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他の ECAL との比較

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 63-70)

第 6 章 モンテカルロ情報を用い た性能の理解た性能の理解

6.2 他の ECAL との比較

構造間での性能差を比較するため、SiECAL、ScECAL、セル状のシン チレータを用いたHybrid[Si16+Sc14]、セル状のシンチレータを用いた ScECALの4構造についても分解能の内訳を調べた(図 6.3及び図 6.4)。

まずシンチレータ層でのゴーストヒットとSSAの影響を調べるため、シン チレータのストリップを5mmx5mmのセル状に変更して性能を比較した。

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300 ) [%] j) / Mean(E jRMS90(E

0 1 2 3

4 Total Resolution

Total Confustion Photon Contribution

図 6.2: Hybrid ECAL[Si16+Sc14]における光子の識別ミスのジェットエ ネルギー分解能への寄与。青点は誤識別による劣化のうち光子に よる寄与である。

分解能の内訳である。ピンクの点はストリップの場合のPFAの性能、黒色 の点はセルの場合のPFAの性能である。この図から、Hybrid[Si16+Sc14]

では低いエネルギーにおけるストリップとセルの差は殆どなく、また高い エネルギーにおいても小さい。またセル状の方が識別ミスの寄与が少な く、PerfectPFAの場合はどちらも同じ性能であるため、性能差は識別ミス によるものである事が分かる。次に右側のSiECALの場合と比較すると、

特に高い領域で識別ミスの寄与に差があることが分かる。またScECAL と比較すると識別ミスの寄与はどのエネルギーでも小さくなっている。

PerfectPFAの場合についてはどのECALでも同じ性能である。

ScECALとHybrid[Si16+Sc14]の通常のPFAの性能を比較すると、ス トリップとセルの間の性能差はScECALの方が顕著である事が分かる。

このことからシリコン層からシンチレータストリップの層に置き換える ことによる劣化は外側の層よりも内側の層の方が大きい事が分かった。

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300 ) [%] j) / Mean(E jRMS90(E

0 1 2 3 4 5

Total Resolution w/ strip Total Resolution w/ cell Resoution Term Confusion Term

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300 ) [%] j) / Mean(E jRMS90(E

0 1 2 3 4 5

Total Resolution Resoution Term Confusion Term

図 6.3: ( 左 )5mm×5mm の セ ル 状 シ ン チ レ ー タ を 用 い た Hy-brid[Si16+Sc14] についての分解能内訳(右)と SiECAL に ついての分解能内訳。

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300 ) [%] j) / Mean(E jRMS90(E

0 1 2 3 4 5

Total Resolution Resoution Term Confusion Term

Energy of One Jet [GeV]

0 50 100 150 200 250 300 ) [%] j) / Mean(E jRMS90(E

0 1 2 3 4 5

Total Resolution w/ strip Total Resolution w/ cell Resoution Term Confusion Term

図 6.4: ScECALについての分解能内訳(左)とセル状のシンチレータを 用いた場合の分解能の内訳(右)

第 7 章 まとめ

 本研究では国際リニアコライダー計画おけHybrid ECALの構造最適 化に向けてシミュレーションのイベント再構成方法を確立し、検出層及 び吸収層の構造について性能評価を行った。

検出層の構造についてはエネルギーが高くなるにつれて、シンチレー タ層の割合が増加するとエネルギー分解能が緩やかに悪くなる事が分かっ た。またシリコン層を内側に固めて配置する前後構造とシリコン層とシ ンチレータ層を交互に配置する交互構造との間には有意な差は見られな かった。これらの結果から、半数を置き換えてもほとんど性能は変わら ず、Hybrid ECALは現在のところコスト削減とパフォーマンスの維持か ら考えて十分有望であるといえる。

吸収層の構造については各層均一の厚みにした場合は1層あたり2.8mm の構造が、内外比を1:2にした場合については2.1mmx20層/4.2mmx9層 の構造がそれぞれ最適であると判断した。

更にSiECAL、ScECAL、Hybrid[Si16+Sc14]の場合についてジェット のエネルギー分解能の内訳を調べた。その結果低いエネルギーでは検出 器固有のエネルギー分解能が支配的であるが、エネルギーが高くなると PFAの粒子識別のミスが支配的になる事が分かった。また構造間の性能 の差はPFAの識別ミスによるものであり、エネルギーが高くなるにつれ て光子の寄与が大きくなる事が分かった。

