一方,イップス,参加動機の危機,怪我やスランプ のようなスポーツにおける継続危機の経験は,選手を ドロップアウトやバーンアウトに追い込む危険性を秘 めていると考えられている (青木, 1989;上野ら,2014).
近年, このようなスポーツ選手としての危機とスポー ツ選手の内面的成長,例えば適応的な動機づけへの変 化, 自己受容,他者受容との関係性をみた研究が注目 されている(杉浦, 2001; 竹之内ほか, 2011).
Stambulova(2000)は,スポーツにおける継続の危 機はスポーツ選手としての成長における転機となり, 危機によってスポーツ選手の心理的成長が期待できる と示唆している.また,鈴木(2011,p.1)は「イッ プスはスポーツ選手に大きな転機をもたらす経験であ り, 選手にとってこころから一生消えない深い傷にも, 自身の成長のステップにもなる可能性がある」として いる.さらに,鈴木(2011)は,イップスは周囲のサ ポートによってはスポーツ選手としての成長の糧とな る可能性を言及している.これらのことから,スポー ツ選手における危機の経験は,心理的成長の転機とし て捉えることができる可能性が示唆される.
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