道徳6の3 -1-
第6学年3組 道徳学習指導案
1 主題名 内容項目名 あなたの立場とわたしの気持ち(内容項目番号 2-(4)) (資料名「お別れ会」 出典 「みんなのどうとく」(学研))
2 主題設定の理由 (1)価値について
本主題は,学習指導要領の第5学年及び第6学年の内容項目 2-(4)「謙虚な心をもち,広い心で 自分と異なる意見や立場を大切にする。」を受けて設定している。この内容は,より広がりと深まりのあ る人間関係を築くために必要な,謙虚な心と広い心を育てようとするものである。
寛大な心で他者の過ちを許すことができるのは,自分自身も過ちを犯すことがあると自覚しているか らにほかならない。しかし,私たちは自分の立場を守ろうとするばかりに,他人の失敗や過ちを一方的 に非難したり,相手の立場や意見を受け入れたりすることができないことがある。そのため,自分自身 が成長の途上にあり,至らなさをもっていることを知り,自分を謙虚に見て,他人の過ちを許す態度や 相手の考えを学ぼうとする広い心をもつことが大切である。
この時期の児童は,他者を批判する力がついてくる一方で,自分自身を冷静に見つめ直すにはまだま だ未熟である。また,トラブルを避けて相手の意見や立場も聞かずに我慢することもある。そのため,
相手のおかれている立場を知らずに一方的に意見を通したり,相手の意見とは食い違っていても言葉に 出さずに友達との距離をおいたりすることがある。これでは,一見寛容に相手を受け入れているようで も,実際は相手の立場に立っておらず,本当の意味で相手の意見や立場を大切にしていることにはなら ないだろう。
そこで,自分と異なった意見や立場,相手の過ちなどに対して我慢するだけではなく,互いの考えを 理解し,尊重し合うことができるよう指導することが大切だと考え,本主題を設定した。
(2)児童の実態について(男子16名 女子14名 計30名 内男子1名欠席)
<実態調査>
1 あなたにはいつも仲良くしている3人の友達がいます。今回,校外学習のグループ決めをするこ とになりました。二人組をつくらなければなりません。あなたと仲良しの友達二人は席が近かった ためいち早く2人組をつくりました。
① さて,あなたはどうしますか?(選択式)
声をかける(5) 声をかけない(24)
② ①で声をかけると答えた人に質問です。どのように声をかけますか?また,それはなぜですか?
・「入りたいなぁ」等,思いを伝える (2) (自由記述式)
・次は一緒になれるように約束をとりつける。 (2)
・「もう一度決め直してほしい」等,意見を言う(1)
③ 「B声をかけない」と答えた人に質問です。それはなぜですか?(自由記述式)
・喧嘩になる。面倒なことになる。 (7) ・相手がかわいそう。 (5)
・他の人と組めればよい。 (5) ・友達がよければそれでよい。 (4)
・自分が一緒になって喜ぶとは限らない。 (2) ・誰かは我慢しないといけない。 (2)
・ゆずる心が大事,勇気がない,今後のために。
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2 自分にも意見があるのに,友達に一方的に意見を言われたとき,あなたなら言い返しますか?
それとも,言い返しませんか? (選択式)
A言い返す (28) B言い返さない (11)
3 友達の意見に対しておかしいと思って,自分の意見を主張し,後悔したことがありますか?
(自由記述式)
ある(18) ない(5)
・主張したけれど,結果的に相手が正しかった。 (3) ・主張はしたが,後悔はない。
・友達の考えに口出ししたが,親に諭された。 (3)
・友達の遊びの誘いよりも家の用事を優先した。 (3)
・主張したら喧嘩になった。 (2)
・少し自分の主張を強く言いすぎた。
4 友達の意見に対しておかしいと思っていたが,自分の意見を主張しなかったことがあり ますか?具体的に書きましょう。
ある(16)
・友達との約束の時間は都合が悪かったが言い出せなかった。 (5)
・友達が一方的に予定を決めたが,反論できなかった。 (4)
・一人の意見に周りの皆が賛成したので,言い出せなかった。 (3)
・友達がやりたいという遊びを行ったが,本当は楽しくなかった。 (2)
・家の用事があったが,友達との約束を優先してしまった。 (2)
本学級の児童には,普段から友達の意見を取り入れようとする寛容な様子が見られる。一方で,
「自分が意見を主張せず我慢すれば,すべてうまくいく」という思いがあるように感じていた。相 手の立場を理解した上で友達の意見を受け入れているわけではなく,トラブルを避けて我慢してい る傾向があるようだ。
改めて調査したところ,調査項目①ではほとんどの児童が自分の意見があったとしても,自分の 幸福ではなく多数の幸福を選択し,自分自身の思いを曲げ,我慢したほうがよいと考えている。確 かに,「かわいそう」「友達がよければ」という相手の立場に立って考えている児童もいる。一方で,
トラブルを避けたり,合理性を優先したりする児童も多い。実際,調査項目②では,相手に自分の 意見を主張するという児童が圧倒的に多い。これは,相手の立場を理解しての行動ではなく,最終 的な自分の利益を追求しての結果であろう。これは,調査項目③④の結果からも見てとれる。
