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バイバイドラゴンワールド??

ドキュメント内 『ドラゴンボールの贈りもの』 (ページ 32-37)

フリーザというキャラをご存じだろうか。かつて宇宙一と呼ばれ、「私の戦闘力は 53 万 です」40)の一言で子供たちを恐怖のどん底に突き落とした程のキャラクターだ。しかし、後々 とんでもないことを言い出すキャラクターが現れた。そいつの名は界王神 41)。なんとこい つは「フリーザ如きならパンチ一発で倒せる」とか言い出したのだ。なんで助けてくれな かったんだ!ベジータやクリリン、悟空が瀕死になりながらもやっとこさ倒した相手。お 前がいればもっと簡単に終わっただろうに!お前どこで何してたんだ!

何が言いたいかというと、ドラゴンボールといえばインフレが凄いということだ。とに かく凄い。強い敵を倒したかと思えば更に強い敵がすぐに出てくるのだ。フリーザの53万 がもうどうでもいいぐらいに思えてくる。最終的に原作で最も強いとされているキャラク ターは超ベジット42)。こいつの戦闘力はなんと73億。億って…

といったようにドラゴンボールは次々に強いキャラクターが登場する。しかし、主人公 の悟空もそれに対抗してパワーアップするのだ。彼はなんと瀕死の状態から蘇ればパワー アップするという特殊能力 43)を持っている。これはドラゴンボールという作品にも言える ことなのではないか?

GT 時代の後、姿を消しはしたがパワーアップして帰ってきたドラゴンボールAF。新た な新時代を迎えたこの作品だが、この先はどうなるのだろうか。再び消えてしまうのだろ うか。それともパワーアップするのだろうか。ちょっと考察してみよう。

終われない作品から終わらない作品に

第一章で紹介したように、ドラゴンボールの歴史には常にメディアが絡んでいた。無印

時代はメディアに支えられ、Z時代はメディアと共に爆発、GT時代はメディアと離れたこ とで終わりを迎え、最終的にはメディアが海外を巡ったことでAF時代が訪れた。このAF 時代の特徴は、二章の最初で述べたように、原作がないということである。

最盛期であった Z 時代は、中心に鳥山先生の描く原作があった。それにぶら下がるよう にメディアミックスが行われていたのだ。これこそ、終われない作品だった理由だろう。

中心の原作が崩壊してしまえば、それにぶら下がっていたメディアミックスも一緒に落ち てしまうからだ。しかし、AF時代には中心となるべく原作がない。ないというより、既に 完成されているのだ。これ以上増えることはないが、いきなり消えてなくなることは絶対 にないことを意味している。AF時代の中心は、Z時代と違って絶対に崩れる心配がないの だ。

原作がこれ以上進化することがないにも関わらず、新時代のAFは、メディアミックスの 力のみで最盛期のZ時代に匹敵する強さを見せている。しかも、Z時代のように崩れる心配 もない。ドラゴンボールはいつの間にか、終わりの見えない作品になっていたのだ。暗黒 期を超え、ドラゴンボールは不安要素ゼロの終わらない作品に進化した。まさにサイヤ人 がスーパーサイヤ人44)に進化したように。

推測~何度でも蘇るドラゴンワールド~

ブームが終わる決定的な要素は今のところ見当たらない。が、いつまでもブームが続く とは思えない。実はAF時代にも一瞬だけ陰りが見えていた時期があったのだ。

AF時代のさきがけとなったゲームにおいて、評価が高いZシリーズ45)とSparkingシリ ーズ。この2作品が発売されていたのが2003年から2007年付近になるのだが、翌年の2008 年前半にドラゴンボールブームが収まりそうになっていたのだ。ゲームハード機がPS2か らPS3に進化したことに伴い、ドラゴンボールシリーズもPS3向けにゲームが作られたの だ。が、これがいまいち軌道に乗れなかった。売上だけでなく評価もイマイチであり、尐 しマンネリな空気がファンの間に漂っていた。02 年から増加傾向にあったインターネット でのファンサイトも減り続けてしまい、話題がなくなってきたのだ。それでも盛り返すこ とができたのは、2008年後半に登場したOVAや、09年に作られたハリウッド映画、再編 集アニメの放送あってこそだろう。

