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があると考えられる。一方、複数の市町村や都道府県にわたり活動する団体も少なくはない。

 活動地域の規模と活動テーマの関連(図一5.2.ll)をみると、活動地域の規模が小さい団体ほど  「清掃・美化・景観保全」が多くなり、「水質保全・改善」は同一市町村〜同一都道府県の規模の 団体がほぼ同程度行っている傾向がある。一方、「生物環境保全・向上・復元」というテーマは、

様々な地域規模で取り組まれている。また総収入規模や個人会員数は、活動地域規模が小さく なるほど減少する傾向があった。

5.2.3 活動内容の傾向分析

1)活動分野と活動内容のコレスポンデンス分析

  活動団体の活動の傾向をみるため、活動分野と活動内容(中分類)の関連性をコレスポンデ  ンス分析によって分析した(図一5.2.12)。コレスポンデンス分析は、2つの項目間のクロス集

計をもとに項目要素の関連性を統計的に分析する手法である。その結果から、活動団体の活動 傾向として以下が指摘できる。

 ①生物の環境保全に関わる団体、水質浄化に関わる団体、清掃・美化を行う団体では、各々グ   ラフ上の位置が離れている(図中の○で囲んだ部分)ことから、活動の傾向が異なる。

 ②「消費・生活分野」及びrリサイクル・廃棄物分野」の団体は水質浄化の具体作業を行い、「啓発

1 0.6

0.4

0.2

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一〇.2

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図一5.2.12

一〇.3     −0.2     −0.1     0.0      0.1      0.2      0.3      0.4

      軸2 活動分野と活動内容(中分類)の関連(コレスポンデンス分析)

  呼びかけ」や脇議・懇談・意見交換」を行う傾向がある。

 ③「自然保護分野」やr森林の保全・緑化分野」の団体は生物保全に関わる活動に関連があり、

   「観察・記録」や「巡視・監視活動」、「提案・提言」「要望・陳情」等の能動的な働きかけを   行う傾向がある。

 ④「地域環境管理分野」の団体は「清掃作業」と「美化作業」を行う傾向がある。

2)数量化理論3類による活動内容の傾向分析

 以上の分析から、活動団体は活動内容による類型化が可能であると推察されるため、活動内 容(中分類)を用い数量化理論3類による分析を行った。分析では軸解釈を容易にするため、

 該当団体数が100団体(全体に対する比率:5.6%)以上のカテゴリーを用いた。その結果、相関 係数が0.5以上の軸として計5軸が評価でき、活動の多彩性が示唆された(図一5.2.13)。軸の 解釈は以下の通りである。

 命1軸:「美化作業」「清掃作業」の野外実践的な作業が正側に、負側に「協議・懇談・意見     交換」等の室内作業が位置し「野外実践一室内活動」軸と解釈される。(Rニ0.67)

 ◇2軸:「水質浄化活動・作業」や「啓発呼びかけ」の水質浄化に関連する活動が正側に、

    負側に「生物保護・飼育・増殖」や「提案・提言」等の生物保全に関連する活動が位     置し「水質浄化一生物保全活動」軸と解釈される。(R=0.59)

 ◇3軸:「協議・懇談・意見交換」や「提案・提言」の外交・対話的活動が正側に、負側に「イ     ベント開催」や「生物保護・飼育・増殖」等の自主企画的な活動が位置し「外交一      自主活動」軸と解釈される。(R=0.54)

 φ4軸:「各種イベント開催」や「協力・支援活動、「提案・提言」等の他主体へ動的に働き     かける活動が正側に、負側に「美化作業」や「展示会開催」等の静的に働きかけ      る活動が位置し「動的一静的活動」軸と解釈される。(R=0.53)

 争5軸:「図書等の作成・出版」や「啓発呼びかけ」等の発信型の活動が正側に、負側に「協     議・懇談・意見交換」や「交流活動」等の対話・交流的な活動が位置し「発信一対話・

    交流活動」軸と解釈される。(R=0.52)

