3. パラグラフライティングモジュール実践
3.3 プレテストと最終稿の比較
全員に結論を書かせていたのであるが、6 名は最後の段落で結論を書かずに終えてしまっていた。結 論を書いているものを詳細に見てみると、トピックセンテンスとは若干の表現を変えて重複をさける ことができているものが多かった。
④ 段落の構造
参加者 51 名中、46 名(90%)が段落構造が良くできており、5 名(10%)が一部構造の不備が見 られ、段落構造が全くみられなかったものはなかった。評価が1、すなわち、構造の不備が見られる と評価されたものは、トピックセンテンスで書き出してはいるが、その後の段落構成ができておら ず、散漫な書き方になっていた。これらの 5 名は、アウトラインを学習した際に欠席していた学生が 1 名、あとの 4 名はアウトラインを一応書いたものの、それをパラグラフにする際には用いていな かった。
⑤ 論証の有無
論証の有無については、33 名 (65%)が主張の論証ができていた。サポート文2つ、あるいは3つ の事項に具体的な事例を挙げたり、詳細な説明を行うことにより、主張を裏付けていた。16 名
(31%)は一部論証に欠陥が認められ、論じ足りない、あるいはサポートが 1 文のみなど論証が不完 全であった。意見の論証が全くできていないものが 2 名いた。
⑥ 語数
平均が 171,3 語、最小値 54 語、最大値 764 語であった。最大値 764 語を書いた学生は、最終稿が 1 段落としては長すぎるため、教員からのアドバイスに従って 5 段落エッセイにして提出した。
パラグラフライティングモジュール実施後の最終提出物の評価を総括する。まず、全員がパラグラ フの形はできており、トピックセンテンスが存在して主張が明確に書けている。結論も 9 割近くの学 生が書けていた。段落構成も約 9 割が出来ていた。このことからライティングモジュールは、パラグ ラフの型を習得させるには一定の効果があったのではないかと思われる。一方、論証については 6 割 強の学生が効果的に主張を裏付けることができていた。3 割が部分的には主張を裏付けることができ るようになってきておりさらなる練習により習得が期待できる。
が、教育実践として学習者の書くものの変化の一面を表していると考えられよう。プレテストと最終 稿の評価項目別変化は図3にまとめる。
まず1つの段落の中での論理一貫性を保つことについては、もともとほとんどの参加者が書くこと ができてはいたが、パラグラフライティングモジュールにより全員が習得したといえる。同様に、明 確な主張も開始時点でほとんどの参加者が書くことができており、モジュール終了後には全員が書け るようになった。一方、結論についてはスタート時点では 6 割の参加者が明確な結論を書いており、
モジュール終了後には 9 割に達している。なお明確な結論については、段落としてのまとまり感を与 えることが望ましいが、必ずしもパラグラフライティングの慣習ではないというとらえ方もあると思 われる。
段落構成について会得していた者はモジュール開始前は 5 名であったが、終了時には 46 名に増加 しこれは参加者の 9 割が段落構成の理解が及んだことになる。全く書けなかった 13 名も書けるよう になっている。一方、意見の論証については良くできていた 5 名からモジュール後は 33 名に増えて いる。開始前には 16 名が全く論証がなかったが、実施後に全く論証が見られなかったのは 2 名で あった。この 2 名はモジュールの途中で欠席があり、1 名はアウトラインを未提出、もう 1 名はアウ トラインのフィードバックに対してそれに対応した修正は行わなかった。また、終了後も 16 名が論 証が不足していることから、段落の形はできているものの、内容としては自分の主張を裏付けながら 論理を展開することにはまだ練習が必要であることが明らかになった。
最後に、語数は平均 73.7 語が 171.3 語と 2.5 倍になり、図 4 のように増加が見られた。これはプロ セスライティングを行った結果の増加であるため当然といえば当然であるが、学習者の身になれば、
これだけの量を書く経験を得たという教育的な意義があるのではないか。語数については学生がそれ ぞれ事前、事後の変化の目安としてポートフォリオに保存した。
図3.首尾一貫性、明確な主張、結論の有無、段落構成、論証の有無ついてのプレテストと最終提出 物の比較
図4.語数の変化