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H 2 O SiH x

V- 962 ングを行いダイヤフラムを形成。

ダイヤフラム前後に圧力差を印加した場合の歪ゲージの抵抗変化を図③

-(1)-2.43に示す。測定では、歪ゲージ側を大気、ダイヤフラムを排気ポンプに

接続し、圧力コントローラーによって排気を調整してダイヤフラム前後の圧力 差を制御した。歪ゲージに加わる応力は、数値計算結果に従って導出した。図 より、各歪ゲージの抵抗変化は印加される応力に比例して変化し、圧縮応力下 では正の変化、引張応力下では負の変化であった。またヤング率が170 GPaで あると仮定してゲージ率を計算すると 15 であった。これらの結果は、低圧の プラズマ化学気相成長法で作製される一般的な多結晶Siと同等の特性であり、

本手法を用いて作製したSi膜は既存の製法で作製される Siと同等の特性を有 している。

図③-(1)-2.42 圧力センサ模式図

図③-(1)-2.43 ダイヤフラム前後に圧力差を印加した場合の歪ゲージの抵抗変化

各歪ゲージをフルブリッジ接続し、圧力センサとしての特性を評価した。等 価回路を図③-(1)-2.44に示す。ダイヤフラム前後に圧力差を加えた場合の圧力 センサの出力を図③-(1)-2.45 に示す。圧力センサの出力は印加される圧力に比 例し、圧力センサとして問題なく動作することが確認できた。

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図③-(1)-2.44 等価回路 図③-(1)-2.45 圧力センサ出力特性

<<フォトダイオード>>

光導電効果を利用したpinフォトダイオードを作製した。フォトダイオード の模式図と電子顕微鏡による断面観察像を図③-(1)-2.46, 47に示す。フォトダイ オードのサイズはφ3 mm。作製手順は以下の通り:①表面に熱酸化膜を200 nm 形成したSiウエハ(ウエハ厚 525 μmt)にスパッタによりチタンTi(50 nm)/

白金Pt(100 nm)を成膜、②大気圧プラズマによってボロンドープSi膜(p層、

0.4 Ω·cm、100 nm)を成膜、③大気圧プラズマによってノンドープSi膜(i層、

1.4×104 Ω·cm、1000 nm)を成膜、④大気圧プラズマによってリンドープSi膜

(n層、0.02 Ω·cm、100 nm)を成膜、⑤スパッタにより酸化インジウム錫ITO

(100 nm)を成膜、⑥DRIEによりフォトダイオードを分離。

図③-(1)-2.46 フォトダイオード模式図 図③-(1)-2.47 フォトダイオードの 断面観察像

フォトダイオードをソースメーターに接続し、ITO側よりソーラーシミュレ ーター(白色光、1 Sun)を入射した場合と光を遮蔽した場合の電流電圧特性を

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測定した。図③-(1)-2.48に結果を示す。pinフォトダイオードは整流性ならびに 光照射による光電流を示し、pin構造により電荷分離、ならびにi層における光 電変換が発現し、フォトダイオードとして動作することを確認できた。デバイ ス構造が最適化できていないため現状の製品レベル(光電流 10~20 mA/cm2) より劣るが、同オーダーの光電流を取り出すことが出来ており、各Si層の膜厚、

電極材料を最適化することで特性向上が期待できる。

図③-(1)-2.48 フォトダイオードの電流電圧特性

<<不純物による価電子制御>>

開放を行っていく中で、成膜雰囲気中に微量の空気が混入した場合に膜の電 気特性が大きく変化することが観察された。従来の低圧でのシランを用いるプ ラズマ化学気相成長法によるSi成膜では、成膜雰囲気に空気(窒素、酸素)を 導入することで、膜に取り込まれた窒素、酸素が膜中でドーパントとして作用 し、膜の電気特性が変化することが報告されている。よって、本開発のプラズ マ化学輸送法による Si 成膜においても同様に膜中に取り込まれた窒素ないし 酸素がドーパントとして作用していることが考えられる。

そこで、特殊材料ガスを用いない価電子制御法として、成膜雰囲気中に意図 的に窒素、酸素を導入した場合の膜特性変化についても調査を行った。固体Si ソースとしては、ボロンドープ、単結晶(CZ)Siウェハを使用した。ウェハの 結晶方位は(100)であり、比抵抗は300 Ω·cm。窒素ならびに酸素源としては、

それぞれ窒素または酸素をHeで0.5 vol.%に希釈した標準ガスを用いた。その ほかの実験条件は次の通り:ガス圧 93 kPa(700 Torr)、放電電力 7.6 W/cm2、 He 流量 300 sccm、H2流量 20 sccm、標準ガス流量 0-10 sccm 、ヒータ温度 350 ℃、冷却水温度 10 ℃、放電ギャップ(固体ソース-基板間距離)2.1 mm。

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<<窒素濃度依存性>>

成膜雰囲気の窒素濃度を0, 16 ppmとして成膜した場合のSi膜の写真を図③

-(1)-2.49に示す。窒素を混入することで、成膜エリアが狭まり、また膜外周部

に下地と異なる屈折率を有する膜(窒化Si膜)が形成された。窒素濃度と成膜 速度(基板中央部)、成膜エリアの半径の関係を図③-(1)-2.50に示す。成膜速 度、成膜エリア共に窒素濃度に比例して減少し、25 ppm で成膜出来なくなっ た。これは窒素混入により、固体Siソース表面でSiの窒化が生じ、Si水素化 物生成反応が抑制されたためであると推察する。窒素濃度が 25 ppm以上では Siソース表面が窒化されてしまい、Si素化物を生成できなくなっている。

