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キャリブレーション

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 45-50)

第 5 章 ハイブリッド電磁カロリ メータの性能評価メータの性能評価

5.1 キャリブレーション

第 5 章 ハイブリッド電磁カロリ

ションを行い、検出層で落としたエネルギーにキャリブレーション定数 をかけて吸収層で落としたエネルギー分を補正し、エネルギー分布をガ ウス分布でフィットした中心値が10GeVになるようキャリブレーション 定数を調整する(図5.1)。Hybrid ECALの場合には、まず全てシリコン 層の場合と全てシンチレータ層の場合の対象となる吸収層の構造につい てキャリブレーションを行いキャリブレーション定数を求めた後、評価 した構造にして求めたキャリブレーション定数を用いて光子が10GeVに なる事を確認する方法をとっている。

Energy Sum of Calorimter Hit [GeV]

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

events

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

1600 ScECAL

SiECAL

Hybrid[Si16+Sc14]

図 5.1: キャリブレーション後の10GeVの光子のエネルギー分布。横軸は キャリブレーションされた光子のエネルギー、縦軸はイベント数 である。正しく10GeVにキャリブレーションされている事が分 かる。

またこのキャリブレーション方法が適切であるかどうかを確認する為に、

1∼50GeVの光子を用いてエネルギー分解能及び線形性を評価した。ILD のECALに要求される単独光子のエネルギー分解能は、(3.9)式の統計項 σstochで15∼20%である。図5.2に示すようにσstochはScECALが17.7%、

SiECALとHybrid[Si16+Sc14]は18%と、検出器固有のエネルギー分解能 ではどのECALもほぼ同等の性能を持ち、またいずれも要求性能を満た している事が分かった。また線形性のずれも1.3%以内であり、解析する 上では問題ないと判断した。

次に10GeVのµ粒子を用いてシミュレーションを行い、MIPキャリ

Photon Energy [GeV]

0 10 20 30 40 50

of gaussian fitσ

0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2 0.22

SiECAL ScECAL

Hybrid[Si16+Sc14]

図 5.2: 光子に対するエネルギー分解能。横軸は光子のエネルギー、縦軸 はフィットしたガウス分布のσである。

メータ中でシャワーを起こさずに検出器を貫通する。またMIPとして振 る舞い検出器中で一定のエネルギーを落とすため、粒子が通過して検出 したエネルギーかどうか判断する基準として用いることができる。検出 器が非常に薄い場合にはµ粒子のエネルギー分布はランダウ分布をとる ため、ランダウ分布でフィットを行った。図 5.4はSiECAL、ScECAL、

Hybrid ECALそれぞれでのµ粒子のエネルギー分布である。ピークの位 置をMost Probable Value(MPV)とし、1MIPとしてスケールしている。

µ粒子が検出層に落とすエネルギーは吸収層によらずほぼ一定であるが、

このエネルギーはキャリブレーション定数で補正されているため、直前の 吸収層が厚い場合にはその分多く見積もられることとなる。そのため今 回のような吸収層が2.1mmの層と4.2mmの層に分かれている場合には、

この図のように2MIPの所にもう1つのピークができる。フィット後、そ のMPVに対して一定のエネルギー閾値を設けることでノイズヒットを取 り除く。本研究ではシリコン層では各セルに対して0.5MIP、シンチレー タ層では仮想セルに対して0.3MIPの閾値を設け、それ以下のエネルギー のヒットを除去した上で再構成を行っている。

最後にハドロンシャワーに対する補正パラメータのキャリブレーショ ンを行う。これは、電磁シャワーのエネルギーの落とし方とハドロンシャ ワーのエネルギーの落とし方が違うため、ハドロンシャワーに対しては上

Generated Energy [GeV]

0 10 20 30 40 50

Reconstructed Energy [GeV]

0 10 20 30 40

50 HybridECAL ScECAL SiECAL

図 5.3: 光子に対する線形性。横軸は生成した光子のエネルギー、縦軸は キャリブレーション後の光子のエネルギー。

述のキャリブレーション定数に加えて更に補正を行う必要があるためで ある。これには10GeVのKLを用いてシミュレーションを行い、PFAを 用いて再構成して10GeVに再構成されるようにパラメータを調整した。

KLは比較的長い寿命を持つハドロンでカロリメータまで崩壊せずに到達 するため、カロリメータ中でハドロンとしての振る舞いを検出できる。ま たハドロンであるため主にハドロンカロリメータ内でシャワーを起こす が、時には電磁カロリメータ内でシャワーを起こして電磁カロリメータ にもエネルギーを落とすため、両者の間で整合性がとれるようにキャリ ブレーションする必要がある。

MIP scale [MIP]

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000 20000 22000

ecal barrel MIP peak

Hybrid[Si16+Sc14]

SiECAL ScECAL

Hybrid[Si16+Sc14]

SiECAL ScECAL

図 5.4: µ粒子を用いたMIPキャリブレーション。横軸は検出したエネル ギーをピークに併せてスケールしたものである。

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 45-50)

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