主体的・対話的で深い学びを実現する 1
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学 び ナ ビ ( 文 学 的 文 章 ・ 説 明 的 文 章 )
文 学 的 文 章 の 学 び ナ ビ 説 明 的 文 章 の 学 び ナ ビ 「学びナビ」が開く深い読み
文章を理解するためには、学習の方法を習得することが必要です。 教材文や活動の前に「学びナビ」を新設し、その教材で「何を学ぶか」を示し、見通しをもって学習を進められるようにしました。 「何が」だけではなく「どのように」書かれているかを学ぶことで、教材をより深く読むことが可能になります。
学びナビ 教 材
学習の手引き「みちしるべ」
「学びナビ」と「目標」で学習の見通しをもち、 「振り返り」で自分の学びを確かなものにする
「学びナビ」 にはこんな機能があります。 ・読み方や読む観点を明確にする。 ・内容を正確に把握するための方法を学ぶ。 ・
を広げたり深めたりする。 「言 葉 に よ る 見 方 や 考 え 方 」 を 捉 え、 考 え
246 02-09-02走れメロス 四校
これまでに、語り手が「私は」「僕は」と語ったり、「少年は」「彼は」「ヒロ子さんは」として語ったりする作品を読んできました。語り手が登場人物から距離を保って語ることもあれば、登場人物に寄り添って語ることもあります。語り手がどの位置に立っているのかに注目することは、文学作品を読み深めるうえで重要です。語り手の立っている位置が変わらない場合もあれば、変化する場合もあるからです。
『走れメロス』は「メロスは激怒した。
」という一文から始まります。語り手は、メロスと王とのやりとり、村での結婚式、王との約束を果たすために刑けい場じょうに戻るというできごとを、登場人物から距離をとって語っています。しかし、疲れきったメロスが動けなくなる場面では、次のようにあります。 読みの扉を開く
走れメロス
学びナビ
ここでは、語り手がメロスの内面を「私」として語っています。つまり、語り手がメロスに寄り添っているのです。ところが、メロスが水を飲んで再び走り出すと、「メロスは黒い風のように走った。」のように再びメロスから距離をとって語っています。
このことから、『走れメロス』では、語り手の位置が変化していることがわかります。次の①②の語り手の位置を確かめよう 私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんもなかった。神も照覧、私は精いっぱいに努めてきたのだ。
変化する語り
│語り手の位置│① 摂せっ津つ半国の主であった松まつ山やま新しん介すけの侍さむらい大だい将しょう中なか村むら新しん兵べ衛えは、五畿き内ない中国に聞こえた大豪の士であった。 ︵菊きく池ち寛かん
『形』
︶②
﹁ 兵ひょう十じゅうだな。﹂と、ごんは思いました。兵十は、ぼろぼろの黒い着物をまくし上げて、腰のところまで水にひたりながら、魚を捕るはりきり0000という網を揺すぶっていました。︵新にい美み南なん吉きち『ごんぎつね』︶
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247 走れメロス 02-09-02走れメロス 四校
語り手の位置が変化する効果
『走れメロス』は、末尾に「
(古伝説と、シルレルの詩から。)」とあるように、古代ギリシアの伝承を素材にしています。それをもとにして、ドイツの詩人「シルレル(現在では、シラーと訳されます)」が『人質』という詩を創作し、日本でも翻ほん訳やくされました。それをさらに、太だ
宰ざい治おさむが小説としてリライトしたとされています。
読者にも強い印象を与えています。 て物語は迫力を増し、メロスへの共感を促すと同時に、うなが にも変化が生じてきます。このような語りの工夫によっ 距離をとったりすることに伴って、読者とメロスの距離 『走れメロス』では語り手が、メロスに寄り添ったり、
この作品には他にもさまざまな表現上の特とく徴ちょうがあります。それらの効果を考えながら、より深く読んでみましょう。 こう読み深めよう
語り手 語り手
メロス セリヌンティウス メロス
王
メロスは激怒した。必ず、かの邪じゃ知ち暴ぼう虐ぎゃく
の…………私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんもなかった……
