2.3 系統的キャビテーション試験
2.3.2 キャビテーション観察
キャビテーションの様子は高速度ビデオで撮影した.ビデオカメラはVision Research 社製Phantom v7.1 であり,撮影コマ数は10,000 fps(frames per second)とした.実施 した試験の中でキャビティの発生量は KT = 0.180, n = 1.65 の状態が最も多く, KT =
0.165, n = 2.20 の状態が最も少ない.バックワードチップレーキの影響について,い
ずれの試験 状 態 でも似た傾向 が見 られたので,キャビティ発生 量が最も多 いKT = 0.180, n = 1.65のキャビテーション観察結果を示す.
プ ロ ペ ラ 翼 回 転 角 度 が 350deg.~70deg.の 間 で 高 速 度 ビ デ オ か ら 抽 出 し た
MPNo.1~5 の画像を Fig. 2.5(a)~(e)にそれぞれ示す.キャビティ発生角度範囲と発
生範囲は,基準プロペラMPNo.1と比較して,0.7R~翼先端にかけて約5deg.のバック ワードチップレーキを付加した MPNo.2,4 は,最大発生半径位置は大きくは変わらな いもののキャビテーション発生角度範囲が狭くなるとともに,翼先端付近のキャビティが 減少している.さらに 0.7R~翼先端にかけて約 10deg.のバックワードチップレーキを付
加した MPNo.3,5 も,キャビテーション発生角度範囲が狭くなるとともに翼先端付近の
キャビティがかなり減少している.またキャビティの厚みは MPNo.1 が特に厚く見えるこ とから,キャビテーション発生量が減少する傾向はすべてのバックワードチップレーキ プロペラについて見られた.なお MPNo.2,4 では 0.7R 付近から,MPNo.3,5 では
0.6R 付近からキャビティが発生しており,チップレーキ分布の違いにより翼先端以外の
部分の荷重も変化したものと思われる.
Fig. 2.6にキャビティ発生量が最も少ないKT = 0.165, n = 2.20 のキャビティ最大発 生プロペラ翼角度付近 = 25deg.の MPNo.1~5 の画像を示す.キャビティ発生範囲 は基準プロペラ MPNo.1 の0.83R 付近までと比較して,MPNo.2,4 は 0.87R 付近まで と翼先端付近のキャビティが減少し,MPNo.3,5では0.9R 付近までとキャビティがかな り減少している.またキャビティの厚みは MPNo.1 が特に厚く見える.すなわち,バック ワードチップレーキの特徴の一つが翼先端付近のキャビティを減少させることと言える.
なお,滑らかなチップレーキ分布形状を採用することで,すべてのプロペラ,試験状 態において,過去の研究 [9]で観察された翼先端付近の後縁端近傍のアルマイト加 工のはがれは確認されなかった.以上のことから,キャビテーションエロージョンの回避 と船尾変動圧力の低減効果を両立できるものと考える.
Fig. 2.5(a) Cavitation pattern (MPNo.1, KT = 0.180, n = 1.65)
Fig. 2.5(b) Cavitation pattern (MPNo.2, KT = 0.180, n = 1.65) 25deg. 10deg. 350deg.
70deg. 55deg.
25deg. 10deg. 350deg.
70deg. 55deg.
Fig. 2.5(c) Cavitation pattern (MPNo.3, KT = 0.180, n = 1.65)
Fig. 2.5(d) Cavitation pattern (MPNo.4, KT = 0.180, n = 1.65) 25deg. 10deg. 350deg.
70deg. 55deg.
25deg. 10deg. 350deg.
70deg. 55deg.
Fig. 2.5(e) Cavitation pattern (MPNo.5, KT = 0.180, n = 1.65)
Fig. 2.6 Cavitation pattern of each model (KT = 0.165, n = 2.20, = 25deg.) 25deg. 10deg. 350deg.
70deg. 55deg.
MPNo.3 MPNo.2 MPNo.1
MPNo.5 MPNo.4