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キャビテーションと船尾変動圧力

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 86-92)

3.5 プロペラのキャビテーション性能と船尾変動圧力に及ぼすチップレーキの影響

3.5.3 キャビテーションと船尾変動圧力

Fig. 3.25(a), (b)に,それぞれ基準プロペラとバックワードチップレーキプロペラのキャ ビテーションの状態を詳細に確認するために翼角度が-20deg.~80deg.の間,20deg.

間隔で高速度ビデオで撮影した模型試験と CFD 計算結果を並べて示す.CFD 計算 結果は,ボイド率 10%のキャビテーションパターンと 0.985R と 0.9R 位置でのボイド率 分布を示し,赤色の部分がボイド率 10%のキャビティ部分に相当する.

模型試験結果は基準プロペラと比較して,バックワードチップレーキプロペラは,翼 先端付近のキャビティ発生量が減少している.またバックワードチップレーキプロペラの

0.6R ~0.7R でキャビティが初生しているが,レーキ分布の違いにより基準プロペラより

0.6R ~0.7R 付近の有効迎角が大きくなったために,前縁付近の荷重が増えたためと

考えられる.

CFD 計算のキャビテーション発生範囲は,模型試験結果に比べて両プロペラとも多 少広めではあるが,基準プロペラと比較してバックワードチップレーキプロペラは,翼先 端付近のキャビテーション発生量が減少していること,バックワードチップレーキプロペ

ラの0.6R~0.7Rでキャビティが初生することなど,両プロペラの特徴的な違いを捉えて

いる.

また同一角度で比較すると,基準プロペラのキャビティ厚みは,バックワードチップ レーキプロペラよりもかなり厚くなっている.これは基準プロペラの翼面上の圧力が低 いことや翼先端近傍の強い回り込み流れによって,キャビティが厚くなったと考えられ る.

Fig. 3.25(a) Cavitation pattern and volume by model test and CFD (MPNo.1)

Fig. 3.25(b) Cavitation pattern and volume by model test and CFD (MPNo.3)

(2) キャビティ体積の時間に関する2階微分

キャビテーションによって誘起される船尾変動圧力波形は,キャビティ体積の時間に 関する 2 階微分値波形と強い相関を持つことが知られているので,両プロペラについ てキャビティ体積,その 2階微分値波形と船尾変動圧力波形の比較を行った [29].

CFD 計算で求まったキャビティ体積の時系列波形を Fig. 3.26 に示す.基準プロペ ラのキャビティ厚さはかなり厚いために,キャビティ体積最大値はバックワードチップ レーキプロペラの約 2.5 倍となり,キャビティ体積の変動が大きくなる.キャビティ体積 波形のピークは,基準プロペラが 35deg.付近,バックワードチップレーキプロペラが 25deg.付近と約10deg.の位相差がある.

Fig. 3.26 Cavity volume time series

Fig. 3.26から求めたキャビティ体積の時間に関する2階微分値波形(Fig. 3.27)と,

船尾変動圧力計測結果の時系列波形(Fig. 3.28)を比較する.Fig. 3.27,Fig. 3.28の 両波形とも基準プロペラは,キャビティ崩壊期の 60deg.付近にピークを持ち,バック ワードチップレーキプロペラは,より速い回転角度で波形の立ち上がりが確認できる.

また波形の傾向も基準プロペラに比べて,バックワードチップレーキプロペラの波形は,

高周波の変動が弱まり 1次翼振動数成分のみの波形に近づいている.

0.0E+00 5.0E-06 1.0E-05 1.5E-05

0 90 180 270 360

Cavity volume (m3 )

MPNo.1 MPNo.3

Angular position (deg.)

キャビティ体積の時間に関する 2 階微分波形は,模型試験による船尾変動圧力時 系列波形と良く対応した結果が得られたので,プロペラ間のキャビティ体積変化の違 いを定性的に精度良く計算できていると思われるため,基準プロペラとの相対比較に よるバックワードチップレーキプロペラの船尾変動圧力推定方法として本 CFD 計算は 妥当であると考えられる.

以上の結果から,基準プロペラに比べてバックワードチップレーキプロペラのキャビ テーションの発生量が少なくなることや,キャビティ体積変動が小さくなることに伴って,

船尾変動圧力が小さくなると考えられる.

Fig. 3.27 Second order differentiating cavity volume by time

Fig. 3.28 Pressure signals by model test -10

-5 0 5 10 15

0 90 180 270 360

d2(cavity volume)/dt2(m3/s2)

MPNo.1 MPNo.3

Angular position (deg.)

-0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08

0 90 180 270 360

Pressure fluctuation Kp

MPNo.1 MPNo.3

Angular position (deg.)

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