ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン の 果 実 の 品 質 形 成 に は 、 気 候 、 土 壌 、 地 形 な ど の 環 境 条 件 及 び 栽 培 条 件 が 大 き く 関 与 す る ( 栗 山
1988
,松本1981
, 坂 本 ・ 奥 地1 9 6 8 )
。 し た が っ て 、 果 実 品 質 は 裁 培 地 や 園 地 ご と に 異 な る と と と な り 、 各 地 に は 栽 培 環 境 や 条 件 が 適 し 、 多 く の 人 々 が 優 れ た 品 質 の 果 実 を 生 産 す る こ と を 認 め る 銘 柄 産 地 が 存 在 す る 。 一 方 、 栽 培 方 法 の 改 善 に よ る 品 質 の 向 上 策 も 種 々 採 り 入 れ ら れ 、 こ れ ら の 方 法 を 特 徴 と し た 特 産 地 化 が 各 地 で 仔 れ る よ う に な っ た 。本 章 で は 銘 柄 産 地 と し て 知 ら れ て い る 有 団 地 方 の 急 傾 斜 地 産 の ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン 果 実 を 基 準 と し 、 紀 南 地 方 の 栽 培 農 家 で 広 が り つ つ あ る 完 熟 裁 培 や 無 加 温 ハ ウ ス 栽 培 、 そ の 他 の 裁 培 法 で 得 た 果 実 品 質 に つ い て 比 較 し 、 簡 便 で 高 品 質 の 果 実 が 得 ら れ る 栽 培 方 法 に つ い て 検 討 し た 。
第
1
節 糖 及 び 滴 定 酸 含 量 の 比 較和 歌 山 県 有 団 地 方 の と く に 品 質 の 良 い こ と で 知 ら れ る 銘 柄 産 地 で 生 産 さ れ た ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン 果 実 の 特 徴 を 、 各 種 の 果 汁 成 分 の 点 か ら 明 ら か に し 、 つ ぎ に と れ ら の 果 実 に 加 え て ハ ウ ス 裁 培 果 実 並 び に 貯 蔵 な ど で 得 ら れ た 果 実 と 越 年 着 果 栽 培 果 実 を 比 較 検 討 し た 。 さ ら に 、 二 、 三 の 異 な る 栽 培 条 件 の も と で 得 ら れ た 越 年 着 果 載 培 果 実 を 分 析 す るζ とにより、乙の栽培方法の評価を行なった。
材 料 及 び 方 法
1988
年 度 , 和 歌 山 県 有 田 地 方 の20
年 生 ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン . 向 山 温 州 ' の 果 実 に つ い て 、 銘 柄 産 地 と し て 、 と く に 食 味 の よ い 果 実 を 生 産 す る こ と で 知 ら れ て い る‑30
南 面 の 急 傾 斜 地
(30
度 以 上 ) で 、 秩 父 古 成 層 を 母 岩 と す る 土 壌 の 優 良 栽 培 園( 1
1 、1
2 、1
3 区 ) と 中 生 代 亜 酸 化 頁 岩 を 母 岩 と す る 丘 陵 地 に あ る 平 坦 畑 地 の 平 均 的 栽 培 園 (F
区)の果実を比較調査した。さ ら に 、 経 済 栽 培 中 の 同 地 方 の
25
年 生 の 早 生 ウ ン シ ュ ウ 宮 川 早 生 . の 果 実 に つ い て 、 砂 質 土 埋 立 の 水 回 転 換 の 慣 行 栽 培 園 (c
区、cs
区 = 貯 蔵 果 ) と 無 加 温 ハ ウ ス 裁 培 園 (H区 ) 及 び 古 三 紀 層 の 傾 斜 地 畑 に お け る 樹 上 越 年 完 熟 栽 培 圏 (TB区 ) の 各 区 の 果 実 を 調 査 し 銘 柄 産 地 の 果 実 と 比 較 し た 。
越 年 着 果 栽 培 法 に お け る 果 実 の 保 護 方 法 は 図 版 ( 写 真
1 1 ‑ ‑ ‑14)
