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フィットの範囲の決定

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第 6 章 ミューオンの寿命測定 43

6.2 片側読み出し回路による測定

6.2.2 フィットの範囲の決定

直線になり、n0 の方が大きい場合は定数グラフになっているはずである。図39を見る と、t 0.5 (µs) の点は直線上に乗っておらず、それ以降の点は(25)式の傾向と同じに なっている。従って、t 0.5 (µs) を除いた範囲でフィットをした方が良いと考えられ る。これより、フィットの始点はt= 1.0 (µs) に決定した。

µ s) Time (

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

Counts per channel

10 102

103

104

39 84時間測定したミューオン崩壊の時間スペクトルの片対数グラフ。フィッ トの範囲は1.0 µsから20 µsまでである。

次に、フィットの終点を決定する。時間スペクトルの形は決まっているので、フィット により求まる値は本来はフィットの範囲によって変化せず、一定のはずである。そこで、

フィットにより求まるτµ, n0 が一定となる範囲を上限とすればよい。フィットの終点を 6 µsから 20µs まで変えて、それぞれについて(25)式を用いてフィットをした。フィッ トによって得られたそれぞれの点におけるミューオンの寿命τµとバックグラウンドn0

の値をグラフにすると、それぞれ図40と図41のようになった。n0 をバックグラウンド の計数率RBG (Hz)に変換したものをプロットしたグラフは図42のようになった。点線 は予測されるバックグラウンドを表す。

µ s) Max value of fitting range (

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22

s)µtau (

1.8 2 2.2 2.4 2.6 2.8 3 3.2 3.4 3.6

40 フィットの上限値を変更したそれぞれの場合で求まるτµの値の変化図。フィッ トの下限は1.0µs。上限値が12µs以上では2µsでほぼ一定の値を取るが、10µs 下では上昇傾向にある。

µ s) Max value of fitting range (

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22

s)µn_0 (/0.4797*

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40

41 フィットの上限値を変更したそれぞれの場合で求まるn0の値の変化図。フィッ トの下限は1.0 µs。上限値が13 µs 以上では 35.5 /0.48·µs でほぼ一定の値を取る が、12µs 以下では減少傾向にある。

µ s) Max value of fitting range (

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22

R_BG (x10^(-3) Hz)

-6 -4 -2 0 2 4 6

42 フィットの上限値を変更したそれぞれの場合で求まるn0を計数率 RBG (Hz) に変換した図。点線は予測されるバックグラウンドの計数率である。フィットの下限 1.0µs。上限値が13µs以上では、RBGは点線上に誤差の範囲で乗っている。

図40を見ると、τµの値はフィットの上限値が12 µs 以上では 2 µs でほぼ一定の値を 取り、誤差も同程度となっているが、10 µs 以下ではフィット範囲が狭くなると、増加傾 向にある。誤差はフィットの時間幅が小さくなるほど大きくなっていることが分かる。図 41を見ると、n0 の値はフィットの上限値が13 µs 以上では 35.5 /0.48µs でほぼ一定の 値を取り、誤差も同程度となっているが、12 µs 以下では減少傾向にある。誤差はフィッ トの時間幅が小さくなるほど大きくなっていることが分かる。これは、上限値が 12µs 以 下のフィットにおいては、どの地点で時間スペクトルが減衰し切っているかを判断でき ず、バックグラウンドが小さく評価されてしまうためだと考えられる。減衰地点が判断で きないため、フィットによるバックグラウンドの誤差も大きくなり、得られる寿命とその 誤差も大きくなるのである。

図42を見ると、フィットにより得られたバックグラウンドの計数率 (4.9±0.2)×103 Hzは、上限値が12 µs 以上ではバックグラウンドの計数率の予測値(5.0±0.6)×103 Hzと誤差の範囲で一致していることが分かる。従って、フィット範囲の最大値をこの範 囲のいずれかの値にすることは、妥当なものであると考えられる。

以上の考察より、時間スペクトルが十分に減衰している地点をフィットの範囲の終点と するのが良いと考えられるので、フィットの終点は時間スペクトルの横軸の最大値である 20 µs に決定した。

以上より、測定により得られるミューオン崩壊の時間スペクトルのフィットの範囲 は、1.0 µs 20 µs に決定した。この決定した範囲で時間スペクトルをフィットすると、

ミューオンの寿命はτµ = (2.04±0.10)µs、バックグラウンドの計数率は(4.9±0.2)×10−3 Hzとなった。

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