トップPDF あやまちの悲劇 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

あやまちの悲劇 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

あやまちの悲劇 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 「それで、その男が臆病だったり、面目をつぶされたり、あるいは自分で復讐ができないとき、 彼は――もしかしたら女性かもしれないけど――その女の子せいで誰か他人にそんなこと をやらせるかしら?」  「もちろんさ。そんな仕事を探している奴が南アメリカ海岸にはここらにいる物乞いと同 じくらいいまさ。」ボート男はこんなにも淑女然とした女性がこんな品ない話題にひどく 興味を持っていることにとても驚いた。しかしご覧とおり、彼女がこの話題について容易に 話すを聞いて、多分、この女性に情報を与えることができる楽しみとそれを話している自分 自身声を聞く楽しみは驚きよりもさらに大きかった。「あの土地では人は絶対に恨みを忘れ ないさ」と彼は続けた。 「もし彼が一日借りを返せなくても、別日には必ず借りを返しまさ。 スペイン人憎しみは寝不足ようなもので、しばらくは先延ばしにできるが、最後にはそい つに捕まっちまうんです。悪党って奴は自分たちへ約束はかならず守るんでさ……船 敵はまったく楽しいもんでさ。同じ囲い中でつながれている雄牛ようなもんで。壁を後ろ にしてなきゃ三十秒と安心していられるもんじゃない。たとえ相手が仲良くしようとしてきて も、相手好意にはどこか下心があるさ。そいつと何かするってはしろめ 4 4 4
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ある問題 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

ある問題 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 デイヴィッドが疑問に思ったように、嫉妬は一体どこに隠れていただろうか?嫉妬は最も ありそうにない場所で姿を現すだろうか?嫉妬は何も知らないエマ心に巣食い、暇にまか せてエマ心を飾り立てただ。  私が今描いた二人ちょっとしたやりとりあと、二人気持ちはまったく変わってしまっ た。デイヴィッドは妻にキスをして、涙を流しても意味がないことを訴えたが、自分話は撤 回しなかった。彼は十年間そのことを考えたこともなかったが、思い出した今となっては頭か ら追い払うことができなくなっていた。そのことがひっきりなしに彼を攻め悩まし混乱させる だった。それは最も都合悪い瞬間に押しかけてきては、耳中でブンブンと音を立て、彼 帳簿数字中で踊るだった。ときにはあの若い女性予言が途方もない数字列と一緒 になって、比較的小さな数字から何十万という数字列に紛れ込むこともあった。デイヴィッ ドは何百回となく自分は夫であると言い聞かした。しかし結局ところ、不思議なは、あの 若い女性が言ったように彼が二度結婚する運命になっているということではなく、エマもまっ たく同じ運命を引き当てたということだった。それは神託矛盾だった。もちろん、今となっ ては実行に移すことなどできないが、どちら神託が正しいか検証してみるは面白い試み だっただろう。一体どうして両方が真実であることができよう?相互に相容れないことは最大 限知恵をもってしても調停することはできない。どちらか予言者が比喩的な言い回しをし たということは考えられるだろうか?デイヴィッドには、そのように考えることは彼女たちに 実際以上能力を認めることになるように思えた。そのことには思い及ばなかっただが、最 も単純な解決策は、デイヴィッドにはできなかっただろうが、二人が結婚したときにお互い 予言がお互い予言を無効にし、デイヴィッドがエマ夫になったときに、彼らでたらめ 予言はその効力を失ったと考えることだ。
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ある肖像画の物語 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

