か−−ゼ
第5節 考 察
本論文では花らいの肥大とは第1章で述べたごと〈,花序原基の増加に伴って側生花序が分枝を繰り返し,ま た各花序の先端近くが短縮化して花らいが大きくなる過程をさす.
第1節において,種子の低温処掛こより乗数の準少したカリフラワーの花らい肥大はやや抑制されたが,逆に 菓数のあまり減少しなかったブロソコリーの頂花らいの肥大はやや促進され,株あたりの側花らい垂も増加した.
カリフラワーとブロッコリーの花らい肥大はその乗数と密接な関係にあるとされている(188).この実験でカリ
■フラワーの場合は種子の低温処理により花成は促進され,花らい節位が低下して乗数が減少したため,花らいの
肥大がやや劣ったものと考えられるル ブロソコリーの頂花らい重と側花らい重のやや増加した理由については明 らかでないが,Cheng・Moore(11)はコラードについて低温処筆削こより花柄数の増加することを報告している ことから,ブロソコリーでも花柄(花序)数が増加したため花らい亜が大きくなったのではないかと考えられる.
香川(70)と加藤(83)は,カリフラワーあるいはブロソコリーが低温遭遇により花らいを形成するのに必要 な苗の最′トの大ききを報莞している.このように両そ菜は助期(juvenilephase)をもつため,は種後−・定の領 齢に達するまで低温に感応しない.幼期を過ぎたばかりですぐ低温に遭遇すると,両そ莱ともbuttoningと呼 ばれる著しく小さな花らいを形成することが報告されている(8,152)..また,幼期を過ぎて大筒になった後に低 温に遭遇して花らいを形成した場合でも,第2章に示したように発芽時に低温遭遇し,この影響が加わって著ら い節位が下がったような場合(37),あるいは摘薬処理をされた場合(70),′トさな花らいとなることが報告され ている… これらのことから,花らいの大きさは酋の生育とくに乗数の多少に大きく影響されることが考えられる.
花らい形成までの乗数の多いほど大きな花らいを着生することが報告されている(188)が,花らい肥大に及ぼす 花らい形成彼の茎葉の生育の影響は明らかでない.
第2節の実験結果から主としてカリ、フラワーについて,成熟時の花らい垂と出らい時の展開薬数との間に有意 な正の相関が認められ,ブロソコリーを用いた山崎(188)の結果と一・致した..また,花らい垂と花らい成熟時の 茎径及び総菜数との間に有意な正の相関が認められた巾 Salter(ユ38)と冤(77)はカリ■フラワーについて,高橋・
矢沢(158)はブロソコリーについて,花らい形成彼の茎葉の生育がおう盛な・ほど花らい亜が増加することを報告
している。Sadik(131)が示すように,カリフラワNの花らいは無数の花芽原基と異常に肥厚した側生花序とか らなっているので,このような花らいが急速に肥大するためにはおう盛な茎葉の生育が必要であると推察される.
本実験のブロソコリーにおいては,変温処理の期間が短かかったため処理区間で生育並びに花らい重にあまり 差がみられず,また処理区間を長くした試験を行っていないため,花らい肥大に及ぼす生育の影響は明らかでな かったい
また,花らい形成の早晩性が異なれば茎葉の生育の様相も異なるため,茎薬の生育と花らいの大きさとの関係 は変わる可能性があるu この′引こつき,加藤(83)は花らい形成時の生育のうち茎径と花らい韮との間に,相関
の認められる品種とそうでない品種のあることを報告している一.花らい形成後の生育について箆(77)は,花ら い形成の早晩性が異なるカリフラワーの数品種を用い,そのすべてについて地上部生体垂と花らい重との間に正 の相関が認められることを報告している。以上の結果から,少な・くともカリフラワーの早生種について花らいを 大きく肥大させるには,花らい形成までに兼数を十分に増加させておき,花らい形成後は植物体全体の生育をお
う盛にさせることが必要と考えられる.
