平成15年5月21日 環境表面科学第6回小テスト(基本調査)
専攻 学籍番号 氏名
これ↓が解けたら、ほとんどプロ!
1. 界面における任意の距離の電位を数式で与えるための基礎式を1つあげた上で、そ の式の意味を述べよ。
0.平板−平板間の電気二重層を考える。
1.まず、片側の二重層のみを考える
拡散層中のイオンの濃度はボルツマン分布に従う
= + − +
+ kT
e n z
n ψ
0 exp
(1)
= − −
− kT
e n z
n ψ
0 exp
n: 拡散層中のイオンの個数濃度 n0: バルク溶液中のイオンの個数濃度 z: イオンの価数
k: ボルツマン定数 T: 温度
ψ: 問題にしている点における電位
+,-: 陽イオン、陰イオンを表す
表面の電位:ψ0は電位決定イオンのバルク活量cによって、
0
0 ln
c c zF
= RT
ψ (2)
R: 気体定数
c0: c at ψ0 = 0
拡散層内における電位は、Poissonの式
0 2
2 2 2 2 2
) (grad
div ε ε
ρ ψ
ψ ψ ψ
ψ
z r
y
x =−
∂ +∂
∂ +∂
∂
=∂
=
∆ 基礎式 (3)
基礎式
εr: 溶液の比誘電率 ε0: 真空の誘電率 ρ: 電荷密度
は、対称型電解質(z+ =z− =z,n0+ =n0− =n)に対して、
−
=
−
−
=
−
= + −
kT nze ze
kT ze kT
nze ze n n ze
ψ
ψ ψ
ρ
sinh 2
exp exp
) (
(4) 従って、
平板電気二重層に対する、Poisson-Boltzmann式は、(3),(4)式からx方向だけを考えて kT
ze nze
dx d
r
ψ ε
ε
ψ 2 sinh
0 2
2 =
(5)
基礎式
(5)式を積分して、
) 4 exp(
4 tanh
tanh 0 x
kT ze kT
zeψ ψ κ
−
=
(6)
<<1 kT
zeψ なら、(5)式は、
ψ ψ κ2
2
2 =
dx d
(7) ただし、 kT
e nz
r 0 2 2
2 2
ε κ =ε
(8)
25℃水溶液では特に c
9z 10 3 . 3 ×
κ = (9)
このκは、Debye-Huckelパラメータと呼ばれる。
(7)式を解くと、
)
0exp( κx ψ
ψ = − (10)
一方、表面電荷密度σは電気性中性の原理から、
∫
∞−
=
−
= 0
0 σd ρdx
σ (11)
σd: 底面が単位面積の液体柱に含まれる拡散層の全電荷 (4)式を使うと、
0 0
0
=
−
=
x
r dx
dψ ε ε
σ (12)
(10)、(12)から、
0 0
0 ε ε κψ
σ = r (13)
σ0の厳密解は、
=
kT kT ze
n r
sinh 2 ) 8
( 0 12 0
0
ε ψ ε
σ (14)
2.
次に平板電気二重層間の相互作用を考える
溶液中の2枚の平行平板(板間距離: h)に作用する力Pは
O
E P
P
P= + (15)
静電気成分 + 浸透圧成分
(電気力線により内側に引かれる力)+
(対イオンの浸透圧により外側へ押される力)
nkT kT
n n P
dx P d
O r E
2 ) (
2
2 0
− +
=
−
=
− +
ψ ε ε
(16)
POは常にPEよりも大きく、板は反発力を受ける 板の接近過程で表面の電位ψ0が変化しなければ、
PEの寄与を無視して、(1)と(16)のPOの式から、
板の受ける反発力PR(h)は単位面積あたり
(このときの考え方は、2つの平板の丁度中間の 面と無限遠の面を考え、中間の面上では、対称性 から電場は零、無限遠の平面でも電場は零である から、浸透圧成分のみを考えればよい、というこ とになる)
−
=2 cosh 1
)
( /2
kT nkT ze
h
PR ψh
(17)
ψ2/h: 板間の中央における電位
相互作用が弱ければ、ψh/2は単独の電気二重層の
電位ψs(h/2)の2倍と考えて、
kT ze
kT ze
kT
zeψ/4 <<1 then tanh( ψ /4 )≅ ψ /4 より、(6)式から、
(この近似は、後述するように、
ψ<20 mVのとき成立する)
−
=8 exp 2
) 2 / (
h ze
kT
h γ κ
ψ (18)
=
kT ze tanh 4ψ0
γ (19)
(17)式で
2 2 / 2
/ /kT 1 then P (h) nkT{ze /kT}
zeψh << R ≅ ψh
より、これに(18)式を代入して、