ある肖像画の物語 ヘンリー・ジェイムズ 著 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 どのようにその週が過ぎたか上手く説明できない。今彼顔を正面から見つめている冷徹 な結びつきよりも死方が好ましいかように、そして、唯一可能な選択は彼財産をマリア ンに譲り自分存在を終わらせることであるかように感じられる瞬間がレノックスにはあっ た。また、それなりに自分運命と折り合いをつけているかような瞬間もあった。彼はただ 自分が持っていた古い夢や幻想を集めて、膝上で折ってしまいさえすればそれでよかった だ。それでことは済むだ。しかしそうはせずに、合理的かつ適度な期待こもった立派な束 を集めて、それを結婚式白いリボンで束ねることはできないだろうか?彼愛は死んでし まった。彼若さも死んでしまった。それですべてお終いだった。そこから悲劇を生みだす必 要などなかった。彼生命力は弱く短命であることが宿命であったので、消えてしまう なら結婚後よりも前方が良かった。結婚に関していうなら、それは予定どおり執り行われ るべきだった。なぜなら、それは必ずしも愛問題ではないからだ。彼にはマリアン将来を 奪ってしまうために必要な残酷な首尾一貫性に欠けていた。もし彼が誤って彼女を過大評価し ただとしたら、その責任は彼にあり、その罰を彼女が支払わなければならないとすればそれ は残酷なことであっただろう。彼女に問題があったとしてもそれは意図的なものではまったく なく、彼自身に関するかぎり、彼女意図が善意にもとづくものであることは明らかであった。 彼女と一心同体とはいかなくても、少なくとも彼女は誠実な妻であり続けるであろう。  この暗澹とした理屈力を借りて、レノックスは結婚式前夜にまで漕ぎつけた。これに先 立つ週、エベレットに対する彼振る舞いは一貫して優しく親切であった。彼愛を失うこと によって彼女はとても大切な宝物を失ってしまっただと彼は感じた。その代わりに彼は、尽 きることない忠誠を彼女に捧げるであった。マリアンは彼元気なさや何かに心を奪わ れているような感じについて聞いてみたが、調子が良くないんだと答えるだけだった。水曜日 午後、彼は馬に乗って長時間外出した。陽が沈むころ帰宅し、古くからいる家政婦に玄関で 会った。
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マルチメディアを利用した外国語教育と情報ネットワークの展開 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

マルチメディアを利用した外国語教育と情報ネットワークの展開 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

きかける姿勢が必要なである。ハイパーリンクを辿るとき、あたかも自分で情報を再構成し ているかような錯覚に陥るが、それは新しい知発見や構築を必ずしも保証するものではな いことを悟るべきである。  また、ハイパーリンクを可能にしたデジタル情報簡便さや断片性は、逆に一覧性欠如あ るいは困難さという新たな問題をもたらしている。つまり、ペーパーメディアを扱うときよ うに、ページ(群)という空間を一覧し、全体中で行きつ戻りつしながら言語を追うといっ た、従来型空間的操作がしにくいである。もちろん、リンクを辿ることによって「行きつ 戻りつ」できるではあるが、それぞれリンクはいわば読み切り情報であり、全体を見通す という行為が希薄になりがちなだ。実は、グーテンベルクによる活版印刷術がもたらした大 量複製書物は、〈読み〉スタイルを音読から黙読へと移行させ、今しがた述べた「行きつ戻 りつ」空間的操作を可能にするとともに、読者注意を言語意味や論理へと集中させる効 果があったという。論理へ集中は、また、書物を批判的に読む態度をも養ったである。 27)
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コミュニケーション能力を養成するためのパターンプラクティス 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

コミュニケーション能力を養成するためのパターンプラクティス 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

計画性」、「学習機会増大」などメタ認知方略 14) 、「リーディング」、「スピーキング」など スキル認知別方略両方で多く共通点があるという 15) 。メタ認知方略に関して、成功者は 一定して自己学習過程を認識し、自発的・計画的に学習を継続し、外国を使用する機会を 増やす努力を惜しまない。一方、下位成績者は自己学習過程について認識が低く、学習に 自発性・計画性がない。スキル別方略については、外国学習成功者は学習段階に応じて様々 な方略を使い分けており、例えばリーディングについては「繰りかえし音読する」方略を学習 初期から中期に、「分析的に読む」方略は初期後半から中期に用いる傾向が強い。注目すべ き点は、スピーキングについて、「流暢さ重視」と同様に「基本文例大量徹底暗記」、「パ ターンプラクティス」を共通した方略として、学習初期・中期段階において多く外国語学 習成功者が用いていることである。下位成績者はスピーキングに関する上記方略どれも用 いておらず、暗記と構文練習が外国学習初期過程中で大きな学習効果をあげたことがう かがわれる。
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メキシコにおける前衛主義 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

