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4 人・システムの基盤化スタイル

4.2 インタラクションデータ

データの概要

乗車券またはプリペイドカードを買うという実際の<人・券売機>インタラクショ

24 この対話は健聴者同士という設定である。

ンを 18 試行観察した。それぞれの試行について、ビデオカメラ一台で右または左斜 め後ろから撮影を行った。表 4.1 にデータの概要をまとめる。

表 4.1 データの概要

電鉄会社 システム 操作者 購入対象 入力 出力

1 M カード おつり(札)・カード

2 大阪地下鉄 ボタン・機種 A

O 乗車券 カード カード・乗車券

3 ボタン・機種 A T 乗車券 硬貨 乗車券

4 W 乗車券 硬貨 乗車券

5 ボタン・機種 B

Y 乗車券 硬貨 乗車券

6 T 乗車券 硬貨 乗車券

7

JR 西日本

パネル・機種 A

M カード カード

8 パネル・機種 A T 乗車券 硬貨 おつり(硬貨)・乗車券

9 W 乗車券 カード カード・乗車券

10

阪急 パネル・機種 B

K 乗車券 カード カード・乗車券

11 M 乗車券 おつり(硬貨)・乗車券

12 ボタン・機種 A

T 乗車券 硬貨 おつり(硬貨)・乗車券

13 W 乗車券 カード・硬貨 おつり(硬貨)カード・乗車券

14 W カード カード

15

京阪

ボタン・機種 B

YK 乗車券 カード カード・乗車券 16 ボタン・機種 A W 乗車券 硬貨 おつり(硬貨)・乗車券

17 南海

パネル・機種 A W 乗車券 硬貨 おつり(硬貨)・乗車券 18 大阪北急行 ボタン A 乗車券 硬貨 乗車券

券売機には、ボタン式のものとタッチパネル式のものとがあり、同じ鉄道会社のも のでもやや違う機種のものがあった(表中に機種 A、機種 B と表記)。試行はボタン 式のもので 12 試行、タッチパネル式で 6 試行行った。操作者は合計 8 人で、各人に 1~6 試行を行ってもらった。購入対象は乗車券(15 試行)またはプリペイドカード

(3 試行)であるが、これは特に指定をせず、実際の必要に応じて購入してもらった。

購入のために券売機とやりとりしたものの種類については表 4.1 の「入力」と「出力」

欄に記した。

書きおこし

撮影したビデオ映像に基づいて、インタラクションの開始から終了までの行動を書 きおこした。開始とは、人が券売機に向かって行動を起こし、それが券売機に認識さ れた時点を指す。ある券売機は人が近づいたことを認識し音を出すが、別の券売機は 人がお金を入れたことが初めての認識となる。したがって開始時点は券売機のタイプ により異なる。終了時点とは券売機が開始時点の状態に戻る直前までである。ただし 券売機の状態が元に戻った後で人がおつりを取るなどの行動をした場合は、それもイ ンタラクションに含めた。

書きおこした人の行動の中には、「頭上のプレートで値段を確認する」「押したいボ タンを探す」「指さす」などの行動もあったが、これらはインタラクションには直接関 与しないものであり、基盤化のための行動ではないため、分析対象から除いた。

券売機の行動については表 4.2 に示す行動を、人の行動については表 4.3 に示す行 動を、基盤化行動とした。そして前述の定義にしたがい、行動をI型・II 型に分類し た。券売機の行動には、オフィシャルビジネスに含まれる「乗車券やおつりの排出」

といった II 型に属するものと、「文字や数字の表示」といったI型に属するものとが あったが、人の行動はどれもすべてが II 型に分類された。

表 4.2 券売機の行う行動の種類とその頻度

型 行動 数

文字や数字の表示 80

表示された文字や数字のクリア 13 表示された文字や数字の変更 2

ボタンやランプの点灯 55

ボタンやランプの消灯 41

ボタンやランプの点滅 28

ボタンの瞬灯 2

連続した音の開始 11

連続した音の停止 11

I

音の瞬発 22

乗車券やおつりの排出 30

II 硬貨投入口の開口 1

計 296

表 4.3 人の行う行動の種類とその頻度

型 行動 数

近づく 3

お金やカードなどを入れる 41

ボタンを押す 28

II

排出されたものを取る 30

計 102

券売機の行動の中には全く同時に起こったものがあったが、それらの行動が異なっ た表現形態を取っていた場合は、別の行動として書きおこした。同時に起こった異な る表現形態の行動とは、「おつりの排出と排出口の上部のランプ点滅」「ランプ点灯と 連続した音の開始」などを指している。また行動はなるべく起こった順に書いたが、

1行に1行動を書いたため、券売機の行動については、書きおこしデータの順番が発 生の順番とはならないことがある。なお、硬貨の投入については、1枚の硬貨投入動 作を1つの行動とした。

コーディング

以上の基準に従って書きおこした行動に対し、基盤化アクトのうちのどれかを付与 した。行動によっては、1つが複数の機能を兼ねているものがあるため、その場合に は複数の基盤化アクトを付与した。

実際の基盤化アクトがどう付与されたのか、対象データからの抜粋 4.1 で見ておこ う。Hは人の行動、Sは券売機の行動を指す。

対象データからの抜粋 4.1

基盤化アクト UU# UU

init1 1.1 H : 五百円硬貨を硬貨投入口に投入 ack1 init2 2.1 S : 上部表示エリアをクリア

(中略)

ack5 init6 3.1 H : <150>と点灯された乗車券購入ボタンを押す ack6 4.1 S : 「ピッ」音

UU1.1 はインタラクションの始まりの部分である。これは「表 4.3 人の行う行動 の種類とその頻度」の中の「お金やカードを入れる」という行動にあたる。この行動 は新しい情報を提示しており、よってこれにより基盤化過程が開始される。この UU には init という基盤化アクトが付与される。UU2.1 は券売機の行動である。これは「表 4.2 券売機の行う行動の種類とその頻度」の中の「表示された文字や数字のクリア」

という行動にあたる。この行動は、人の「硬貨の投入」という行動の理解を示すシグ ナルとなる。そこで券売機のこの行動には、ack が付与される。これはまた、「表示の クリア」という別の情報の提示となり、ここからまた次の基盤化過程が開始される。

そこで init という機能も付与されることになる。それに対し、券売機の UU4.1 の行動 は、すぐ前の UU3.1 の行動を理解したことをシグナルするだけである。この行動には ack だけが付与される。