「あげる/さしあげる」「もらう/いただく」「くれる/くださる」の使い 分けは,敬語の使い方と同じで,地位や年齢,親疎関係,会話場面などに影 響される。地位や年齢が上の人に対して,また,知らない人に対しては,「さ
しあげる」「いただく」「くださる」が用いられる。
次の図は,話し手の「私」が与え手・受け手になる場合をもとに,「やる
/あげる/さしあげる」「もらう/いただく」「くれる/くださる」の使い分 けを図式化したものである。(矢印はものの移動の方向を表す。また,地位 や年齢が上の場合,および親密度の度合いが低い場合を「上の人」とし,地 位や年齢が下,あるいは親密さの度合いが高い場合を「下の人」とする。そ の中間を「対等の人」とする。)
私
さしあげる あげる
やる
上の人 対等の三 下の人
私
いただく
もらう
もらう
上の人 対等の人 下の人
上の人 対等の人 下の人
くださる くれる
くれる
私
家族,仲間など
上の図式は,次に述べる「動作のやりもらい」の場合にもあてはまる。
6.5.2動作のやりもらい
「あげる」ヂもらう」「くれる」が補助動詞として用いられた場合(「てあげ 一81一
る」「てもらう」「てくれる」),動作や受益・恩恵のやりとりを表す表現にな
る。
⑬ 森さんはりーさんにB本語を教えてあげた。
勧 り一さんは森さんに(から)日本語を教えてもらった。
㈱ 張さんが私に中国語を教えてくれた。
「てあげる/てもらう/てくれる」の敬語形が「てさしあげる/ていただ く/てくださる」になるのは,もののやりとりの場合と同じである。
ドあげる」「くれる」と同様に,学習者は,「てあげる/てさしあげる」と
「てくれる/てくださる」を混同することが多い。
⑯*会社の課長さんは私達に少しずつ教えてあげました。(→くださいま した)
「てやる/てあげる/てさしあげる」
1)受益・恩恵の与え手が主語であり,かっ与え手の立場にたって述べると きに用いる。上の人に対しては「てさしあげる」,下の人に対しては「てや る」を使う。近頃は「てあげる」の使用範囲が広がり,下の人に対しても
「てあげる」が使われることが多い。
場合によっては,「てあげる/てさしあげる」は押しつけがましく聞こえ ることがあるので,注意が必要である。
働 駅まで送ってさしあげましょう。→駅までお送りしましよう。
㈱ お金を貸してあげます。→お金をお貸しします。
2)「てやる/てあげる/てさしあげる」をつけても,動詞がとる補語は基 本的にかわらない。ただし,⑳のように,単独では二格をとりにくい動詞が,
一82一
「てやる/てあげる/てさしあげる」をつけることによって,二格をとるよ うになることがある。
(19)a.森さんがりーさんに日本語を教えた。
b.森さんがりーさんに日本語を教えてあげた。
lle)a.森さんがり一さんを役所へ連れて行った。
b.森さんはり一さんを役所へ連れて行ってあげた。
⑳ a.?森さんがりーさんにふとんをしいた。
b.森さんがりーさんにふとんをしいてあげた。
学習者は,二格が使えないところで二格を使う間違いをしばしばする。
⑳*私はり一さんにいっしょに行ってあげました。(→と)
3)ヂ本を買ってあげます。」を「本を買って,そして本をあげる。」という ふうに誤解する学習者がいるので,注意が必要である。この場合,「あげる」
が「恩恵を与える」という抽象的な意味の補助動詞であることを理解させる 必要がある。
「てくれる/てくださる」
1)話し手以外の第三者(聞き手を含む)が,話し手や話し手の側に属する 人物に利益・恩恵を与えるときに用いる。
㈱ 事務の人が私達に説明してくれた◎
⑳ 先生が私にカタカナ語を教えてくださいました。
fてくれる/くださる1を用いた文では,利益・愚恵の受け手(受益者)
が話し手の場合は,受益者は雀略されることが多い。また,「てくれるか/