• 検索結果がありません。

2.MLC2006のための ROについて

(1)導入の見込み

・検査及び証書発給について導入の予定。

・従来のIMO条約の下で導入しているのと同様のスタイルである。

(2)資格要件・手続き

・ROとしては船級協会を想定している。

・外国船級協会も対象とする。

・中立性要件も盛り込む予定である。

・検査員の資格要件については、MLC2006に規定された要件で十分である。

(3)権限・義務

・ROは、MLC2006に基づく検査及び証書発給について実施する権限を与え

られる予定である。

・当局による監督(後述)を受け入れなければならない。

【権限機関の分業体制】

・MLC2006及びIMO関連条約に係る検査・証書発給についての最終的な責

任は、IVW(原語Inspectie Verkeer en Waterstaat;英語Transport and Water  Management Inspectorate)が負っている。

・オランダ籍船への検査実施については、IVW の一部門である  NSI(the  Netherlands Shipping Inspectorate)が権限を有している。

・RO の利用に関しては、NSI が RO と協定を締結し、検査・証書発給権限 を委任するが、その業務はあくまでIVWのための代行業務と位置付けら れている。

(4)当局による監督

・当局は、RO への立入検査・船上検査への立ち会いなど、不定期監査を実 施する。また RO のデータベースにアクセスし、業務手続きをチェックす る。

・事実上、違反ということは生じないと考えている。違反があるとしても、

それは通常法令解釈の相違であることから、従来は協議によって問題を解 決してきた。

・理論的には違反ということもありえることから、認定の取消しという措置 も準備するかもしれないが、通常はそういう事態は生じないと考える。

3.その他MLC2006の国内実施について

(1)エンターテーナーの扱い(MLC2006 第2条第 1項(f)関係)

・船員に含める。

・ただし、この問題はソーシャル・パートナーと協議の上決定する。

(2)船員の募集及び職業紹介機関の確認方法(第1.4規則関係)

・ 「旗国検査ガイドライン」に則って行う。それ以上の詳細は未定。

(3)船長への労働時間規制(第2.3基準(規範 A)関係)

・船長も適用対象とする。

・緊急事態においては、すべての船員が“長さの如何を問わず従事する”こ とが求められる。

(4)苦情受付窓口(第5.2.2規則関係)

・PSC担当官が窓口となる。

(5)ISMコードとの関係性(第5.1.3規則関係)

・ISM船上検証はMLC2006船上検査によって部分的にカバーされうるため、

重複項目について二度検査を行う必要はない。

・ISM船上検証とMLC2006船上検査との同時実施は効率的で良い考えで ある。

4.SOLAS条約等における認定機関について

(1)認定機関の利用状況

条約 条約証書 検査 発給 

MARPOL (I)  国際油汚染防止証書IOPPC 

旅客船安全証書PSSC  貨物船安全構造証書CSSCC  貨物船安全設備証書CSSEC  SOLAS (I) 

貨物船安全無線証書CSSRC  適合証書DOC 

SOLAS (IX) 

安全管理証書SMC 

ABS,  BV,  DNV, 

GL,  LR,  NK,  RINA  ABS, BV, GL, 

LR, NK: 

Verification Ship  Security  DNV: 

Review and  approval of ship 

security plans,  shipboard initial,  intermediate and  renewal survey 

to verify  implementation 

of the security  system 

* 2010年5月の現地調査において確認。

(2)関連法令

・1(2)国内担保法に同じ

5.統計

(1)MLC2006条約証書対象船舶:約820隻

【船種別内訳】 

Liquified Gas Tanker  15 

Bulk carrier  0 

RO­RO Cargo  15 

Oil Tanker  4 

Chemical Tanker  60 

Wood Chips Carrier  0 

Cable Layer  0 

Ref. Cargo Ship  10 

General Cargo  575 

Others  141 

Total  820 

(2)自国籍船員数:2,621名(2007年時点)

(3)船員労務官:0名(IVW技官45名で適宜対応;内、5名を MLC2006担当

に指名予定)