今後も友達と意見が食い違う場面はたくさんある。そのため,本資料を通して,「他人を本当の意 味で許す・理解する。」ということについて考えさせたい。
(3)資料について
本資料は,互いの立場と気持ちのすれ違いについて扱った資料である。
本資料の主人公である直美は,お別れ会約束の当日,家族でのドライブという誘惑に後ろ髪を引か れる思いをするも,約束を果たす決心をする。ところが,お別れ会を延期するという一歩遅かった電 話に友達の約束を大切にしようとした気持ちを踏みにじられてしまう。翌日,直美はどうして早く連 絡をくれなかったのかと友達を問いただす。友達は都合が悪かったことを弁解したり,直美をなだめ ようとしたりするが,自分を正当化している直美の怒りはおさまらなかった。しかし,時間が経つに
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つれ,何のためにお別れ会をしようとしていたのか,初めに返って考え直すうちに,直美はなんとな くすっきりしない気持ちになってしまう。
直美が友達を責める場面は,児童にとって「理由は聞くべきだな。」「強く言いすぎかな。」「そもそ も言わなければ…」と,意見が分かれる場面である。この部分を中心に考えさせることで,自分と相 手の互いの意見や立場を理解し合うことが大切であることに気づかせられると考える。
(4)指導観
自分の意見を伝えること,友達の意見を理解しつつ行動することの大切さは,学校生活の様々な場 面で指導してきた。社会科や理科の校外学習の事前指導を通して,グループで見学する際の友達への 気遣いや誰かが一方的に我慢しないように考えさせた。実際の学習でも児童の行動のよさを価値づけ たり,問題の改善を促したりした。
今までに扱った2-(4)「広い心で」では,「ひとふさのぶどう」という資料を用い,相手の立場 や気持ちを思いやることを忘れず,過ちを心から悔いている人を許すことが美しいと感じる心を育て てきた。「ひとふさのぶどう」では,過ちをおかした主人公を広い心で許す友達の気持ちを共感的に考 えることができた。
本資料「お別れ会」を通して寛容・謙虚を学ぶにあたり,毎時間の道徳の授業で「役割演技と深め 合いタイム」を設定し,様々な価値について考えを深めてきた。もともと発表することが苦手,嫌い という児童が多い学級ではあるが,「役割演技」を経験することで,主体的に学習に参加できる児童が 増えてきた。本時でも,「役割演技」を通して主人公の気持ちを考えることで,より一層自分の行動と 照らし合わせて考えることができるだろう。さらに話し合い活動では,「深め合いタイム」と銘打って,
友達と自分の意見を比較しながら発言することで,自分の立場をはっきりとさせ,理由を添えて発表 することで価値に迫っていくことができると考える。しかし,本資料は「主人公の行動はおかしい。」 となってしまう可能性もある。それは,普段から友達に対し,言葉を選んで接したり,我慢すること を美徳としているためである。そのため,主人公の気持ちもわかるという発言には「でもカード」を 添えて板書し,評価したい。そして,後段では児童の友達と意見が対立した経験を想起させ,価値を 一般化させたい。
また,選ぶべき正しい選択ができない自分と正面から向き合い,成長するためにも本資料を通して 考えさせたい。
3 仮説との関連
仮説1 資料を有効に活用し,取り入れる工夫
資料を紙芝居のように提示したり,効果音を活用したりすることにより内容を重点的に伝える。
仮説2 話し合いに主体的に参加出来る工夫
役割演技を実際に行ったり見たりすることで,具体的に資料の場面をイメージした上で話し合 えるようにする。また,話し合い活動の際には,児童が指名を行い,主体的に話し合えるように する。発表の際には,友達の意見を受けて,自分はどう考えるかを伝えるようにし,話し合いに つながりをもたせるようにする。
仮説3 自分の思いを明確にするための,書く活動の工夫
話し合い活動の前に,児童が自らの考えを深めたり整理したりするための時間を確保して自分と
向き合い,ワークシートに自分の思いを書く。
4 本時の指導
道徳6の3 -4- (1)ねらい
自分の立場から主張するだけではなく,自分とは異なる立場があることも理解し,広い心でお互い の対立点を乗り越えようとする心を培う。
(2)展開
過程 時配 学習活動(◯)主たる発問(◎)
予想される児童の反応
支援及び指導上の留意点 資料
導 入
5
35
1 広い心についてアンケートの 結果をもとに確認する。
○友達のおかした過ちは,理由が あったとしても,すべて許さな ければならないのだろうか。
・大切な友達なのだから,許す。
・理由があるのだから仕方がない。
・友達だとしても,許せないこと がある。
2 資料「お別れ会」を聞いて,
話し合う。
○直美はどんな気持ちでドライブ の誘いを断ったのだろうか。
・家族と一緒にとても行きたかっ たが,友達との約束のほうが大 事だ。
・お別れ会は2度とできない。
○お別れ会が延期になることを知 らせる電話を聞いたとき,直美 はどんな気持ちだったのだろう か。
・え,なんで!ドライブを断った のに。
・もっと早く連絡してくれれば…
◎ 友達 一人 一人 の言い 分を 聞い
・想起しにくい場合には教師が具体例 を挙げる。