花らい形成までに乗数を増加させるためには,育苗温度を高く保って花らい形成を抑えなければならない.カ
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りフラワー 野崎早生 については第2章に示したとおり,生育温度を15℃とすると30日後には花らいを形成する が,20℃あるいは25℃では花らいを形成しない..したがって, 野崎早生 の花らい形成を抑えるには20℃以上の
育苗温度で十分な乗数に増加するまで育てればよい..しかし,畳夜温をともに高〈保たなくても夜温の程度によ っては,畳温をより高く保ちさえすれば花らい形成を遅らせることを第2章に示した.
このような考えから,本実験で夜温を一・定にして畳温を変えてカリフラワーを育てた.その結果,第2章に示 したごとく畳温を高くした処理区ほど低温刺激の寄横は少なくなるため花らい形成時期は遅れ,高節位に花らい
を形成することが確認された.また,畳温を高くした処理区ほど花らい形成時の乗数は多くなっているため,花 らい重は増加することが認められた.そこで,花らいを大きく肥大させるためには昼夜温を高く保たなくても,
前述したごとく,畳温をより高く保てばよいことが実証された.
本実験において,変温処理中に花らい形成前期に達していた植物は,ほ場に定植した後正常な花らいを形成し た..しかし,処理期間中に花らいを形成せず定植後に花らいを形成した梱物の多くは,Jones・Rosa(66)の分 類によるfuzzyと1eafyの混在した異常花らいを発生した..
異常花らいの発生要因については不明な点が多いが,花らい形成直後に高温に遭遇すると1eafyの発生するこ とが報告されている(83)小 河野ら(91)は異常花らいの発生が比較的少ない 野崎早生 を用い,星夜の温度較差 の大きい春先に栽培するとfuzzyあるいはbuttoningが発生することを報告している..筆者(35)は,花らい形 成後に250ぁるいは30℃のような高温でカートフラワーを生育させると,fuzzyの発生することを既に報告してい
る.そこで,本実験で処理区によって異常花らいが多く発生したのは,夜温が低温であっても畳の毅高気温が,
例えば露地区で255℃とかなり高塩であったことが大きく影響していると考えられる..トンネル被覆区の最高 気温はさらに高くて375℃であり,異常花らいの発生は露地区に比べて著しく多かった.このことからも,定植 後の気温の高かったことが異常花らいの発生に大きく影響していると推察される..
ほ場へ定植後に花らいを形成したブロソコリーでは,異常花らいは発生しなかった..この原因は明らかでない が,ブロノコリーの花らいはカリ、フラワーと異なり,個々の花芽原基は形成後発菅を続けてがく片などの花器の
形成にいたり,花芽発育の停滞がみられない..そのためブロッコリーで昼,包兼の異常に発育した異常花らい であるftlZZy及び1eafyの発生がカリフラワーより少ないのではないかと考えられる.
本実験で定植前に既に花らいを形成していたカリフラワーでは,異常花らいの発生は認められなかった.これ は,花らい発育が進むほど形態形成の方向性が安定して,花芽発育の異常が起こらなかったためと考えられる.
この点について既に筆者(35)は,花芽発育段階を変えて高温に遭遇させた場合,花芽発育が進んでいるほど fuzzyの発生が減少することを報儀している..この点から,星夜温に較差の大きい春先に定植を行う作型では,
既に花らいを形成した大酋を定植する男が異常花らいの発生を軽減出来るのではないかと考えられる¶
カリフラワーの花らい肥大に及ぼす生育温度の影響について,香川(70)と加藤(83)はは種期試験の結果か ら,板早生種は約20℃,早生種は15℃前後の温度が花らいの肥大適温ではないかと推定している.しかしこれら の実験は自然状態で行われており,これらの温度が花らい形成及びその後の花らい肥大の両方に影響を及ばして
いるので,この推定には問題がある.
第3節の実験結果から, 野崎早生 の花らい肥大は花らい形成彼の生育温度の影響を受けることが示された.
花らい肥大は第2節で明らかにしたごとく,花らい成熟時の茎径及び総菜数と相関が認められる.しかし本実験 では,生育温度の異なる処理区間でそれらに差は認められなかったので,花らい肥大は生育温度の影響を受けた
と考えられる..