メキシコにおける前衛主義 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

2.「同時代人」誌創刊 「同時代人」誌グループ中核は、国立予備学校で顔を合わせた数名詩人たちであった。 まず年齢近さが彼らを親しく結びつけたである。予備学校を卒業後、高等専門学校や国立 大学法学部に進学してからも交遊は続き、きずなは強まった。彼らが、〈青年文芸協会〉派 カソやゴンサレス = マルティネスに感化されたは大学入学後ことだった。その頃、トー レス = ボデーとベルナルド・オルティス = デ = モンテジャノ Bernardo Ortiz de Montellano (1899‒1949)は、〈新青年文芸協会〉派 Nuevo฀Ateneo฀de฀la฀Juventud を結成している。1921年 にはノボやハビエル・ビジャウルティア Xavier Villaurrutia(1903‒1950)が加わった。やがて、 彼らはさまざまな雑誌や新聞に作品を発表すると同時に、「現代メキシコ」誌や 「方陣」誌 を創刊した。さらに1927年5月から翌2月までは、ノボ、ビジャウルティア、クエスタ、オーエ ンらが中心となり、「ユリシーズ」を出した。いずれも短命に終わったが、二十世紀前半メ キシコ文学において決定的な役割を果たすことになった。ことに「ユリシーズ」誌は、新しい 美学創造を目指す姿勢といい上述した執筆陣といい、まさに「同時代人」誌先触れであっ た。
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Designing a taskbased syllabus 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

Designing a taskbased syllabus 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

本章では Brown(1995)カリキュラム構築モデルをもとに、一企業英語プログラム を発展させるため実施した学習者と職場ニーズ分析、さらにニーズ分析結果を用い、学 習項目設定を行い、タスク中心シラバスを構築させたケーススタディである。シラバス 作成には、Long and Crookes (1992)タスク中心シラバス構築(Task-based Syllabus Design, TBSD)アプローチを活用した。これは次3つ理由による。(1)学習内容と 目標言語使用分野をできるだけ近づけることが可能である。(2)タスクを使って基準準拠 評価が可能である。(3)TBSD は言語形態を学習者に意識させること重要性を認識した ものであり、これは受講者ニーズに合致するものであった。Part 1ではニーズ分析結果を まとめ、Part2ではタスク中心シラバス学習目標設定プロセスを説明する。
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中国語の構文分析法 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

中国語の構文分析法 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

.上記の俗流的論法に対する最も有力な理論的な反論はこれまでの主語、述語、目的語 3文成分間の関係を総括する朱徳熙(1983)の論文であった。即ち「正常な状況下で は、「主語」は必ず「謂語」の前にあり、「賓語」は必ず「述語」の後にある。「主語」 と「謂語」の間の関係は緩やかであり、中間に停頓(ポーズ)を置くことができる。 「述語」と「賓語」は意味上と構造上の関係はいずれも[r]

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中国語教育における習得語彙の広さと深さ 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

中国語教育における習得語彙の広さと深さ 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

外国教育において、頻度調査と専門家チェックによって習得語彙が選定され、段階的 に、或いは音順に従って提示された場合が多い。中国教育HSK詞彙大綱もその1つであ る。しかし筆者は、そのような選定、提示方法では、習得すべきを体系的に捉え、効率 的に習得することができないと考えている。語彙教育をより効率に行うには、筆者は、意味 分野をカバーできる広さと修辞的同義という精密描写上深さという概念を打ち 立てた。習得語彙は基本概念を決め、表現正確さを配慮し、意味体系あり方に従って 提示することが望ましいと考えている。
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新時代の中国語教育 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

