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エネルギー分布の定義

ドキュメント内 ii PHITS (ページ 84-92)

3.6 粒子の表式

4.3.16 エネルギー分布の定義

中性子光学のために、エネルギー分布を波長(Å)で指定できるオプションを設けました。e-type=1, e-type=2 の代わりにe-type=11, e-type=12を指定すると、エネルギーの入力を全て波長に置き換えて読み込みます。

その他の場合は、入力で変換式を使ってMeVに直してください。例えば、e0=8.180425e-8/13**2は、13Å の中性子のエネルギーを与えます。

e-type = 1の場合の入力フォーマットは以下のようになります。

e-type = 1 ne = n

e(1) w(1) e(2) w(2) e(3) w(3) .... ...

e(n-1) w(n-1) e(n) w(n) e(n+1)

この場合、エネルギー分布は、

e(1)-e(2) w(1) e(2)-e(3) w(2) e(3)-e(4) w(3) ... ...

e(n-1)-e(n) w(n-1) e(n)-e(n+1) w(n)

のように与えられます。よって例えば、0-2MeV間を0.2、2-4MeV間を0.6、4-6MeV間を0.2としたい場 合、入力のフォーマットは

e-type = 1 ne = 3

0 0.2 2 0.6 4 0.2 6

となります。

表51:ソースエネルギー分布パラメータ(2) パラメータ 説明

e-type = 21, (31) エネルギー分点e(i)と各ビンにおけるソース粒子の生成確率の微分量 [dφ/dE](i)を与えることにより、任意のエネルギー分布を指定する。

統計的に[dφ/dE](i)*{e(i+1)-e(i)}に応じて各ビンに生成する 粒子を調整し、エネルギー分布を表現する。

31の時は、エネルギーを波長(Å)で与える。

ne = エネルギー群数。neが正の場合は、各ビン内の微分フラックスを

[1/MeV]の単位で表示させた際に一定となるように粒子を生成し、負

の場合は、[1/Lethargy]の単位で一定となるように粒子を生成する。

データは自由フォーマットで次の様に与える。

(e(i),[dφ/dE](i),i=1,|ne|), e(|ne|+1)

各ビンに生成される粒子数の積分値はdφ/dE(i)*{e(i+1)-e(i)}に 比例する。

e-type = 24, (34) e-type = 21, (31)と同じエネルギー分布を発生させる。ただし、

e-type = 21, (31)が生成数を調整してエネルギー分布を表現するのに 対し、e-type = 24, (34)では、全てのエネルギービンに同数の粒子を 生成させ、粒子のウエイトの積分値をw(i)*{e(i+1)-e(i)}に比例して変 化させることによりエネルギー分布を表現する。

また、p-type = 1とし生成個数比p(i)を与えることにより、各ビンの 生成個数を変化させ、特定のエネルギーをもつソースの統計量を変化さ せることができる。

34の時は、エネルギーを波長(Å)で与える。

ne = エネルギー群数。neが正の場合は、各ビン内の微分フラックスを

[1/MeV]の単位で表示させた際に一定となるように粒子を生成し、負

の場合は、[1/Lethargy]の単位で一定となるように粒子を生成する。

データは自由フォーマットで次の様に与える。

(e(i),w(i),i=1,|ne|), e(|ne|+1)

デフォルト(p-type = 0)では各ビンに等しい個数が生成される。

p-type = 1でp(i)を設定した場合は、それらの値に各ビンの生成粒子 数の積分値は比例する。

p-type = 0, 1 (D=0)生成個数のオプション

for 0,全てのビンでp(i)=1、以下のデータは無し

for 1,各ビンの生成個数比p(i)を次の行からデータで与える

(p(i),i=1,ne)

表52:ソースエネルギー分布パラメータ(3) パラメータ 説明

e-type = 8, (18) エネルギー分点e(i)と各点のソース粒子の生成確率w(i)を与えること により、任意のエネルギー分布を指定する。統計的にw(i)に比例する ように各点に粒子を生成させ、不連続なエネルギー分布を表現する。

18の時は、エネルギーを波長(Å)で与える。

ne = エネルギー点数。データは自由フォーマットで次の様に与える。

(e(i),w(i),i=1,ne)

各点に生成される粒子数はw(i)に比例。

e-type = 9, (19) e-type = 8, (18)と同じエネルギー分布を発生させる。ただし、

e-type = 8, (18)が生成数を調整してエネルギー分布を表現するのに 対し、e-type = 9, (19)では、全てのエネルギー点に同数の粒子を生 成させ、粒子のウエイトをw(i)に比例して変化させることにより不連 続なエネルギー分布を表現する。

