3.2 合成
3.2.1ジアルキルクォーターフェニルー4, 4‥'‑ジカルポキシレート(DCQP) の合成
DCQPの合成は斉藤らの方法37)を基にして以下のように行った。
還流冷却器を備えた300mlの三つロフラスコに溶媒としてエチレングリコール 100mlを入れ,合成したプロピル4‑ブロモビフェニルー4'‑カルポキシレート 6.4g(0.02mol),ナトリウムプロピラート3.3g(0.04皿01)及び5%Pd‑C触媒
0.9g(0.4m皿01)を加え, 110℃で20時間加熱撹拝した。反応溶液を室温まで冷却し た後,水200ml及び塩酸を加えて溶液を中和し,沈澱物を涼別した。沈澱物をジメ チルホルムアミド500皿1に加熱溶解させ,熱時渡過をすることにより残留したPd‑C を除去し,粗結晶を得た。この粗結晶をトルエンで2回再結晶し,無色透明の結
晶を得た(収量0.6g,収率12.5%)0
.試料の同定は、元素分析,質量分析及び赤外分光分析法を用いて行った。元素 分析及び質量分析の結果を表3. 1に示す。また、赤外スペクトルの帰属を表3.2に 示す。得られた試料は元素分析及び質量分析の結果が理論値と一致していること 及び示差走査熱量分析における融解のピークが鋭く変化していることから純粋で あると判断した。
3.3 実験方法
DSC測定,偏光顕微鏡観察及び混和性試験は,第2章3節に述べたのと同じ方法で 行った。
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表3.
1∝肝同族体の元素分析及び質t分析のデータ
(ROOC
・C6H4C6H4C6H4C6H41COOR)
R C alculate d Formula Found m/e
propy1 80. 3 1 buty1 80. 60 penty1 80. 87 octy1 81.51 dodecy1 82. 1 5 isopropy1 80. 31 isobuty1 80. 60 2‑e血ymexy1 81.51
clobex 1 81.69
6.32 C32H3004 6.76 C34H3404 7.16 C36H3804 8.14 C42H5004 9.10 C50H6604 6.32 C32H3004 6.76 C34H3404 8.14 C42H5004 6.86 C38H3804
80.12 80.63 80.80 81.23 82.18 80.31 80.42 81.35 81.71
6.24 478,436 6.81 506,450 7.11 534,464 7.98 618,506 9.30 730,562 6.28 478,436 6.75 506,450 8.30 618,506 6.81 558
表3.2 ∝(P同族体の赤外スペクトルの帰属
波数[甜11] 帰属
29 70‑2
830
17161275・づ5 1 120‑一oo
770・巧0. 830J1 5 71 51695
脂肪族仙伸抽長軸 凹伸轟振動(工l沖)
C・u逆対称伸籍振動(エステル)
0 "
逆対称伸嶺撮動(エス沖)
芳香族C=式日面外変角振動
芳香族Cl:1:面外変角振動
3.4 結果と考察
3.4.1 DSC測定の結果と考察
図3. 1にDCQP(n=4)のDSC曲線を示す。この化合物は透明点付近より分解が始まる ため、第1昇温過程(1H)から第1降温過程(1C)への折り返しは570Kで行った。なお 試料の分解は、 DCQP(n=3及び5)についても見られたため透明点以下の温度で折り 返した.第2昇温過程(2H)においては450Kで結晶相の転移に対応する吸熱ピークが 且られ, 446Kに分裂したピークが見られるo そして516Kで結晶相から液晶相への 転移の吸熱ピ‑ク(融点)が見られ、 635Kで液晶相から等方性液体への転移の吸 熱ピーク(透明点)の吸熱ピークが見られるo 516‑635Kの液晶相は後述の混和性 試験の結果からSA相を示すことが確認された。 DCQP(n‑3及び5)のDSC曲線は基本的
にはn=4の化合物のDSC曲線と同じであった。 n=3及びn=5の化合物はそれぞれ537‑
657K及び503‑619KでSA相を示した.
図3.2にDCQP(n=8)のDSC曲線を示す. 2Iにおいては462Kに結晶相の転移、 472Kに 融点が観察され、 572Kに透明点が観察されるo また, 553KにSA‑Sc液晶相転移に対 応する非常に小さな吸熱ピークが見られる。ここで, SA及びSc相は偏光顕微鏡観察
によって決定されたo DCQP(n‑12)のDSC曲線は, 454‑527KでSc相, 527‑534KでSA 相が存在することを示した。
図3.3にDCQP(2EH)のDSC曲線を示す。図からわかるように345‑450Kの温度域にSc 相が見られた。 1?においては345Kの融点の吸熱ピ‑クにわずかな分裂が見られる が, 2Hにおいては345Kに単一の吸熱ピークのみが観測される。 1Cにおいては凝固 点に対応する発熱ピークは331と328Kに分裂する。この化合物で注目したいのは, 図3.2と比較しても判るようにDCQP(n=8)などと比べてSc液晶温度域が広いことであ る。また、クォーターフェニルというかなりかたいcoreを持ちながら、常温にか なり近い温度、即ち345KよりSc液晶相を示すという点は新しいSc‡相等の応用面へ の期待がもたれる。
表3. 3にDCQP同族体のDSC測定の第2昇温過程のデータから求めた相転移温度及び 相転移におけるエントロピー変化の値を示す。結晶相の転移が分裂した場合には 変化の最も大きい温度のみを示した。 n=3, 4. 5, 8及び12の化合物については相
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転移温度が他の研究者により報告されているので比較のためその値も掲載した。
融点、透明点共に相転移温度は文献値とは良い‑一‑・一致を示しているものと思われる。
DCQP(C))についてはDSC測定から透明点に対応するピークが検出されなかったため 偏光顕微鏡観察から求めた値を示した。
直鎖アルキルと分岐アルキルで比較してみると、直鎖アルキルの方が透明点は 高く,透明点におけるエントロピー変化も大きい。 DCQP(n=4)とDCQP(i4)で融点に おけるエントロピー変化を見るとDCQP(i4)の方が圧倒的に大きいが、結晶相の転 移におけるエントロピー変化をたしたものを比較してみるとはぼ同じぐらいの大 きさになっていることがわかる。 DCQP(n=3)とDCQP(i3)の比較では、融点でのエン
トロピー変化も結晶相の転移におけるエントロピー変化のたした値もはぼ同じぐ らいの大きさになっている。このことから、液晶相に至るまでに分子のパッキン グのトータルの乱れる度合いははぼ同じであることがわかる。