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伝説の超サイヤ人ブロリー氏がパンチ一発で退場した 件について

ドキュメント内 『ドラゴンボールの贈りもの』 (ページ 37-40)

第一節 伝説の超サイヤ人ブロリー氏がパンチ一発で退場した

他にもジャネンバ 49)。一切の攻撃を受け付けず、こちらも傷一つつけることができない ほどの敵。劇場版においては最強と呼ばれている敵だ。だが、悟空とベジータがフュージ ョン50)してしまえば一瞬でやられてしまった!それでも劇場版最強か!

(「復活のフュージョン!!悟空とベジータ」 鳥山明 1995年)

このように劇場版のドラゴンボールははっきり言ってひどい。ストーリーなんてあって ないようなもの。毎回宇宙から自称最強(暫定)の悪がやってきて、一旦は悟空や Z 戦士 を追いつめるのだ。しかし、ヒーロー側が何だかよくわからない理屈で気合を入れればも うどうにもならない。パンチ一発で宇宙の藻クズとなってしまうのだ。

しかし、これでも十分に子供は楽しんでいる。実を言うと子供時代の私もこの展開で十 分に楽しんでいた。今になって思うと、つっこみどころが満載なのだが。どうやら子供に とってはそんな細かいところはどうでもいいのだ。ヒーローが活躍さえすれば何も問題は ないのである。

悟空が活躍すればそれでいい

極端な話だが、悟空が活躍すれば後はどうでもいいのである。ストーリーが無茶苦茶で あろうが、設定が意味不明だろうが、悟空がかっこよければそれで子供は満足なのだ。子 供の頃、私は毎週アニメのドラゴンボールを見ていた。しかし、私が生まれる前から連載 されていたドラゴンボール。当時単行本を持っていなかった私にとって、見たことがない キャラクター51)や知らない設定は多々あったように思う。現在再編集アニメとして放映され ているドラゴンボール改も、無印時代をすっ飛ばしての途中からの放映である。子供から すれば「こいつ誰?」なキャラクターや「何それ?」と思うような展開があるだろう。し かし、それでも問題はない。悟空が活躍すればそんなことは別に気にもされないのだ。

このお決まりのパターンは、水戸黄門 52)に通じるところがあるような気がする。展開は 分かっているのに、それを面白いと感じるのだ。絶対に最後には勝ってくれる無敵のヒー ロー。悪に屈しない絶対的な正義。ドラゴンボールはその単純で王道な設定を極限まで高 めた作品なのだ。「読者の期待に応えてくれる」。ドラゴンボールの人気の秘密はそこにあ ると感じる。

[注]

46) ブロリー:悟空と同じ日に生まれたサイヤ人。スタッフ曰く、めちゃくちゃ強い。

しつこく何度もよみがえり、劇場版に三度も登場した。「カカロットォ!!」以外 のセリフがあんまりない。

←これは怖い。ベジータさんが泣きだす(事実)のも納得。

47) 理想のヒーローアンケート:オリコンが2007年に行ったアンケート。

48) ターレス:劇場版に登場するサイヤ人。悟空と同じ顔をしている。クラッシャータ ーレスという通り名を使用。誰もその名で呼ばない。

←声を使い分けた声優の野沢さん。お見事でした。

49) ジャネンバ:劇場版に登場する悪役。「キィー」とか「キャー」など、奇声をあげ

る台詞しかない。鳥山明が、自分がつくったキャラの中で気にいっているデザイン に、このキャラクターをあげた。しかし、このキャラのデザインを担当したのは鳥 山明ではないのだが…。

←ゴジータにボッコボコにされてキレる寸前のジャネンバ氏。

50) フュージョン:戦士二人が合体する必殺フォーメーション。なんといってもダサい。

私も子供の頃よく真似をした。足の角度に気をつけよう。

←これは真剣なシーンである。勘違いなきよう。

51) 知らないキャラクター:幼い私にとって、ミスターポポは本当に謎めいたキャラク ターであった。コミックを読めば正体が分かると思い、全巻読破したが、結局よく 分からなかった。どうやらあの世から派遣されてきている人らしい。

←皆さんもこの男に見覚えあるだろうか。

52) 水戸黄門:徳川光圀さんが世直しをするテレビドラマ。現在は里見浩太朗が担当。

ドキュメント内 『ドラゴンボールの贈りもの』 (ページ 37-40)