第7章 結果
帰結 2 尺度の関連
VI. 先行要因とプリセプター保健師能動的実践との関連
2) 人材育成環境得点と PHN-PAES 得点との関連
次に、人材育成環境はプリセプター保健師の能動的実践に正の影響があると想定されるこ とから、人材育成環境6項目の合成変数と、PHN-PAESとの関連を検証した。
人材育成環境 6 項目の総得点は、24.80±4.11(9-30)であり、平均値を基準に高得点群
(n=201)と低得点群(n=173)の 2 群に分けた。人材育成環境高得点群は低得点群に比べて、
PHN-PAESのすべての下位尺度得点および総得点について、有意に高値を示した(表32)。
97 表 32 人材育成環境得点高低別 PHN-PAES 得点
新人の職務を学ぶ態度・組織で育成された経験の認識とPHN-PAES下位尺度との 関連
<新人の職務を学ぶ態度>の概念を測定する 2 項目の主成分分析を行った結果、すべて の項目は第 1 成分への成分負荷量を示した(表 33)。信頼性は、2 項目のため相関係数(r
= .821, p < .001)から確認された。
表 33 新人の職務を学ぶ態度(主成分分析)
項目(r = .821, p < .001)
成分 1 新任保健師は積極的に発言していた .954 新任保健師は重要な質問をよくしていた .954
<組織で育成された経験の認識>の概念を測定する 2 項目の主成分分析を行った結果、
すべての項目は第1成分への成分負荷量を示した(表34)。信頼性は、2項目のため相関係 数(r = .821, p < .001)から確認された。信頼性は、2項目のため相関係数(r = .608, p < .001) から確認された。
PHN-PELS下位尺度 度数 平均値 標準偏差 度数 平均値 標準偏差 p
下位尺度Ⅰ
<新任保健師育成の役割遂行> 201 23.09 3.04 173 21.79 3.62 .000 下位尺度Ⅱ
<保健師としての自己研鑽> 201 23.80 3.38 173 22.65 3.44 .001 下位尺度Ⅲ
<新任保健師育成の共有> 201 15.94 2.51 173 13.49 2.67 .000 下位尺度Ⅳ
<人材育成環境の改善> 201 13.10 3.04 173 11.50 3.08 .000
総得点 201 75.93 9.02 173 69.44 9.74 .000
注)人材育成環境得点の平均値24.8で高得点群・低得点群に分類 人材育成環境高得点群
(n=201)
人材育成環境低得点群 (n=173)
98 表 34 組織で育成された経験の認識(主成分分析)
項目(r = .608, p < .001)
成分 1 新人の時、先輩等に良く育ててもらったと思うか .897 先輩から教えられた保健師としての大切な考えや思いがあ
るか
.897
次に主成分分析から得られた合成変数<新人の職務を学ぶ態度>得点および<組織で育 成された経験の認識>得点と、PHN-PAESの下位尺度および総得点との関連について重回 帰分析(強制投入法)を行った(表35)。
その結果、Ⅰ<新任保健師育成の役割遂行>については、<新人の職務を学ぶ態度>は有 意な関連は見られず、<組織で育成された経験の認識>は有意な弱い関連がみられた(β
=.034, p = .214)。調整済み決定係数R2は.014と、負の値ではないが非常に低い値を示した。
Ⅱ<保健師としての自己研鑽>については、<新人の職務を学ぶ態度>(β= .069, p
= .276)との関連は見られず、<組織で育成された経験の認識>(β=.131, p = .012)と弱
い関連が有意にみられた。調整済み決定係数R2は.019と、負の値ではないが非常に低い値 を示した。
Ⅲ<新任保健師育成の共有>については、<新人の職務を学ぶ態度>(β=.118, p = .021)
および<組織で育成された経験の認識>(β= .155, p = .003)ともに弱い関連が有意にみ られた。調整済み決定係数R2は.038と負の値ではないが非常に低い値を示した。
