BF 値p1
4.4 モデルパラメータに関する考察
モチベーションの上昇、机上面照度の上昇に対し各モデルパラメータに有意差が生 じたかどうか、対応のあるt検定により確認する。表4.25に、モデルパラメータを比 較するデータ対の数を比較条件毎に示す。
モチベーションの上昇については、データ数を確保するため、一位加算、伝票分類
は被験者1人につきLM、HMともに複数データを用いた事例のみ、暗算加算はLM、
HMともに1データを用いた事例のみを扱う。また、机上面照度の上昇については、一 位加算LMはデータ対が少なく、有意差検定を行うために十分なデータ数を得られな かったため除外した。伝票分類LMは被験者1人につき750lx、2500lxともに1データ を用いた事例のみ、一位加算HM、伝票分類HMは750lx、2500lxともに複数データを 用いた事例のみを扱う。
0 10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.) 0
10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.)
0 10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.)
実験データ 作業-非作業状態間遷移モデル en=0.0099
長期休息重視モデル en=0.0077 実験データ
260±98 問/30 min.
作業-非作業状態間遷移モデル
305± 9 問/30 min.
長期休息重視モデル
260± 8 問/30 min.
図 4.18: 時系列ヒストグラムの再現の例(被験者1番・伝票分類タスク・LM2データ
統合)
0 100 200 300 400
2.436 4.637 8.824 16.79 31.96 60.83 115.8 220.3
時間占有度(sec.)
解答時間(sec.) ※logスケール
0 100 200 300 400
2.436 4.637 8.824 16.79 31.96 60.83 115.8 220.3
時間占有度(sec.)
解答時間(sec.) ※logスケール
0 100 200 300 400
2.436 4.637 8.824 16.79 31.96 60.83 115.8 220.3
時間占有度(sec.)
解答時間(sec.) ※logスケール
0 100 200 300 400
2.436 4.637 8.824 16.79 31.96 60.83 115.8 220.3
時間占有度(sec.)
解答時間(sec.) ※logスケール
実験データ 作業-非作業状態
間遷移モデル eo=0.0822
対数正規分布モデル eo=0.0186
長期休息重視モデル eo=0.0309
図4.19: 時間占有度ヒストグラムの再現の例(被験者1番・伝票分類タスク・LM2デー
タ統合)
4.4.1 モチベーションの上昇に対するモデルパラメータの変化
表4.26〜4.29に、各知的生産性変動モデルのパラメータのうち、モチベーションの
上昇に対して有意差が生じたものをタスクごとに示す。
まず、表4.26を見ると、一位加算タスクにおいてモチベーションが上昇した際に、作 業-非作業状態間遷移モデルではパラメータp4が有意に増加(p <0.01)し、パラメータ b1が有意に減少(p < 0.05)した。つまり、モチベーションが上昇すると作業状態に復 帰しやすくなるが、非作業状態に遷移する確率がp1からp3に上昇しやすくなったこと を示す。したがって、作業-非作業状態間遷移モデルはモチベーションの上昇による一 位加算タスクの知的生産性の向上を、状態遷移が頻繁に起こるものの休息時間が短く
0 10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.)
0 10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.)
0 10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.)
0 10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.)
0 10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.)
0 10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.) 0
10 20 30
120 360 600 840 1080 1320 1560 1800
該当問題数
経過時間(sec.)
作業-非作業状態間 遷移モ デル
en=0.0099 es=0.0196
長期休息重視 モ デル en=0.0077 es=0.0085
実験データ:
260±98 問/30 min.
252 問/30 min.
250 問/30 min.
260 問/30 min.
315 問/30 min.
305 問/30 min.
304 問/30 min.