新時代の中国語教育 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

これまでは、日本大学教師は教育よりも研究に主観的には重点をおいてきたと言われてい る。しかし、われわれは新しい知見探究にはげむと同時に、それをどう伝えるかということ にも意を用いなければならない。誰もがすべて一流研究者としてふさわしい資質を有してい るとは思えない。むしろ教育無視弊害ほうが大きいではないか。その意味ではまさに「外 国語教育プロフェッショナル養成」が必要とされている。研究教育は個人問題でもあり、 システム問題でもある。どちらをメインにすえてやってゆくか、将来的には選択をするこ とになるだろう。
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フランス語教師のための研修の必要性 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

フランス語教師のための研修の必要性 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

2 . 2  フランス語教師採用条件  中等教育機関では、専任教諭については教科に関わらず教員免許が、非常勤講師については 原則として教科ごと教員免許が必要である。すなわち、フランス語教師になるためには、中 学校あるいは高等学校外国(フランス語)」教員免許状を取得するが一般的である が、他教科免許状を取得して専任教諭になれば、教育委員会へ申請を経てフランス語も教 えることができる。あるいは、「特別非常勤講師(=免許を要しない非常勤講師)」枠で採 用される場合は、いかなる免許も必要としない。この「特別非常勤講師」は平成10年度免許 法改正により「許可制」から「届出制」となって以来、とくに公立学校では増加一途をたど っている。しかし都道府県によって差があり、また私学では(フランス人講師場合や大学付
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ご挨拶 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

ご挨拶 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

今春、本学外国教育研究科は、外国というもう一つ言葉研究を介 して、人間コミュニケーション謎に迫り、そのコミュニケーション能力教育 可能性を具体的に追求するという目的をもって、誕生いたしました。今回記念 シンポジアム開催が、関西大学そのような自覚と情熱表明機会となり、 多く同志方々ご支援とご協力を頂戴する機会ともなることを、心より期待 したいと思います。
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故河合忠仁教授を偲んで 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

故河合忠仁教授を偲んで 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 我々共通恩師は、旺文社大学受験ラジオ講座・英文解釈授業で活躍しておられた宮田 明夫先生(奈良教育大学名誉教授)である。ラジオ講座を聴いていた現在60歳前後世代には きっと懐かしい名前にちがいないだろう。宮田先生英語力は抜群であった。外国人教師が宮 田先生に解釈を求めて質問に来ている姿を何度も目撃したことがある。私自身は不肖弟子だ が、河合先輩は恩師・宮田明夫先生薫陶たまものである。そのことを宮田先生が一番ご存 知だったと思う。
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感情スクリプトと第2言語コミュニケーション 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

感情スクリプトと第2言語コミュニケーション 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

 この結果を先述議論と関係で論じると、 4 ∼6年アメリカに滞在したロシア人が 2 言 英語を使って、アメリカ人とコミュニケーションを図る場合、おそらく、英語的なスクリ プトを用い、また言語表現においても、強い干渉を受けずに話すので、文化的スキーマ文化 差から予測される困難はさほど起こらないであろう。一方、ロシアで英語を学習し、アメリカ に到着したばかり人は、スキーマ・スクリプト文化的相違に戸惑う可能性がある。しかし、 海外に滞在しなくても目標言語習熟度を上げることはできるので、ここに、標準テストで測 定されるような、「英語習熟度 (proficiency)」が関わると、ミス・コミュニケーション要因 は複雑化する。よく言われる「言語はできても社会文化的能力がない」という指摘は、語彙、 文法だけを取り出して学習したような場合にはありうるが、通常言語が使われるコンテキスト 理解を伴わないで習熟度をあげることが極めて難しいことを考えると、完全に切り離せるも ではない。特に言語に内在した文化性(たとえば、日本ように代名詞を落とせる言語と そうでない言語、brotherと兄/弟ように単語指し示す範囲違いなど)と、言語使用 文化性(謝罪仕方、依頼仕方など発話行為をどのように言語的に実現するか)は言語習 熟度と密接に関係する。一方、そういった語彙や言語使用が埋め込まれたスクリプトと社会的 コンテキストを理解するには、また、そういった行動を促す文化モデルへアクセスは、その 言語文化コミュニティーへ参加が前提となろう。
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W・ラーベと環境問題 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