登場人物から距離をとって 語っている メロスに寄り添って
語っている
一つの作品の中で,語り手の位置が変化している。
ここが大事 語り手の位置の変化を捉え、読みを深めよう。
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200 01-08-01言葉がつなぐ世界遺産 七校
相手に伝えたいことがあるときには、まず、どのような話題について述べるのかを問いとして伝え、関心をもってもらうようにします。続いて、内容をよく理解してもらい、答えへと導く根こん拠きょとなる事実を示します。
さらに、読み手が興味をもって読み進められるように、途中で問いかけたり、印象に残るような言葉を繰くり返したりすることもあります。
締しめくくりの文では、文章の内容や筆者の意見をまとめます。
また、問いは文章の始めに、答えは終わりに、常に示されるとはかぎりません。問いや答えが題名に示されることもあれば、締めくくりの文が文章の途中で何回かに分けて示されることもあります。
問いと答え、事実と意見が、文章のどこに示されているかを捉え、筆者の述べ方を確かめながら読みましょう。 読みの扉を開く
言葉がつなぐ世界遺産 問いと答え︑事実と意見
学びナビ1 二つの﹁問い﹂の﹁答え﹂を探すこの文章には二つの問いがあります。
一つは、読み手への投げかけとなっている題名です。読み手は、「﹃言葉が世界遺産をつなぐ﹄とはどのようなことか。」と考えさせられます。
もう一つは、筆者が読み手に投げかけている本文中の一節です。それぞれの答えを探しながら読み進めましょう。
2 ﹁事実﹂から﹁意見﹂を捉える
筆者は、自分の意見への理解を促うながすために、根拠となる事実をあげます。﹃言葉がつなぐ世界遺産﹄では、日にっ
光こうに関する一いっ般ぱん的な事実や、世界遺産登録のための調査による事実があげられています。
さらに、筆者は、職人たちに取材して得た事実も取り上げています。
これらの事実から導かれた筆者の意見を捉えましょう。 こう読み深めよう
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201 言葉がつなぐ世界遺産
01-08-01言葉がつなぐ世界遺産 七校
本文を読んで、キーワードを抜き出してみよう
︻題名↓問い︼「言葉がつなぐ世界遺産」とは。︻問い︼
︻問い↓事実と答え︼一つめ
修復のための。↓による情報。二つめ で彩さい色しき技術の詳しょう細さいを伝える。↓技術を受け渡していくのは。︻答え↓意見︼で記録を残す で語る↓を伝えてきた。が、を驚かせたと。
筆者が繰り返す言葉と題名を関連づけて読んでみよう。 ○二つの﹁問い﹂↓﹁答え﹂を探す。 ・題名から。 ・本文中から。○﹁事実﹂↓﹁事実﹂から﹁意見﹂を捉える。
事実① 日光の社寺は、……。
日光という場所は、……。
事実② 日光の現地調査で、……。
事実③ 日光の職人たちへの取材で、……。
←
意見
世界遺産を保存する技術に欠かせな
いのは、……。
筆者は,読み手の理解を促すため,内容や表現を工夫している。
■問いと答え、事実と意見の関係を捉える。
意見をまとめた部分に着目するここが大事 題名と意見とを結びつけ、筆者の意見を的確に理解しよう。
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248
・
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・5
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・
02-09-02走れメロス 五校
メロスは激怒した。必ず、かの邪じゃ知ち暴ぼう虐ぎゃくの王を除かなければならぬと決意した。メロスに は政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らしてきた。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏びん感かんであった。今日未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、