に見られるよう に 種 々 の 方 法 が 採 ら れ て い る が 、 と と で は 紀 南 地 方 の 農 家 で 多 く 試 み ら れ て い る 方 式 ( 写 真1 1 ‑ ‑ ‑ 1 2 )
を 採 用 し た 。 す な わ ち 、 早 生 ウ ン シ ュ ウ を 対 象 に 通 常 の 収 種 期 ま で に 、 商 品 サ イ ズ の 果 実 を 故 き 取 り し た 後 、1
樹当たり5‑ ‑ ‑ 1 0
枝にSサイズ
の 果 実 を 全 果 実 に 対 し て1 0 " " "20
兎 を 残 し 、 収 穫 を 翌 年2
月まで遅らせ、その問、鳥 害 や 寒 害 か ら 果 実 を 保 護 す る た め に 枝 単 位 で 紙 袋 や 網 袋 を か け る 方 法 と し た 。 ま た 、 供 試 果 実 の 大 き さ は
T B
区はS
サイズ、 .向山温州'はL
サイズ、 宮 川 早 生 ' で はM
サイズ以下とし、1
樹当たり10
個ずつを高さ1.0 ‑ ‑ ‑
1.2m
の各方角 よ り 無 作 為 に 採 取 し 供 試 し た 。 分 析 は 全 果 の 混 合 果 汁 に つ い て4
反復行い、B r i x
は 屈 折 計 示 度 に よ り 示 し た 。 槍 は 果 汁 を 純 水 で10
倍 に 希 し ゃ く し 、 孔 径0.45μm
のフィルターでろ過後、10μ1
を 直 接 高 速 被 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( 日 本 分 光 工 業 製 ) に 注 入 し 測 定 し た 。 カ ラ ム は プ レ カ ラ ム つ き の30cm
(昭和電工製SC‑I011)
を 用 い 、 移 動 相
HaO
、流量lm
1/min.
カ ラ ム 槽 温 度80
"Cの条件で分離し、示差屈折 計 で 検 出 し た 。 滴 定 酸 は 常 法 に よ り 測 定 し 、 ク エ ン 酸 量 に 換 算 し て 示 し た 。実 験 結 果
供 試 し た 果 実 の 糖 及 び 酸 含 量 は 第
5
図に示す通りである。 中生系品種 向山 温 州 . 果 実 の 全 糖 含 量 は 平 坦 畑 園(F
区)8.65gjl00ml
に対して 傾 斜 地 優 良 園( 1
1.1
2.1
3 区 ) の 各 区 で 明 ら か に 高 く 、 と く に1
3 区で12.83gjl00ml
と優れ た 。 こ れ を 、 果 糖 、 ブ ド ウ 糖 及 び シ ョ 糖 の 組 成 比 で み る と 、 い ず れ の 区 に お い て もショ糖の比率が高く58‑‑‑66%
を 占 め 、 次 い で 果 糖1 6
,....,2 3%
、ブドウ糖1 6 " " "19%
‑31
の順となった。 滴 定 酸 量 は
1
1.区でやや高く1.3 5 g / 1 0 0 ml
を 示 し た ほ か は 、 各 区とも差異は小さかった。早 生 ウ ン シ ュ ウ . 宮 川 早 生 ' の 一 般 栽 培 園 に お げ る 果 実 品 質 の 比 較 で は 、 全 糖 含 量 は 明 ら か に 果 実 を 保 護 し 越 年 着 果 栽 培 し た (TB区 ) 及 び 無 加 温 ハ ウ ス (H 区 ) が 勝 り 、 水 回 転 換 園 (
c
区 ) 及 び 同 貯 蔵 果(C s
区)では劣った。これを、塘 の 組 成 比 で 見 る と 向 山 温 州 ' 果 実 の 分 析 結 果 と 同 様 に シ ョ 措 が
5 4 " "68%
と高 率 を 示 し 、 果 糖18"" z n ;
、 ブ ド ウ 糖13‑‑19%の 順 と な り 、 さ ら に 、 全 糖 含 量 の 高
い 区 ほ ど 非 還 元 糖 に 比 べ て 還 元 糖 、 と く に 、 果 糖 の 割 合 が 大 き い 傾 向 が 認 め ら れ た 。 滴 定 酸 量 はH
区 及 びTB
区 で や や 高 く 、 水 回 転 換 園 の 貯 蔵 果(C s
区)では低かった。
向山潟州
採 取 臼 分 析 臼
1 I
•
1 •
ヒゴ I 1
12/ 5 12/12 1. I V h多少t・ ‑
F
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5m E . , . y , ・ 阪 1 F
