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住民税賦課のための所得税資料開覧の新基準

ドキュメント内 わが国の税務行政の機能とその展開 (ページ 67-72)

第 3 章 固と地方の税務行政協力体制ー住民税の所得税関覧に関する国税連携 の効果ー

第 5 節 住民税賦課のための所得税資料開覧の新基準

1 エルタックスを窓口とした国税連携

エルタックスとは(社)地方税電子化協議会が主体となり、地方税の電子申告のための システムである。国税庁が推進する e‑Taxの地方版といえる。主な手Ij便性向上としては、

①給与支払報告書の電子化、年金特徴への対応(日本年金機構との間に、地方税電子化協 議会を経由機関と決定)がし、われてきた。これに平成23年 1月より、住民税賦課のための 所得税情報配信の国税連携メニューが加わった470その普及状況を示したものが図表3‑6で ある。

図表3‑6市町村のエルタックス加盟状況

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UハリハVUU

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0 8 6 4 2 0 8 6 4 2  

0

1 i 1 i 1 4 1 i 1 i  

加盟国体数 実施団体数

平成21/4 21/9  21112  2211  2213  2214 

出所)地方議子化協議会資料より筆者作成

平成21年4月 1臼総務省通知「市区町村における地方税の電子化についてjにより、所

47平成

l 5

年9月 16日総税企第 130号「国税における電子申告・納税システム導入に伴う 国と地方団体との税務行政運営上の協力jや、平成21年4月 1日総税企第32号 f市区町 村における地方税の電子化についてJを参照。

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得税資料閲覧に関する国税連携が決定する時期と前後し、明らかに加盟団体の飛躍的伸び がみられる。この時期には、年金特徴に関しでも日本年金機構との情報授受の窓口として 地方税電子化協議会を経由するとされたことも関係しているが、地方団体にとって大きな メリットを感じたからに他ならない状況がうかがえる。

図表 3圃7 エルタックスのメニュー~IJ加盟状況 団体名 エルタックス加盟 関税連携メニュー加盟

年金特徴加盟 申告加盟

奈良県 (39) 39  (100%)  39 (100%)  15  (38.3%)  滋賀県 (19) 19  (100%)  19  (100%)  19  (100%)  和歌山県 (30) 30  (100%)  30 (100%)  30 (100%) 

出所)各県へのヒアリングにより筆者作成

図表 37は、地域限定であるがエノレタックスメニュー男IJの加盟状況を調査したものである

480 エノレタックスは団体の意思によりメニューを選択することができ、当然所要経費も違っ てくる。導入当初より、電子申告については、特に小規模団体においてはメリットが薄い

とされてきた。また大規模団体においても、電子申告の普及には一定の時間がかかり、ど の程度普及するかが未知数であるため、加盟団体数が伸びなかった。表?はエルタックス には加盟したものの、電子申告メニューには加盟しない団体があり、地方税電子化協議会 が見込んでいる平成22年度中に全市区町村加盟見込みは、所得税関覧に関する国税連携ま たは年金特徴メニューであり、電子申告メニューの普及に関しては時間がかかるものと思 われる。

2  国税連携の流れと市町村のメリット

住民税は市町村にとっては基幹税であるので、その賦課徴収には手を抜けない。従来は、

課税標準となる所得税(一部法人税)資料を入手するために多大な労力をかけてきたとい われる。確定申告が一時期に集中することもその一因であるが、住民税が前年課税である 大きな要因である。その流れを図示したものが図表38である。

現状では、所得税資料閲覧・記録のために、一時的に多くの人員が必要であることがわ かる。また、その情報をパンチ入力するために外部委託を行っている団体がほとんどであ る。この点は、業務の非効率にフ。ラスし、税務情報の外部流出の危倶が付きまとうもので あり、労力以上のリスクもあったといえる。また所得税の更正などがあった場合には、管 轄税務署から連絡がある地区は稀で、市町村は定期的に管轄税務署に出向き、情報入手を 行う必要があった。

48地方税電子化協議会で、はヱルタックスのメニュー別加盟状況は非公表である。

図表3‑8エルタックス導入による関税連携の流れ 現状 確定申告書の提出

eTax紙申告) 市町村職員が税務署に来署し確定申告書を分 離・課税必要書類を複写(人員の動員が必要)

確定申告書等の情報のパンチ入力 (外部委託が多い)

電子化すれば l 確定申告書の援出

eTax紙申告) 電子化されている確定申告書をそのまま地方 税ポータル(地方電子化協議会)へ送付

確定申告書等の情報を竜子データで受取り、その 情報を基に課税更正情報等も随時配信

出所)筆者作成

国税連携後の流れは、国税より KSK(国税総合管理システム)データがエルタックスの ポータノレを通じて全都道府県・市区町村に配信される。標準的な形式の電子データとして 送信されるため、従来行っていたパンチ入力等の業務は省力化することが可能となる。ま た更正などの修正データも的確に配信されることで、これにより個人住民税の税額の変更 が必要になる場合、迅速な対応が可能となると考えられる。この業務の流れで気づくこと は、各地域の税務署・市町村間で個々にやり取りするのではなく、国税庁の送信サーバー からエルタックスのポータノレを経由して全都道府県・市区町村に配信する仕組みであるた め、地区によって具体的取扱いの差異が発生しないことが挙げられる。