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本実験で調べた温度範囲では,生育温度15℃で花らい肥大はもっとも促進され,香川(70)と加藤(83)の結 果と…・致している.次いで200,100,50,250及び30℃の順に花らい肥大の劣ることが示された..生育温度50及び30
℃における花らい肥大は著しく劣ー),これらの温度が花らい肥大の下限及び上限ではないかと思われる..SalteI・
(138)はカリフラワーの早生種について,花らい肥大は生育期間中の日平均5℃以上の積算温度と深い関係のあ ることを指摘している.
以上のことから, 野崎早生 の花らい肥大の適温は第2牽で明らかにした花らい形成適温(150及び20℃)とほ ぼ等しく,花序原基が増加するには花らい形成後も引き続いてその温度に遭遇することが望ましいと推察される.
花らい肥大における花序煉基の増加と側生花序の肥厚及び分枝は密接な関係をもつと思われるが,このことにつ いての調査は行っていないため両者の関係は明らかでない.
スノータイ1一ン についても生育温度の異なる処理区間で花らい成熟時の茎径及び捻乗数に差は認められず,
花らい肥大は生育温度の影響を受けたと考えられる.本実験で調べた温度範囲では,生育温度20℃で花らい肥大 はもっとも促進され,香川(70)と加藤(83)の結果と−・致した.次いで,150,250及び30℃の順に花らい肥大 の劣ることが示された.
しかし, スノークイーン の生育温度150及び20℃における花らい肥大は,栽培時期により逆転することが示
された.つまり,実験1の春季実験においては15℃における花らい肥大が20℃の場合よりも促進されたが,秋季 実験にはその逆の結果となった..春季の場合には戸外の気温150−16℃に遭遇して花らいを形成しており,秋季の
場合には戸外の気温約21℃に遭遇して花らいを形成した.そこで スノークイーン の場合,花らいの肥大適温は 花らい形成までの生育温度の影響を受けてやや変化し,春季のように比較的低温で花らいを形成した時には,肥 大適温は多少低くなるのではないかと思われる.
実験2においては,戸外の比較的低温(100−12℃)で花らいを形成させたが,その後温度制御ガラス室の25℃
室に移して花らいを出らいするまで発育させ,さらにその後,生育温度を実験1の場合と同様にかえて生育させ た.この場合には生育温度20℃で花らい肥大はもっとも促進され,次いで15℃の順となった.このことは低温で 花らいを形成しても,その後ある期間高温で花らいが発育した場合には花らい肥大の適温は高くなることを示し
ている..
以上のことから, スノークイーン の花らい肥大の適温は第2章で明らかにした花らい形成適温(150及び20℃)
とほぼ等しく,花らい形成後も引き続いてその温度に遭遇することが花らい肥大に望ましいと推察される.
頂芽優勢に影響を及ばすいくつかの生長調節物質のうち,サイトカイニン(9,19,124),エセフォン(9,192),
ジベレリン(26),モルファクナン(95,165)及びTIBA(2,9)を用いて,種々の植物の分枝発育を制御し,実 際栽培に利用しよう とする試みがなされている.
第4節の実験結果から,ペンジルアデニン,エセ■フォン,モル、ファクナン及びTIBAの処理により,プロソコ リーの株あたりの側花らい重の増加することが示された.エセ1フォン処理の場合,側花らいの発育を促進したが
頂花らいを黄化させた..モルファクナン及びTIBA処軌こより側花らい重は増加したが,ベンジルアデニン処理 による側花らい重の増加程度がもっとも大きかった.なおペンジルアデニンは高濃度で処理するほど,側花らい 重の増加することが示された..また,ペンジルアデニンは高濃度でも頂花らいの発育を抑制することはなかった.
Palevitch・Pressman(121,122)は摘しんすることによりブロソコ))−の側花らい収量の増加することを報告 しているが,本実験結果より出らい時にベンジルアデニンを処理することにより,頂花らいの発育を抑制するこ
となく側花らい収量の増加することが認められた.