    3軸列交一自主

旙羨懇談意慰換

  提案提言   美{雛業  鈎}力箋鋤

 ⌒け

  研究鋤

図藷紛賊出版

  鞭

  溝酢業   広報働

 淋㌧別開崔

鳩剥ビ舌動作業

轄会線翻崔 蒜導研究会㈱

  交流1鋤 甥緩6高捲短  名種〆剤謂崔

悼甲圃剛副川臣

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 名手圏ぺ帰雅  勘支援琶動   提案提言

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  }鼎榛 憐義懇談聴換 醐醸6靖堆殖 図麟緋戒仕版

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水茂朝ビ舌動作業

  広報舌勤   交瀧動

 ・淋 ・矛う臓

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  砧究働 指募疏燐誠

  詞酢楽

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誕発詩香…鋪

蹴成出振

 鰍け

  研究鋤

}誇疏燐誠

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  漕樵

 餐轡κ梱崔

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  畷鋤

 協か支機鋤   提案提言   箋聞諜

オ磯翻ビ舌動作業

生擁護6蒲増謹

犠会一崔   交瀧動

機纈§談意殿換

醤犀ーーーー       ‖湖鐸目睡

      一4−20 24        −4−2024

図一5.2.13 活動内容(中分類:統合)のカテゴリースコア(数量化理論3類による分析結果)

づ一2024

表一5.2.4活動団体のタイプ類型

タイプ 割合 活動の傾向

A調べ学ぶ自主 w習中心型

1言26.7%

生物保全系と水質浄化系が同程度存在するが、実 H活動や対外的な活動よりも調査・研究活動や観

@・学習会、シンポジウム開催、広報等の自主的で w習的な活動が中心である。規模としては小〜大 K模な団体まで様々。

B生活から水質 ノ配慮型

n=R89

Q2.0%

水質浄化が主体で、リサイクル活動や消費・生活運 ョを分野とする団体が多い。啓発呼びかけや指導・

l材育成も少なくない。小〜大規模な団体まで

l々。

C実践する行動 Iな生物保護型

に19.7%

清掃活動や生物保護・飼育・増殖、イベント開催等 フ実践的で自主企画的な活動が多いが、協議・懇 k・意見交換や提案・提言等の対外的な活動は少な

「。小〜大規模な団体まで様々。

D考え対話する ツ境保全型

n=Q50 P4.%

広報、協力・支援活動、環境調査、提案・提言、協 c・懇談・意見交換、学習会・観察会開催等、外交的・

ホ話的な活動や学習的な活動など、多岐に渡る活 ョを展開するが、実践的な活動は多くない。

E川そうじ主体

^

V.1%n=P25

清掃作業が主体で、啓発呼びかけや協力・支援活動 熄ュなくない。規模としては地域密着の小規模な c体が多い。

F川を美化する タ践型

︑﹃5.4%

草刈りや、花の植栽等の美化活動が主体であり、

エ掃作業も多い。地域密着の小規模な団体が多い一方、大規模な団体も存在する。

G実践・交流する n域環境保全型

︑﹃5.1%

美化や清掃作業、生物保護・飼育・増殖等の多岐に nる実践活動を行っている。また広報や環境調査、

流活動も少なくない。地域密着の小規模な団体 ェ多い。

50.0

設4α0

割300

 20、0

)1α0

一Aタイプ ーBタイプ

…  ▲・・wCタイプ

・・一gー・Dタイプ

ーEタイプ

@㊥一・・Fタイプ

+Gタイプ

0.0

3)活動団体の類型化

  活動団体の類型化を行うため、数量化理論3類から得られた5つの軸によるサンプルスコア  を用いて活動団体のクラスター分析を行った(原データの距離計算はユークリッド距離、合併

後の距離計算はウォード法)。その結果、活動団体の活動タイプは計7っに類型化された。

  得られた7つの類型の特徴を把握するため、活動規模や分野、テーマ、活動内容等の項目と  クロス集計を行った結果、各類型は表一5.2.4に示すタイプであると判断された。また、各タイ  プと活動内容(中分類)の関係を図一5.2.14に示す。