十里離れたこのシラクスの町にやってきた。メロスには父も、母もない。女にょう房ぼうもない。十六の、内気な妹と二人暮らしだ。この妹は、村のある律りち儀ぎな一牧人を、近々、花はな婿むことして迎える ことになっていた。結婚式も間近なのである。メロスは、それゆえ、花嫁の衣い装しょうやら祝しゅく宴えんのごちそうやらを買いに、はるばる町にやってきたのだ。まず、その品々を買い集め、それから 都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今はこのシラクスの町で、石いし工くをしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく会
わなかったのだから、訪ねていくのが楽しみである。歩いているうちにメロスは、町の様子を怪しく思った。ひっそりしている。もうすでに日も落ちて、町の暗いのはあたりまえだが、け
走れメロス
●抽象的な概念を表す語句の量を増やし、ちゅうしょう
自分の表現に役立てる。
● 人称の変化に着目し、人物の心情や言動の
変化を表すうえでの役割や効果を捉える。
● 登場人物や語り手のものの見方や考え方に
ついて理解し、自分の考えを深める。
目 標
太宰治
▼ 宴 ▼ 邪▼ 敏▼ 婿 十里 一里は、約三・九三キロメートル。シラクス シラクサまたはシラクーザともいう。イタリアのシチリア島南東海岸にある都市。
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265 走れメロス 02-09-02走れメロス 五校
みちしるべ
れぞれどのような人物か、まとめよう。 「メロス」「ディオニス」「セリヌンティウス」は、そ
本文中に「走れ! メロス。」(P
259L 12)と命令形で
語られているのはなぜか、話し合ってみよう。
「私は、途中で一度、悪い夢を見た。」(P
は、どのようなことをさしているのか。 263L3)と
メロスが刑場に向かって走ることの意味について、次の二つの表現を比較しながら考えを交流しよう。⑴ めに走っているのだ。」(P 「私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののた
⑵ 262L3~4)
「ただ、訳のわからぬ大きな力に引きずられて走っ 参 考 3 2 1 内容を読み深めよう
あてはまると思われる場面を探そう。
自分の考えを伝え合おう
1
た。」(P
262L8)
語り手の視点が、三人称→一人称→三人称と変化することについて、このような語り方がもたらす効果について話し合い、意見を交流しよう。
言葉と表現
この作品には特とく徴ちょう的な表現が多く用いられている。次の観点に該がい当とうする表現を本文から探し、それぞれどのような効果をあげているか考え、自分の表現に役立てよう。
⑴ 擬声語・擬態語 ⑵ 比喩表現
⑶ 漢語表現 ⑷ 繰り返し表現
● 2 抽象的な概念を表す語句の量を増やし、自分の表現
に役立てている。
● 人称の変化に着目し、人物の心情や言動の変化を表
すうえでの役割や効果を捉えている。
● 登場人物や語り手のものの見方や考え方について理
解し、自分の考えを深めている。
振り返り
02-09-02走れメロス.indd 265 2020/02/27 17:33:32
265 走れメロス
02-09-02走れメロス 五校
み ち し る べ
れぞれどのような人物か、まとめよう。 「メロス」「ディオニス」「セリヌンティウス」は、そ
本文中に「走れ! メロス。」(P
259L 12)と命令形で
語られているのはなぜか、話し合ってみよう。
「私は、途中で一度、悪い夢を見た。」(P
は、どのようなことをさしているのか。 263L3)と
メロスが刑場に向かって走ることの意味について、次の二つの表現を比較しながら考えを交流しよう。⑴ めに走っているのだ。」(P 「私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののた
⑵ 262L3~4)
「ただ、訳のわからぬ大きな力に引きずられて走っ 参 考 3 2 1
内容を読み深めよう
あてはまると思われる場面を探そう。
自分の考えを伝え合おう
1
た。」(P
262L8)
語り手の視点が、三人称→一人称→三人称と変化することについて、このような語り方がもたらす効果について話し合い、意見を交流しよう。
言葉と表現