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11/11 11/12"
申書 11/11 2/ 8!u:
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2/ 6 2/ 8•
3/ 4 3/ 4o
5 1 0 1 5。
2備 は/1日011I) H時定限 (g/IOOIIII) 宮川早生
第 5 図 圏 j 倣び腕方法の│腿t に よ る ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン 果 実 の 品 質
(1~1l1l ~1l~l f.lJO 1 I ~ 1. 傑質傾斜地慢良閉 F :1爽土'f'{平!I}閉
c
砂T
を水間転換!潤 CS:水転問R
摘果.Ts:樹上越年累. ,,:無)J[嗣ハウス. H :際i̲V;偏差第2節 ア ミ ノ 酸 含 量 の 比 較
ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン 果 実 に お け る ア ミ ノ 酸 含 量 に つ い て は 大 東 と 富 永 ( 1
98
1)の報 告 が あ り 、 あ る 種 の ア ミ ノ 酸 と 果 実 品 質 、 と く に 呈 昧 と の 閣 の 関 係 で は 柴 田 ( 19 8 9 )
及 び 平 塚 ら (1991)
の 報 告 が あ る 。 前 節 で 実 施 し た 果 実 品 質 の 分 析 結 果 と 果 汁 中 の 各 種 ア ミ ノ 酸 含 量 に つ い て 、 各 区 間 で 比 較 検 討 を 行 っ た 。材 料 及 び 方 法
前 節 と 同 様 の 各 区 か ら
10
果 を 無 作 為 に 採 取 し た 全 果 実 の 混 合 果 汁 を 各 区 に つ き1
点 づ っ 供 試 し た 。 分 析 に は 果 汁 を8 , 000 G
で1 5
分 間 遠 心 分 離 し そ の 上 澄 液 を 供 し、試料をO.02N‑HC1
で5
倍 に 希 し ゃ く し 、 孔 径0.45μm
の フ ィ ル タ ー で ろ 過 後 高 速 ア ミ ノ 酸 分 析 計 ( 目 立 ーL8500)
を用いて分析した。実 験 結 果
果 汁 中 の ア ミ ノ 酸 の 分 析 結 果 は 第
5
表 に 示 す と お り で あ る 。 . 向 山 温 州 ' で は ア ミ ノ 酸 総 合 量 は 優 良 栽 培 園 (1 1 、1
a、1
a ) に お い て 高 か っ た が 、 ア ミ ノ 酸 総 合 量 と 他 の 果 汁 成 分 と の 聞 に は 一 定 の 関 係 は 認 め ら れ な か っ た 。 各 種 の ア ミ ノ 酸 に つ い て み る と 成 熟 果 の 果 汁 中 に 比 較 的 に 多 く 含 ま れ て い た 種 類 と し て 、 プロリン、アルギニン、 γー ア ミ ノ 酪 酸 、 ア ス パ ラ ギ ン 、 ア ス パ ラ ギ ン 酸 、 セ リン 、 ア ラ ニ ン 、 グ ル タ ミ ン 及 び グ ル タ ミ ン 酸 な ど が 認 め ら れ た が 、 品 質 に 対 し て の 関 与 が 明 確 に 示 さ れ た 種 類 は み ら れ ず 、 プ ロ リ ン 含 量 の み が 糖 含 量 の 大 き い 区 で わ ず か に 大 で あ っ た 。 . 宮 川 早 生 . に お い て も ア ミ ノ 酸 の 総 合 量 と プ ロ リ ン 含 量 が 、 全 糖 含 量 の 大 き い 無 加 温 ハ ウ ス 栽 培 (H区 ) で 高 か っ た 他 は 、 品 質 に 対 す る 明 ら か な 傾 向 は 認 め ら れ な か っ た 。
nt u qt u
第 5 表 園 地 及 び W : 紡 ? t の 憾 に よ る ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン 果 実 中 の ア ミ ノ 酸 鑓
(1 9 8 9年)
.白山温州・ .宮 111皇生.
