第4章 異常花らいの発生条件
第2節 温度制御条件下における異常花らいの発生
本節では,花らいを形成したカリ■フラワ1−をその後温度制御条件下で育て,異常花らい発生に及ぼす生育温度
の影響を調べた(第1項)。異常花らいのうち,blindnessは0℃前後の温度に長期間遭遇すると発生すると考え られたので,長期間の低温処理を行った後ガラス温室で育て,blindness発生に及ぼす低温条件を調べた(第2 項).小さな花らいに大型の小包菓が形成されてfuzzinessになると,leafy headsによく似た形態となること がある.そこで,fuzzinessとなった個体を温度制御条件下で育て,小包葉の発育に及ぼす生育温度み影響を調 べた(第3項).
第1項 Fuzziness,leafiness及びriciness野生に及ぼす温度の影響 枚早生種の スノータイ・−ン と早生種の 野崎早生 を用い,花らい形成後に花らいの発育時期を変えて温度制 御条件下へ移して生育させ,異常花らいの発生に及ぼす生育温度の影響を調べた.
材料及び方法
供試材料及び処理方法は,第3章・第3節の実験と同じとし,異常花らいの発生について調査した.発生した 異瑞花らいの形態を肉眼及び接写撮影して観察すると共に,必要に応じて第1車・第3節で述べた方法で試料を 作成して,SEMを用いて観察した.異常花らいの異常程度を,花らい中に少しでも異儒がある(±),花らい表 面積の1/3の部分に具備が散在している(+)及び花らい表面積の1/2以上の部分に異常が散在している(十+)
の3段階にわけた.
結 果
春季実験. スノークイーン を花らい形成期と推定される時期−Aより15℃で育てると全個体の花らいがric・
inessとなりその異常程度は++であった(第37表).生育温度20℃の場合,2個体はricinessとなったが,その TabIe37OccurTenCeOfabnormalcurdswhencauliflowersofdifferentflor・alstageswere
grown at varioustemperatureS(springexperiment)
Treatment No.ofplants wlth
Total no Of plants Cultivar Plot● Temperature
℃ extent
Slight medium severe
extent Slight medium severe
0 爪V ∧V O
IO
Snow Queen
7 4
6 4
7 4
4 6
l 1 2 ▲nV 0 <U O O
Nozaki・・WaSe 1 2 2 3 5 0 5 0
Plants which had been grown in field were transferred to temperaturecontrolled conditions at the stage when curd formation seemed toto
have keninduced(A)or whenthe curd tx:Camevisible(B)The temI光rature duringthe p巳riod forind11Cing curd formationin fieldis Seenin Fig44
異常程度は十であり,残りの8個体は正常な花らいとなった.生育温度25℃では仝個体が正儒な花らいとなった.
生育温度30℃の場合,全個体がfuzzinessとなり,その異常程度は+十であった. スノークイーン を出らい時
ー83一
期−Bより温度制御条件下へ移して生育させると,どの生育温度においても仝個体7=r・icinessが発生した. スノ ークイーン を戸外においた4月21日から処理時期−A(5月4日)までの最低気温は57℃であり,その後処理 時期−B(5月15日)までの最低気温は89℃であった(第44区l).
