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第6章 全体考察

第2節 今後の課題

看護実践は人間を対象とした活動であり、正木(1993・1994)岡谷(1996)らが述べ るまでもなく、一人の人の看護ケア全体に必要な技術の基盤として援助的人間関係形成能 力は欠かせないe

看護学教育のあり方に関する検討会報告書(2◎◎◎)においても、大学における看護実践 能力育成のために、看護学の教育内容のコアである、援助的人間関係形成の方法として、

=ミュニケーシNンをあげている。

 卒業時までに、自分と異なる年代や立場の人との意思疎通、対象者の意思表明の援助、

提供するケアの説明と相手の要望の受け止め、対象に応じた援助関係の形成などについて は自立してできること、また、対象と意思疎通を図ることができれば、看護師岡の指導の もとで、医療・介護チ・・・・…ムの中で、意見の表明ができる必要がある。

 看護師者として、幅瓜・教養を基盤に据えた人間性の酒養とその人間性に基づく倫理的 判断力の育成、さらに対象者の自立と自己表現を支えるための創造力の育成が重視されな ければならない。大学教育では、この人間性と創造性に支えられた看護実践能力の育成を 追求しなければならない。

 本研究でも、単に知識として頭でわかっているだけでなく、その知識を実践の場での行 動として望ましい患者への対応に結びつく教材の工夫と育成のための方略に課題を残した。

 =ミュニケーシsン能力育成の今後の課題として、本教材の発展的活用の可能性と教育 方法の工夫及び、教育課程における科目の位置付けについて考察しておきたい。

1 CAI教材「患者に対するカウンセリング的応答訓繍の活用の可能性

 =ミュニケーション能力育成のために、試作α虹の有効性を検証してきた。しかし、

CAI使用以外の因子である三教科目や演習の履修内容が影響を与えており、実験群におけ る効果は、第N因子聴手の書動や気持ちの確認」に限定された。

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 ここで、大学におけるeラーニングにおけるCAIの位置づけを明確にした上で、教材の に活用の可能性ついて述べておきたい。

 eラー一一ニングは、=ンピューターとインターネットの発展に伴って、教育のプUセスを どのように支援できるか、或いは改善できるかという問題意識から始まったもので、第1 のルーツはCAIであるといわれ、現在CAI型の機能をインターネット経由で、ホームペ ージ(Web)の形にして提供することが普及している。

 中山(2004)によると相互作用から学ぶ学習モデルにCAI、 C:BT(Commputer Based lbeaiitUg)、WBT(Web Based beming)を位置づけている。

 看護教育においては、シャーープシステムプロダクト(株)が提供している「インタラク ティブスタディ看護教育システム」(h :!1210.155。137.78加耀s加 )があり、Ad◎be Readerがあれば、自由にマニュアルを開くことができるようになっている。また、 I D、

パスワードを取得すれば、教材のダウン繊一ドも行えるようになっている。公開されてい る教材は三三24時間の二二「血圧値のアセスメントj脇患者の痛みを緩和するため に知っておきたい薬物治療のポイント」等10数件であり、随時追加されていく段階であ

る。

 また、独立行政法人メディア教育開発センターが1999年度から2002年度の5年間に 行った全国高等教育機関IT利用実態調査(4年制大学=平均回収率58.8%)では次のよ

うな結果が出ている(h :/lwww,.tWe.ac.!)。

 マルチメディアの利用のうち、マルチメディア教材の自作は4ro.30/・、教材作成の支援は 部局内の担当教員36。3%、マルチメディアを教育に利用する目的は撒育の効果をあげる ため」95.8%、一方、対面授業との組み合わせが必要95.2%であったことを報告している。

 我々が開発したCAI教材もWeb上に掲載し、利用者からの意見をもとに改善していけ

るものと考えている。

2 模擬患者の導入など教育方法の工夫

 基本的技法をいかに実践に活かすことhSできる能力を基礎教育において育成するかで は、プmセスレ謙一ドによる実際場面の振り返りや授業に模擬患者(Simulated Patien£:

SP)を取り入れる試みがなされつつある(堀ら、2003)。

藤崎(2001)によると、医学教育の領域での模擬患者の活用は:Bamows, H. S.ら(1964)

が最初で、ig70年代末には79%の対人関係技術の教育プ導グラムの中で活用され、わが 国への導入は、1976年のBarrows,旺S。によるセミナーカ欄催されてからである。2000 年度末の段階で約30の模擬患者グル・一プとして、約2◎◎〜250人の模擬患者が活躍してい

