ゆ 爺
のロ
茶筒のような形を円桟ひのき笠のような形を円すいとい5。
月 、円
1懸 ・ 、ノ
図3.1.具体物の建築物と円柱・円錐
また、平面図形は「㎎ 私たちの衣服」といった単元で取り上げられている。
ここでは、日常の色々な現象から数・量・形の概念を抽出することによって、現 象を考察・処理する能力を養ったり、具体物をもとにしていろいろな立体を観察
させ、既習の立体図形に関する概念を整理させることが目標になっている。しか し、例えば、 「可 私たちの衣服」の中の「1 布地の選択」や「2 衣服の仕 立」などのように、布地や模様が教材になったり、 「自分の寸法で、ズボンの型 紙を作れ」といったような問題が提出されたりと、何を目指して指導してよいか 定まらなかったり、数学の内容としてとらえにくい単元があった(A社も同様)。
図3.2. 布地の模様とズボンの型紙
さらに、このときの中学校の図形教材を戦前の教科書と比べたとき、その大部 分が小学校の青表紙(昭和16年)の教科書に出てくるものであり、教育内容のレベ ル低下が指摘されることになった(石谷茂,1955)。
昭和30年代になると、この生活単元学習の批判が起こってきた。すなわち、生 活単元学習は、生活経験に振り回されて数学に昇華することが出来ないものであ り、数学の系統性や論理性が見失われ、指導の焦点が曖昧になるという批判であ る。そして、学力調査の結果からも生徒の基礎学力の低下が指摘され、基礎学力 の向上を図るためにも系統学習が必要になってきたのである。
(2) 昭和33年から43年までの系統学習の時代
昭和33年の小学校・中学校学習指導要領改訂では、それまでの数学の基礎学力 の著しい低下が指摘されそれを裏づける学力調査の結果から、学力の向上を図る
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ために系統性や論理性重視となり、多くの学習内容が新たに盛り込まれることと なった。新指導要領実施後の教科書として昭和40年のA社を例にとってみると、
図形に関しては、 「図形の基礎」・「平面の図形」・「空間の図形」の3つの単 元から構成されている。その中の「図形の基礎」では図形の移動や基本作図が、
「平面の図形」では三角形や四角形の相互関係や直線や平面の位置関係がそれぞ れ中心になり、 「空間の図形」では柱体・錐体と回転体の指導の他、新しく投影 図が盛り込まれることとなった。これは、小学校4年で、立方体や直方体などの 展開図をかくことを学習し、小学校6年で簡単な投影図における立面図や平面図 を読むことを学習しているので、中学校1年では、さらに投影図を立面図・平面 図・側面図の3方向から多角的に立体図形を見ることを強調したものである。そ して、基本作図が新しく入り、平面図形と空間図形の関連づけがなされている。
また、いままで中学校3年で扱われていた回転体や面対称が、この改訂以後中学 校1年で扱われるようになり、平面図形の移動(回転・対称)から空間図形の構 成(回転体等)や直線と平面の位置関係及び面対称などが取り入れられた。そし て、中学校2年から平行線や三角形についての論証が導入され、中学校3年では 円・三平方の定理・三角比になった。
(3) 昭和44年から51年までの教育現代化の時代
昭和43・44年に小学校・中学校の学習指導要領が改訂された。この時代は数学 教育の現代化と呼ばれ、小学校の算数に集合・関数・確率が導入された。図形に 関しては、小学校4年で「空間での平行や垂直」という教材が導入された。中学 校では、1年生で「三角形の合同条件」、2年生で「合同変換・相似変換の考 え」、3年生で「位相的な見方」が加わった。したがって、中学校1年では、図 形の平行・対称・回転の移動によって図形の性質や関係を考えさせ、直観的な見 方や考え方を伸ばすだけにとどまり、投影図が削除された。そして、平行線の性 質や三角形の合同条件という図形の論証、すなわち図形の性質を演繹的に推論す ることを第1学年から導入してい筍。中学校2年では、図形を点の集合と見て、
図形の合同・相似における変換の考えで統一している。中学校3年については、
平面図形や空間図形の直観的な見通しをもたせたり論理的に考察させたりすると ともに、位相の考えを取り入れることによって、図形についての新しい性質を見 いださせようとしている。しかし、中学校3年の「図形の位相的な見方」は、図 形教育においては発展性や応用性に乏しいことから、中学校の図形教育には適さ ないのではないかと思える。
