• 検索結果がありません。

ファブリ・ペロ干渉計

ドキュメント内 光電子工学I Yasuyuki OZEKI's personal web (ページ 64-67)

第 6 章 屈折と反射 50

7.3 ファブリ・ペロ干渉計

図7.4に示すように、反射率の高いミラーを対向させた光学系をファブリ・ペロ干渉計(FP干渉計)という。FP干渉計 は、特定の波長の光を透過し、それ以外の波長の光を反射する。

7.3.1 透過特性

FP干 渉 計 の 特 性 を 考 え よ う 。ミ ラ ー の 振 幅 反 射 率 をrと し 、ミ ラ ー 間 の 距 離 をdと す る 。ま た 振 幅 透 過 率 をtrと す る

7.6

。ミラーでの光損失がないと仮定するとともにミラーの反射率の周波数依存性を無視し、反射率は実数であるとする。

すると、透過光のエネルギーと反射光のエネルギーの和は入射光のエネルギーと等しいから、次式が成り立つ。

t2r+r2= 1 (7.10)

FP干渉計に、インパルス的な時間波形の光が入射した場合を考える。ミラー1を透過する際にtr倍、ミラー2を透過する 際にtr倍されて出力される。ミラー2の反射波は、再びミラー1で反射されてミラー1とミラー2の間を往復しながら、反 射率が有限であるために減衰していく。したがってその時間波形は以下のようになる。

HT(t) =t2rδ(t) +t2rr2δ(t−τ) +t2rr4δ(t−2τ) +· · · (7.11) ただし、ミラー1からミラー2に初めて到達したときの時間をインパルス応答の時間の基準とした

7.7

。また、τはミラー 1・ミラー2間の往復時間であり、τ = 2d/cで与えられる。このインパルス応答のフーリエ変換がFP干渉計の周波数特性 となる。したがって、FP干渉計の振幅透過率の周波数特性は次式で与えられる。

T(ω) =F[HT(t)] =t2r+t2rr2exp(iωτ) +t2rr4exp(2iωτ) +· · ·

= t2r 1−r2exp(iωτ)

(7.12)

7.5

自然界で発生する光はさらに無偏光であることも考慮する必要がある。

7.6

時間tと区別するため、添え字rをつけた。

7.7

本来ならば全体の時間をτ /2だけ遅らせるべきである。

従って、透過光強度の周波数特性は次式のようになる。

|H˜T(ω)|2= t4r

1 +r4−2r2cos(ωτ) = (1−r2)2 1 +r4−2r2cos(ωτ)

= (1−R)2

1 +R2−2Rcos(ωτ) = (1−R)2

(1−R)2+ 2R−2Rcos(ωτ)

= (1−R)2

(1−R)2+ 4Rsin2(ωτ /2)

(7.13)

ただし、エネルギー反射率をR=r2とした。式(7.13)より、ω= 2mπ/τ(ただしmは整数)のとき、|H(ω)˜ |2= 1となる ことがわかる。これは、FP干渉計内を往復する時間と波の周期の整数倍が一致して共振している条件を表す。隣り合った 共振周波数との周波数間隔は自由スペクトル間隔(free spectral range, FSR)と呼ばれ、次式で与えられる。

FSR = 2π

τ [rad/s] (7.14)

また、共振周波数の周辺において周波数が∆ωだけ変化した状況を考えよう。このとき、近似式

sin{(ω+ ∆ω)τ /2}= sin(∆ωτ /2)∼∆ωτ /2 (7.15)

を用いると、強度透過率が半分になる条件は以下のようになる。

(1−R)2= 4R(∆ωτ /2)2 (7.16)

したがって、透過スペクトルの半値全幅は

2∆ω=2(1−R) τ√

R (7.17)

である。またFSRと半値全幅の比はフィネスと呼ばれ、次式で表される。

F = 2π/τ 2∆ω = π√

R

1−R (7.18)

強度反射率R1に近ければ近いほどフィネスが高くなることがわかる。

7.3.2 反射特性

反射光のインパルス応答は

HR(t) =−rδ(t) +t2rrδ(t−τ) +t2rr3δ(t−2τ) +· · · (7.19) であるから、そのフーリエ変換は次式のようになる。

R(ω) =F[HR(t)] =−r+t2rrexp(iωτ) +t2rr3exp(2iωτ) +· · ·

=−r+ t2rrexp(iωτ) 1−r2exp(iωτ)

=−r{

1−r2exp(iωτ)}

+ (1−r2)rexp(iωτ) 1−r2exp(iωτ)

=−r{1−exp(iωτ)} 1−r2exp(iωτ)

(7.20)

したがって、反射光強度の周波数特性は次式で与えられる。

|H˜R(ω)|2= 2r2{1−cos(ωτ)}

1 +r4−2r2cos(ωτ) = 4Rsin2(ωτ /2)

(1−R)2+ 4Rsin2(ωτ /2) (7.21) 式(7.13)と式(7.13)より、

|H˜R(ω)|2+|H˜T(ω)|2= 1 (7.22)

