報教育研究センターの本格的な始動に伴いその方向 性が提示され、学科では情報処理教育を改定する方向 で検討されていた。それは、「教育効果を上げるには、
前述の2科目が実施されるまでに、学生におけるパソ コンの技能を一定化させておくことが必要」とのこと であった。実際には、2年次に行われる「教育情報処 理演習」までに、共通教育科目を履修・取得しておく ことが条件とした。ところが、実際実施すると、共通 教育科目は希望者全員が受講できるのではなく、抽選 によって決定され、受講できない学生が発生した。確 かに多くの科目が設定されていたが、細部に渡る履修 指導の煩雑さを極めたものとなった。さらに、決めら れた2年後期までに履修・取得できなかった場合が懸 念されたので、1年次にすべて終了させるよう、特別 学期にも学科プログラムとして設けることになった。
このような経緯の中で、煩雑さを解消するには、もう 1科目情報教育科目を増やし、そこで「共通教育科目」
に求めた内容を実施することがベストという結論にな り、「体育情報処理基礎演習」を設けることにした。
学科としては、これからの体育を学ぶ学生を考えた場 合、情報処理教育の重要性から、「初期演習」と並ぶ、
「基礎教育科目」の枠に、「体育情報処理基礎演習」
を位置付けた。この結果、3段階の積み上げにより、
技能の向上を目指すこととなった。平成8年(1996年)
度入学生から平成12年(2000年)度入学生まで、この 考えに基づき、実施された。
なお、平成12年(2000年)度入学生において、教員 免許の改定に伴い、教職科目であった「教育情報処理 演習」が開講中止された。しかしながら、「教育課程 指導法に関する科目 教育方法および技術(情報機器 の活用を含む)」が必要となったため、この年度入学 生のみ「共通教育科目」の実施科目を取得する形となっ た。以後は学科の専門科目をこれに指定するように変 更した。
平成12年(2000年)度は、情報処理教育にとって2 つの改革が検討された年でもあった。1つは、平成13 年(2001年)度、文学部教育学科体育専攻が文学部健 康・スポーツ科学科に改組改編されることになり、そ
れに伴う教育課程の変更が検討された。もう1つは、
同じく平成13年度より、情報教育研究センターと教務 部サイドで、全学的な規模で情報処理教育の基礎段階 での見直しが行われ、その授業がアウトソーシングで 実施されることとなった。
表1.入学年度別情報処理教育科目の変化
開 講 期 平成7年度 入学
平成8年度 入学
平成9・10・
11年度入学
平成12年度 入学
平成13・14 年度入学
1年次前期 共通教育 体育情報処 理基礎演習
体育情報処 理基礎演習
体育情報処 理基礎演習
情報活用の 基礎
1年次後期 共通教育 情報活用の
応用 2年次前期
2年次後期 教育情報処 理演習
教育情報処 理演習
教育情報処 理演習
3年次前期 体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
3年次後期
健康・ス ポーツ統計
学演習
表2.入学年度別情報処理教育科目における教育内容の変化
教育内容 平成7年度 入学
平成8年度 入学
平成9・10・
11年度入学
平成12年度 入学
平成13・14 年度入学
基本操作 共通教育 体育情報処 理基礎演習
体育情報処 理基礎演習
体育情報処 理基礎演習
情報活用の 基礎
文章作成 共通教育 体育情報処 理基礎演習
体育情報処 理基礎演習
体育情報処 理基礎演習
情報活用の 基礎 ネットワー
ク利用 共通教育 教育情報処 理演習
体育情報処 理基礎演習
体育情報処 理基礎演習
情報活用の 基礎 表計算
(基礎)
教育情報処 理演習
教育情報処 理演習
教育情報処 理演習
体育情報処 理演習
情報活用の 基礎 表計算
(応用)
体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
情報活用の 応用 インター
ネット
体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
情報活用の 応用 プレゼン
テーション
体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
体育情報処 理演習
情報活用の 応用 ホームペー
ジ作成
情報活用の 応用
統計処理
健康・ス ポーツ統計
学演習
この2つの改革に基づき、学科では、1年次前期
「情報活用の基礎」、1年次後期「情報活用の応用」、 3年次後期「健康・スポーツ統計学演習」の3段階に よる積み上げ教育が実施されることとなった。
表2に、入学年度別情報処理教育科目における教育 内容の変化を示した。この7年間における情報処理教 育の加速が伺える。情報処理教育内容を、基本操作、
文章作成、ネットワークの利用、表計算(基礎)、表 計算(応用)、インターネット、プレゼンテーション、
ホームページ作成、統計処理とした場合、平成8年
(1996年)入学生において、1〜3年次に実施されて いた教育内容が、現行では1年次に終了しており、よ り専門性の高いデータ処理能力として、統計処理能力 の向上をめざしたものとなっている。これにより、
「卒業論文」での成果と、そして健康・スポーツの社 会を今後背負う者にとって、より高い情報処理技能を 持ちえることが期待できる。
3.情報処理演習室(その1)
平成6年(1994年)度現在、学科専門の演習室「体 育情報処理演習室(G1‑32)」が設置されており、そ こにはNECPC‑9801の初期パソコンはじめとして、
10台のNEC98パソコンと、MACパソコン1台、東芝
DOS/Vパソコン1台およびそれと接続されたプリン
タ5台が存在した。これらは、筆者が平成6年度に学 科の情報処理教育委員として部屋の管理に携わった以 前の前任者によって、整備された設備であった。前任 者らは、主に学科の経常経費によって、毎年1〜2台 単位で、パソコンを長年に渡って購入しつづけ、それ を大切にフォローしながら積み上げられた結果ともい える。平成7年(1995年)を迎えるにあたって、2つの検 討事項があった。ひとつは情報教育研究センターの方 針によって、教育用パソコンがDOS/Vパソコンを導 入されるとのことであった。そしてもうひとつは、前 述の学科パソコンの半数が購入後6年を経過し、パソ コンそのものの劣化と、時代は「Windows時代」に 入ろうとしている情勢から、設備面の整備に着手する こととなった。
経費面のことを考え高価なパソコンを毎年1〜2台 ずつ購入してきた訳であるが、教育面とフォロー面に よると、パソコンそのもののレベルの違いが、統一性 を欠いていた。このためのフォローは、指導教員の知 識や技術水準に追うところが大きかった。筆者も、こ の当時のパソコンは全く使いこなせておらず、受け継 いだ時点で、前任者らの苦労の証を知るだけで、何か ら手をつければよいかわからない状況でもあった。時 代は、NECとDOS/VメーカーとそしてMACパソコン の乱立状態であり、パソコン1台購入にあたってもそ の普及性や将来性が問われる頃であった。知識の乏し い筆者は、この状態を切り抜けるために、今後のフォ ローには業者が関わるようにと方針を立てた。たとえ 担当教員が変わろうと、その業者が状況理解できてい るので、適切なサポートが得られるからである。
平成7年(1995年)度の計画で、購入後6年経つパ ソコン計5台をまとめ、入れ替えを実施することに