(4)船上検査頻度:年間220隻

Ⅴ.ノルウェー

ノルウェー海事局及び貿易・産業省より聴取した内容は以下のとおり。

1.MLC2006の批准について

(1)批准時期

・同国は2009年 2月 9日に批准している。

【早期批准の理由】

・批准が早ければ早いほど、船主には  MLC2006 発効に備える時間ができる と考えたから。ソーシャル・パートナー(船主協会、組合等)もその旨、

同意した。

・なお、MLC2006 の批准を議会にかけた際(2008 年 12 月)、時期尚早であ ると主張した議員がわずかにいたのも事実である。

(2)国内担保法

・ MLC2006の国内実施には、 Seamen’s Act (1975年法律第18号) 及びShip Safety  and Security Act(2007年法律第9号)が最も関係が深く、加えて、National  Insurance Act 及びSeafarer’s Pensions Act も関係する。従って、主としてこ れら4つの法改正を行った。

・但し、これらはほとんど授権規定であるため、MLC2006の国内的実施のた めには詳細を規定する行政規則を制定する必要がある。当該行政規則につ いては目下検討中である。

・同国は、ILO 第 178 号条約(1996 年採択、2000 年発効)を 1999 年に批准 しているため、その実施法制がMLC2006実施の基礎となる。

訪問先  Norwegian Maritime Directorate(ノルウェー海事局) 

­ Mr. Haakon Strhaug (Senior Adviser) 

­ Ms. Unn Caroline Lem (Senior Legal Adviser)  訪問日  2010年3 月16日

訪問先  Ministry of Trade and Industry(貿易・産業省) 

­ Mr. Terje Hernes Pettersen (Senior Adviser)  訪問日  2010年3 月17日

【MLC2006に関連する国内法令】

法律 ・Seamen's Act 1975(船員法)

・Norwegian International Ship Register Act 1987 

・Social Security Act 1997 

・Food Production and Safety Act 2003 

・Labour Market Act 2004 

・Ship Safety and Security Act 2007(船舶安全保安法)

規則 ・Regulation  concerning  the  Accommodation  and  Catering  Service  on  Ships 1992 

・Regulation concerning leave of absence in connection with pregnancy,  childbirth, or adoption, etc. 1995 

・Regulation concerning medical supplies on ships 2001 

・Regulation concerning the medical examination of employees on ships  2001 

・Regulation  concerning  work  by  and  placement  of  young  people  on  Norwegian ships 2002 

・Regulation concerning qualification requirements and certificate rights  for  personnel  on  board  Norwegian  ships,  fishing  vessels  and  mobile  offshore units 2003 

・Regulation  concerning  the  working  environment,  health  and  safety  of  workers on board ship 2005 

・Regulation  concerning  guarantee  for  social  security  entitlements  for  employees on Norwegian ships 2005 

・Regulation  concerning  guarantee  of  remuneration  for  work  and  of  passage  home  for  employees  on  ships  registered  in  the  Norwegian  International Ship Register 2005 

・Regulation concerning hours of work and rest on Norwegian Passenger  and Cargo Ships etc. 2007 

2.MLC2006のための ROについて

(1)導入の見込み

・導入する。

・IMO条約の下で既に ROとして活動している船級協会(DNV、LR、ABS、 

GL、BV)がMLC2006のためのROとなる見込みである。

【導入の理由】

・海事関係者には、国際航海に従事する船舶は、元来、船級協会が扱う船舶 という認識が共通してある。それ故、当該船舶を扱うための人員及び予算 を当局は当初から用意していない。

(2)資格要件・手続き

・同国独自の資格要件は、法令上は存在しない。EU法に依拠している。

・従来、船級協会は、当局と書面で業務等について合意の上、RO となる。

なお、MLC2006に関しては、既存の合意文書にMLC2006に関する業務等 を追記するのみである。

【法令】 

Regulation  of  15  June  1987  No.  506  concerning  Survey  for  the  Issue  of  Certificates  to  Passenger  Ships,  Cargo  Ships  and  Lighters,  and  concerning  other Surveys, etc. 

§5: Requirements pertaining to recognized classification societies, etc. 

第5条 認定船級協会にかかる要件 

Annex  XIII  of  the  EEA  Agreement  (Directive  94/57/EC  as  amended  by  Directive  97/58/EC,  Directive  2001/105/EC  and  Directive  2002/84/EC)  on  common rules and standards for ship inspection and survey organizations and  the  relevant  activities  of  maritime  administrations  shall  apply  as  regulations  with amendments and additions pursuant to Protocol 1 to the Agreement, and  the Agreement as a whole. 