やはりドラゴンボールAFにも弱点はあった。原作が完結している以上、新しい話題にな るものが限られてくるのだ。メディアミックスはこれまであったものを進化させる点では 非常に強い力を持っているが、新たなものを生み出す能力はいまいちである。メディアミ ックスにおいては、ゲームハード機の進化や映像技術の向上などがカギとなってくる。つ まり、エンターテイメント業界自体が活性化しないと、いずれ限界が見えてきてしまうの

だ。AF時代の行く末は、ドラゴンボールという作品ではなく、エンターテイメント業界全 体の行く末によって左右されるのだと私は考える。

そうなるとやはり、どこかでAF時代の終わりはくると考えられる。それは間違いないだ ろう。しかし、それが全ての終わりとは考えられない。エンターテイメントが進化すれば、

ドラゴンボールも再び進化して帰ってくるだろう。これまでも無印、Z、GT、AFと時代に 合わせて進化してきたこの作品。昔の作品であることには変わりはないが、時代について いけなくなるなんてことはまずないだろう。未だ色あせず、世界一のマンガと呼ばれてい ることがその証とも言える。

更に、子供時代にドラゴンボールに触れた人が、大人になって再び触れることもあるだ ろう。自分の子供にドラゴンボールを見せることもきっとあるだろう。あとはメディアミ ックスがそれの手助けをすればいいのだから。ドラゴンボールというブランドにはそれを 実現させる力があると私は確信している。ドラゴンボールは受け継がれ、語り継がれる作 品となるのだ。

原作最強のベジットですら、アニメオリジナルのスーパーサイヤ人4ゴジータ45)にはか なわない。二次創作ではそれをも上回るキャラクターがつくられている。ドラゴンボール はこうやってインフレし続けるのだ。時代の進化とともに、より強くなって何度でも蘇る。

エンターテイメント業界やわれわれファンが、神龍を呼び出すアイテムとなる七つの“ド ラゴンボール”を揃えれば、何度だってドラゴンワールドは蘇るのだ。

[注]

40) 私の戦闘力は53万です:当時は10万あれば上出来だったのでそれはもう凄い数

値だった。

41) 界王神:神様よりも偉い界王様よりも更に偉い人。身分だけでなく、いざという 時に役に立たない度合いも相当である。

←後ろにいるキビトの方が有能だったりもする。

42) ベジット:悟空とベジータが融合して生まれた、原作最強の戦士。魔人ブウが次 元を破壊するほどの技を使った際に、特に技名もないアッパーで軽く防いだ。

←ゴジータに比べ、おちゃらけた性格である。

43) サイヤ人の特殊能力:間違いなく後付け

44) スーパーサイヤ人:数千年に一人目覚めると言われる特殊なサイヤ人。主に金髪 となり、体のまわりに金色のオーラが出現し、シュインシュインという奇怪音が 発生する。変身を重ねるごとに見た目が不良に近づく。

←スーパーサイヤ人3では眉が消えうせる。

45) スーパーサイヤ人4ゴジータ:ドラゴンボールに登場するキャラクターの中で最

強の戦士。GTにおいて、最も強い敵を余裕であしらったチートなキャラクター。

←もうスタッフもやりたい放題である。

第 三

ソリッド・

ステート・

スカウター

スカウターというアイテムがドラゴンボールの中には登場する。なかなかの優 れものであり、相手の戦闘力数や居場所を確認するだけでなく、トランシーバ ー的な役割を果たす場合もある。性能がいいにも関わらず、使用者がやたら

「すぐ壊れる」

と勘違いしたせいで何度無意味に破壊されただろうか。どれだけ優れた技術で も、使う側が愚かでは意味を成さないのだ。

ここまで一章・二章を経て、ドラゴンボールのこれまで、現在、これからについ て紹介してきた。時代ごとの歴史やリバイバルブーム、今後の仮説については それぞれの答えを示すことができた。しかし、なぜここまでヒットしたのかについ てはまだまだ検証の余地があるように思う。

そこで、この第三章ではドラゴンボールが支持される理由を徹底的に調べ上

げようと思う。スカウターを装備したつもりで、ドラゴンボールというマンガの秘密

を暴いていこう!

第一節 伝説の超サイヤ人ブロリー氏がパンチ一発で退場した

ドキュメント内 『ドラゴンボールの贈りもの』 (ページ 32-37)