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4 サーフェスモータの最適 設計

本章では,本研究におけるサーフェスモータの設計方針についての説明を行う。

本研究で最適設計の対象として用いたサーフェスモータについて述べる。そして,

サーフェスモータにおける,単一目的最適設計問題についての設計方針,多目的 最適設計問題についての設計方針について述べる。

第4章 サーフェスモータの最適設計 30

back iron

stator mover ball bearing

magnet permanent glass board

yoke electro magnet

図4.1: サーフェスモータの構造

4.1.2 SFM の動作原理

サーフェスモータの動作原理を説明する。図4.2はサーフェスモータを横から見た図で ある。ステータ側の励磁巻線に電流を流し磁極を制御することにより,ムーバに設置され ている永久磁石を引き付けることにより駆動する機構である。これによりムーバが移動し,

ステータの真上に位置すると停止する。この動作を繰り返しステータの励磁箇所を変化さ せることにより,図4.3のような直進動作や,図4.4のような回転動作が可能になり平面上 を自由に動作することが可能となっている。

4.1.3 SFM の選択理由

本研究では,サーフェスモータにおいて従来の熟練設計者が設計した形状を上回る性能 をもつ形状を求めると共に,それにより構築した設計システムの有用性を証明することが 大きな目的となっている。そのため,設計対象については構築した設計システムの有用性 をより証明できる対象であることが望ましい。そこで本研究では,下記の点に着目し対象 の選択を行った。

第4章 サーフェスモータの最適設計 31

S

N S

mover

stator

25[mm]

5[mm]

thrust

End position

Start position

attractive force

図4.2: サーフェスモータの動作原理

F

図4.3: 直進動作

F

図4.4: 回転動作

1 最適設計システムにより求めた解の実行可能性

実際の設計問題を数理モデル化した際に乖離が生じている場合や,シミュレータの 精度が低い場合,最適設計システムにより求めた解の実行可能性が十分でない場合 が生じる。そのため,解を得ても実対象への適用が意味を成さなくなる。本研究で 用いる電磁界解析シミュレータは精度においても問題はなく,またモデルとしても 実行可能性は十分であるといえる。

第4章 サーフェスモータの最適設計 32

2 設計変数の数

設計変数が少ない場合,実用時間内で従来の熟練者による試行錯誤により最適な形状 を得ることが可能となるため,最適設計システムを用いる必要性がなくなる。サー フェスモータはムーバ,ステータ,及びギャップ長など設計箇所が様々に存在し,ま たその設計箇所を細かく設計する必要があるため,十分満要件を満たしていると考 えられる。

3 シミュレーションにおける計測時間

サーフェスモータは,パソコンの性能にもよるが一回のシミュレーションに5分以 上の時間を要する。モータ汎用最適設計システムにおける「電磁界解析シミュレー タからの評価値情報を用いてメタヒューリスティクスにより最適化を行う方法」を 使うとなると,シミュレータの呼び出しが2000回程度必要があり,その場合だと大 幅な時間を要してしまう。そのため,「電磁界解析シミュレータの評価値情報から構 築した数理モデルにおいてメタヒューリスティクスを行う方法」が有効であると考 えた。

4 問題構造の形状

実際の設計問題の問題構造は最適な形状が一つであるような単峰性ではなく,似た ような性能を持つ形状が多数存在する多峰性となっている。本研究で構築した最適 設計システムは,汎用性の一つとして複雑な多峰性を持つ設計問題への適用を目指 している。そのため,多峰性でるSFMを対象とした。また,SFMにおいては,実 際に問題構造が多峰性になっているかの検証を行った。この検証については,付録 Aにおいて説明する。

4.2 単一目的最適設計問題においてのサーフェスモータの設