この作品には特 とく徴 ちょう的な表現が多く用いられている。次の観点に該 がい当 とうする表現を本文から探し、それぞれどのような効果をあげているか考え、自分の表現に役立てよう。
⑴ 擬声語・擬態語 ⑵ 比喩表現 ⑶ 漢語表現 ⑷ 繰り返し表現
● 2
抽象的な概念を表す語句の量を増やし、自分の表現
に役立てている。
● 人称の変化に着目し、人物の心情や言動の変化を表
すうえでの役割や効果を捉えている。
● 登場人物や語り手のものの見方や考え方について理
解し、自分の考えを深めている。
振り返り
02-09-02走れメロス.indd 265 2020/02/27 17:33:32
➡ 別 冊 ① ・ ⑥
▲2年P 246『走れメロス』
248
・
・
・
・5
・
・
・
・10
・
02-09-02走れメロス 五校
メ ロ ス は 激 怒 し た。 必 ず、 か の 邪
じゃ知
ち暴
ぼう虐
ぎゃくの 王 を 除 か な け れ ば な ら ぬ と 決 意 し た。 メ ロ ス に は政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らしてきた。けれど も邪悪に対しては、人一倍に敏
びん感
かんであった。今日未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、 十 里 離 れ た こ の シ ラ ク ス の 町 に や っ て き た。 メ ロ ス に は 父 も、 母 も な い。 女
にょう房
ぼうも な い。 十 六 の、内気な妹と二人暮らしだ。この妹は、村のある律
りち儀
ぎな一牧人を、近々、花
はな婿
むことして迎える こ と に な っ て い た。 結 婚 式 も 間 近 な の で あ る。 メ ロ ス は、 そ れ ゆ え、 花 嫁 の 衣
い装
しょうや ら 祝
しゅく宴
えんの ごちそうやらを買いに、はるばる町にやってきたのだ。まず、その品々を買い集め、それから 都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今はこ のシラクスの町で、石
いし工
くをしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく会 わなかったのだから、訪ねていくのが楽しみである。歩いているうちにメロスは、町の様子を 怪しく思った。ひっそりしている。もうすでに日も落ちて、町の暗いのはあたりまえだが、け 走れメロス
●抽ちゅう
象 しょう的な概念を表す語句の量を増やし、自分の表現に役立てる。
● 人称の変化に着目し、人物の心情や言動の
変化を表すうえでの役割や効果を捉える。
● 登場人物や語り手のものの見方や考え方に
ついて理解し、自分の考えを深める。
目 標
太宰 治
▼
宴
▼邪
▼敏
▼婿
十里 一里は、約三・九三キロメートル。シラクス シラクサまたはシラクーザともいう。イタリアのシチリア島南東海岸にある都市。02-09-02走れメロス.indd 248 2020/02/27 17:33:30
文学作品の構成や表現の仕掛けを
知ることで、読みを深める力を養います。 「文学の読み方」の 一般的な説明 「読み方」を把握し, 本文の読みに結びつける
一般的な説明的文章を読むため のポイント・着眼点の解説
本文の特徴や目的に応じて読む ためのポイント・着眼点の解説 学びナビに示された観点に
基づく教材の概要のまとめ
知識の習得・活用 本文の内容を,キーワード
を中心に整理 自分の力で読むための
手助けとなる「参考」
取り上げている内容を 図解で可視化
▲ 1 年P 200『言葉がつなぐ世界遺産』
「ここが大事」と「目標」
「みちしるべ」の連携
「目標」で学習の見通しをもち,
「振り返り」で自覚的に確かめる
論 理 展 開 の 仕 方 や、 表 現 の 工 夫 を 読
む こ と で、 筆 者 の 考 え を 的 確 に 捉 え る
力を養います。 以 下 、 文 学 的 文 章 と 同 じ く 、 「 目 標 」 → 「 み ち し る べ 」 → 「 振 り 返 り 」 と 展 開 す る 。
「学びナビ」の主な内容
(読むこと)
小説教材
語り手・語り方/象徴表現/
小説の時間/変化する語り/
一人称の「私」
詩歌教材
オノマトペ/比喩・象徴/
想像・イメージ/文体・リズム
説明文教材
文章の構成/論理の展開/
根拠と主張/主張と推論/
