第 7 章 文字配置の設計 (II) :文節単位の微振動テキスト 76
7.4 結果
7.4.3 停留数
停留数の変化は3 段階にわけて検証する.まず,全停留数の変化について分析する
(図7.6).次に,全停留数を,順方向のサッカードによる停留数と,改行運動を含む逆
方向のサッカードによる停留数に分けて,それぞれの変化を分析する(図7.7).最後に,
第7章 文字配置の設計 (II):文節単位の微振動テキスト 83
500
400
300
200
100
0
Number of fixations per 1000 characters
50 40
30 20
10 0
Mean line length (char.)
* †
*
p< 0.05
*
† p< 0.1 n.s.
n.s.
N = 17
micro-vibration stable (benchmark)
図 7.6 文節単位の微振動および静止テキストにおける,刺激文章1000文字あたりの停留数と平 均行長の関係.誤差範囲は標準誤差.
改行運動中の過剰停留数の変化について分析する(図7.8).
図7.6は,微振動および静止テキストにおける1刺激文章あたりの停留数の変化を示し たものである.1刺激文章あたりの停留数の比較には,1000 文字で正規化した値を用い た.左軸は刺激文章1000 文字あたりの停留数,横軸は平均行長,誤差範囲は標準誤差で ある.
微振動テキストにおける停留数は,静止テキストよりも少ない傾向が認められた.ま た,1行の基準文字数11,20,29の範囲において,その値の差は広がる傾向が認められた.
各行長でそれぞれt検定を行ったところ,1 行の基準文字数11でt[16] = 2.66, p <0.05 および基準文字数20でt[16] = 2.70, p <0.05と両側5 %水準で有意,基準文字数29で t[16] = 1.93, p <0.1と両側5 %水準で有意傾向であった.1行の基準文字数5および40 では,両側5 %水準で有意な差があるとは言えなかった.
図7.7は,微振動および静止テキストにおける1刺激文章あたりの順方向のサッカード による停留数と,改行運動を含む逆方向のサッカードによる停留数の変化を示したもの である.1 刺激文章あたりの停留数の比較には,1000 文字で正規化した値を用いた.左
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300
200
100
backward fixations (incl. return sweeps) forward fixations 0
50 40
30 20
10 0
Mean line length (char.) 300
200
100
0
Number of fixations per 1000 characters
** *
*
n.s.
n.s.
n.s. n.s.
†
n.s.
n.s.
p< 0.05
*
† p< 0.1 p< 0.01
**
(a)
(b) N = 17
micro-vibration stable (benchmark)
図 7.7 文節単位の微振動および静止テキストにおける,刺激文章1000文字あたりの(a)順方向 のサッカードによる停留数および(b) 改行運動を含む逆方向のサッカードによる停留数 と平均行長の関係.誤差範囲は標準誤差.
軸 (a)は刺激文章1000 文字あたりの順方向のサッカードによる停留数,左軸(b)は刺激 文章1000文字あたりの改行運動を含む逆方向のサッカードによる停留数,横軸は平均行 長,誤差範囲は標準誤差である.
まず,微振動テキストにおける順方向のサッカードによる停留数は,静止テキストよ りも少ない傾向が認められた.また,1行の基準文字数11,20,29の範囲において,そ の値の差は広がる傾向が認められた.各行長でそれぞれt検定を行ったところ,1行の基
第7章 文字配置の設計 (II):文節単位の微振動テキスト 85
1.0
0.5
0.0
per return sweep per 1000 characters
50 40
30 20
10 0
Mean line length (char.) 60
40
20
0
Number of extra fixations in return sweep
n.s.
n.s.
n.s.
n.s. n.s.
n.s. n.s.
(a)
(b) n.s.
N = 17 micro-vibration
stable (benchmark)
図 7.8 文節単位の微振動および静止テキストにおける,(a)刺激文章1000文字あたりの改行運 動中の過剰停留数および(b) 1改行運動あたりの過剰停留数と平均行長の関係.誤差範 囲は標準誤差.
