第1学年○○組 道徳学習指導案
指導者
1 主題名 他人を思いやる心 2-(2)人間愛・思いやり
資料名 「カーテンの向こう」 出典『心つないで』3年 教育出版
2 主題設定の理由 (1)価値について
項目2-(2)は,「温かい人間愛の精神を深め ,他の人々に対し感謝と思いやりの心を持つ」
ことをねらいとしている。
思いやりの心は ,普段,自分が他者に接するときに必要な心の在り方である。すなわち ,他 の人の立場を尊重しながら ,親切にし,いたわり,励ますときに現れる。したがって ,思いや りの根底には,人間尊重の精神に基づく人間に対する深い理解と人間の善性を信じ る心が必要 であり,単なるあわれみや同情と考えられるべきものではない。しかしながら ,私たち人間は,
同時に目の前の生活に流されやすく ,自己中心的になりがちな部分も持っている。他の人との 関わりの中で,温かい人間関係を深め ,これを身につけていくことは人間としてきわめて大切 なことである。
思春期を迎えたこの時期の中学生は ,自我が芽生え ,個性が確立しはじめる時期である。特 に子どもと大人の間を揺れ動くこの時期 ,自我を優先させ,深く相手のことを考えずにひどい 言葉を投げかけてしまったり ,自分の思い通りにいかないと友達にあたってしまったり などの 自分勝手な行動が見られることがある。他の人との関わりの中で葛藤しながら ,相手に対して 感じる人間の醜さや弱さが自分にもあることに気づき ,自分を振り返ることで相手の心を考え る力が生まれる。以上のように考察すると,相手の心を想像し ,それを考えながら行動しよう とすることで,思いやりは育まれていくことになるであろう。また ,お互いの弱さに気づき,
それを受け入れ,それでも良い関係をつくっていこうという行動が思いやりであることを感じ 取らせたい。
(2)生徒の実態について
(3)資料について
本資料は,インターネットの道徳資料「カーテンの向こう」から採用したものである。
この資料は,ある国のとある病室の一室での様子を題材にしている。窓がたった一つしかな く,消毒薬の臭いが立ちこめる重苦しい感じのする病室には ,重病患者がほとんど身動きでき ずに横たわっている。この病室で一番の古株のヤコブは ,病室の閉ざされた窓に一番近い場所 を陣取り,病室のみんなに外の様子を話すことによって唯一の楽しみを与えている。そのうち , 病室で二番目の古株になった主人公である「私」は ,何となくヤコブのことを疎ましく思うよ うになる。ヤコブだけが外の景色を見る権利を与えられているなんて不公平だと思うようにな るのである。そして,いつしかヤコブの死を願うようになる。心の中で,ヤコブの病気が重く なることを密かに願うようになった。ある年の冬,ついにヤコブの病状が悪化する。ヤコブは,
最後の力を振り絞って外の様子をみんなに伝えて息絶える。病室のみんなは ,悲しい顔をして いたが,「私」だけは,心のどこかで笑っていた。これからは,自分が外の様子を独り占めで きる。みんなになんか知らせてやるものか。オレ一人だけが楽しむんだと喜びに浸る。そして , 期待に胸躍らせてカーテンの隙間から外の様子を覗いてみる。しかし ,カーテンの隙間の向こ うに見えたものは・・・・何と冷たいレンガの壁であったという話である。
ヤコブが病室の仲間に生きる希望を与えるために ,あえて他の誰にも窓の外を見せず ,嘘の 情景を伝えていたのである。本当の思いやりとは何かを ,ヤコブの行動や「私」の心の変容を 通して考えさせることのできる資料である。
資料の取り扱いとしては,ヤコブが死ねばいいと思っている主人公についての話し合いを通 して,人間のもつ醜さや弱さを自分の問題としてとらえさせたい。また ,カーテンの向こうを 見たときの「私」の思いを考えさせ ,ヤコブの温かい思いやりの心の深さに気づかせたい。そ して,人にいたわりの心をもって関わっていこうとする ,人間としての誇りあるすばらしい生 き方を考えさせたい。
以上の分析から ,「私」のヤコブに対する心の変化を見て,考えることで,他の人に対する 感謝の気持ちを持ち ,思いやりのある行動に移せるようになるであろう。
(4)指導観
この価値項目2-(2)人間愛・思いやりは ,人との関わり合いの中で生活をしていかなけ ればいけない現代社会では ,とても重要なことである。そして,学校もまた,人間関係によっ て,楽しく生活できるか否かが決まると考えられる。友達や 、先生などの大人との関係が良好 だからこそ,学校に来ることを楽しみにできるのである。人間関係での影響は学級ではもちろ んのこと,部活動や学習の部分にも現れてくる。
言ってしまったその一言が相 手を傷つけてし まっているということに気付か ない生徒も現 状としていることは間違いない。また,その時には相手のことは考えず発言し ,後から考える と言い過ぎたと反省する生徒もいる。この二つに共通して言えることは ,「会話の中で相手の ことを思いやっていない」ということである。学級や部活動の中では ,このことが原因で,人 間関係を悪くし,相談を受けた事例が多く存在する。