であることもわかる。これは、ミラーの損失がないと仮定したことに由来する。

H(t) H

T(t) HR(t)

t t t

ω

ω ω

ω ω

ω

0 0 0

0 −2π/τ 0 2π/τ −2π/τ 0 2π/τ

τ

Re

Im

Re

Im

Re

Im H˜(ω)

|H˜(ω)|2 |H˜T(ω)|2 |H˜R(ω)|2

T(ω) H˜R(ω)

(a) (b) (c)

図7.5 (a)ローパスフィルタ、(b) FP干渉計の透過特性、(c) FP干渉計の反射特性におけるインパルス応答、振幅周

波数特性、強度周波数特性。R= 0.9とした。

7.3.3 FP 干渉計のインパルス応答と周波数特性の関係

FP干渉計の透過光のインパルス応答(式(7.11)は、t >0における指数減衰関数と、コム関数の掛け算である。図7.5(a) に示すように、指数減衰関数のフーリエ変換は複素ローレンツ関数である。また、コム関数のフーリエ変換はコム関数とな る。したがって、FP干渉計の周波数特性は、複素ローレンツ関数とコム関数の畳み込みになる。この様子を図7.5(b)に示 した。このように考えると、時間領域のインパルスの時間間隔の逆数がFP干渉計の共振周波数間隔となることや、インパ ルス応答の持続時間の逆数が共振の周波数幅を決めることなどがイメージしやすい。

式(7.19)で表される反射波については、ミラー1による固定端反射(−rδ(t))が含まれる。そのフーリエ変換H˜R(ω)は、

T(ω)に対して負の方向にオフセットを与えたものになっている。その結果、図7.5(c)に示すように、共振周波数において 反射波は0となり、それ以外の周波数において反射が生じる。

7.3.4 共振周波数の入射角依存性

一般的なFP干渉計では、ミラーの距離を変えるだけで共振周波数を変化させることができる。ところが、最近では誘電 体多層膜を用いてFP干渉計を作製する場合も多い。その場合、2枚のミラーが多層膜に組み込まれているため、ミラー間 の距離を変化させることができない。このとき、ビームの進行方向に対してFP干渉計を傾けて設置することで、共振周波 数を調整する場合がある。共振器内を光が斜めに進むと、共振器内を1往復するのにに必要な時間が増え、インパルス応答 に含まれるパルス列の時間間隔が長くなって共振周波数が低周波化するように感じるかもしれないが、実際は逆であり、FP 干渉計の共振周波数は高周波化する。このことは以下のようにして示される。

図7.6に示すように、共振器を斜めに設置し、時間波形がインパルス的な平面波を入射する状況を考える。点Aでミラー 1を透過した光線の一部が点Bにおいてミラー2に到達し、一部は透過する。これがインパルス応答に含まれる最初のパル スとなる。残りは反射され、点C、点Eを経由してミラー2をに到達する。この透過光が2つ目のパルスになる。このとき の共振器の垂線と光の進行方向がなす角度をψとする。また、BからCEに下ろした垂線との交点をDとする。光の進行 方向がABCEに平行であることを考えると、インパルスの間隔は、BC + CDの伝搬時間となる。この空間的な距離は、

BC + CD = d

cosψ+dcos 2ψ

cosψ = 2dcosψ (7.23)

となる

7.8

。このため、FP干渉計干渉計を傾けて設置すると、インパルス応答のインパルスの間隔が狭くなり、共振周波 数は高周波化する。

なお、本節ではFP干渉計のインパルス応答を考えてきたが、そのフーリエ変換には周波数0から無限大までの周波数成 分が含まれている点に注意を要する。周波数が変わると伝搬の様子や反射の様子が変化するはずであるから、FP干渉計の 実際のインパルスレスポンスは、デルタ関数の列ではなく、さまざまな光学系の影響を受けたパルスの列となるはずである。

ただし、そのように厳密な取り扱いを考えなくても、考えたい光周波数帯における反射率や透過率を用いて、その反射率・

7.8

もしくは、図7.6のように補助線BGを引き、BF = FGとなるようにし、Gから直線BCに下ろした垂線との交点をHとすると求められる。

θ ψ A

B C

D E θ

d

n1 n2 n1

F G

M1 M2

H

図7.6 FP干渉計に斜め入射した場合の光路の模式図。共振器内外で屈折率が異なる状況を示している。

θ

d

A B

C

kx

ψ θ

ψ

kz kG= 2π/d

m= 0

m= 1 m= 2 m= 3 m=−1 2π/λ

x

y z

k1

k2

(a) (b)

図7.7 回折格子の構造(a)と波数領域での描像(b)

透過率が全ての光周波数にわたって一定である状況を仮定することで、FP干渉計のインパルス応答をデルタ関数列と考え ることができる。これによって、FP干渉計の直感的なイメージを持つことができる。

ドキュメント内 光電子工学I Yasuyuki OZEKI's personal web (ページ 64-67)

関連したドキュメント