また、p-type = 1とし生成個数比p(i)を与えることにより、各点の 生成個数を変化させ、特定のエネルギーをもつソースの統計量を変化さ せることができる。

19の時は、エネルギーを波長(Å)で与える。

ne = エネルギー点数。データは自由フォーマットで次の様に与える。

(e(i),w(i),i=1,ne)

デフォルト(p-type=0)で各点に等しい個数が生成される。

各点に生成される粒子数はp(i)に比例。

p-type = 0, 1 (D=0)生成個数のオプション

for 0,全ての点でp(i)=1、以下のデータは無し

for 1,各点の生成個数比p(i)を次の行からデータで与える

(p(i),i=1,ne)

表53:ソースエネルギー分布パラメータ(4) パラメータ 説明

e-type = 2, (12) 微分線源スペクトル(dφ/dE)をガウス分布で与える。

12の時は、エネルギーを波長(Å)で与える

eg0 = ガウス分布の中心値(MeV)

eg1 = ガウス分布の半値全幅(MeV)

eg2 = ガウス分布のカットオフ最小値(MeV)

eg3 = ガウス分布のカットオフ最大値(MeV)

e-type = 3 微分線源スペクトル(dφ/dE)をMaxwellian分布 f (x)=x1.5exp(−x/T )で 与える。

nm = (D=−200)エネルギー群数。nmを正の数で与えた時は線形で等分点を決定し、

負の数で与えた時は対数で等分点を決定。

et0 = 温度パラメーターT (MeV)

et1 = Maxwellian分布のカットオフ最小値(MeV) et2 = Maxwellian分布のカットオフ最大値(MeV)

e-type = 7 e-type = 3と同じエネルギー分布を発生させる。ただし、e-type = 3が 生成数を調整してエネルギー分布を表現するのに対し、e-type = 7では、

全てのエネルギービンに同数の粒子を生成させ、粒子のウエイトの積分値を Maxwellian分布 f (x)=x1.5exp(−x/T )に応じて変化させることにより エネルギー分布を表現する。

また、p-type = 1とし生成個数比p(i)を与えることにより、各ビンの生成 個数を変化させ、特定のエネルギーをもつソースの統計量を変化させること ができる。

nm = (D=−200)エネルギー群数。nmを正の数で与えた時は線形で等分点を決定し、

負の数で与えた時は対数で等分点を決定。

デフォルト(p-type = 0)では各ビンに等しい個数が生成される。

p-type = 1でp(i)を設定した場合は、それらの値に各ビンの生成粒子 数の積分値は比例する。

et0 = 温度パラメーターT (MeV)

et1 = Maxwellian分布のカットオフ最小値(MeV) et2 = Maxwellian分布のカットオフ最大値(MeV) p-type = 0, 1 (D=0)生成個数のオプション

for 0,全てのビンでp(i)=1、以下のデータは無し

for 1,各ビンの生成個数比p(i)を次の行からデータで与える、(p(i),i=1,nm)

表54:ソースエネルギー分布パラメータ(5) パラメータ 説明

e-type = 5, (15) 微分線源スペクトル(dφ/dE)を任意の関数f(x)で与える。

15の時は、エネルギーを波長(Å)で与える。

f(x) = Fortran形式で書いた関数。xはエネルギー(MeV/u)を表す。

内部変数や定数が使えます。例)f(x) = exp(-c1*x**2) nm = (D=−200)エネルギー群数。nmを正の数で与えた時は線形で

等分点を決定し、負の数で与えた時は対数で等分点を決定。

eg1 = エネルギー分布のカットオフ最小値(MeV)

eg2 = エネルギー分布のカットオフ最大値(MeV)

e-type = 6, (16) e-type = 5, (15)と同じエネルギー分布を発生させる。

ただし、e-type = 5, (15)が生成数を調整してエネルギー 分布を表現するのに対し、e-type = 6, (16)では、全ての エネルギービンに同数の粒子を生成させ、粒子のウエイトの 積分値が任意の関数 f (x)に応じて変化させることによりエネ ルギー分布を表現する。

また、p-type = 1とし生成個数比p(i)を与えることにより、

各ビンの生成個数を変化させ、特定のエネルギーをもつソース の統計量を変化させることができる。

16の時は、エネルギーを波長(Å)で与える。

f(x) = Fortran形式で書いた関数。xはエネルギー(MeV/u)を表す。

内部変数や定数が使えます。例)f(x) = exp(-c1*x**2) nm = (D=−200)エネルギー群数。nmを正の数で与えた時は線形で

等分点を決定し、負の数で与えた時は対数で等分点を決定。

デフォルト(p-type = 0)では各ビンに等しい個数が生成 される。p-type = 1でp(i)を設定した場合は、それらの 値に各ビンの生成粒子数の積分値は比例する。

eg1 = エネルギー分布のカットオフ最小値(MeV)

eg2 = エネルギー分布のカットオフ最大値(MeV)

p-type = 0, 1 (D=0)生成個数のオプション

for 0,全てのビンでp(i)=1、以下のデータは無し

for 1,各ビンの生成個数比p(i)を次の行からデータで与える、

(p(i),i=1,nm)