批判的な読み
詳しくは ➡別冊⑥ を参照。
「ここが大事」に
重要な点を明記
主体的・対話的で深い学びを実現する 1
11 10
主体的・対話的で深い学びを実現する 1
「学びナビ」が開く主体的・対話的な表現
よ り よ い 表 現 の た め に は 「 ど う 考 え れ ば よ い か 」 を 知 る こ と が 重 要 で す 。
く「思考力」を学びます。 「 話 す こ と・ 聞 く こ と 」「 書 く こ と 」 の 教 材 で は、 表 現 活 動 の 中 で は た ら ➡ 別 冊 ① ・ ⑥ 学 び ナ ビ ( 話 す こ と ・ 聞 く こ と / 書 く こ と ) 論理的な思考を表現に生かす
全 国 学 力 ・ 学 習 状 況 調 査 等 の 結 果 に み る 中 学 校 国 語 科 の 課 題 は 、「 伝 え た い 内 容 や 自 分 の 考 え に つ い て 根 拠 を 明 確 に し て 書 い
た り 話 し た り す る こ と 」「 複 数 の 資 料 か ら 適 切 な 情 報 を 得 て そ れ ら を 比 較 し た り 関 連 付 け た り す る こ と 」 な ど で す 。 こう し た課
題 は 、 教 科 国 語 の 課 題 で あ る と と も に 、 各 教 科 等 に 横 た わ る 学
習 の 基 盤 と な る 課 題 でも あ り ま す 。 言 葉 を 直 接 の 学 習 対 象 とす る国 語 科 へ の 期 待 は 大 き い も の が あ り ま す 。 国 語 科 で つ け る 資
質 ・ 能 力 は 、 系 統 的 ・ 段 階 的 に 上 の 学 年 に つ な が る も の で 、 螺 旋 的 ・ 反 復 的 に 繰 り 返 す こ と で 定 着 を 図 る も の で す 。
こ う し た系 統 や 段 階 、 螺 旋 や 反 復 と い う 概 念 を 、 生 徒 は ど れ
だ け 意 識 し て い る で し ょ う か 。 今 回 、 そ こ へ ア プ ロ ー チ し 、「 学 び ナ ビ 」 を 新 設 し ま し た 。単 元 や 題 材 の 学 び が 、 これ ま で の 学
び か ら ど う 発 展 す る か 、 こ こ で の 中 心 的 な ね ら い は 何 か 、 こ れ か ら の 学 び に ど う 活 用で き る か を 、 生 徒 の 視 点 に 立 っ て ビ ジ ュ
アル を 工 夫 し て 示 し ま し た 。 いわ ば 学 び の羅 針 盤 とし て の 役 目 が あ り 、 見 開 き の ペ ー ジ の 確 実 な習 得 と 各 教 科 等 で の 活用 が 必
ず や 学 力 向 上 に つ な が る と 期 待 し て い ま す 。
「 国 語 は 何 を 勉 強 す れ ば い い の か わ か ら な い 。」 生 徒 か ら よ く
聞 か れ る 言 葉 で す 。 特 に 、「 読 む こ と 」 の 学 習 で 多 く 聞 か れ ま す 。 新 学 習 指 導 要 領 で は 「 主 体 的 ・ 対 話 的 で 深 い 学 び 」 が 求 め られ
て い ま す が 、「 深 い 学 び 」 を 実 現 す る た め に は 、 前 提 と な る 「 確 か な 学 び 」 が 必 要 です 。 そ の た め に は 入 念 な 教 材 研 究 が 欠 か せ
ま せん が 、 現 場 の 教 師 、 特 に 若い 先 生 に と っ て は 時 間 を 確 保 す
る こ と は 困 難 で す 。「 学 び ナ ビ 」 は 、 教 師 に と っ て は 授業 作 り の 指 針 と な り 、 生 徒 に と っ て は 「 何を 学 べ ば よ い か 」 を 示 し 、「 確
か な 学 び 」 に 導 い て く れ る 存 在 で す 。 ま た 、 共 通 の 目 標 を も つ こ と で 、 交 流 活 動 も 円 滑 に 進 める こ と が で き ま す 。さ ら に 、 目
標 が は っ き り す る こ と で つ け た い 力 が 明 確 に な り 、 評 価 も し や