  これら類型化された7タイプについて、年代別にその設立割合をみると、Bタイプは近年大  きく割合が減少傾向にある一方、A、 Cタイプは増加傾向にある(図一5.2.15)。またE、 Fタイ  プは微減傾向で、Dタイプは微増傾向にある。すなわち、水質浄化単独、清掃・美化単独の団体  の設立が少なくなる一方、生物保全に取組み、環境調査や学習的な活動、イベント、対話等、

多様な活動を展開する団体の設立割合が近年多くなっている。

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5 2.4 まとめ

  以上、水環境保全に関わる活動団体をリストアップして、その実態と傾向について統計的に 分析した。本節で得られた結果を要約し以下に示す。

①活動団体数は都道府県人口に比例し、その設立は水環境問題の進行と行政の取組みに呼応す  る。最近は減少傾向にある

②活動団体は小規模な団体が多く、その平均像は個人会員数100人程度、10名程度のスタッ  フ、年間予算40万円程度の規模で、地域に密着した活動が多い。

③様々な分野の団体が活動の一環として水環境保全に取組んでいる。その活動内容に関する傾  向の違いとして以下が指摘できる。

  ・生物の環境保全に関わる団体、水質浄化に関わる団体、清掃・美化を行う団体では活動の   傾向が異なる。

  ・「消費・生活分野」及び「リサイクル・廃棄物分野」の団体は水質浄化の具体作業を行い、

   「啓発呼びかけ」や「協議・懇談・意見交換」を行う傾向がある。

  ・「自然保護分野」や「森林の保全・緑化分野」の団体は生物保全に関わる活動を行い、「提   案提言」「要望・陳情」等の能動的な働きかけを行う傾向がある。

  ・「地域環境管理分野」の団体は「清掃作業」と「美化作業」を行う傾向がある。

④水環境保全活動は11の大分類、35の中分類、100の小分類に分類・整理できる。その中で  は、河川清掃や水質浄化の活動に代表される「実践活動・具体作業」と「学習会・イベント等  の開催」「広報・出版・情報公開」は大半の団体が行っている。また申分類でみると、最近設  立された団体は、「環境調査」や「学習会観察会」「シンポジウム・フォーラムの開催」や、

 「生物の保護・飼育・増殖」「自然環境の研究」等を行う傾向が強くなっている一方、「水質浄  化活動・作業」はやや少なくなっている。

⑤活動の傾向は、「野外実践一室内」「水質浄化一生物保全」「対外一自主」、働的一静的」「発信  一対話・交流」の5軸で説明でき、活動団体は7タイプに類型化できる。近年は水質浄化単独  や清掃・美化単独のタイプは減少し、生物保全系で多様な活動を展開する団体が多い。

5 3 流域を単位とした役割連携の連関と「役割連携の形成アプローチ」

5 3.肇 目的

  前節の分析から、活動団体は概して小規模で地域に密着した活動を行い、7タイプの活動傾 向があることが分かった。即ち、地域の実状や活動団体の性格等に応じて様々な活動が行われ ていると推察されるが、これらが互いに連携することで流域規模の取組みができれば、水環境 保全活動に新たな展開が開けると考えられる。即ち、流域住民に活動参加の機会を提供する主 体である地域々々の活動団体の諸活動を、大河川流域を単位とした水環境保全に結びつけてい  くことが必要である。このため本節では、これらの活動団体の諸活動は流域を単位とした取組

みの部分的な「役割」を担いうるという仮定のもと、7タイプの活動団体を中心として、河川管  理者、地方自治体、専門家、企業、流域住民等の連携のあり方を探るため、役割連携の連関構  造をISM法7)によって構i造化する。

5 3.2 役割連携の連関構造分析

  流域連携のテーマには、水環境保全の他にも、川づくりや、環境教育、地域活性化、福祉等 様々あり、各地で多様な取組みがみられる8)。ここでは流域連携のテーマに、「川づくり」と「水  環境保全」の2つを設定する。「川づくり」や「水環境保全」とは本来広範な意味を含むが、本節で

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