図③-(1)-2.49 Si膜写真 図③-(1)-2.50 成膜速度の窒素濃度依存性

図③-(1)-2.51, 52に窒素濃度とSi膜(中央部)の抵抗率、キャリア密度、ホ

ール移動度を示す。窒素濃度8 ppmまでは増加とともに抵抗率の減少、キャリ ア密度の増加、移動度の低下がみられ、窒素濃度8 ppm以上では、抵抗の増加、

キャリア密度の増加、移動度の増加がみられた。SIMS 分析より抵抗率が極小 となる窒素濃度7.8ppmの場合に、膜中に2 x 1020 cm-3の窒素が含まれており、

この膜中の窒素がドーパントとして作用していると考えられる。

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図③-(1)-2.55抵抗率の酸素濃度依存性 図③-(1)-2.56 キャリア密度、移動度の 酸素濃度依存性

<<酸素濃度依存性>>

成膜雰囲気の酸素濃度を0, 62 ppmとして成膜した場合のSi膜の写真を図③

-(1)-2.53に示す。酸素を混入することで、成膜エリアが狭まり、また膜外周部

に干渉縞を有する膜が形成された。酸素濃度と成膜速度(基板中央部)、成膜 エリアの半径の関係を図③-(1)-2.54に示す。成膜速度は酸素濃度に依存せず、

一方、成膜エリアは酸素濃度に比例して減少し、酸素濃度100 ppm以上で成膜 出来なくなった。成膜エリアの減少は、窒素混入時と同様に、固体Siソース表 面で Si の酸化が生じ、Si 水素化物生成反応が抑制されたためであると推察す る。一方、成膜速度は酸素濃度が 90 ppm程度まで変化が見られなかったが、

これはプラズマ中で酸素はすぐにシランと反応するため、プラズマ中に侵入す ることが出来ず、プラズマ中央部では酸素濃度が低く保たれていたためである と推察する。

図③-(1)-2.55, 56に酸素濃度とSi膜(中央部)の抵抗率、キャリア密度、ホール 移動度を示す。酸素濃度に対する電気特性の依存性は見られなかった。これは 上で述べたようにプラズマ内部では酸素濃度が低く保たれるためであると考 えられる。

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図③-(1)-2.53 Si膜の写真 図③-(1)-2.54 成膜速度の酸素濃度依存性

図③-(1)-2.55抵抗率の酸素濃度依存性 図③-(1)-2.56 キャリア密度、移動度の 酸素濃度依存性

(1)-2-3-3 開放型大気圧プラズマによる成膜技術開発 a. 成膜実現に向けた取り組み

噴出し型(リモート型)放電ユニットとガスカーテン構造の雰囲気制御ヘッ

ド[図③-(1)-2.57]を備えた雰囲気制御評価モデル機(開放型機)にて、反応

ガス、カーテンガス、及び排気を適正流量とすることで局所清浄雰囲気の実現 できる。局所清浄雰囲気下で、反応ガスにヘリウム(He)と水素(H2)の混合 ガスを用い、13.56MHz で安定放電を確認したものの、各種放電条件(水素濃 度、放電電力、放電ギャップ、等)によらずシリコン(Si)膜形成には至らな かった。唯一、H2濃度CH2=6.4%混合Heガスでの放電観察実験において、放 電観察用石英板上に反応ガス吐出口(48 mm×10 mm)と同形状の非常に薄い 痕跡が認められた[図③-(1)-2.58]。この微粒子状形成物は、EDX(Energy dispersive X-ray spectrometry)分析により酸化物(SiO2)と確認された。形成物

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が酸化物であることと非常に微量であることから装置(特に放電ヘッド部)の 見直しを行った。

図③-(1)-2.57 ガスカーテン構造(噴出し型放電ユニット装着時)

(a) 石英板上の反応生成物 (b) 微粒子状の反応生成物のSEM写真

図③-(1)-2.58 H2混合Heガス放電による微粒子状の反応生成物

密閉型大気圧プラズマ方式評価設備(密閉型機)では、真空チャンバ内では あるがプラズマ化学輸送法により大気圧(700 Torr)、350℃程度の基板加熱条 件でSi成膜を実現している。密閉型機のヘッド構造は、固体Siソースを上部 電極、基板を保持する下部電極を GND とする平行対向構造で、下部電極には プラズマ化学輸送法に必要な温度差を与えるためのヒータが内蔵されている。

このヘッド構造を雰囲気制御モデル機(開放型機)に導入することを検討した。

新たに設計・製作した平行平板型の放電ユニットは従来の噴出し型と外形寸法 を等しくすることで、一部の配管変更のみで交換可能な構造である[図 ③

-(1)-2.59]。また、開放型機のヒータ内臓XYステージによる加熱は装置内部の

温度上昇を伴い 250℃程度が上限であることがわかり、装置熱負荷の低いヒー タ内蔵小型下部電極(設計上限値 500℃)も導入した。これで密閉型機での標 準条件である 350℃程度の基板加熱での大気圧プラズマ放電実験が可能となっ

20 mm 10 mm

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