0 2 0
P♂Jn嵩h鼠∈む︶上<
20 25 30 5 10 15 20 25 30 ApIil May
Fig 44 Change of air temperature in outdoor of spr.ing
野崎早生 を処理時期−Aより15℃で育てると,全個体が正儒は花らいを形成した.生育温度20℃及び25℃の 場合,3個体は正常な花らいとなったが,残りの7個体にfuzzilleSSが発生してその異常程度は±あるいは十で
あった.生育塩度30℃では全個体がfuzzinessとなり,その異常程度はすべて++であった…処理時期hBより 温度制御条件下へ移して生育させた場合,各生育湿度における異常花らいの発生する傾向は,処理時期−Aから 生育温度を変えた場合とほぼ同じであったが,花らいの異常程度はやや低下した
以上のごとく,両品種とも花らい形成後まもなくあるいは花らいが肉眼でみられる頃から,花らいが正常に発 育する温度より低い温度に遭遇すると花らいはricinessにな・るのに対し,逆により高温に遭遇するとfuzziness
となった.なお,ricirleSSについては生育温度が低くなるほど,fuzzinessについては生育温度が高くなるほど,
それぞれの具備花らいの異儒程度は増大した.. スノークイーン については明らかでなかったが, 野崎早生 に ついては花らい発育が進んでいれば,同じように高い生育温度においてもfuzzinessの異常程度が低下する傾向 が認められた…
正常花らいでは花芽原基の形成しか認められない(第43図−b)のに対し,ricinessとなった花らいではその 周辺部の花芽ほど異常に発育し(第43図一1),がく片,雄ずい及び雌ずいを形成すると共に′ト花柄が伸長して いた(第45図−a)い fuzzinessとなった花らいでは,花芽原基の外側に正常花らいには認められない小包菓が形 成され,花芽原基を保護するように伸長していた(第45区トb).
秋季実験.. スノータイ【ン を花らい形成前期(時期−A)より生育温度15℃で育てると全個体の花らいにTic・
inessが発生した(異常程度十+)が,20℃ではほとんどが正常な花らいとなった(第38表).生育温度25℃及び30
℃ではfuzzinessが発生し,25℃での異常程度は±であったが,30℃での異常程度は++であった. スノークイ ーン を花らい形成中期(時期−B)より温度制御条件下へ移して生育させた場合,各生育温度において異常花ら いの発生する傾向は処理時期−Aよf)移した場合とほぼ同じであったが,その異常程度は低下していた. 野崎早
生 を処理時期−Aより生育温度5℃で生育させると,処理開始後の5か月目の3月3日に3個体は正常な花ら いとなったが残りの9個体はricinessとなった.生育温度10℃及び15℃では全個体が正常な花らいとなった.生
∬ 84 一
Fig45Scanningelectronmicrographsofriceyandfuzzycurds(cv・ Snow Queen )a=Exceed−
inglydevelopedflowerbudsofriceycurdsoccurTedat15℃,Showingdevelopedsepals・StamenS andapistilb:Centralportionofafuzzyheadoccurredat30℃
Table38OccurrenCe Of abnormalcurds when cauliflowersofdiffer entfloralstageswere grownatvar・ioustemperatures(autumnexperiment)
No.of plantswith Treatment
Total no Of plants Cultivar PIot. Temperature
℃ Slight medium severe extent
extent Slight meditm severe
2 0 2 2 12 5 0 5 <U 1 2 2 3 2 2 2 2 1 1 1 1
5 0 5 0
1 2 2 3
4 8
2 つん ∧U nV O O
5 0 5 0 5 <U l 1 2 2 3
8 2
Nozaki−WaSe 5 0 5 0 5 ∧=V l 1 2 2 3 2 2 0 0 <U O
● Plantswhichhadt光engrOWninfield,WeretranSferredtotemperature・COntrOuedconditionsatthestagewhenshootapeXreaChedtheear・
lycurd・formingstage(A)orwhenitdidtheintermediatectu・d・fomingstage(B)ThetemI光ratureduringtheperiodforinducingcurd fomationinfieldis seeninFig 46
育温度20℃,25℃及び30℃では全個体にfuzzinessが発生し,生育温度の高くなるほどその異常程度は増大した…
処理時期−Bより生育温度5℃あるいは10℃で育てると、処理開始後それぞれ3あるいは2か月目にricinessが 発生した.処理時期一Bより温度処理を始めた場合,各温度における異常花らいの発生する傾Ir】」は処馴寺耕一A の場合とほぼ同じであったが,その異儒程度は低下していた.
以上のごと〈,両品種とも花らい形成前期あるいは花らい形成中期から,正常な花▲らいを形成する温度より低
い温度に遭遇すると,ricinessとなるのに対し,逆に高温に遭遇するとfuzzinessとなった.また,riciness に ついては生育温度が更に低くなるほど,fuzzinessについては生育温度が更に高くなるほと,それぞれの異常花 らいの異常程度は増大した.両品種について,花らい発育が進むほど同じ生育温度においても fuzziness 及び
−85 −
ricinessの異儒程度の減少する傾向が認められた.両品種の個体を戸外において生育させた期間の気温の変化を 第46区】に示した.