(この近似は、κh>1、つまり、hが電気二重層の厚さ よりも長いところで成り立つ
近似には cosh y ≅ 1 + y2 を使用した)
すると、
) exp(
64 )
(h nkT 2 h
PR = γ −κ (20)
) 64 exp(
) ( )
( nkT 2 h
dh h P h
VR h R γ κ
κ −
=
−
=
∫
∞ (21)3. Derjaguin近似から球形粒子の相互作用力へ
Derjaguin近似:
半径a1とa2の球形粒子の最近接距離Hのとき
(H<<a1,a2)
) ( 2
) (
2 1
2
1 V H
a a
a H a
PR R
= π +
(22) (21)と(22)よりa1=a2=aのとき、
) 64 exp(
)
( ankT 2 h
H
PR γ κ
κ
π −
= (23)
従って、半径aの球形粒子の相互作用エネルギーは
) 64 exp(
) ( )
(
2
2 h
ankT dH H P H
VR H R
κ κ γ
π −
=
−
=
∫
∞(24)
いま、
kT ze
kT ze
kT
zeψ0/4 <<1 then tanh( ψ0/4 )≅ ψ0/4 のとき、(23),(24)式は
(zeψ0=4kTは、1:1電解質で25℃で、
ψ0=103 mVのとき成立、
ψ0=20 mV以上では、zeψ0/4kTとtanh{ zeψ0/4kT}に、
1%以上のずれが生じる
ので、20mV以下でこの近似は成り立つとしてよい)
) exp(
2 )
(H a 0 02 h
PR = π εrε κψ −κ (25)
) exp(
2 )
(H a 0 02 h
VR = π εrεψ −κ (26)
(13)式を使うと、
) 2 exp(
) (
0 2
a H H
P
r
R κ
ε κε
σ
π −
= (27)
) 2 exp(
) (
0 2
2
a H H
V
r
R κ
ε ε κ
σ
π −
= (28)
3.
全相互作用力、ポテンシャル
これらと、van der Waals力の近似式12 2
)
( H
H aA PA =−
(29) H
H aA VA
) 12 ( =−
(30)
AはHamaker定数
をそれぞれ足しあわせると、全相互作用力、ポテンシャルとして、
2 0
2
) 12 2 exp(
)
( H
H aA H a
P
r
T = −κ −
ε κε
σ π
(31)
H H aA
H a V
r
T 2 exp( ) 12
) (
0 2
2
−
−
= κ
ε ε κ
σ π
(32)
が得られる。
あるいは、
H h aA a
H
VT r
) 12 exp(
2 )
( = π ε ε0ψ02 −κ − (33)
であり、通常は、これらの式を使用する。
4.
式の意味を考えよう!
(33)式の第1項は、静電的反発力による反発エネルギー、第2項は引き合うエネルギーで あり、両者の関係による最終的に、粒子同士が反発するかどうかが決まる。
第1項を支配するのは、exp 内のκである。この数値によって、反発エネルギーの粒子間 距離依存性が決まる。κは
kT e nz
r 0 2 2
2 2
ε κ =ε
と書けるので、
イオン濃度 nが増加すると、κは増加する イオンの価数 zが増加すると、κは増加する ことがわかり、結局、
イオン濃度 nが増加すると、同じ距離で比較した場合の反発エネルギーは減少する イオンの価数 zが増加すると、同じ距離で比較した場合の反発エネルギーは減少する
ζ ζ
ζ電位は減少する ψ0
ス リ ッ プ
距離
図の赤い矢印方向に拡散二重層は圧縮する。つまり、スリップ面の電位=ζ電位も減少す る。ということは、実際にはある距離の電位が低くなることから、粒子は接近しやすくな ることを意味している。
2. Helmholtz、Gouy-Chapmanモデルの違いについて述べよ。
. 表面電位とζ電位、さらにStern 電位と種々の電位があるが、それらの違いは何か
tern電位は、ζ電位の位置よりも内部にあるので、一般に電位の絶対値の関係は
0 距離
表 面
溶媒中
(バルク)
表面電位ψ0
ζ電位
0 距離
表 面
溶媒中
(バルク)
表面電位ψ0
ζ電位
3
述べよ。
0 距離
表 面
溶媒中
(バルク)
表面電位ψ0
rn電位
ζ電位
直線で下がるStern面
Slip面
拡散二重層
Helmholtz 理論 Gouy-Chapman 理論
拡散二重層
Ste
Stern 理論
S
表面電位 > Stern電位 > ζ電位 のようである。