す く なり ま す 。 そ し て 、 授 業 準 備 や 評 価 の 効 率 化 は 多 忙 な 教 師 の 助 け と な り 、 今 叫 ば れ て い る 「 働 き 方 改 革 」 に も つ な が る の
で す 。 ま さ に 、 こ れ か ら の 時 代 に ふ さ わ し い 教 科 書 だ と い え る の で は な い で し ょ う か 。 学 力 向 上 と 新 し い 国 語 教 科 書 樺
山 敏 郎
生 徒 の 学 び と 教 師 の 授 業 作 り を 支 え た い
人 見 誠
225
発言を結びつけて話し合う
01-08-05発言を結びつけて話し合う 六校
︻﹁優しさ﹂の定義についての話し合い︼司会
ハル が﹁助けてくれる﹂﹁保護する﹂となりました︒ ﹁優しさ﹂について付箋で出された意味をまとめると︑見出し 二つの見出しは︑自分に何かしてくれていると言えます︒
司会
今のハルさんの意見をアキさんはどう思いますか︒
アキ
はい︒ハルさんの意見はとてもよい点に気づいています︒私も
同じ考えです︒司会
ナツさんはどう思いますか︒
ナツ
私は他の人が付箋にあるようなことをしてくれたら︑その人の
﹁温かさ﹂を感じます︒司会
皆さんから出た意見をまとめます︒
﹁優しさ﹂とは︑﹁自分のために何かをしてくれたときに感じる温かさ﹂になりました︒この結果についてどう思いますか︒ハル
自分たちの考えが反映した定義を作ることができたと思います︒
司会
では︑まとめた定義が適切かかどうか図全体を見渡してもう一
度確認しましょう︒ ①② ①見出しを一つに結びつけて︑まとめる言葉を見つけている︒②話題からそれていないか確認している︒
● 話題を意識して話し合い︑発言を結びつ
けている︒
● いろいろな意見を整理し︑自分たちの感
想や考えをまとめている︒
振り返り
クラスで物事を決めるときに役立てよう︒学びを生かそう みんなから出た意見を総括しているね︒
意見を述べるときの表現
⁝⁝をまとめると︑⁝⁝になります︒
参 考⁝⁝ということから︑⁝⁝といえます︒
01-08-05発言を結びつけて話し合う.indd 225 2020/02/27 17:17:37
223
発言を結びつけて話し合う
01-08-05発言を結びつけて話し合う 六校
● 話題を意識して話し合い︑発言を結びつける︒
● いろいろな意見を整理し︑自分たちの感想や考えをまと
める︒
目 標
話題話の進め方考えの形成・共有▼▼
発言を結びつけて話し合う
総
そう括
かつする
学びナビ いろいろな意見を結びつけて整理し︑自分たちの考えを一つにまとめていくことや︑出された結果に対して︑感想や考えを述べることを﹁総括する﹂といいます︒
ここが大事 話し合いのときには︑話題からそれていないかを確認しながら話し合いを進めることが大切です︒何が話題となっているのかを意識し︑確認しながら話すようにするとよいでしょう︒また︑他者の発言と結びつけた発言をし︑総括するように心がけると効果的です︒
自分のために何かをしてくれた ときに感じる温かさ
「優しさ」の定義
保護する
■﹁優しさ﹂の定義について意見を総括して︑結論をまとめる︒
● 提案されたさまざまな意見をまとめて,一つの意見に集約しよう。
一つの定義に まとめる。
付ふ箋せんをまとめて,見出し語を出す。
助けてくれる 手伝ってくれる 教えてくれる 応おう
援えん
してくれる
看病する 弱い者を守る 育ててくれる
01-08-05発言を結びつけて話し合う.indd 223 2020/02/27 17:17:36
224 01-08-05発言を結びつけて話し合う 六校
学習活動の流れ
﹁意見を結びつける﹂ヒント①自分たちで意味を定義する言葉をグループで決め る︒ ・ 定義する言葉をふだんの生活の中でどのような
意味で使っているかを付箋に書く︒②
作ったりする︒ ﹁優しさ﹂の定義例 定義する言葉が使われている文例を探したり︑ うにします︒ にしながら︑共通する事柄は何かを見いだすよことがらに注意します︒また︑具体的なできごとをもと 1司会は︑話題にそって話し合いを進めるよう
① 似た意味の付箋どうしをグループでまとめる︒
② 付箋で出された意味を結
びつけて整理し︑見出しとしてまとめる︒
・ 出しを考える︒ 具体的な事例などを交えて話し合いながら見 2
① それぞれの見出しをさらに一つに整理し︑グルー
プの言葉の定義とする︒②
言葉の定義が︑付箋で出された意味や見出しと異