アミノ酸 ※ 1 I 1 z 1 • F
C Cs
T B H アスパラギン 45.98 29. 19 32.37 25.17 25.33 19.51 22.80 80.92(12.3) 00.0) (12.0) (12.0) ( 5.6) ( 5.3) ( 4.1) ( 9.7) スレオニン 3.77 2.59 2.79 1. 87 4.62 5.14 5.13 6.81 ( 1. 0) ( 0.9) ( 1. 0) ( 0.9) ( 1. 0) ( 1.1) ( 0.9) ( 0.8) セリン 23.51 18.71 17.73 15.11 31.58 29.62 34.89 45.49 ( 6.3) ( 6.4) ( 6.6) ( 7.2) ( 6.9) ( 6.4) ( 6.3) ( 5.5) アスパラギン限 73.83 57.64 19.77 45.15 63.55 43.28 63.69 114.30 (19.8) (19.7) ( 7.3) (21. 6) (13.9) (10.5) (11. 5) (17.3) グルタミン 20.74 20.96 19.76 13.21 22.57 17.10 26.38 36.30
( 5.6) ( 7.2) ( 7.3) ( 6.3) ( 4.9) ( 3.7) ( 4.7) ( 4.3) グルタミン椴 7.42 10.69 8. 10 9.51 13.26 10.68 12.68 6.99
( 2.0) ( 3.7) ( 3.0) ( 4.6) ( 2.9) ( 2.3) ( 2.3) ( 0.8) プロリン 65.60 42. 19 67.30 20.52 103.03 116.95 143.01 232.21 (17.6) (14.4) (24.9) ( 9.8) (22.6) (25.6) (25.7) (27.8) グリシン 1.36 0.95 日.91 0.66 2.19 2.45 2.21 3.96
( 0.4) ( 0.3) ( 0.3) i ( 0.3) ( 0.5) ( 0.5) ( 0.4) ( 0.5) アラニン 25.60 20.79 16.88 10.72 29.05 30.24 40.12 47.97 ( 6.9) ( 7.1) ( 6.3) ( 5.1) ( 6.4) ( 6.6) ( 7.2) ( 5.7) r‑アミノ酪酸 12.66 10.04 11. 47 6.79 38.60 55.11 35.23 43.36 ( 3.4) ( 3.4) ( 4.2) ( 3.2) ( 8.5) (12.1) ( 6.3) ( 5.2)
)~リン 1. 85 l. 49 2.22 1.19 4.59 5.26 4.89 4.36 ( 0.5) ( 0.5) ( 0.8) ( 0.6) ( 1.0) ( 1. 2) ( 0.9) ( 0.6) メチオニン 0.65 0.43 0.56 0.37 1. 06 0.93 1.18 0.82 ( 0.2) ( 0.1) ( 0.2) ( 0.2) ( 0.2) ( 0.2) ( 0.2) ( 0.1) イソロイシン 0.80 0.55 0.70 0.39 1. 37 1. 74 1. 59 1.73
( 0.2) ( 0.2) ( 0.3) ( 0.2) ( 0.3) ( 0.4) ( 0.3) ( 0.2) ロイシン 0.71 0.54 0.66 0.43 1目43 1. 79 1. 65 1. 50 ( 0.2) ( 0.2) ( 0.2) ( 0.2) ( 0.3) ( 0.4) ( 0.3) ( 0.2) チロシン 0.96 1.25 0.87 0.89 3.93 4.64 5.20 2.54 ( 0.3) ( 0.4) ( 0.3) ( 0.4) ( l. 0) (1.l) ( 1. 0) ( 0.3) フェニールアラニン 2.02 1.57 3.41 1.42 5. 73 5.50 5.12 5.67 ( 0.5) ( 0.5) ( 1. 3) ( 0.7) ( 0.8) ( 0.8) ( 0.9) ( 0.7) リジン 3.29 2.62 2. 17 l、96 5.62 6.50 6.14 7.50 ( 0.9) ( 0.9) ( 0.8) ( 0.9) ( 1.2) ( 1.6) (1.l) ( 0.9) ヒスチジン 1.16 0.12 1.70 0.50 1.32 1.12 1. 56 2.18.
