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している人は約4000万人もいることになる。

その中には選挙権を持つ人も大勢ふくまれている。選挙権を持ち、かつ個人の利 益を大切にしている人の投票への影響は、無視できないほど大きなものと思われる。

なぜなら選挙において彼らは、例えば消費税の場合、国民全体の利益のため消費税 を上げようとしても個人の利益が損なわれるため反対票を投じるだろう。逆に消費 税を減らすなら個人の利益が増すため賛成票を投じるだろう。また、彼らの利益に 関係のない選挙の場合、無関心・棄権すると思われるからである。

今回は、選挙権を持つ個人主義の人がどのような投票行動を行うのか調べていき たい。それにはまず個人主義とは何かを考えねばならない。

この現代の日本に普及した個人主義には一つの特徴があるといわれる。それは、

価値判断をマスコミに仰いでしまうことである。小林良彰によると、「価値判断を 他人に仰がないためだとしている。すなわち、親から子・教師から学生・上司から 部下といったパーソナル・コミュニケーションを拒否するかわりに、もっぱらマス コミに仰ぐからである」と言い(小林・現代日本の選挙・p108)また、山崎正 和によると、「日本は江戸時代から個人主義でありながらも受動的な主体であると している。それは、誰もが気づかっているのは『世間』という顔のない他人であり、

流行という無署名の没人格的なよびかけである」そしてここで言う世間とはマスコ ミのことである(山崎・柔らかい個人主義の誕生・p123)

現代の日本の個人主義についてまとめると、社会や集団よりも個人を立脚点とし て考える。この考えは戦後60年の平和によって普及していった。だが価値判断を マスコミという世間に仰いでしまう特徴がある。

3 . 命題

三宅一郎は、著書投票行動によると「政党支持が投票先を決める大きな要因」と している(三宅・投票行動・p80)また、小林良彰氏も同様のことを述べている

(小林・現代日本の選挙・p44)例えば、その時々の選挙の争点に関係なく自民 党の支持者は自民党に投票しているのである。しかし、個人主義者の政党支持は争 点や政党の党首のイメージ等により投票する政党先が変わると思われる。なぜなら、

個人主義者の周りの社会的属性に価値判断を仰ぐことなく、マスコミの報道によっ て自分の価値を決定しているからである。

その時々の選挙の争点に関係なく支持政党に投票する人は、価値判断を他人に仰 いでいる。つまり、パーソナル・コミュニケーションが盛んであり、ジョウゴの先 端には周りの影響が大きいと思われる。また、周りとのコミュニケーションをとる には知識や関心などがないと成り立たないだろう。

反対に、その時々の争点や政党の党首のイメージ等によって投票する政党先が変わ る個人主義の人は、価値判断を他人に仰がない。そして、パーソナル・コミュニケ ーションが盛んでない。そのため知識や関心が低い。

『ミシガンモデルの「因果関係のジョウゴ型構造」で説明する。これは投票決定と それに先立つ過去の時点における諸変数の因果関係をジョウゴに喩えたものであ る。個人の投票決定は最終的に説明されるものとしてジョウゴの先端に置かれる。

ジョウゴの中心軸には時間がとられ、諸変数は投票決定に時間的に近いものから順 に配置されている。時間が投票決定に近づくにつれて説明されるべき変数は絞られ

ていくものである』(三宅・投票行動・37)

このモデルを使って支持政党に投票する人と個人主義者の投票をあらわすと次 のようになる。

☆ 支持政党に投票する人

コミュニケーションあり → 関心・知識(高い) → 政党支持あり → マスコミの影響(小さい) → 投票

★ 個人主義者

コミュニケーションなし → 関心・知識(低い) → 政党支持なし → マスコミの影響(大きい) → 投票

個人主義者の諸変数は上記の様に順に配置されているのではないだろうか。そう だとすると個人主義者についての投票への概念は、次のような命題になる。個人主 義者は、パーソナル・コミュニケーションを拒否するため価値観を他人に仰がない。

そのため政治の関心・知識を著しく低下させ、支持政党を持たない。そのことによ り、彼らの世間であるマスコミの報道内容により投票行動が影響される。1パーソ ナル・コミュニケーション 2関心や知識 3政党支持 4マスコミの影響をキー ワードに考えていく。