市町村側のメリットを整理すると以下のようになる。

①入力ミスによる課税漏れ等のリスク解消

②入力作業外注に伴う情報漏洩リスク解消

③パンチ入力業務が減少

④確定申告書分離・複写業務が解消

⑤確定申告後の更正情報等による課税漏れ解消

このように労力のみならず、正確・迅速な賦課業務になり、リスクの解消につながる効 果も期待できることがわかる。現状、地方団体は人員面で、の制約により、定められた業務 ができていないとしづ弊害が顕著であるが、特に小規模団体においてはその効果は大きい と考えられる。実際の業務量削減効果などの計測は、今後の課題としたい。

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国税連携による効果の推計

このような市町村税務行政における数値的効果を推計する。榎並 (2010)によると、

税・社会保険関係、との共通番号を採用した場合の市町村における経済効果を推計している490

図表3‑9によると、税務行政にかかわる事務で、人口 20万人規模の自治体において年間 約5,000万円、全国市町村合計では年間570億円の業務削減効果があると推計している。

この場合の市町村税務行政は、住民税の国税確定申告書からの確定作業に限らず、住民税 の年金支払報告通知、固定資産税、軽自動車税など全ての業務を含んでいる。現状では国 税連携の初年度ということもあり、この業務に関する削減効果がでていないため、市町村 税務行政の業務別人員構成から推計を試みる。

限表3‑9共通番号を導入した際の前町村経済効果の推計

20万人規模自治体 全国自治体 効果額 合計推計 外部から収受したデータと自治体内部で管理するデ

9,506万円 570億円 ータを結び付ける作業

住民に関する他自治体や民間企業からの情報照会等 1,148万円 69i意円 住登録外住民・転入者と自治体内部データの結び付

け作業 1,032万円 69億円

住民サービスの受給判定のための他自治体等の情報

210イ意向

確認作業 1,255万円

合計 12,941万円 911 i意円

出所)榎並 (2010)を基に筆者作成

備考)職員時給3500円、非常勤職員時給1000円として計算

調査は 2011年日月に、ある県の滞納整理機構へのヒアリングから非公表を条件に、標 準的な徴収率の団体を人口規模別に3団体の担当業務別職員数を調査したものである。課 税業務に係る税目別人員ウェイトを示したものが図表3‑10、住民税確定時期に当該業務に 係る人員を示したものが図表3‑11である。数件のヒアリングであり、また明確に業務担 当を税目別に分けているとは限らないために正確な業務量の構成とはいえないが、ある程 度の傾向は出ていると思われる。また団体規模の棺違、税収構造の相違による違いもある

と考えられるが、一定の傾向を示すものとして論じる。

単純に住民税担当職員のうち他業務担当の応援職員、非常勤職員を確定申告時に一時的 に必要な人員と考えると、思表3‑9の金額換算に当てはめると図表312となることが推計 される。

49榎並 (2010)、pp.5260

図表

3 ‑ 1 0

市町村税務行政の課税業務税目別担当職員数

A市 (28万人) B市 (15万人〉 C市 (6万人)

住 民 税 13名 ?名 6名

国定資産税 11名 5名 4名

軽自動車税 2名 1名 1名

出所)筆者調査・作成 備考)非常勤職員は含まない

図表

3

1 1

所得税資料開覧等における業務応援人員

A市 (28万人) B市 (15万人) C市 (6万人)

住民税人員 13名 7名 6名

非常勤職員 6名 2名 O名

他業務担当の応援 5名 4名 4名

合 計 21名 12名 10名

出所)筆者調査・作成

備考)非常勤職員は0.5名で換算

図表

3 ‑ 1 2

住民税確定のための必要経費の推計

A市(約30万人) B市(約 15万人) C市(約5万人)

非常勤職員 6名 2名 0名

他業務担当の応援 5名 4名 4名

合 計 11名 5名 4名

金額換算 188万円 128万円 112万円

出所)筆者調査・作成

備考)人件費を正職員時給3500円、非常勤職員時給1000丹、業務時間を 10日間 (8時間/自)で推計し 金額換算

図表312は確定申告終了後、国税の資料を関覧し住民税を確定するために必要な経費を 推計したものである。住民税課税担当職員のみでは対応できない人員を非常勤職員と他業 務からの応援人員を国税資料閲覧からシステム入力に至る経費として推計したものである。

他業務の応援職員は概算値ではあるが、その関徴収や固定資産税等の業務が滞るといった 点が指摘されているため50、正職員の人件費として換算し、また時間換算はヒアリングによ

り、管轄税務署に出向き関覧・複写に3日、システム入力や住民税額確定作業に 7日を平

50例えば、徴収業務担当職員が一時的にこれらの業務に関るために、差押など強制徴収の 初動において国税や他機関に遅れをとることが指摘されている。

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