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第 3 章 建築材料としてのモンゴル産フライアッシュの有効利用促進に向けた現地調査

4 考察

4.5 フライアッシュを混和材として使用した製品

モンゴルにおいて排出されるフライアッシュコンクリートの強度はインタビューを行っ た各企業において様々であった。図3.7 (1),(2) に著者らが実施した第四火力発電所から排

173 Japanese Industrial Standards の略称。「JIS(日本工業規格)とは、我が国の工業標準化の促進を目的とす

る工業標準化法(昭和24年)に基づき制定される国家規格」である。日本工業標準調査会, JIS (Japanese Industrial Standard) とは, 入手先〈https://www.jisc.go.jp/jis-act/〉, 参照 2016-02-03 より引用した。

174 日本興業標準調査会, 「JIS 制定等のプロセス」, 入手先〈https://www.jisc.go.jp/jis-act/process.html〉, 照 2015-11-01

175 同上ホームページ

176 同上ホームページ

177 同上ホームページ

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3.6JIS制定までのプロセス

出典) 日本興業標準調査会,「JIS 制定等のプロセス」より著者作成

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(1) フライアッシュ置換率 10 %

3.7 モンゴル産フライアッシュコンクリートの圧縮強度試験結果 (2) フライアッシュ置換率 20 %

注 : (1),(2) 共に W / C (Water / Cement) = 44 %,S / A (Sand / Sand + Stone) = 53 %

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出されるフライアッシュコンクリートの圧縮強度試験結果を示した。横軸が材齢,縦軸が圧 縮強度であり,セメントはモンゴル産の Nalaikh セメントを使用し,フライアッシュは

Shivee ovoo フライアッシュを 2 種類 (SV1,SV2),Baganuur フライアッシュ 1 種類 (BA)

であり,置換率は 10 % 及び 20 % である。

圧縮強度試験の結果,使用するフライアッシュの種類や置換率によって様々な値を示し た。特に,置換率 10 % で最も強度が低い値を示した SV2 は置換率 20 % では最も高い強 度を示し,圧縮強度のばらつきが顕著であった。以上の結果から排出されるフライアッシュ の特性の違いを低減しつつ,基準の整備にも重点を置き,フライアッシュコンクリートの強 度特性に関する検討を進め,フライアッシュの有効利用の促進に繋げることが必要である。

4.5.2 フライアッシュコンクリートを販売する際の必須事項

インタビューの結果,放射線量を測定し,国の基準を満たすことができれば,コンクリー ト混和材として販売することができると回答を得た。表 3.10 に J. Temuujin らが行った,

モンゴル産フライアッシュ中のラジウム及びトリウムの同位体活性濃度の測定結果を示し た 178 。日本で定められている自然起源放射性物質に関する法律並びに自然起源放射性物 質の安全確保に関するガイドラインではウラン,トリウムを含有する物質を扱う場合,74

178 J. Temuujin, A. Minjigmaa, B. Davaabal, U. Bayarzul, A. Ankhtuya, Ts. Jadambaa, K.J.D. Mackenzie, 「Utilization of radioactive high-calcium Mongolian flyash for the preparation of alkali-activated geopolymers for safe use as construction materials」, 『Ceramics International』, Vol.40, 2014, p.16482

3.10 モンゴル産フライアッシュ中のラジウム及びトリウムについて同位体活性濃度の

測定結果

サンプル Bq / Kg

Ara-226 ATh-226 Raeq

Baganuur フライアッシュ 242.4 31.1 314.4

Shivee ovoo フライアッシュ 262.8 48.7 342.7

Baganuur フライアッシュを混和材として

使用した硬化体 37.8 15.6 129

Shivee ovoo フライアッシュを混和材とし

て使用した硬化体 54.8 17.2 152.6 出典) J. Temuujin et al. 「Utilization of radioactive high-calcium Mongolian flyash for the preparation of alkali-activated geopolymers for safe use as construction materials」より著者作成

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(a) モンゴル国で排出されたフライアッシュの放射線量の測定状況

(b) モンゴル国で排出されたフライアッシュの放射線量の測定結果

3.8 モンゴル国の第四火力発電所から採取したフライアッシュの放射線量の測定結果

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Bq / g,1 Bq / g の基準を満たす必要があるとしている 179 。また,モンゴルでは一般的な

建築物に使用した場合,370 Bq / kg より低い値である必要がある 180

J. Temuujin らの報告では,Baganuur フライアッシュ,Shivee ovoo フライアッシュのラジ

ウム及びトリウムはそれぞれ 242.4 Bq / kg,31.1 Bq / kg,262.8 Bq / kg,48.7 Bq / kg であっ た 181

Baganuur フライアッシュ, Shivee ovoo フライアッシュを混和材として使用した硬化体

のラジウム及びトリウムはそれぞれ 37.8 Bq / kg,15.6 Bq / kg,54.8 Bq / kg,17.2 Bq / kg で あった 182

また図3.8 に著者が 2016.01.20 に実施したモンゴル国の第四火力発電所から採取したフ ライアッシュの放射線量の測定結果を示した。測定に使用したフライアッシュは,

2014.04.04, 2014.08.06, 2014.09.10 に第四火力発電所から採取した Shivee ovoo, Baganuur フ

ライアッシュの計 6 種類であり,測定に使用した装置は RAD COMM SYSTEMS の RC / 2 である。測定の結果,全てのフライアッシュで約 66 nSV / h であり,フライアッシュな しで測定した値はブランク値とほぼ同程度であった。以上の結果から,モンゴル国で排出さ れるフライアッシュは人体への影響がないことがわかり,更にコンクリートなどの建築物 に使用することにより放射性物質の影響を低減すること可能であることがわかった。

しかし一方で J. Temuujin らが 2013 年にウランバートル第四火力発電所から入手した

Baganuur フライアッシュの放射能測定を実施したところ,1,300 Bq / kg と高い値を示した

と報告している 183 。そのため,定期的な分析は必要になると考えられるが,火力発電所で 放射性物質の測定を実施し,さらに各企業においても実施するのでは非効率である。さらに,

インタビューを行った 1 社は放射線量の測定を行わず,販売を行ったと回答していた。こ のことからも基準の整備に加え,情報提供の重要性が挙げられる。

179 放射線医学総合研究所, 「規制情報」, 入手先〈http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/NORMDB/1_houritu.php〉, 参照 2015-11-04

180 J. Temuujin, A. Minjigmaa, B. Davaabal, U. Bayarzul, A. Ankhtuya, Ts. Jadambaa, K.J.D. Mackenzie, 前掲載書, p.16476

181 J. Temuujin, A. Minjigmaa, B. Davaabal, U. Bayarzul, A. Ankhtuya, Ts. Jadambaa, K.J.D. Mackenzie, 同上書, p.16482

182 同上書

183 同上書

100

4.5.3 フライアッシュの価格

各企業並びに,第四火力発電所のインタビュー結果からいずれもフライアッシュは 1 ト ン当たり 2,500 - 4,000 MNT であり,セメントと比較し安価であることがわかった。

また,フライアッシュを使用する理由として,環境への配慮及び価格を挙げる企業の担当 者が多かったが,フライアッシュの価格がセメントを超えた場合はいずれの企業も使用し ないと回答を得た。このことからやはりコストを最優先に考えていることがわかる。しかし,

フライアッシュはセメントと比較し,非常に安価であるため,火力発電所はフライアッシュ の価格を上げ,得られた利益を用いて,フライアッシュの特性変動の低減化に向けて設備の 追加投資も検討すべきである。