4 . 仮説

4‐1. 個人主義者のパーソナル・コミュニケーション拒否

個人主義者は、パーソナル・コミュニケーションを拒否すると考えられる。なぜ なら、彼らは価値判断を他人に仰がないからである。他人に仰ぐことは立脚点とし ての個というものが小さくなるからである。

彼らは、価値判断を自分で判断するため、その拠り所としてマスコミに頼る。自 分で判断することは立脚点としての個が維持できるからであろう。

4‐2. 個人主義者の関心や知識の低さ

個人主義者は、政治的な関心や知識が低いと考えられる。なぜなら、パーソナル・

コミュニケーションを拒否するからである。コミュニケーションを成立するには、

自分の考えなりをまとめて相手に返さなければならないからである。

彼らは、政治的な関心や知識がないためマスコミを疑うことができない。それは マスコミの報道を安易に受け止める傾向をもたらすだろう。

4‐3. 個人主義者の政党支持なし

個人主義者は、政党を支持しないと考えられる。なぜなら、政治に関心・知識を 持たないからである。そのことは政党の政策や方針などにも同じである。

彼らは、その時々のマスコミが報じる争点やスキャンダルにながされやすい傾向 をもつ。

それは、投票行動にもあらわれるだろう。

4‐4. 個人主義者のマスコミ影響度の大きさ

個人主義者は、マスコミの影響度が大きいと考えられる。なぜなら、立脚点とし て個というものが先にある彼らも「世間」を意識しているからである。他人の目と いう「世間」よりマスコミが作る「世間」の方を価値判断に置いている。そうする ことで立脚点としての個を小さくしないですむのである。

彼らは、マスコミが作る「世間」の流行に流されやすい。それは、いつでも人を 飾る外面としてあらわれるだろう。

5 . 分析手法

分析するにあたって使用するデータは、JES3の2005年度版である。2005年度 版の質問表には、個人というものを立脚点として考えて投票するかしないかを「自 由」と考える人達と、社会を立脚点として考えて投票を「義務」として捉える人達 を分けているのがある。この二つを比較して調べていく。

この二つに、仮説のパーソナル・コミュニケーションと関心・政党支持度・マス コミの影響をクロスする。

6 . 検証

6‐1. 個人主義者のパーソナル・コミュニケーションの拒否

投票に行くのは個人の自由と考えている個人主義者は、パーソナル・コミュニケー ションを拒否する。なぜなら、彼らは価値判断を他人に仰がないからである。なら、

投票に行くのは義務と考えている人達は、パーソナル・コミュニケーションが積極 的である。そして、彼らは、価値判断を他人に仰いでいると思われる。

表1 政治が話題になる人 表1は、周りに政治を話題に いる いない 合計 する人がいるかどうかを上の

投票に行くのは 二項とクロスしたものである。

義務 80.9% 19.1% 100.0% 投票に行くのは義務と考えて 投票に行くのは いる人達の周りには。80%

個人の自由 49.3% 50.7% 100.0% 以上も政治を話題にする人が

出展 JESⅢ 2005 年度 いる。彼らは、価値判断を他人に仰

いでいるため積極的にパーソナル・コミュニケーションに参加しているからだろう。

一方、投票に行くのは個人の自由と考えている個人主義者の周りには、49%以上 しか政治を話題にする人がいない。投票に行くのは義務と考えている人達にくらべ 30%以上も開きがある。彼らの大多数は、パーソナル・コミュニケーションを拒 否、または消極的である。

6‐2. 個人主義者の関心や知識の低さ

投票に行くのは個人の自由と考えている個人主義者は、政治的な関心や知識が低 いと考えられる。なぜなら、パーソナル・コミュニケーションを拒否するからであ る。コミュニケーションを成立するには、自分の考えなりをまとめて相手に返さな ければならないからである。

表2 政治に対する関心度

いつも注意を 時々注意を たまに注意を 全く注意し 払っている 払っている 払っている ていない 合計

投票に行くのは

義務 21.5% 51.5% 22.1% 4.9% 100.0%

投票に行くのは

個人の自由 7.0% 23.9% 39.4% 29.6% 100.0%

出展 JESⅢ 2005年度 注①

ドキュメント内 Microsoft Word 年度ゼミ論集完成版v2 forHP.doc (ページ 37-43)

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