第 6 章 バックワードチップレーキプロペラの実 船 適 用
6.2 低速肥大船用プロペラへの適用
6.2.1 低速肥大船用プロペラの設計
大型の低速肥大船 B を対象に,基準プロペラ,チップアンロードプロペラ,バック ワードチップレーキプロペラの 3 種類のプロペラを設計した.船尾変動圧力の 2 次翼 振動数成分の高い基準プロペラに対する対策用として,船尾変動圧力全体を減らす ことで 2 次翼振動数成分の低減を期待したチップアンロードプロペラと,バックワード チップレーキの効果から2次を含む高次の翼振動数成分の低減を期待したバックワー ドチップレーキプロペラを設計した.プロペラ設計点は,プロペラ前進率 J = 0.474,推
力係数 KT = 0.20である.プロペラ設計条件をTable 6.1に,低速肥大船 Bの伴流分
布を Fig. 6.1に示す.
Table 6.1 Propeller design condition
Ship speed (kt) 15.0
Wake fraction 0.33
Brake horse power (kW) 8500 Propeller shaft revolution (rpm) 100
Propeller immersion (m) 8.5
Fig. 6.1 Wake pattern of ship B
基準プロペラ,チップアンロードプロペラ,バックワードチップレーキプロペラに A~C
のMPNo.を付して,各プロペラの特徴を以下に示す.
MPNo.A : 比較の基準となるプロペラ(BASE)
5 翼,直径 6.3m,展開面積比 0.52,スキュー25deg.,有効レーキ
2deg., チップレーキ率 X = 0.003 で,船尾変動圧力の 2 次翼振動 成分が高くなったプロペラ.
MPNo.B : チップアンロードプロペラ(TUL)
船尾変動圧力全体を減らすことで 2 次翼振動数成分の低減を期待 して,MPNo.A をベースにして翼先端側の翼幅を広くし,ピッチを逓 減したプロペラ.0.9R でMPNo.Aに対してピッチ7%減,翼幅7%増,
キャンバー25%減とし設計条件を満たすようにピッチを修正した.
MPNo.C : バックワードチップレーキプロペラ(BTR)
バックワードチップレーキによる 2 次を含む高次翼振動数成分の船 尾変動圧力の低減を期待し,キャビテーションエロージョンを回避す
るためにMPNo.A のレーキを幾何レーキ-1deg.に変更し,さらに翼先
端付近のレーキを 0.7Rから後方に 5deg.湾曲させてチップレーキ率
X =0.110 とし,翼面変化を滑らかにしたバックワードチップレーキプロ
ペラ.それ以外の形状はMPNo.Aと同じとした.
プロペラ主要目を Table 6.2に,模型プロペラの写真を Fig. 6.2(a)に,プロペラ側面 投影図をFig. 6.2(b)に示す.
Table 6.2 Principal particulars of propeller models
MPNo. A B C
Type BASE TUL BTR
Number of blades 5
Diameter (m) 6.3
Expanded area ratio 0.52
Pitch ratio (0.7R) 0.777 0.781 0.777
Skew angle (deg.) 25
Fig. 6.2(a) Propeller models (front view)
BASE TUL BTR
Fig. 6.2(b) Propeller models (side view)
なお,バックワードチップレーキプロペラは,翼先端が船体後方に傾斜している.そ のため,翼が推力を発生するために生ずる曲げモーメントと反対の方向に作用する,
翼が回転することで生じる遠心力による曲げモーメントが小さくなるため,翼根の翼応 力が高くなる傾向がある.
そのためバックワードチップレーキプロペラが実用に耐える翼強度を満足しているか を確認するために,有限要素法を用いて計画満載喫水,連続最大出力状態でのプロ ペラ翼応力を計算した.引張応力が生じるフェイス面の1回転平均翼応力の等応力線 図を Fig. 6.3に,修正 Goodman応力線図 [42]にプロットしたものをFig. 6.4に示す.
Fig. 6.4の縦軸は 1回転平均翼応力,横軸は応力全振幅である.Fig. 6.3,Fig. 6.4
からバックワードチップレーキプロペラの翼応力は,基準プロペラに比べて増 加しているが極端な応力集中はなく,修正 Goodman 応力線図に点線で示した許 容応力内に収まっており,実用に耐える翼強度を有することが確認できた.
BASE TUL BTR
Fig. 6.3 Stress distributions on the face side
Fig. 6.4 Modified Goodman's stress diagrams Unit: kg/mm2
BASE BTR
BASE BTR