図 4.20: シミュレーション1試行毎の時系列ヒストグラム例(被験者1番・伝票分類タ
スク・LM2データ統合)
表 4.25: モデルパラメータを比較するデータ対の数
比較条件 タスク データ対の数 モチベーション: LM vs. HM 一位加算 17
伝票分類 19
暗算加算3桁 6 暗算加算4桁 7 机上面照度: 750 lx vs. 2500 lx 一位加算LM -一位加算HM 10 伝票分類LM 7 伝票分類HM 9
表 4.26: 有意差が生じたモデルパラメータ(一位加算タスク:LM → HM)
作業-非作業状態間遷移モデル
パラメータ 平均値 両側p値
LM HM 差
p4 0.153 0.263 0.110 p=0.008∗∗
b1 114 81 -34 p=0.044∗
※p1、p2、p3については有意差なし
対数正規分布モデル
パラメータ 平均値 両側p値
LM HM 差
µ1 0.112 -0.137 -0.249 p <0.001∗∗∗
α1 151 123 -28 p=0.012∗
µ2 1.448 0.629 -0.818 p <0.001∗∗∗
σ2 0.638 0.305 -0.333 p=0.014∗
α2 34 21 -13 p=0.031∗
※σ1については有意差なし
長期休息重視モデル
パラメータ 平均値 両側p値
LM HM 差
µ -0.186 -0.383 -0.197 p=0.001∗∗
σ 0.184 0.130 -0.054 p=0.023∗
a 18.4 47.5 29.0 p <0.001∗∗∗
※v1、M F0、M Fthについては有意差なし
(∗:p < 0.05,∗∗:p < 0.01,∗∗∗:p < 0.001)
表 4.27: 有意差が生じたモデルパラメータ(伝票分類タスク:LM → HM)
作業-非作業状態間遷移モデル
パラメータ 平均値 両側p値
LM HM 差
p2 0.105 0.203 0.097 p <0.001∗∗∗
p4 0.034 0.077 0.044 p=0.007∗∗
※p1、p3、b1については有意差なし
対数正規分布モデル
パラメータ 平均値 両側p値
LM HM 差
µ1 1.854 1.304 -0.551 p <0.001∗∗∗
σ1 0.610 0.430 -0.181 p=0.001∗∗
α1 324 205 -118 p <0.001∗∗∗
µ2 2.864 2.103 -0.761 p <0.001∗∗∗
※σ2、α2については有意差なし
長期休息重視モデル
パラメータ 平均値 両側p値
LM HM 差
µ 1.270 0.923 -0.346 p <0.001∗∗∗
σ 0.280 0.137 -0.142 p <0.001∗∗∗
a 20.1 33.9 13.8 p=0.028∗
※v1、M F0、M Fthについては有意差なし
(∗:p < 0.05,∗∗:p < 0.01,∗∗∗:p < 0.001)
表 4.28: 有意差が生じたモデルパラメータ(暗算加算タスク3桁:LM → HM)
作業-非作業状態間遷移モデル
※パラメータに有意差生じず
対数正規分布モデル
パラメータ 平均値 両側p値
LM HM 差
α1 273 227 -46 p=0.048∗
※µ1、σ1、µ2、σ2、α2については有意差なし
長期休息重視モデル
※パラメータに有意差生じず
(∗:p < 0.05,∗∗:p < 0.01,∗∗∗:p < 0.001)
なったためであると説明している。
また、表4.26より、対数正規分布モデルでは一位加算タスクにおいてモチベーショ ンが上昇した際に、パラメータσ1以外の全パラメータが有意に減少した(µ1, µ2 :p <
0.001, α1, σ2, α2 : p < 0.05)。つまり、モチベーションが上昇するとBlocking、長期休 息ともにその発生頻度が下がったことを示す。したがって、対数正規分布モデルはモ チベーションの上昇による一位加算タスクの知的生産性の向上を、2種類の非作業状態 がともに生じにくくなったためであると説明している。
続いて、表4.26より、長期休息重視モデルでは一位加算タスクにおいてモチベーショ ンが上昇した際に、パラメータµ、σが有意に減少(µ : p < 0.01, σ : p < 0.05)し、
パラメータaが有意に増加(p <0.001)した。つまり、モチベーションが上昇すると
Blockingが生じにくくなり、またシグモイド関数のゲインが大きくなることで長期休
息の長さが一定範囲に収まることを示す。したがって、長期休息重視モデルはモチベー ションの上昇による一位加算タスクの知的生産性の向上を、Blockingが生じにくくな り、長期休息の長さが一定範囲に収まったためであると説明している。
次に、表4.27を見ると、伝票分類タスクにおいてモチベーションが上昇した際に、作 業-非作業状態間遷移モデルではパラメータp2、p4が有意に増加した(p2 :p <0.001, p4 :