( 0.3) ( 0.2) ( 0.6) ( 0.2) ( 0.4) ( 0.4) ( 0.3) ( 0.3) アルギニン 75.53 65.50 53.65 45.06 85.96 91. 72 134.16 154.43
(20.3) (22.4) (19.9) (21.6) (18.9) (20.0) (24.1) (18.5) サルコシン 1.10 0.51 0.46 0.48 1. 36 t四 回 1.10 1.39 ( 0.3) ( 0.2) ( 0.2) ( 0.2) ( 0.3) ( 0.0) ( 0.2) ( 0.2) オルニチン 2.47 2.95 2.29 2.37 10.62 5.90 6.81 3.96 ( 0.7) ( 1.0) ( 0.8) (1.1) ( 2.4) ( 1. 4) ( 1. 2) ( 0.5) カルノシン 1. 08 trace 4.13 5.13 tracc 1. 33 0.35 1.82 ( 0.3) ( 0.0) ( 1. 5) ( 2.5) ( 0.0) ( 0.3) ( 0.1) ( 0.2) 合 計 (mg/100mll 372.47 292.15 270.02 209.06 456.39 457.13 555.81 836.32 合計(%) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0)
※:園地の区分は第7図参照
1)臼立ーL‑8500劃聞きアミノ酸分析計, 2)果汁生桝夜分析法
3)サンプルはO.02N‑HC1で5倍にf脅しゃくし、 0.45μmフィルターで櫨過し10ldを注入分析した
‑34‑
第
3
節 食 味 評 価従 来 、 ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン の 市 場 で の 取 り 引 き 価 格 の 決 定 に は 、 果 実 の 大 き さ と 外 観 が 指 標 と し て 重 要 な 位 置 を 占 め 、 個 々 の 食 味 品 質 は 評 価 要 素 と し て は 軽 視 さ れ る と と が 多 く 、 わ ず か に 、 生 産 地 ご と の 全 体 的 な 評 価 の 対 象 と し て 利 用 さ れ て い る に 過 ぎ な い 。 ミ カ ン の 食 味 を 構 成 す る 因 子 の う ち 、 晴 好 度 に 最 も 大 き く 関 与 す る 成 分 は 糖 、 酸 及 び 糖 酸 比 率 で あ り ( 小 曾 戸 ・ 飯 野
1 9 7 2 )
、 食 味 評 価 は 品 質 を 評 価 す る た め に は 欠 か す こ と の 出 来 な い 手 法 の ひ と つ で あ る 。本 節 で は 前 記 . 向 山 温 州 ' 果 実 に つ い て 、 果 汁 中 の 成 分 含 量 と 食 味 評 価 の 関 係 を述べる。
材 料 及 び 方 法
向 山 温 州 ' 果 実 に つ い て 、 検 査 者
30
名 でRanking test
(順位法)による食味 の 官 能 検 査 を 常 法 で 行 っ た 。 す な わ ち 、 果 実 の 個 体 聞 の バ ラ ツ キ を 防 ぐ た め 、 剥 皮 し た 果 実 を じ よ う の う 単 位 で バ ラ バ ラ に し た も の を 混 ぜ 合 わ せ 、1
区 当 た り 数 個 づ つ を 供 試 し 食 味 の 評 価 を 行 っ た 。 判 定 は 各 個 人 の 噌 好 に よ っ て 試 料 の 美 味 し さ を 順 位 で そ れ ぞ れ パ ネ ル カ ー ド に 記 入 し 、 そ の 合 計 点 を 集 計 し て 順 位 点 数 を 算 出 し た 。 結 果 に つ い て は 果 汁 中 の 成 分 含 量 と 対 比 し て 検 討 し た 。実 験 結 果
食 味 検 査 の 結 果 は 第
6
表 に 示 す よ う に 傾 斜 地 優 良 闇1
3 区(1. 2 0 )
の 食 味 が 最 も 優れ、ついで、1
I 区( 2 . 3 3 )
,12区 ( 2 .1 0 )
の 順 と な り 平 坦 畑 栽 培 園F区 ( 3 . 7 7 )
で 最 も 劣 っ た 。 し か し 、 果 汁 中 の 成 分 含 量 と の 対 比 で み る と 、 糖 含 量 は 13 区が12.83
%と最も高く、1
I 区 が10.57
%、12
区は10.27
%と同程度でありF区
は8.65%で最も低かったが、一方、1 1(
1.35
完)と12(
1.1 6 % )
区 の 間 で は 酸 含 量 の 多 少 が 食 味 評 価 に 影 響 し た 。内4
U
第 6 表 ウンシュウミカン向山温 j
十r 果実の食味官能検査
( 1 989年)
果実の食味評価 合 計 点 平 均 点 順 位 糖 ・ 酸 含 量g/100m1
*