今回は検出層と吸収層それぞれの構造についてのみの性能評価であっ たため、今後は検出器全体の径を下げてコストを削減した場合に性能がど う変化するか、また全吸収層の厚さを維持したまま検出層の層数を削減 した場合に性能がどう変化するかについて調べていく予定である。更に 高いエネルギーで光子の識別精度を高める構造、解析手法についても考 えていく。またコストの見積もりを行い、性能と比較してコストパフォー マンスを最適化する構造を決定する予定である。

参考文献

[1] Observation of a new particle in the search for the Standard Model Higgs boson with the ATLAS detector at the LHC http://arxiv.

org/abs/1207.7214

[2] Observation of a new boson at a mass of 125 GeV with the CMS experiment at the LHChttp://arxiv.org/abs/1207.7235

[3] New results indicate that particle discovered at CERN is a Higgs boson

http://press.web.cern.ch/press-releases/2013/03/

new-results-indicate-particle-discovered-cern-higgs-boson [4] 「ノーベル物理学賞でたどる標準理論100年の歴史」

http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Highlights/20120727150000/

[5] G. Abbiendi, et al. Search for the Standard Model Higgs Boson at LEP. Phys.Lett.B565:61-75,2003

[6] ILC Technical Design Report

http://www.linearcollider.org/ILC/Publications/

Technical-Design-Report

[7] M.Thomson. Particle Flow Calorimetry and the PandoraPFA Algo-rithm. Nucl.Instrum.Meth., A611:25–40, 2009.

[8] ilcsoft. http://ilcsoft.desy.de/portal [9] Display of ILD events

http://www-jlc.kek.jp/miyamoto/evdisp/html/

[10] Scintillator ECAL reconstruction

contribId=169&sessionId=22&resId=0&materialId=

slides&confId=5414

[11] 小寺克茂(2013) .「ILDのカロリメータ」 (加速器・物理合同 ILC 夏の合宿2013)

謝辞

 本研究を進めるにあたり、お世話になった方々へ感謝を述べさせて頂 きます。

 まず指導教員である川越先生には、非常に多忙でいらっしゃるにも関 らずミーティングや発表練習などでご指導を頂きました。ありがとうご ざいました。

そして最も多くの時間を割いて頂いた吉岡瑞樹先生には、基礎を手取 り足取り教えて頂いた後、行き詰まった時には常に解決への道筋を示して 下さりました。また発表練習やproceedingsの添削では多忙なスケジュー ルにも関らず丁寧に指導して頂きました。ありがとうございました。

末原大幹先生には短い期間でしたがシミュレーションについて詳しく 教えて頂き、特にMC情報を用いることに関しては末原先生のご助力な くして完成しなかったものでした。ありがとうございました。

ポスドクである須藤裕司さんには、深夜まで質問に付き合って頂き、ま た指導して頂きました。ありがとうございました。

研究室内での研究報告などで様々なご指導を頂いた、東城順治先生、織 田勧先生、音野英俊先生にもお世話になりました。ありがとうございま した。

大石航君、研究室の立ち上げ時から一緒で色々な話をし、更にはコン サートなどにも一緒に行ってくれてありがとう。あなたのおかげで自分 の興味の幅が広がった気がします。いつか一緒にウィーンフィルのニュー イヤーコンサートに行きましょう。

松本悟君、常に周りに気を配り、様々な事について深く考えている姿 には非常に感銘を受けました。何度も宗像まで送ってくれたり、夜遅く にラーメンを食べにいったり。またカフェで談笑したいですね。

宮崎陽平君、修士に入ってからだったけど、サッカーという共通のア クティビティで共に戦うことができました。一見おとなしそうな外見に、

熱い情熱を秘めた、そのプレーする姿には非常に刺激を受けました。ま だまだ一緒にサッカーしましょう。

古浦新司君、調翔平君、田中元気君、富田龍彦君、中居勇樹君をはじ め研究室の後輩には、物理の話や雑談で多いに充実した研究室生活を送 る事ができました。ありがとう。

信州大学の小寺克茂さんには、最初に研究を始めたときにシミュレー

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