W・ラーベと環境問題 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

も私たちは夜にはガスや電気光やその他この種あらゆる発明品で明るい朝となるま であいつらから眠りと夜安らぎを奪ってしまったんです。私たち町では夜にはもう眠 り時間がなくなっているということが、あいつらを家々屋根や塔から追い払ってしま ったんです、臭気が甲虫や毛虫や蝶たちをこの茂みや他園芸からそうしたように。ず っと向こう郊外町では勿論まだ生き延びていけるでしょうが、あんな所にもまたまた 煙突や煤煙を伴って工場がやって来て生き延びようとする気持ちに嘔吐を催させてしまう んです。だからあいつらにはもう恐らく何んにも残されてはいないんですよ。」 13)  今日ともなれば上記ラーベこの警告は重苦しいいほど現実性を伴って伝わるであろうが 100年も前にこの深刻な真実を理解できたはごく僅かな人たちだけであったろう。しかしな がらまた一方でこの作家が繰り返し取り扱う問題を独特に異化して持ち出して来ることのみに 注目してはならないであろう。かかる場合に動物相や植物相そのものだけに関心が示されてい るではなく、これらが人間置かれている状態を象徴化していることが重要なであり、結 局は生存を脅かすある技術が増大することによって人間にふさわしい在り方が破壊されるとい うことが反語的に糾弾されているである。それは上掲引用に続いて「動物たちはほんの少 しだけ人間先を行っているに過ぎないです」という言葉に如実に表明されていよう。  ラーベは産業革命大都市における随伴現象たる諸変化を述べているばかりではない。地方 都市やいわゆる田園地帯におけるそれらをも描き出しているである。それは大都市から離れ た地域にも工場が所在地を選定した結果であったり、大衆社会出現過程で大衆観光が次第に 生じてきた結果であったりするが、数世紀にわたって維持されて来た居住環境を越えて居住域 が次々と造成され始めていた事実反映に外ならない。大衆観光を映し出している例として 1888年に書かれた物語「皇女フィッシュ」(           )が挙げられよう。この作品では ハ−ルツ()地方ある小さな町「イルメンタール」(        )が19世紀後半に数多く 見受けられたように保養地に変貌してゆく有り様が描かれているであるが、それまで野生 草花や良い匂いする薬草が生い茂っていた町中や周辺部いたるところに「イタリア−ド イツ−イギリス風ルネッサンス様式邸宅」が観光用呼び物とともに建ち並ぶようなる。 この一般的な建築ブーム助成者はアメリカから戻ってきたアレックス・ロートブルク (      )という男で、無論「概して関心も持たず,生粋愛国的なイルメンタール出身者でもなく」 14) 、ただ利己的な利益志向からそうなったであったが、それでも目を眩 らまされた住民たちは町景観を最終的には壊してしまうこの男すべて計画に感激して同 意し、たとえば周囲自然をも含めた彼提案を次ように歓迎する。
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言語研究の底を流れる思想を考える—推論様式を手掛かりとして— 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

言語研究の底を流れる思想を考える—推論様式を手掛かりとして— 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

