• 検索結果がありません。

    受発信

    機能

        ②市民活動活   ⑦資金人

  響

⑦資金人材調

 達  分酉己}幾倉旨

図一5.5.2 9つの流域連携支援機能の連関

・⑧監査機能は、水環境保全の諸事業(公共事業等)と②市民活動活発化機能で展開される  市民活動の双方を監査し、水環境保全に向けた取組みが適切に行われているかどうかを  チェックする。

・⑨流域連携総合運営機i能は、これらの支援機能及び水環境保全の諸事業(公共事業等)を  総合的にマネージメントする。

 以上、流域連携を支援するための9つの支援機能とその要件及びそれらの機能連関を明らか にした。5.3に示した「役割連携の形成アプローチ」によって、官民の連携が醸成されてく れば、それをこの「9つの支援機能とその連関」によってシステム化していくアプローチが必 要となる。このようなアプローチを本研究では「流域連携支援のシステム化アプローチ」と称

する。

 このアプローチによって、流域連携の取組みを支援するシステムを構築することが可能であ る。また、この9つの支援機能とその連関を分析軸として援用すれば、現在各地で行われてい る流域連携の態勢や仕組みの現状点検ができる。つまり、9つの支援機能に照らして、各地の 流域連携の態勢や仕組みの実態を点検したり、その機能連関の状態を分析することができ、今 後補強・充実すべき内容を検討することができるようになった。

5.6 結語

 本章では、流域住民に水環境保全活動の参加機会を提供する主体として市民活動団体に注目  し、活動団体を中心とした、行政、企業、研究者等との効果的な連携の方途を明らかにするこ  とを目的に種々の分析・考察を行い、「役割連携の形成アプローチ」と「流域連携支援のシステ ム化アプローチ」の構築を図った。まず活動団体の実態と活動傾向を分析・把握するとともに、

活動団体の諸活動を活かす立場から、活動団体相互および他の主体との流域連携の連関構造を 明らかにし、その可能性と課題点について考察した、また、流域を単位に活動団体を中心とし  た役割連携の構図を整理し、「役割連携の形成アプローチ」を示した。次に、流域連携に関連す  る各分野の学識・有識者や全国の活動の中心となっているキーパーソンへのヒアリング資料を  もとに、流域連携の有効性、課題点を確認するとともに、流域連携の課題点の構造分析を行い、

流域連携促進の具体方策を得た。最後に、それらの検討から得られた知見を整理し、「流域連携 支援のシステム化アプローチ」として、流域連携を支援する9つの機能とその要件について示 すとともに、その機能連関のあり方について示した。以上の検討の結果を各節毎に示す。

  5.1では本章の目的と検討内容について示した。

  5.2では、まず流域連携の主体であり、流域住民の参加機会の提供者である活動団体の実 態と活動傾向を明らかにすることを目的に、既存の統計資料を活用して水環境保全に関連する 活動団体をリストアップし、その活動実態と傾向について整理・分析した。その結果、①活動  団体数は都道府県人口に比例し、その設立は水環境問題の進行と行政の取組みに呼応する、②  活動団体は小規模な団体が多く、その平均像は個人会員数100人程度、10名程度のスタッフ、

年間予算40万円程度の規模で、地域に密着した活動が多い、③様々な分野の団体が活動の一環  として水環境保全に取組んでおり、その活動内容には傾向の違いがみられること等を確認した。

 また、水環境保全活動は、1]の大分類、35の中分類、100の小分類に分類・整理できた。その  中では、河川清掃や水質浄化の活動に代表される実践活動・具体作業と学習会・イベント等の開 催、広報・出版・情報公開は大半の団体が行っており、最近設立された団体は、環境調査や学習  会・観察会、シンポジウム・フォーラムの開催、生物の保護飼育・増殖、自然環境の研究等を行  う傾向が強くなっている一方、水質浄化活動・作業はやや少なくなっていることが分かった。次

に、数量化理論3類を用いて活動の傾向を分析したところ、活動の傾向は、「野外実践一室内」

「水質浄化一生物保全」「対外一自主」「動的一静的」「発信一対話・交流」の5軸で説明できる ことが分かった。そして、クラスター分析を用いて活動団体を7タイプに類型化した。近年は 水質浄化単独や清掃・美化単独のタイプは減少し、生物保全系で多様な活動を展開する団体が多 いこと等が確認された。

 5.3では、活動団体を中心とした「川づくり」と「水環境保全」に関する諸活動の連関につい てISM法を援用して構造分析を行い、活動団体、河川管理者、地方自治体、専門家、企業、

流域住民の役割連携の連関構造を明らかにした。その結果、水環境保全に向けた役割連携は、

活動支援的活動⇒調査・研究的活動⇒学習・交流行事的活動⇒啓発呼びかけ的活動又は提案・対 話的活動⇒公共事業⇒具体・実践的活動の段階順に連関することが分かった。そして、活動団体 と他の主体との連携の可能性と課題点について考察した結果、①流域住民等の参加による調査・

研究的な活動の広域化、②提案・対話型の活動のネットワーク化と能力向上、③市民プラン策定 の導入、④学習・交流機i会の拡大、⑤専門家の参画、⑥行政や企業の活動支援等が重要であるこ と等が指摘された。また、分析結果の構造グラフをもとに、活動団体を中心とした役割連携の 構図を整理し、「役割連携の形成アプローチ」を示した。

 5.4では、流域連携に関連する諸分野の学識・有識者と、各地の流域連携に関わるキーパー ソンへのヒアリング資料をもとに、流域連携の有効性や課題点の整理・分析を行った。まず、

流域連携のテーマを分類したところ計13テーマを得た。その中では「河川環境保全」が最も多 く、次いで「水循環保全」、「水系を介した環境学習」、「生態系保全」、「水資源保全」と水環境 に直接関わる内容が多かったが、その他のテーマもあり流域連携のテーマの多彩性が伺えた。