ると述べている。

 中村(1998)は、SPを教育に活用する際の特長として、次の5つあげている。

(1)実際の患者ではないので、学生・患者にとって、安全であって失敗してもやり直し

がきく。

(2)訓練によってリアリティがあり、臨場感をもたせることができる。

(3)必要な場面・症状を何回でも再現できる。

(4)医療を受ける側からのフィーードバックはこれまでのロールプレイのように学生間や 学生・教師間という限界を打破できる。

(5)教育目標を理解し、そのためのSPとしての準備がきちんとできる。

 現在、ヨ本の看護教育においても、導入した教育実践が試みられるようになっている。

白浜・井上(1996)、本田・塚越(2001)、河合(2◎◎1)、豊田・任(2001)さらに鈴木ら

(2003)の報告によると、学生の興味や関心を刺激し、S:Pのフィードバックから患者の 心情を理解する助けとなり、リアリティや緊張感をもった学習環魔を提供できている。ま た、看護場面の=ミュニケーーシsンの重要性に気づいたり(大池・村田、1999)、言葉遣 いへの配慮や非言語的サインのキャッチなど、対象を理解するためのXXミュニケーション のあり方についての学びがある(池田ら、2◎00)と報告されている。

 SPを教育に活用することは、医療を受ける側からのフィードバックを真摯に受け止め、

臨地実習前の予備教育として学生にも安心感を与えているといえる。

 社会福祉分聾では、対人援助技術教育の演習プurグラムとして、川島(1998・2000)の 取り組みが報告されている。

 この報告によると、尾崎(1997)の「相手に働きかけるためには、自分に働きかけて、

相手や援助に対する防衛や構え、先入観や意気込みを自覚し、そこからできるだけ自由に なる必要がある」という考えに基づき、自己覚知や対人感受性を養成する必要性を述べて いる。社会福祉援助技術現場実習および、社会福祉学実習に向けた準備教育として必修科 目(演習)を開講し、学習教材のコミュニケーシsンラボシステムを設置して活用してい る。対人援助スキルとして、マイクロケウンセリング技法を学習するにあたって、かかわ

り行動・明確化や感購の反射技法など段階的にすすめるプログラムとなっており、3人1

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組の灘一ルプレイを収録したり、フィードバックを行ない、再生しながら分析したりの演 習は時間的制約の問題を提起している。

 これらの先行した取り組みを参考にしながら、看護場面の特徴を踏まえた教育方法の工 夫を取り入れていきたい。

34年制大学における教育課程と科目の位置付け

4年制大学での看護基礎教育も全国130校に増加してきている今日であるので、大学に おける教育課程を前提に考えていくこととする。

松村ら(2003)の報告を参考にすると、看護基礎教育において、現在、教科書または参

考書として用いられている8種類あげると、i血dberg,」. B.、H顯鋤ML.&

:Krusnewski A Z.(1990)Craven, R. E&H㎞le, C.」.(1992)杉野(1998)高橋

(1996)内藤(1998)薄井(20◎1)川野(2002)坪井(2002)である。これらに掲載された コミュニケーシsuンの単元の内容から、単元の「位置付け」、聡ページ魏、嘘義」、r顯、

「基本的構成要素」、「過程1、膨響ずる因子」、「方法」、「患者との信頼関係」、嘆際j、「評 価」、「看護過程jを研究者間で精選し、米国の成書と比較している(表28)。

 総べージ数は、日本は9〜17ページに対して、米国では26〜30ペーージであった。さら に、米国の成書には「患者との信頼関係」、「実際」、「評価J、「看護過程」の内容淋取り入れ

られ、実践でいかせる内容が多く含まれていたと報告している。

 実践的な内容を制限された時間でいかに厳選していくかが課題の一つである。

今後、学生がコミュニケーシNン能力の修得に留まることなく、人間関係形成能力を確 実に修得できるように、大学カリキュラムにおいては、専門科目「基礎看護学方法論」の 体系の中に「人間関係論を位置付け、bミュニケーシNン技術」のみならず噛己理解・

他者理解を促す演習戸カウンセリング技法を修得する演習」を含めていきたい。

 また、基礎看護学に続いて、成人、老年、小児、母性、精神、在宅、地域の各看護学領 域の学習進度と関連させながら、学生が段階的に対象特性に合わせた能力を修得していく

ことも目指さなければならない。

籔28臼本と米国における教科書の悉ユニケーシ§ン技術に関する内容

本 米国

教科書

金原出版 基礎看護技

術:1998.1

日本看護協会

       メヅカルフレンド

      医学書院出版会看護

       社       基礎看護技学大系

       基礎看護技       術2◎◎1.12

看護の方法

       術1998,3

1 1996,1

廣川書店 考える基礎 看護技術1 技術の基本

2002.2

医学書三人 F.クラヘン他, B.リンドix ・一一ク

間関係論別 藤村訳    他,内海訳 巻14    基礎看護科  看護学イントロ 1998.10  学1996   ダクション1997

位置付け

看護技術の 基本的要素

の中の誠ユニ

ケーション

人間関係論

       第8章看護に

の中のコミュ 第16章コミュニ

       おける対人:

ニケーシeンと   ケーション

       ミュニケーション

①QO

  へ一シ数    定義

  種類

基本的構成要素    過程

影響する因子    方法 患者との信頼関係    実際    評価   看護過程

11

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