Ⅳ<人材育成環境の改善>については<新人の職務を学ぶ態度>は有意な関連がみられ なかった(β=.075, p = .140)が、<組織で育成された経験の認識>は弱い有意な関連がみ られた(β=.193, p < .001)。調整済み決定係数R2は .042と負の値ではないが非常に低い 値を示した。
PHN-PAES総得点については、<新人の職務を学ぶ態度>(β= .093, p = .066)で有意
な関連はみられず、<組織で育成された経験の認識>(β=.196, p < .001)は弱い関連が有 意にみられた。調整済み決定係数R2は.047と、負の値ではないが低い値を示した。
また、<新人の職務を学ぶ態度>の「新人の成長」への影響が考えられるため、単回帰分 析を行った。その結果、標準偏回帰係数β= .700(p < .001)で、調整済み決定係数R2は .490
99 と十分な説明力を示していた(表36)。
さらに、プリセプターが<組織で育成された経験の認識>について、「新人の時、先輩等 に良く育ててもらった」と「先輩から教えられた保健師としての大切な考え、思い」の各項
目のPHN-PAES下位尺度への関連を重回帰分析にて検討した。その結果、「先輩から教え
られた保健師としての大切な考え、思い」がPHN-PAESの全ての下位尺度に関連していた。
「新人の時、先輩等に良く育ててもらった」は「先輩から教えられた保健師としての大切な 考え、思い」を介することで(β= .61, p < .001)PHN-PAESに影響していた。そして「先 輩から教えられた保健師としての大切な考え、思い」は、4つの下位尺度のうちⅣ<人材育 成環境の改善>へ最も強く関連(β= .29, p < .001)していた(図18)。
100
表 35 新人の職務を学ぶ態度・組織で育成された経験の認識と PHN-PAES 下位尺度との関 連(重回帰分析・強制投入法)
表 36 新人の職務を学ぶ態度と新人の成長との関連(単回帰分析)
標準化係数
β 有意確率
p 下限 上限
標準化係 数 β
有意確率
p 下限 上限
新人の職務を学ぶ態度 .034 .514 -.107 .214 .069 .184 -.053 .276 組織で育成された経験
の認識 .129 .013 .052 .430 * .131 .012 .056 .443*
モデルの集計・分散分析 R2 調整済みR2 F 値 有意確
率 R2 調整済みR2 F 値 有意確 率 .019 .014 3.678 .026b .024 .019 4.698 .010b 下位尺度Ⅰ 新任保健師育成の役割遂行 下位尺度Ⅱ 保健師としての自己研鑽
Bの95%信頼区間 Bの95%信頼区間
標準化係数
β 有意確率
p 下限 上限 標準化係数
β 有意確率
p 下限 上限
新人の職務を学ぶ態度 .118 .021 .024 .294 * .075 .140 -.037 .261 組織で育成された経験
の認識 .155 .003 .087 .404 ** .193 .000 .163 .514 ***
モデルの集計・分散分析 R2 調整済みR2 F 値 有意確率 R2 調整済みR2 F 値 有意確率
.043 .038 8.513 .000b .047 .042 9.325 .000b
下位尺度Ⅲ 新任保健師育成の共有
下位尺度Ⅳ 人材育成環境の改善
Bの95%信頼区間 Bの95%信頼区間
標準化係数
β 有意確率
p 下限 上限
新人の職務を学ぶ態度 .093 .066 -.030 .901 組織で育成された経験の
認識 .196 .000 .527 1.623***
モデルの集計・分散分析 R2 調整済みR2 F 値 有意確率
.053 .047 10.418 .000b
* p< .05, ** p< .01, *** p< .001
尺度総得点
Bの95%信頼区間
標準化係数
β 下限 上限
新人の職務
を学ぶ態度 .700 18.952 .000 .300 .370
R2 調整済みR2 F 有意確率
.490 .489 359.185 .000b
モデルの集 計
t
有意確率 p
Bの95.0% 信頼区間
101
***
**
***
***
***
102