準文字数11でt[16] = 2.88, p <0.05,基準文字数20でt[16] = 3.09, p < 0.01,基準文 字数29でt[16] = 2.12, p <0.05と,両側5 %水準で有意であった.1 行の基準文字数5 および40では,両側5 %水準で有意な差があるとは言えなかった.
次に,改行運動を含む逆方向のサッカードによる停留数は,1行の基準文字数11を除 いて,微振動テキストによる有意な差は認められなかった.各行長でそれぞれt検定を 行ったところ,1 行の基準文字数11でt[16] = 1.90, p < 0.1と両側5 %水準で有意傾向
第7章 文字配置の設計 (II):文節単位の微振動テキスト 86
となったが,1行の基準文字数5,20,29,40では,有意な差があるとは言えなかった.
図7.8は,微振動および静止テキストにおける改行運動中の過剰停留数の変化を示した ものである.1刺激文章あたりの改行運動中の過剰停留数の比較には,1000 文字で正規 化した値を用いた.縦軸(a)は刺激文章1000 文字あたりの改行運動中の過剰停留数,縦 軸 (b)は1改行運動あたりの過剰停留数,横軸は平均行長,誤差範囲は標準誤差である.
改行運動中の過剰停留に関しては,刺激文章1000 文字あたりの過剰停留数および1 改 行運動あたりの過剰停留数ともに,微振動の有無で有意な差があるとは言えなかった.
以上,図7.6,図7.7,図7.8より,微振動テキストでは1 行の基準文字数11,20,29
の範囲において全停留数が減少する傾向にあり,その主な原因は順方向のサッカードに よる停留の減少であることがわかった.
7.4.4 1 行を1 停留で読む割合
表7.9は,微振動および静止テキストにおける,1行を1停留で読む割合を示したもの である.縦軸は全行に占める1 停留で読んだ行の割合,横軸は平均行長,誤差範囲は標 準誤差である.
微振動テキストでは,1行の基準文字数11において,静止テキストの場合よりも多く の行を1停留で読み進めており,その差はt[16] = 3.08, p <0.01と,両側5 %水準で有意 であった.その他の行長に関しては,微振動の有無で有意な差があるとは言えなかった.
7.4.5 1 文節あたりの停留率
図7.1は,微振動および静止テキストにおける,1 文節あたりの停留率の変化を示した ものである.1文節あたりの停留率の内訳である「(a) 1文節あたりの初停留率」「(b) 1文 節あたりの順行再停留率」「(c) 1 文節あたりの逆行再停留率」の変化もあわせて示した.
微振動テキストでは1 文節あたりの停留率が減少しており,その差はt[8] = 7.31, p <
0.01と両側5 %水準で有意であった.さらに停留率の内訳を見ると,微振動の有無で差が
認められるのは順行再停留率および逆行再停留率のみであり,初停留率は一定であるこ とがわかった.順行再停留率および逆行再停留率は微振動テキストで減少しており,そ れぞれt[8] = 7.11, p <0.01およびt[8] = 3.41, p <0.01とその差は両側5 %水準で有意 であった.一方,初停留率は,微振動の有無で有意な差があるとは言えなかった.
したがって,微振動テキストでは1 文節あたりの停留率が減少しており,その原因は 文節内の再停留の減少にあることがわかった.
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1.0
0.5
0.0
Single fixation rate per line
50 40
30 20
10 0
Mean line length (char.) n.s.
n.s.
**
p< 0.01
**
N = 17 micro-vibration
stable (benchmark)
図 7.9 文節単位の微振動および静止テキストにおける,1 行を1 停留で読む割合と平均行長の 関係.誤差範囲は標準誤差.
表 7.1 文節単位の微振動および静止テキストにおける1文節あたりの停留率の変化.実験協力 者9 名,改行せずに表示した20 ∼30 文字程度の一文,微振動条件および静止条件で各 20 文(各約93 文節)ずつ計測.
Mean fixation rate per bunsetsu (%) Stable (benchmark) Micro-vibration Sig. diff.
Total fixation 123±4 104±4 **
(a) Initial fixation 87±2 87±3 n.s.
(b) Forward re-fixation 23±3 12±2 **
(c) Backward re-fixation 13±3 6±2 **
** p <0.01
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