・ここで結論を出すわけではないの で,児童に聞くのは2人程度にす る。
・資料を教師が感情をこめて範読す る。(場面絵を貼る。車が走り去る 効果音や電話のベルの効果音を流 す。)
・2,3名に感想を聞く。(心に残っ たことを率直に表現させる。)
・資料構造図により本時の深めていき たい場面を確認する。
・直美が家族でのドライブにもとても 行きたいが,小原さんを思い決断し たことをおさえる。
・直美が家族とのドライブはまたでき るが,お別れ会は2度とできないと 思っていることをおさえるように する。
・直美だけが自分の都合よりも友達と の約束を優先したことをおさえる ようにする。
・児童の考えに教師も共感しながら,
直美の気持ちを簡単におさえるよ うにする。
・「直美がどんなことを考えはじめた
フラッシ ュカード
・資料
「 お 別 れ 会」
・CD
・資料構 造図
・電話 展
開
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て,直美はどんなことを考えは じめたのだろうか。
・せっかく,約束を守ろうとした のに。
・みんな自分勝手だ。
・私はただ友達と最後の思い出を つくりたかっただけなんだ。
・小原さんのためにお別れ会をや ろうと思ったのに…
↓
・みんなはなぜ家の用事を優先し たのかな。
↓
・お別れ会は,またできると思っ ていたのかな。
・育代さん・幸子さんも悩んだ末 での決断だったのかな。
↓
・ひょっとして,自分勝手だった のは自分の方かもしれない。
・あやまった方がいいかな。
・友達のことを思って約束を優先 し た 気 持 ち は わ かっ て ほ し い な。
○互いの気持ちや立場を伝え合う ことで友達と理解し合えた経験 はありますか。
・自分の意見を言うだけではなく,
友達の意見もよく聞いたら理解 し合えた。
・自分は悪くないと思っていたが,
母に諭されて相手の立場に立っ て考えると友達の言い分も理解 できた。
3 導 入時 にお さえた こと に戻
のか」について考えることができる ように,役割演技を行い,その場面 を振り返るようにする。
・ワークシートに書いてから発表させ る。(自分と向き合いタイム)
・役割演技を見た感想を踏まえて話し 合うようにする。
・友達の意見につなげて発表できるよ うにする。(深め合いタイム)
・「できない自分」を振り返ることが できている意見には「でもカード」
を添えて板書する。
・直美の気持ちについてチョークの色 を変えて板書する。
・友達の行動について批判的な見方も 取り上げる。(青)
・納得できない直美の気持ちをおさえ る。(青)
・直美が周りの人を考えていなかった ことについて気づかせる。(赤)
・直美自身も友達に理解してもらいと 思っていることに気づかせる。(赤)
・できるだけ具体例を挙げて発表でき るように支援する。
・なかなかでない場合は,教師側から 具体例をいくつか提示する。
・これからの自分の生き方を考えさせ る。
・人々が気持ちよく生活していくため
・ランド セル
・ワーク シート
・効果音
( 車 の 音・電話の ベル)
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・
大 切な 友 達 な のだ か ら, 許 す
。 友・ 達だ とし ても
,許 せな いこ とが ある
。 資 料名
「 お別 れ 会
」
・ ドラ イ ブ にも 行 き たい
。 で・
も
, お 別 れ会 は 二度 と で きな い
。 え・
, な ん で
!ド ラ イブ を 断 った の に。 も・
っ と 早 く 連絡 し てく れ れ ば…
・
せっ か く
, 約 束 を守 ろ う とし た のに
。 み・
ん な 自 分 勝手 だ
。 小・ 原 さん のた めに お 別れ 会を やろ うと 思っ たの に
…
・ 育代 さん
・幸 子さ んも 悩ん だ末 で の決 断だ った のか な。
・ ひょ っと して
,自 分勝 手だ った のは 自分 の方 かも しれ ない
。
・ あや まっ た方 がい いか な。 終
末
り,学習のまとめをする。
◯他人を本当の意味で許すには?
相手の過ちをすべて許すことは できない。しかし互いの気持ち や立場を伝え合って理解し合う ことはできる。
に,相手の立場に立って考えること が必要なことを考えさせる。
(3)板書計画
5 他の教育活動との関連
学校生活の中では,自分の考えばかりを主張せずに相手の気持ちや立場を考え,意見を聞いて友達
と接することが大切である。2人の時,グループ,学級の場合でも念頭に置いて考えることができる ようにしていく。
すべ て 許 さな け れ ばな ら な いの だ ろ うか
。 直
美は どん な気 持ち でド ライ ブの 誘 いを 断っ たの だろ うか
。 お
別れ 会が 延期 にな るこ とを 知ら せ る電 話を 聞い たと き, 直 美は どん な気 持ち っだ た の だろ う か。 友
達 一人 一 人 の言 い 分 を聞 い て
,直 美 は ど ん なこ と を 考え は じ めた の だ ろう か
。
す べ て 許 す こ と は で き な い
。 し か し 理 解 し 合 う こ と で き る
。