第 3 章 中国アニメ産業及びゲーム産業の発展状況に 関する考察
3.4 中国ゲーム産業発展の状況
図 3.3 中国ゲーム市場規模と年増長率の変化 出所:中国ゲーム産業報告 2003−2014 により作成
5.9 11.4 14.2 25.7 38.4 66.1 107.6
185.6 262.8 333 446.1
602.8 831.7
1144.8
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
中国ゲーム市場規模の変化
市場規模(億元) 増長率
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表 3.5 2014 年の中国ゲーム市場規模
中国ゲーム産業の市場 規模(1144.8 億元)
そのうち、中国国産ゲ ームの売り上げは 726.6 億元である。
ク ラ イ ア ント オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 市 場 規 模
(608.9 億元)
MMORPG 389.1 億元 カジュアル
ゲーム
219.8 億元
ブラウザゲーム市場規模 202.7 億元 モバイルゲーム市場規模 274.9 億元 ソーシャルゲーム市場規模 57.8 億元 パッケージゲーム市場規模 0.5 億元 出所:中国ゲーム産業報告 2014 により作成
2003 年から 2014 年度までの「中国ゲーム産業報告」によると、オンラインゲーム(ク ライアントオンラインゲーム、ブラウザゲーム、ソーシャルゲーム、また一部ネット機 能を利用するモバイルゲームを含む)は中国ゲーム市場における市場シェアの大半を占 めている。オンラインゲームの急速な発展がゲーム市場大きな牽引力となり、ゲーム市 場全体の市場規模は 13 年間で 200 倍以上に増加し、2014 年には 1144.8 億元に達した。
「中国ゲーム市場=オンラインゲーム市場」とも言える。また、海賊版ソフトの氾濫や オンラインゲームの無料化を原因として、パッケージゲーム市場は衰退し続けていたが、
ユーザーの著作権意識の改善によって、市場の全面的な回復まで至らなかったものの、
人気作品の販売量は順調に伸びた。さらに、ネット環境の整備やスマートフォンの普及 は、ソーシャルゲーム市場とモバイルゲーム市場の発展に貢献している。
中国ゲーム産業においては、パッケージゲームの歴史のほうが長いものの、中村によ ると、中国パッケージゲーム市場は多重層型経済構造により生み出されインフォーマル な階級の存在(中村[30]、20 頁)などの原因で、海賊版ソフトが氾濫し、大きな発展を 遂げていなかった。そのかわり、オンラインゲーム産業は 2000 年から、中国で本格的 に発展し始めた。その象徴は台湾ゲーム企業が開発した商業用オンラインゲーム『万王 之王』([158])が初めて中国大陸においてユーザーに対するオープンテストを配布した ことである。その後、オンラインゲーム産業急速に発展しはじめ、2001 年当時の市場規 模はすでにパッケージゲーム産業市場規模の 2.8 億元を上回り、3.1 億元に達し、現在 に至る中国ゲーム産業の基盤を築いた。2002 年頃から、中国政府は文化産業の発展を促 進するために、様々な支援政策を策定してきた。当初、中国において、アニメ産業とゲ ーム産業は一括りにして議論される場合が多かったものの、両産業とも IT 産業などほ
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かの新興産業と同様に、税金の減免やスタジオの賃料の優遇政策を享受してきた。2004 年以降、政府はアニメ産業を対象に、特別な支援策をいくつも打ち出したものの、ゲー ム産業を対象とする独自の支援策はほとんど打ち出していない。それにもかかわらず、
ゲーム産業は政府の保護に依存することなく、市場化に成功し、中国文化産業を代表す る産業にまで成長した。更に中国ゲーム産業は中国国内の各地域において産業クラスタ ーを形成している。マイケル・ポーターが提唱したクラスターの三つのメリット、すな わち、企業や産業の生産性向上、イノベーション能力の強化、新規事業の形成の観点(原 田[34]、21-24 頁)からみると、中国ゲーム産業は現在、確実にクラスター化の発展を 進展させている。近年、中国国内のゲーム産業の市場規模が拡大しているのみならず、
いくつかの中国ゲーム企業は海外におけるゲーム業界の企業を買収し、海外市場への進 出を果たすなど、グローバル規模での発展も順調な滑り出しを見せている。また、企業 間活動という視点から見ても、大企業と中小企業間の競争並びに連携が活発化している ことが分かる。同時に、競争力を保つため、大手企業はゲーム市場以外の市場に進出す る等、多角化経営を進め、新たな収益性がある事業を起こし、企業規模を拡大している。
また、大手ゲーム企業は中小企業に投資し、ゲームプラットフォームを提供するなどを 通じ、自社の利益を上げると同時に中小企業にも成功のチャンスを与え、Win-Win の状 況を作り上げた。また、大半のシェアを占めるオンラインゲーム産業はゲーム産業のみ ならず、通信業界やマスコミ業界など関連産業にも大きな影響を与えた。
図 3.4 ゲーム産業は関連産業に対する貢献 出所:「中国遊戯産業報告 2010」により オンラインゲーム市場売上
出版、メディア業界に対する貢 献
IT 産業に対する貢献 電気通信事業に対する貢献
(億元)
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(1) 関連産業の発展を推進する
統計データにより、中国オンラインゲーム産業の発展はゲーム企業だけではなく、関 連産業にも大きな影響を与えた。2010 年のデータから見ると、オンラインゲーム市場の 規模は 323.7 億元である。同時、電気通信業界はオンラインゲームユーザーにインター ネット接続サービスなどの業務を提供することにより、オンラインゲーム市場自体を上 回る 405.2 億元の利益を得た。また、IT 業界に対し、パソコンやサーバー、そしてソフ トなどの販売を通じて、140 億元の収益をあげた。他には、出版やメディア業界が得た 利益の中の 80 億元はオンラインゲーム市場の発展と直接関わっている。つまり、オン ラインゲーム産業自身が発展すると同時に、関連産業の発展にも大きく貢献している。
(2) 企業の発展による投資や国内外進出の活発化
文化産業の一つとして、ゲーム産業には絶えないクリエイティブ力が必要である。そ のために、大手企業は中小企業を買収し、自分の企業グループに入れる、もしくはポテ ンシャルがある小さいスタジオに投資し、プロジェクトの開発を援助するケースはよく ある。さらに、近年、一部の上場企業においては中国国内のみならず、海外のゲーム企 業を買収し、グローバル化の道を進んでいる。また、沿岸地域の人件費の上昇をきっか けに、内陸のオンラインゲーム産業が発展し、地元の人間がゲーム企業を設立する以外 に、大手企業もスタジオを内陸地に置いている。つまり、オンラインゲーム産業の発展 は、中国沿岸地域だけではなく、内陸の経済発展にも良い影響を与えたのである。
(3) 企業拡張により新事業開発の加速化
近年、大手ゲーム企業はオンラインゲーム事業のみならず、ケータイゲームや書籍、
音楽市場にも進出し、それらの行動によって、オンラインゲーム企業はより大きな総合 的なエンターテイメント企業に進化している。また、異なる市場からのノウハウは社内 の交流や融合を通じて、新たな事業を創出する可能性を大きくしている。