I 1#
1x 4 2 x 14 3x 10 4 x 2 70 ※2.33 10.57 1. 35 2 x 12 3 x 15 4 x 3 81 2.70 3 10.27 1. 16 1 3 1 x 26 2 x 2 3 x 2 38 1. 20 12.83 1. 05 F 2 x 2 3 x 3 4 x 25 113 3.77 4 8.65 1. 01 食味官能検査はパネリスト30名による順位点数法,* 第
5
図参照, #:順位×パネリスト数 ※:合計点、/30‑36
第
4
節 考 察成 熟 期 の ウ ン シ ュ ウ ミ カ ン 果 汁 中 の 糖 の 組 成 は 、 シ ョ 塘 が 半 分 以 上 を 占 め 、 次 い で 果 穂 、 ブ ド ウ 轄 の 願 で あ る こ と は 多 く の 報 告 の 通 り で あ り ( 大 東 ・ 佐 藤
1985
'栗山1 9 8 8 )
、 成 熟 に 伴 う 甘 味 の 向 上 は 最 も 量 の 多 い シ ョ 稽 の 集 積 に よ る と さ れ て い る ( 栗 山1 9 8 8 )
。 前 述 の よ う に 、 全 稽 含 量 の 高 いIl.Ia.TB
及 びH
区 で は シ ョ 糖 の 絶 対 量 が 多 か っ た が 、 さ ら に 、 果 糖 含 量 も 高 か っ た 。3
種 類 の 槽 の 甘 味 度 は シ ョ 積 =1 . 0 0
と す る と 、 果 糖 =1 . 7 3
、 ブ ド ウ 糖 =O . 74
となる(飯野・小 首 戸
1972)
乙 と か ら 、 こ れ ら の 果 実 で は 全 糖 含 量 の 多 さ と 果 糖 の 組 成 比 の 大 き さ が と も に 甘 味 の 向 上 に 働 い た 結 果 、1 a
区 の 食 味 検 査 成 績 の 良 さ を も た ら し 、 い わ ゆ る 、 コ ク の あ る 美 味 し い ミ カ ン に な っ た も の で あ ろ う 。一 方 、 酸 の 変 化 は 長 期 間 樹 上 に 着 果 さ せ た に も か か わ ら ず 、 減 酸 率 が 小 さ く
1 2
月 上 旬 頃 の 酸 の レ ベ ル が 保 た れ た が 、 貯 蔵 区 で は 減 酸 が 著 し か っ た 。 したがっ て 、 越 年 着 果 栽 培 は 昧 ボ ケ 防 止 の 点 か ら も 注 目 す べ き で あ ろ う と 思 わ れ た 。大 東 と 富 永 (
198
1 ) は 果 実 の 成 熟 期 に 顕 著 に 増 加 す る ア ミ ノ 酸 と し て 、 プ ロ リ ン、アルギニン、 γー ア ミ ノ 酪 酸 、 ア ラ ニ ン 及 び リ ジ ン な ど を 挙 げ た が 、 プ ロ リ ン の ほ か に は 糖 含 量 と の 関 連 性 を 示 す よ う な 結 果 は 認 め る と と が で き な か っ た と し 、 一 般 に そ れ ぞ れ の ア ミ ノ 酸 は 量 的 に 少 な い う え に 、 果 実 内 で の 生 成 、 分 解 が 糖 や 有 機 酸 の 生 成 、 分 解 と 連 動 し て お り 代 謝 に も 影 響 さ れ る で あ ろ う と 報 告 し て い る 。 プ ロ リ ン に つ い て は 、 食 味 と の 関 係 を 否 定 す る 見 解( S y v e r t s e na n d S m i t h 1983)
がある一方で、平塚ら(19 9
1)は味の濃さや美味しさとの関係を示唆してい る 。 今 回 の 向 山 温 州 ・ の 調 査 に お い て は 、 食 味 の よ い 1a区 の 果 実 で は 糖 、 酸 と と も に ア ミ ノ 酸 総 合 量 や プ ロ リ ン 含 量 が 高 く 、 乙 れ ら が 食 味 に 関 与 し て い る 可 能 性 を 示 唆 し て い る よ う に 考 え ら れ た 。食 味 検 査 の 結 果 を 各 区 ご と の 得 点 分 布 か ら 見 る と 、 飯 野 と 小 首 戸
(1972)
が 報 告 し た の と 同 様 に 、 全 糖 含 量 の 多 少 が 食 味 に 最 も 影 響 を 及 ぼ し て い る こ と は 明 ら か で あ る 。 ま た 、 酸 含 量 に つ い て は 、 酸 の 高 い 区 で は 得 点 の ば ら つ き が 大 き く なり 、 酸 に 対 し て は 個 人 的 な 噌 好 性 の 違 い が 認 め ら れ た 。
食 味 の 高 い ミ カ ン と し て 評 価 の 最 も 高 か っ た 銘 柄 優 良 国 ( Ia区 ) と そ の 他 の 区 の 果 汁 成 分 の 分 析 結 果 を 比 較 し た 結 果 、 食 味 に 関 す る 呈 味 成 分 と し て 寄 与 度 の 高