第 4 章 クリマアトラスと「パッシブポテンシャル」のみなおし 51
V.7 パッシブシステムの省エネ効果と CO 2 排出量
図4.37 オルゲイが DESIGN WITH CLIMATEに示したパッシブの考え方4-28)
図4.38 図4.37の日本における一般的な解説図4-29)
表4.1 モデル建物のパッシブ効果(自然室温)
り、同じ条件で外気温や夜間放射の影響を受けても建物の「熱損失係数」が異なればその パフォーマンスにも違いが生じる。そのような意味で机上計算ではあるが実際的でない
「超高断熱モデル」を評価対象とするのではなく、世界レベルから見ると低レベルではあ るが、わが国の現行の省エネ基準に求められる熱性能にできるだけ近い性能のモデルを 壁・屋根などについて施工可能な層構成でモデル化した。
つまり本章におけるパッシブ効果は、ごく一般的な住宅が、4寸傾斜屋根面での集熱を 利用したときの、パッシブシステムの効果を評価している。東北地域主要都市において は、岩手県盛岡市のパッシブ効果が19日と最も少なかったが、概ね一ヶ月程度冷暖房を 必要とする期間を短縮することができる。シミュレーションでは、24時間365日の自然 室温計算をメインにしているが補助として必要になる冷暖房計算も同時に行っている。冷 暖房については、仕掛けの有無によってその差異を算出し、供給熱量・燃料毎の使用量
(電気の場合電気使用量)そのコストを算出し、さらにCO2 換算、一次エネルギー換算も
行っている。
表4.2 消費エネルギーのCO2換算値
次に、2016年度比39%の削減が求められている家庭部門に未利用の太陽熱利用を導入 することで見込まれるCO2排出量の削減量を試算し小結とする。
東北地域主要都市6つの、モデル建物を使ったシミュレーションによるCO2 削減量を 表4.3に示した。それぞれ1棟あたりの削減量である。令和2年8月末現在の住民基本台 帳人口及び世帯数によると、東北地域各県の世帯数は、青森県591千世帯、秋田県389千 世帯、岩手県526千世帯、山形県401千世帯、宮城県1,015千世帯、福島県788千世帯で ある。全世帯数の中には、マンション・アパートなどの集合住宅も含まれ、総務省統計局
「平成25年住宅・土地統計調査」によると、全世帯数における戸建住宅の割合は54.9% と報告されている。4寸勾配屋根面を利用するパッシブシステムが東北地域の全域に及ぶ と、そのCO2 削減量は、年間39.9t(CO2)に及ぶことを。表4.39に示す。
表4.3 東北地域において可能なCO2削減量(推計値)
全国地球温暖化防止活動推進センターによると2018年度、わが国の家庭からの CO2 排出量(世帯当たり、燃料種別)は、約4,150(kgCO2/世帯)とされている。4寸傾斜屋 根面を利用するパッシブシステムの東北地域における 1世帯当たりのCO2排出量の削減 量(推計)は、117(kgCO2/世帯)であった。パッシブシステム導入の1世帯当たりの
図4.39 家庭からのCO2排出量2018年度世帯当たり4-30)
CO2 削減量は、一般的な家庭から排出されるCO2排出量の約3%である。