2.誤嚥性肺炎既往患者での ACE 阻害薬の推奨について、一部の薬剤のみが推奨であってクラ スエフェクトは証明されておらず、さらに、肺炎の発症予防と咳反射の亢進は直接的には証明さ れていないのでは、とのご指摘がありました。ご指摘のとおりで、これまで比較的質の高い研究 で ACE 阻害薬の肺炎予防効果が確認されているのは、perindopril と imidapril です。過去に 1,190 名の高血圧合併脳血管障害患者を対象として降圧薬として種々の ACE 阻害薬、種々のカルシウ ム拮抗薬および種々の利尿薬の肺炎発症に対する効果について高血圧非合併脳血管障害患者(降 圧薬非投与)をコントロールとして比較した論文があり、結果は ACE 阻害薬使用群で肺炎の発 症が有意に少なかったというものでした(AraiT, et al. Neurology2005;64:573-574)。RCT ではあ りませんでしたが、 肺炎の項目ではこのデータから ACE 阻害薬という表記にさせて頂きました。 さらに、肺炎を減少させるメカニズムの一つと考えられているサブスタンスPの分解抑制作用は、 ACE 阻害薬に共通したクラスエフェクトと考えられます。例えば、エビデンスのない用量に対し て、エビデンスのある用量と同様の使用法が認められるのは、メカニズムを考慮した結果である と考えられ、全ての薬剤に高いエビデンスを求めることは、かえってバイアスが生じるとの懸念 がありました。こちらは、日本呼吸器学会の NHCAP のガイドラインや脳卒中治療ガイドライン 2009、JSH2014 などにおいても、誤嚥性肺炎に対しては「ACE 阻害薬」とのみ記載しており、特 定の薬剤には言及しておらず、整合性にも問題はないと判断いたしました。
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