0 2
P.巴ヨ巴諷ぎ属h叫く
Fig 46Change Of air temperaturein outdoor of autumn
野崎早生,を処理時期→Aより生育温度30℃で育てると,第47図に示すような庖菓が著しく発育したfuzziness が発生した… この花らいでは各花芽原基を掩いて小包菓が発育すると共に,花らいを構成する比較的高次分枝の
包兼が発育しており,後名の包薬の発生の少ないもの(第47図−a)から著しいもの(第47図−b)までかなりの 変異が認められた一.後者の包薬の形態は輩状脈で無葉柄,菓緑iこ切れ込みはなく,花らい成熟まで白色であり,
形態の上からは小包発との区別は困難であり,本実験ではこれらの異常花らいをfuzzy headsと判定した.
Fig47Smallfuzzyheadsく)CCurTedat30℃,Showingbracteolesandbractswelldeveloped,CV No−
zaki−WaSe,a:A solid head b:Aloose head
−86一
第2項 blindnessの発生に及ぼす温度の影響
カ))1フラワーが低塩に長期間遭遇すると,blindnessとなることが報告されている(105,153)が,その低温程
度及び経過期間については明らかでない.本項では,これらの.責を明らかにするため早晩性の異なる2品種を用 い,期間を変えて低温処理した後かラス温室で生育させ,blindness発生の有無を調べた.
材料及び方法
スノークイーン と 野崎早生 の催芽種子を,1977年3月14日には種箱へは種し,最低気温を25℃に保ったガ ラス温室で育苗した. スノークイ・一ン の展開菜が7−・8枚になった4月24日, 野崎早生 の展開葉が10枚にな った5月4日,それぞれ10個体について花芽発育段階を調べると共に,更にそれぞれの72個体を−20〜0℃に保 った定温器(人工照明,1,000ルノクス,14時間日長)へ移して0日,15日,30日及び45日間の低温処理を始めた.
各低塩処理終了時に定温器から24個体を搬出し,その半数を戸外へ,残りの半数を元の温室にもどして30日間生 育させ,blindnessの発生を調べた.ただし, スノークイーン については低塩処理中に凍結して生育不良とな る個体が多かったため,温室へ移す区を設けず仝個体を戸外へ移した.
結 果
スノークイーン を45E]間低塩処理しても,blindnessは発生しなかった(第39表)い 野崎早生 の場合,
TabIe39Effcts oflow temperature treatment andlatergrowingconditiononoccurrence of blindness and floral development
Later+ No of plants No. of plants Treatment Totalno
grOWlng
days of plants
Cultivar growlng with Floralstages=
COndition 〉 ̄Y.  ̄ ̄TY blindness o 1 2 3
O Greenhouse 15 0utdoor 30 Outdoor 45 0utdoor
2 2 8 4
1
Snow Queen
O Greenhouse 15 GrIeenhouse 30 Greenl10uSe 45 Greenhouse
2 6 9 6
1
23一741
Nozaki−WaSe
15 0utdoor 30 0utdoor 45 Outdoor
■ Plants with eightleaves were grown at−20−0℃for O to45days,andthen half of plantS WerIe tranS・
ferTed to a gT−eenhouse(minimumnight temper・ature Of25℃)and another・half transferT・ed to outdoor・Of late spring
暮● Refer to Table31
処理を長くしてもその後温室で生育させると,約半数が花らいを分化しなかったい 野崎早生 を30日間処理し,
その後戸外で生育させた場合にだけ,blindnessが1個体発生した
第3項 fuzzinessとIeafinessの差異
fuzzinessとなった花らいではその表面から′ト包葉が突き出ており,d方,1eafinessでは花らい内部よ,)大型 で緑色の包菓が仲良している.第1項において,花らい形成彼の生育温度をかなり高くすると,′トさな花らいに 比較的大型の小包菓をもつfuzzinessが発生し,1eafinessとかなりよく似た形態を示したい