表55:ソースエネルギー分布パラメータ(6) パラメータ 説明

e-type= 28,29 放射性核種とその放射能(単位Bq)を与えることにより、その放射性核種の崩壊

に伴って放出されるガンマ線を線源とした計算が実行できます。放出されるガン マ線のスペクトル計算には、放射性核種崩壊データベースDECDC28が使用され ます。なお、このデータベースはICRP107と同等です。

この機能を使う場合は、崩壊データファイルRIsource.datが置かれた

フォルダを[parameters]セクションにおいてfile(24) (D=c:\phits\data\) により指定する必要があります。

e-type= 28の場合、崩壊データベースにより計算されたガンマ線強度にした

がって、各エネルギーの粒子を生成します。

e-type= 29の場合、崩壊データベースにより計算された全てのエネルギー点に

同数の粒子を生成させ、そのガンマ線強度にしたがって、各エネルギーのウエイ トを変化させます。

ni= 放射性核種の数。放射性核種とその放射能は次の様なフォーマットで指定する。

(RI(i),A(i),i=1,ni)

ただし、核種RI(i)は137CsあるいはCs-137の書式で指定する。

放射能A(i)はBq(ベクレル)単位で指定する。

dtime= (D=−10.0)時間経過の指定オプション

dtime>0(単位はsec):指定した時間が経過した時点の指定核種及びその娘核種 の放射能による崩壊ガンマ線を設定します。各RIの放射能は、dtime経過後の値 に減衰します。例えば、半減期1分のRIを100Bqで指定し、dtime=60.0と設定 した場合、そのRIの放射能は50Bqと見なされます。

dtime=0:指定した放射能(時間経過なし)による崩壊ガンマ線を設定します。

dtime<0:指定した放射性核種の半減期×|dtime|が経過した時点の指定核種及び その娘核種の放射能による崩壊ガンマ線を設定します。ただし、dtime>0の場合 と異なり、放射能の絶対値は減衰しません。例えば、半減期1分のRIを100Bq で指定し、dtime=−1.0と設定した場合、そのRIの放射能は100Bqのまま娘核 種の崩壊を考慮可能です。放射平衡まで達する時間が分からない場合は、

dtime=−10.0のように長めの値を設定しておくと便利です。dtime<0とする場合、

親核と娘核(例えばCs-137とBa-137m)を同時に指定することはできません。

マルチソースでこの機能を使用する際は、<source>=1.0としtotfactを以下のように指定してください。

• マルチソースの全てでe-type = 28,29を使用する場合は、<source>の個数を入力する。

• マルチソースでe-type = 28,29以外を含む場合は、各<source>が絶対強度となるように設定し、す べての<source>の和を入力する。

28A. Endo, Y. Yamaguchi and K.F. Eckerman, Nuclear decay data for dosimetry calculation - Revised data of ICRP Publication 38, JAERI 1347 (2005).

表56:ソースエネルギー分布パラメータ(7) パラメータ 説明

(e-type= 28,29の場合の続き)

actlow= (D=1.0e-10)放射能の下限の指定オプション(Bq)

指定した時間経過後の放射能がこの値より小さい場合、その放射性核種の崩壊 ガンマ線は線源に設定されません。

norm= (D=0)線源強度の規格化オプション

0: 1秒あたり(/sec)の量を出力するように規格化します。その際、線源強度は、

Bq単位で指定した放射能強度(dtime>0の場合はその崩壊も考慮した後)と します。

1:崩壊ガンマ線を1つ放出するあたりの量を出力するように規格化します。

(通常のPHITSの規格化方法に準拠)

e-type = 28,29の場合の入力例は以下のようになります。

[ S o u r c e ] totfact = 2.0

<source> = 1.0 s-type = 4

proj = photon dir = all

r0 = 0.

z0 = 0.

z1 = 0.

e-type = 28 ni = 1

Cs-137 100.

dtime = -10.0 actlow = 1.0

<source> = 1.0 s-type = 4

proj = photon dir = all

r0 = 0.

z0 = 0.

z1 = 0.

e-type = 28 ni = 1

Cs-134 100.

dtime = -10.0 actlow = 1.0

ここでは、Cs-137とCs-134が共に100Bqずつ存在し、それらが放射平衡になった状況を線源として指 定しています。また、actlowを1(Bq)することで、この数値以下の放射能の影響を無視しています。

ドキュメント内 ii PHITS (ページ 84-92)