(12) もしαが真であり、βが私たち知識と整合するならば、βが真であると想定せよ。   α: Mβ        β (Ginsberg1987:7 8) 例として、(11推論様式をもう少し具体化してみよう。「トィティは鳥だ」(α)と教えら れたとする。「鳥が空を飛ぶ」(β)ということは、私たち知識(データベース)と矛盾し ない(Mβ)。したがって、「トィティは空を飛ぶだ」と私は考えても差し支えないである。  この結論は多く場合正しいが、たとえば後からトィティがペンギンだと分かった時点で破 棄しなければならない。このように、例外であることが指摘される(=断り書き存在が判明 する)までは有効な推論ことを、デフォールト推論(default inference)と呼ぶ。ペンギン(で あるがゆえに飛ばない)と判明したトィティ例からもわかるように、デフォールト推論もま た、先に述べた帰納法やアブダクションと同じく、その結論正しさは保証されていない 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4
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フランス語動詞事象の意味分類に関する考察 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

フランス語動詞事象の意味分類に関する考察 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

2.3. 分析対象と分析レヴェル     動詞グループ研究に於ける最後ポイントは分析対象に関わる。多く研究者が指摘して いることであるが、Vendler 意味分類対象になるは動詞そのもの意味ではない 16) 。 Draw฀a฀circle,฀write฀a฀letter,฀reach฀the฀summit ように多数完了動詞や瞬間動詞は補語を 伴わないとその意味が確定されない。また、Vendler 自身も認めているように、彼動詞分類 では一つ動詞が他要素と関係で二つカテゴリーに分類されることがある。例えば活動 動詞に分類される smoke が習慣を表すと状態動詞になり、逆に状態動詞に属する think は think฀about に な る と 活 動 性 を 表 し、be+ ∼ ing と 共 起 す る(ex. He฀is฀thinking฀about฀ Jones )。このことから分かるように、真意味分析対象となるは、目的補語、状況補語
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ドイツ語圏スイスにおける言語状況:標準変種の規範化と方言の拡大 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

ドイツ語圏スイスにおける言語状況:標準変種の規範化と方言の拡大 外国語教育研究(紀要)第11号〜第17号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

ダイグロシア(diglossia)、標準変種(standard variety)、変異形(variante)、複数中心地言 (pluricentric language) 1 .序  スイス連邦には、ドイツ、フランス語、イタリア、レトロマンシュ 4 つ国語 (Landessprache)があるが、連邦レベルで使用される公用(Amtssprache)はドイツ、フ ランス、イタリア 3 言語であることが、それぞれスイス連邦憲法 4 条と70条 1 項 で規定されている。公用選択は 4 条 2 項により各州に委ねられており、本稿で取り上 げるドイツ圏は全体 6 割以上を占めている。ドイツ圏では次節で考察する「ダイグロシ ア」(diglossia)状況が存在し、憲法で定められているドイツは、事実上公的機関で使用 されるH変種(high variety)を指していると解釈される。一方、会話では主に各地方言が 用いられており、L変種(low variety)と呼ばれている。しかし、H変種とL変種と使い分
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ワーキング・メモリーの機能と言語の関わり 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

ワーキング・メモリーの機能と言語の関わり 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

れる。我々は覚えるべき情報をループのように復唱する。それは大抵声に出さないで内的に、 即ち聞こえないように行われる。こうした聞こえない復唱は、英語で リハーサル と言われる。 このリハーサルには、ワーキング・メモリーの一部であるフォノロジカル・ループが係わる。 フォノロジカル・ループは情報をごく短時間、1 5から2秒間、保持することができる。しか し、この情報はリハー[r]

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教師の専門能力開発をめぐる研究 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

教師の専門能力開発をめぐる研究 外国語教育研究(紀要)第1号〜第10号|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

がもつダイナミックさと多面性を考慮すると同時に、文化的に多様な現代オーストラリアなら びに地球上のあらゆる文化に暮らす人々を理解することの重要性を認識させるためである ( :以下QSCC 2001) 14) 。初等・中等外国語教育に必要な組 織の枠組みとカリキュラム作成のために「オーストラリアの言語レベルに関するガイドライン ( :以下ALLガイド[r]

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