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3. 実施内容およびその結果

3.3. 室内濃度推定モデルのプロトタイプモデルの作成

3.3.4. インターフェイスとデータベースの作成

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・居室面積

延べ床面積は、居住空間以外の室内環境、たとえばトイレ、バスルーム、キッチンなど の床面積を含む。ヒトの滞在時間が長い居住空間で化学物質への暴露が起こるとするなら ば居室空間の化学物質濃度が暴露評価に必要である。iAIRでは、住宅・土地統計調査の統 計情報に基づく経験分布関数から乱数によって居室の床面積に占める割合を決定している。

本事業では同様の推定モデルを搭載した。

・居室数

居室数の推定は、生活行動を考える上でも、室内濃度を算出するための床面積の推定の 上でも重要である。しかしながら居室数に関するデータが十分にあるとは言い難い。住宅・

土地統計調査の結果によると、延べ床面積の自治体別平均値と居室数の自治体別平均値の 間に正の相関関係が認められ、その関係は線形であった。iAIRでは住宅・土地統計調査の 統計情報から乱数によって値を決定した。以下の図に計算値と統計値を比較した結果を示 した。この結果、計算値は統計値のファクター2(1/2~2 倍)以内であった。モデルの結 果に問題がないことから本事業では同様の推定モデルを搭載した。

図 58 居室数の自治体別平均値の計算値と統計値の比較

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メータの推定機能、製品などの項目に関してデフォルト値設定機能を持つ。iAIRの持つ化 学物質に関連する計算パラメータのうち吸着係数・一次減衰定数・粒子吸着係数について、

物理化学的性質(例えば蒸気圧など)から値を推定する機能を、本事業において開発のプ ロトタイプモデルにも搭載した。また、iAIR と同等の専門家でなくとも運用可能なユーザ ーインターフェイス、計算に必要な製品・住宅などのデータベースをプロトタイプモデル へ追加し、ユーザーの利便性を確保した。これに計算パラメータ表示・出力機能を追加し、

本調査・開発事業の目標を達成した。以下に概略について述べる。

3.3.4.1. ツールの構成

ツールはインターフェイス部、計算部、データベースから構成され、初期画面の選択に よって3つの計算が可能な仕様である。

図 59 プロトタイプモデルの概要

v0.3 は個別家庭を対象としたバージョンで、製品の導入(イベント)に関してはユーザ ー自身が入力する使用で、一つのイベントしか計算ができないが、時間変化の推定が可能 である。v0.4はv0.3のイベントが乱数で制御されたもので、住宅情報などの数値をユーザ ーが設定すると、計算が可能となる。この計算で得られるのは、最高濃度の分布、閾値の 超過時間の分布等である。一方でv0.5は地域を選択することで個別世帯に関する情報を推 定するモデルを搭載しており、地域全体を求める計算が可能である。v0.5 がすでに開発さ れているiAIRと同等の住宅情報の推定能力を持つ、非定常版のモデルとなる。

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なお、全てのバージョンにおいて化学物質に関してはiAIRと全く同じ推定機能を搭載し ており、吸着係数・一次減衰定数・粒子吸着係数について、物理化学的性質(例えば蒸気 圧など)から値を推定可能である。

非定常化に伴う入力画面、計算パラメータ表示、出力画面の開発を行った。以下に画面 の一例を示す。

図 60 モデル選択画面

102 図 61 計算パラメータ入力・表示画面

図 62 計算結果の表示画面

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3.3.4.2. データベースの作成

アンケート結果によるデータについてまとめ、塗料、接着剤の使用頻度、使用量のデー タをプロトタイプツールのデータベースに追加した。また、それ以外の項目についてはiAIR と同等のデータベースをプロトタイプモデルに搭載した。したがって、化学物質は約 100 物質のデータがあらかじめ準備されており、住宅情報に関しても全国の市町村別データを 持っている。

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