「海事当局の関連活動及び船舶検査機関についての共通ルール及び基 準に関するEEA協定附属書XIIIは、当該協定の第1議定書に基づく修 正及び追加並びに当該協定全体とともに規則として適用するものとす る。」

(3)権限・義務

・ROは、MLC2006の第5.1.3基準(規範 A)に関する権限が付与される。

・ROは、第5.1.2規則及び第5.1.2基準(規範 A)並びに第5.1.2ガイドライ

ン(規範B)を遵守しなければならない。

(4)当局による監督

・NMDは、ROに対して監査を実施する。

・監査では、ROが合意文書に基づく代行権限の行使について、第5.1.2規則 及び第 5.1.2 基準(規範 A)並びに第 5.1.2 ガイドライン(規範 B)を遵守 しているか、また、「旗国検査ガイドライン」に則っているかを検証する。

・また、NMDは、ROに検査等が委託されている船舶についても事前通告な し監査を実施する。

・なお、これまでにROが何らかの法令不遵守を犯したことはない。

3.その他MLC2006の国内実施について

(1)エンターテーナーの扱い(MLC2006 第2条第 1項(f)関係)

・短期乗船のエンターテーナーも含む。これは、ITCの訓練コース(2009年  2月受講)で示された解釈に従うものと考えている。

【ITC訓練コース】 

ITC: International Training Centre(1964年設置、トリノ) 

“Training  of  trainers  and  maritime  inspectors on  the  application  of  the  ILO  Maritime Labour Convention, 2006” 

【開催実績・予定】 

2009年2 月16日~2月27日、9 月14日~25日、12月 7日~18日  2010年2 月15日~26日、6 月21日~7月 2 日、8月30日~9月10日、 

12月6日~17日

【その他、船員の範囲に関する事案】

・石油など海底資源の採掘に関わる科学者等の扱いについて、今後、議論を 詰めていかなければならない。

・その他、個別の事案は労働協約で解決されるものと考えている。

(2)船員の募集及び職業紹介機関の確認方法(第1.4規則関係)

・ 「旗国検査ガイドライン」に則って行う。それ以上の詳細は未定。

(3)船長への労働時間規制(第2.3基準(規範 A)関係)

・適用除外としない。船長も船員であること、事故の原因の多くが船員の疲 労にあることを強く認識しており、 MLC2006 もその認識に基づいていると 考えている。

・従って、第2.3基準(規範 A)第13項の規定の利用は、認めるとしても極 めて制限的である。

【第2.3基準(規範 A)第13項】

5及び6の規定は、 定められた限度の例外を認める団体交渉協約につい て権限のある機関が承認し、 又は登録するための国内法令又は手続を加 盟国が有することを妨げるものではない。この例外については、この基 準の規定にできる限り従うものとし、そうでない場合には、当直を担当 する船員又は短航海に従事する船舶で労働する船員に対し一層頻繁な 若しくは一層長期の休暇又は補償休暇の付与を考慮することができる。

【同第5項】

労働時間又は休息時間の限度は、次のとおりとする。 

(a) 最長労働時間は、次の時間を超えないものとする。 

(ⅰ) 24時間につき14時間  (ⅱ) 7日間につき72時間 

(b) 最短休息時間は、次の時間を下回らないものとする。 

(ⅰ) 24時間につき10時間  (ⅱ) 7日間につき77時間

【同第6項】

休息時間は、2回を超えずに分割することができる。そのいずれか1の 休息時間は、少なくとも長さ6時間とし、及び連続する休息時間と休息 時間の間隔は、14時間を超えないものとする。

(4)苦情受付窓口(第5.2.2規則関係)

・NMDに所属するPSC担当官が窓口となる。

・担当官は約100名おり、全国19の支部に配置されている。

(5)ISMコードとの関係性(第5.1.3規則関係)

・DMLC 第 2 部の作成においては、SMS を参照することを認める。これは、

第5.1.3ガイドライン(規範B)第 2項に基づくものである。

第5.1.3ガイドライン(規範B)第 2項

船舶所有者によって記入される海事労働適合申告書第2部に規定する 措置は、特に、特定の国内的な要件の継続的な遵守を確認する機会、そ の確認について責任を負う者、 記録しておく事項及び遵守されていない ことが判明した場合において従うべき手続を明示すべきである。 第2部 は、種々の様式をとることができる。海事部門の他の側面に係る政策及 び手続を含む他の一層包括的な文書(例えば、国際安全管理(ISM)

コードによって要求されている文書又は船舶の履歴記録に係る海上に おける人命の安全のための国際条約第11-1章第5規則によって要 求される情報)を参照することができる。