Dendrite
6.4 パターン刺激中の応答特性
と表6.8のとおり、予備実験で得られた順位と同様な結果が得られた。変化率(Variations)
は(テスト刺激(post)/テスト刺激(pre))×100で求め、予備実験の結果(*)と比較した。
変化率はあくまでも各パターンでの2〜3件だけのデータによる平均となっておりまだ少な いが、パターン刺激による可塑的変化が存在することがなお示唆される結果となった。し たがってパターン刺激による可塑的変化の考えは、ある程度の妥当性を有する学習則とも 考えることができる。
こうしたシナプス可塑性のモデル構築では、学習曲線として用いた関数において、パラ メータの変更による変化の範囲内で実験結果に対応しうる可能性がある。これを明らかに するためには、パターン刺激中においてなにが変化率に影響したかを、生理学的知見もまじ えて明らかにする必要がある。また各パターンで平均するときれいな順位となるが、パター ン内での細胞による違いを見てみるとその値にはかなりのばらつきが生じている。ここで 用いた実験結果はテスト刺激の観察により問題ないと思われ、またパターン刺激中の際だっ た減衰や発火も起きていない。さらにパターン刺激後のテスト刺激(テスト刺激(post))の 間、線形に減弱するといった細胞の減衰傾向は見られていない。変化率の変化に貢献して いる可能性について、パターン刺激中の応答を分析しておく必要がある。追加実験での結 果を受けて、以上の点もふまえた検討を次節で行う。
350 350
300 300
250 250
200 200
150 150
100 100
50 50
0 0
EPSCs (No. 0 = 100%)
100 80
60 40
20 0
No. of Stimulus
pms.dat
図6.9: パターン刺激中の反応(正の相関のパターン刺激)
350 350
300 300
250 250
200 200
150 150
100 100
50 50
0 0
EPSCs (No. 0 = 100%)
100 80
60 40
20 0
No. of Stimulus
rms.dat
図6.10: パターン刺激中の反応(定常刺激)
350 350
300 300
250 250
200 200
150 150
100 100
50 50
0 0
EPSCs (No. 0 = 100%)
100 80
60 40
20 0
No. of Stimulus
nms.dat
図6.11: パターン刺激中の反応(負の相関のパターン刺激)
350 350
300 300
250 250
200 200
150 150
100 100
50 50
0 0
EPSCs (No. 0 = 100%)
100 80
60 40
20 0
No. of Stimulus
ums.dat
図6.12: パターン刺激中の反応(無相関のパターン刺激)
多いということが挙げられる。これは前にも検討したとおり、細胞の衰弱から起きるもの ではないと思われる。したがって、この原因としては一般的な考えとして前膜からの素量 放出数が減少した場合と、後膜において受容体の感受性が低下した場合とが想定される。
なお定常刺激については明らかに異なる傾向が現れているが、この刺激は平均頻度は同じ であるものの刺激間隔はすべて125msecであり、ここでは時間パターン刺激との比較は直 接は難しい。したがって、ここでは低下傾向がパターン列の相関には関係なく一定レベル で起きているものと考え、さらに細かい分析で各パターンの違いを検討する。なお定常刺 激については、ここでは急激な低下の起きていない2件を多数決により代表データと見な し、この後の検討で用いることとする。