また、流域連携の取組みの有効性として、①自然と社会の理にかなった持続可能な社会システ ムの構築が期待できる、②多面的、総合的、連関的な取組みが期待できる、③水を通した環境 保全への意識と行動を高め、人々の安らぎの充足も期待できるの3点を確認した。さらに、流 域連携の課題をその内容から「市民活動に関する課題点」「流域連携の一般的課題点」「行政組 織」「行政と市民の協働作業」「活動参加」「対話」「専門家の関わり方」の7つに分類し、それ ぞれについてISM法を援用して課題点の構造分析を行なった。その結果、流域連携の根幹的 な課題点として内容分類別に計13課題を確認するとともに、流域連携を促進する具体方策とし て、計34(重複含む)に及ぶ知見を得た。

 5.5では、5.3及び5.4から得られた知見にっいて流域連携を支援する機能面から整 理し、①調査・研究機能、②市民活動活発化機能、③コーディネート機能、④恒常的な対話の 場、⑤情報受発信機能、⑥人材育成機能、⑦資金調達・分配機能、⑧監査機能、⑨流域連携総 合運営機能の9機能が必要であることを示した。また、それらの機能の要件についてまとめる

とともに、その機能連関について整理し、「流域連携支援のシステム化アプローチ」として示 した。このアプローチによって、流域連携の取組みを支援するシステムを構築することが可能 である。また、この9つの支援機能とその連関を分析軸として援用すれば、現在各地で行われ ている流域連携の態勢や仕組みの現状点検ができる。つまり、9つの支援機能に照らして、各 地の流域連携の態勢や仕組みの実態を点検したり、その機能連関の状態を分析し、今後補強・

充実すべき内容を検討することができるようになった。

5章参考文献

 1)国土庁:21世紀の国土のグランドデザインー地域の自立の促進と美しい国土の創造

   一,1998.

 2)河川審議会:河川審議会答申素案「河川における市民団体等との連携方策のあり方」,建設

 省河川局河川計画課,2000.

3)水環境学会編:国内環境保全活動方策に関する調査一水環境活動編一,環境事業団,1995.

4)(財)日本環境協会編:平成10年度版環境NGO総覧(財)日本環境協会1998.

5)http:〃wwwlapanriveLo払jp/r_wchosa/kensaku/kensaku_Frame.htm,社団法人日本河川協  会ホームページ,川や水の活動団体,2000.

6)長谷川公一:環境問題と社会運動,「環境社会学(飯島伸子編)」,有斐閣ブックス,

 pp.101−122, 1993.

7)椹木義一・河村和彦編:参加型システムズ・アプローチー手法と応用,日刊工業新聞社,1981.

8)吉川勝秀:地域づくりにおける川、流域への着目一地域の素材としての川、まとまりのある  単位としての流域一,「山国川新たなる流域連携に向けて」,豊前の国建設倶楽部,pp3−

 44,1999.

9)(財)リバーフロント整備センター:ふるさとの川をつくり育てる一ふるさとの川整備事業  事例集一,大成出版,2000.

10)環境庁水質保全局:日本の水環境行政,玉998.

H)小倉紀雄:身近な水を調べる市民による環境監視ネットワークの重要性,家庭科学,ppll−

 18,1991.

茎2)新河岸川水系水環境連絡会:身近な川の一斉調査報告書,新河岸川水系水環境連絡会,1999.

13)例えば、宮本善和:住民活動を通した川づくり関連情報の収集に関する一考察土木学会第  53回年次学術講演会講演集W,pp370−371,1998.

14)流域交流懇談会:パートナーシップではじめる〈いい川〉づくり,流域交流懇談会,1996.

15)廣野吉幸・清野聡子・堂前雅史:生態工学は河川を救えるか 科学/技術と社会との新たな関  係を求めて,科学,VOL.69 NO.3MAR.,pp.199−210,岩波書店,1999.

16)大澤浩一:鶴見川流域ネットワーキングの流域活動とそのしくみ,河川,1999−5月  号,pp.33−38,(社)日本河川協会,1999

17)例えば、新河岸川流域総合治水対策協議会:新河岸川フォーラム 99記録集流域総合治水対  策協議会,1999.

18)全国水環境交流会:第7回全国水環境シンポ&交流会in Tokyo予稿集,全国水環境交流  会,1999.

19)(財)リバーフロント整備センター:流域圏における施策の総合化に向けた各地域における  調整・連携のための体制づくりに関する調査報告書,2000.

20)宮本善和・道上正規・喜多秀行・檜谷治:流域連携による水環境保全に向けた住民活動の実  態分析と考察,土木計画学研究・講演集vol.22(1),pp.45−48,1999.

2D宮本善和・道上正規・喜多秀行・檜谷治:水環境に関連する住民活動の実態分析と流域連携に  関する考察土木計画学研究・論文集,vol.17, pp.37−46,2000.

22)宮本善和・道上正規・喜多秀行・檜谷治:身近な川に対する流域住民の関心度の向上と参加意  向に関する研究,水工学論文集,第44巻,pp.313−318,2000.

23)宮本善和・道上正規・喜多秀行・檜谷治:流域連携に関する課題点の構造分析,土木計画学研  究・講演集vol.23, pp.43−46,2000.

24)河毛孝斗:千代川流域の水環境に対する住民意識に関する研究,鳥取大学工学部土木工学科  卒業論文,1999.

25)道上正規・檜谷治・宮本善…和・河毛孝斗;水環境に関連した環境NGO活動の実態,平成   ▲▲年度土木学会申国支部研究発表会講演概要集,pp.167−168,1999.

関連したドキュメント