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(4) 昭和52年から63年までの基礎・基本の時代
教育の現代化がスローガンとなった昭和43・44年の小学校・中学校学習指導要 領改訂では、子供の現実を見ずに「見切り発車」や「落ちこぼれ」などの現象が 多く見られた。このことを反省して、昭和52年の小学校・中学校学習指導要領改 訂では、基礎・基本が重視された。つまり、 「内容が多すぎる詰め込み主義」か
ら「ゆとりと充実」をめざし、44年改訂で導入された新しい教材がほとんど削除 され、内容の再検討がなされたのである。そして小学校との関連を含めて図形指 導の系統が明確になり、第1学年では操作的活動や直観的な取り扱いが重要視さ れ、立体の切断や投影及び展開が昭和33年以降のときとは内容を変えて取り上げ
られることとなった。第2学年では、論証的な取り扱いの教材が配置され、三角 形の合同が第1学年より移された。第3学年では、三平方の定理、相似の応用と しての高さや距離の測定、相似比と面積比・体積比など、図形の計量に関する性 質を取り扱うこどになる。その第1学年の操作的活動として「平面図形の運動に
よる空間図形の構成」と「空間図形の切断・投影および展開」が採用されている。
(5) 平成元年以降の時代
平成元年の中学校学習指導要領改訂では、自ら学ぶ意欲と国際化・情報化など の社会の変化に対応できる能力の育成を図るとともに、個性を生かす教育の充実 をねらいとしている。中学校では、平面図形に作図・移動・点の集合の3つがそ ろい、空間図形に関する内容では、 「直線や平面の位置関係」・「平面図形の運 動による空間図形の構成(回転体など)」 ・「空間図形の切断、投影及び展開」
であるが、52年の改訂とほぼ同じ流れをくみ大きな変更はなかった。ただし、立 体の切断は52年の改訂のときは直方体や正四面体や正三角柱などの例があったが、
この改訂以後、立方体の例が多くなり、相対的にやさしくなってきている。そし て、立体の切断や展開図や投影図をコンピュータ等でのシミュレーションするC AI授業を目指している指導書もあった。そして具体的な操作や実験などを通し て、生徒に直観的な見方や考え方を深めようとしているのである。特に、第1学 年の指導を、第2学年以降の論証指導の基礎を培う段階と位置づけており、操作 的、直観的な考察の中に、どのようにして論理的な考察を取り入れるかが課題で
ある。
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1.2.中学校における空間図形教育
前節において戦後の中学校における空間図形教育の歴史について概観した。そ して、空間図形に関する指導は、中学校1年から3年までを通して行われるもの であるが、現在空間図形の内容そのものが学習指導要領に示されているのは第1 学年だけである。その空間図形の指導が直観的操作的な取り扱いだけで終わると すれば、生徒は空間概念の構成化ができないまま、空間図形が系統的に出てくる 高等学校の選択教科である数Bの「ベクトル」にたよらなければいけないのであ
る。そうならないように、中学校の第1学年で学習した空間図形の性質を第2学 年以降いろいろな場面で応用することや、第1学年で空間図形を学習するとき可 能な範囲で筋道を立てて考えさせることは、空間図形についての知識や技能を応 用する能力を育てる上にも大切である。ところが、第2章1節でも述べたように、
現行の指導要領下では指導者によって指導内容や指導方法にさまざまな様相が見 られ、しかも、第2学年と第3学年の学習内容の関連がうすいため、消極的な指 導のままになっている問題点がある。しかし、消極的な指導のままで終わらない ようにするには、第1学年の空間図形の指導を、第2・3学年につなげる指導が 大切なのである。そして、中学校における系統的な空間図形教育を考察すること が必要なのである。その1っの教材として立体の切断を考える。例えば、立方体
を切断するとき、 「切断面が正三角形になる場合があるのか」、 「またその切断 面が正三角形になる根拠は何か」、 「切断面が平行四辺形になる場合があるの か」などを生徒に考えさせて説明させることは、2年生の論証の準備につながる であろう。そのような立体の切断が現在の中学校の空間図形教育に取り入れられ てきたその意義と目的を明らかにするために、戦後の中学校教科書の立体の切断 教材の歴史的な変遷を次節で述べる。
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