p <0.01)。つまり、モチベーションが上昇すると作業状態に復帰しやすくなることを
表 4.29: 有意差が生じたモデルパラメータ(暗算加算タスク4桁:LM → HM)
作業-非作業状態間遷移モデル
※パラメータに有意差生じず
対数正規分布モデル
パラメータ 平均値 両側p値
LM HM 差
µ1 2.693 2.592 -0.102 p=0.027∗ µ2 3.282 2.970 -0.312 p=0.038∗
※σ1、α1、σ2、α2については有意差なし
長期休息重視モデル
パラメータ 平均値 両側p値
LM HM 差
µ 2.384 2.238 -0.145 p=0.017∗
※σ、v1、M F0、a、M Fthについては有意差なし (∗:p < 0.05,∗∗:p < 0.01,∗∗∗:p < 0.001)
示す。したがって、作業-非作業状態間遷移モデルはモチベーションの上昇による伝票 分類タスクの知的生産性の向上を、休息時間が短くなったためであると説明している。
また、表4.27より、対数正規分布モデルでは伝票分類タスクにおいてモチベーショ ンが上昇した際に、パラメータµ1、σ1、α1、µ2 が有意に減少した(µ1, α1, µ2 : p <
0.001, σ1 : p < 0.01)。つまり、モチベーションが上昇するとBlocking、長期休息とも にその発生頻度が下がったことを示す。したがって、一位加算タスク同様、対数正規 分布モデルはモチベーションの上昇による伝票分類タスクの知的生産性の向上を、2種 類の非作業状態がともに生じにくくなったためであると説明している。
続いて、表4.27より、長期休息重視モデルでは伝票分類タスクにおいてモチベーショ ンが上昇した際に、パラメータµ、σが有意に減少(ともにp < 0.001)し、パラメー タaが有意に増加(p <0.05)した。つまり、モチベーションが上昇するとBlockingが 生じにくくなり、またシグモイド関数のゲインが大きくなることで長期休息の長さが 一定範囲に収まることを示す。したがって、一位加算タスク同様、長期休息重視モデ
ルはモチベーションの上昇による伝票分類タスクの知的生産性の向上を、Blockingが 生じにくくなり、長期休息の長さが一定範囲に収まったためであると説明している。
次に、表4.28を見ると、暗算加算タスク(3桁)においてモチベーションが上昇し た際に、作業-非作業状態間遷移モデル、長期休息重視モデルではパラメータに有意差 が生じなかった。唯一、対数正規分布モデルでは暗算加算タスク(3桁)においてモチ ベーションが上昇した際に、パラメータα1が有意に減少した(p < 0.05)。つまり、モ チベーションが上昇するとBlockingの発生頻度が下がったことを示す。したがって、対 数正規分布モデルはモチベーションの上昇による暗算加算タスク(3桁)の知的生産性 の向上を、Blockingが生じにくくなったためであると説明している。
次に、表4.29を見ると、暗算加算タスク(4桁)においてモチベーションが上昇し た際に、作業-非作業状態間遷移モデルではパラメータに有意差が生じなかった。一方、
対数正規分布モデルでは暗算加算タスク(4桁)においてモチベーションが上昇した際 に、パラメータµ1、µ2が有意に減少した(ともにp < 0.05)。つまり、モチベーショ ンが上昇するとBlocking、長期休息ともにその発生頻度が下がったことを示す。した がって、対数正規分布モデルはモチベーションの上昇による暗算加算タスク(4桁)の 知的生産性の向上を、2種類の非作業状態がともに生じにくくなったためであると説明 している。
また、表4.29より、長期休息重視モデルでは暗算加算タスク(4桁)においてモチ ベーションが上昇した際に、パラメータµが有意に減少した(p < 0.05)。つまり、モ チベーションが上昇するとBlockingが生じにくくなることを示す。したがって、長期 休息重視モデルはモチベーションの上昇による暗算加算タスク(4桁)の知的生産性の 向上を、Blockingが生じにくくなったためであると説明している。
以上、モチベーションの上昇に対する各知的生産性変動モデルのパラメータの変化 について述べた。一位加算タスクと伝票分類タスクについては、モチベーションの上 昇による知的生産性向上が顕著ということもあり、全ての知的生産性変動モデルが知 的生産性向上のメカニズムを説明できた。各知的生産性変動モデルによる知的生産性 向上のメカニズムの説明は概ね傾向が一致しており、一位加算タスク、伝票分類タスク における知的生産性向上のメカニズムの説明は、全ての知的生産性変動モデルで成功 したと考えられる。
一方、暗算加算タスクについては一位加算タスク、伝票分類タスクに比べ知的生産性 の向上率が小さく、またモデルパラメータを比較するデータ対が少ないこともあり、暗 算加算タスク(3桁)では対数正規分布モデルのパラメータのみ、暗算加算タスク(4