この現状を改善するために ,本資料を通じて,自分の言動が相手のことを思いやった上での ものなのかを考えさせ,これからの自分のあるべき姿を確認させることが必要だと考える。
3 本時の指導 (1)ねらい
相手の立場に立って物事を考え,思いやりの心を持って接していこうとする心情を養う。
(2)展開
過 程 時配 学習活動と主たる発問・予想される生徒の反応 支援の手だてと留意点 資 料
導
入
5
1 挿絵を見て,どのような状況の人たちがい るのかを自由に発表する。
・重病患者が多そう。
・部屋全体が暗い 。 ・元気がない。
・絵を見て,思ったままの 感想が言えるような雰 囲気づくりをする。
・カーテンにも注意を向け させたい。
挿絵
展
開
40
2 前半部分の資料を配布し ,読み,登場人物 と内容について確認する。
→資料の前半部分を範読する。
※暗い病室の中で ,ヤコブの話が唯一病人 たちを明るくしている状況を把握する。
・気持ちが明るくなってくる。
・故郷の様子を思いだし,幸せ。
・外が見られてうらやましい。
・かわってあげればいいのに。
・自己中心的な人だな 。
・ヤコブは古株だからしかたない。
3 後半部分の資料を読み,内容を確認する。
→資料の後半部分を範読する。
・資料の内容を十分に理解 させ,状況を確認する。
・「私」の気持ちが変化し ていく様子に注目させ るように口頭発問する。
「感謝・ありがたい」
「うらやましい」
→「憎らしい」
「憎らしい」
→「死ねばいい」
・自分がヤコブの立場にな ったときに,初めてわか る「私」の気持ちを十分 に考えさせる。
資料1
(前半)
プリン ト
紙板書
紙板書
紙板書
資料2
(後半)
主人公である「私」の気持ちを考えよう!
① 初め、病院にいる「私」は、ヤコブの 話を聞いて、どんな気持ちでいた のだ ろうか?
② 死に際のニコルの申し出を無視し、場 所をかわろうとしないヤコブを、主人 公はどう思ったか。
・カーテンの向こう側には何が見えるのかを考 えさせる。
・ヤコブに対して何てことを思ってしまった のだろう。
・なんとレンガの壁かとショックを受ける。
・ヤコブはすごい良いやつだ
・ヤコブと同じように嘘を話し続ける。
・外の様子を見ないようにして ,できるだけ 話さない。
・みんなに本当のことを話して ,ヤコブがみ んなのために嘘をついていたんだというこ とを知らせる。
4 自己を見つめる 。
今日の授業を通して思ったことや感じた ことをまとめる。
・相手の立場に立って,行動する。
・ヤコブのような人間になりたい 。
・人のために嘘をついてまでも行動できる なんて素晴らしい。
・出た意見に対して ,さら に意見が深まるように 促す。
・病人に対して明るく希望 をもたせたヤコブの好 意的な思いを確認させ る。
・ 「私 」が こ う し た 行 動 を と る 理 由 に つ い て も 確 認 す る 。
・机間指導により ,今後の 実践意欲につながるよ うなものを見つけ ,その 後,紹介する。
紙板書
紙板書
終
末
5
5.教師の話
『わたしたちの道徳』p58を参照し ,東 日本大震災でのエピソードを紹介する。
・実際にあった話を踏まえ て,どうするべきか?を 考えさせる。
( 3 ) 板 書 計 画
③ やっとの思いでカーテンの向こうを見 たときの「私」は、どんな気持ちにな ったか。
④ このあと「私」は、どんな行動をとる と思うか。
「 カ ー テ ン の 向 こ う
」 窓
か ら 見 え る 外 の 話
『 主 人 公 の 私 の 気 持 ち を 考 え よ う
!
』 ヤコ ブへ の主 人公 の気 持ち
➀明 るい 気持 ちに なる 外が
見ら れて 良い な
➁か わっ てあ げれ ば… 自己 中心 的だ な カー
テン の向 こう
→
・ 冷・ たい 壁
・
4 他の教育活動との関連
本主題である「人々に対し感謝と思いやりの心を持つ」により ,本授業が人間関係を築き上げ る機会となれば,学級の雰囲気は少しずつ変容していく様子が見られると思われる。体育祭や 合 唱コンクールなどの学校行事では ,生徒は常に行事の成功に全力を傾けようとする。また,行事 への活動は生徒主体 で行われることが多く,生徒同士での協力や積極的な関わりが必要不可欠と なってくる。すると,意見のぶつかり合いが起こることが想定されるが ,そこに思いやりの心が あれば,お互いの立場を意識しながら,言いたいことが言い合える関係をつくっていけるは ずで ある。
このような人間関係づくり を通して,相手に対する「思いやり」の心を育むことができると考 える。
※他教科との関連
・国語…「聞き方入門」,「話し方入門」,「話し合い方入門」
・音楽…「明るい声」,「合唱の響き」
・総合的な学習の時間…「自分の適性を知る」
挿絵
登 場 人 物 私
ニ コ ル ヤ コ ブ 病 院 患 希 者 望 あり
がた い・ 感謝 うら
やま しい 憎た
らし い
ニコ ル 今日 一日 でも いい から
… ヤコ ブ 申し 出を 無視
死ね ばい い ヤコ ブの 死
➂や っと の思 いで カー テン の向 こう を見 た とき の「 私」 は、 どん な気 持ち にな った か?
➃こ のあ と、「 私」 は、 どん な行 動を とる と 思う か?