なっていないかを確認する︒ 3
話題 話の進め方
考えの形成・共有◀ ◀
◀
◀
どちらも︑人に対して思いやり
の気持ちをもって行動していることを︑﹁優しさ﹂と感じているね︒ 足を骨折して入院していたときに︑看護師さんが優しく看病してくれた︒
しい人だと思った︒ に︑すぐに席を譲る人がいて︑優 高ゆず齢者がバスに乗ってきたときこうれい
01-08-05発言を結びつけて話し合う.indd 224 2020/02/27 17:17:37
「学びナビ」の主な内容
(話す・聞く/書く)
話すこと・聞くこと
課題を設定する/限定する
/関係づける/予想する/
総括する/一般化する
書くこと
課題を設定する/比較する/
関係づける/推論する/
評価する/組み立てる
樺山敏郎 (かばやまとしろう) 大妻女子大学准教授。 元 文 部 科 学 省 国 立 教 育 政 策 研 究 所 学力調査官・教育課程調査官。
人見誠 (ひとみまこと) 目黒区立東山中学校主幹教諭。 東 京 都 中 学 校 国 語 教 育 研 究 会 事 務 局長。
情報を整理し,表現するときに はたらく論理的思考力の解説
◀︎1年P
223 『発言を結びつけて話し合う』 学びナビ
学習活動
「学びナビ」で習得 した論理的思考力 を, 「学習活動」で 活用していく
「目標」で学習の見 通しをもち, 「振り 返り」で自覚的に確 かめる
「 こ こ が 大 事 」 に 学 習 の 要 点 を明示
詳しくは ➡ P 20 を参照。 上段で示した情報を整理する手順
をわかりやすく図解
主体的・対話的で深い学びを実現する 1
13 12
① 『持続可能な未来を創るために』
各学年は 「三つの問い」 で構成
始めの「問い」
次の「問い」
最後の「問い」 「 地 球 規 模 の 課 題 」 と は 何 で し ょ う か 。 思 い つ く 課 題 を 三 つ 挙 げ て み ま し ょ う 。
あ な た の 身 の ま わ り に は 、 ど の よ う な 「 ご み 」 が あ る で し ょ う 。
な ぜ 、 人 間 だ け が ご み を 出 す の で し ょ う か 。
深 い 学 び の 世 界 へ
多 様 な 意 見 や 価 値 観 の 違 い を 、 対 話 を 通 じ て 「 最 適 解 」 へ 導 く ②全学年、各領域でSDGsを 取り入れた話題、題材を設定 ●SDGsとは 二 ○ 一 五 年 の 国 連 サ ミ ッ ト で 採 択 さ れ た、 二 ○ 三 ○ 年 ま で に 持 続 可 能 で よ り よ い 世 界 を 目 ざ す た め に 定 め ら れ た 国 際 目 標 で す。 地 球 上 の「 誰 一 人 と し て 取 り 残 さ な い 」 を 合 い 言 葉 に、
ル、 17の ゴ ー
でいます。 な ど が 積 極 的 に 取 り 組 ん 国 内 で も、 企 業・ 自 治 体 構 成 さ れ て い ま す。 日 本 169の タ ー ゲ ッ ト か ら ② がら、考えを深めることが可能です。 た。 生 徒 一 人 一 人 が 課 題 を 発 見 し、 「 正 解 の な い 問 い 」 に 向 き 合 い な ① SDGs教材「持続可能な未来を創るために」 を全学年に新設しまし SDGsを国語科の視点で教材化
対話的で深い学び」を実現します。 の 多 様 な 課 題 に 対 し て 自 ら 考 え、 意 見 を 交 流 す る こ と で、 「 主 体 的・ 各 領 域 で 扱 う 話 題 や 題 材 を、 S D G s の 視 点 で 選 定 し ま し た。 現 代
・プロローグ――〈学びの旅〉へ
・「エシカル」に生きよう 末吉里花
・どう思いますか――新聞投書から 言葉を考える
・「ここにいる」を言う意味 ロバート キャンベル
・一〇〇年後のみなさんへ 緒方貞子
・生命とは何か 福岡伸一
・地球は死にかかっている 手塚治虫
・エピローグ――再び〈学びの旅〉へ
・水の星 茨木のり子
S D G s
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2 年 3 年
持続可能な社会の創り手を育成するために ➡ 別 冊 ②
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01-00-02言葉の地図 再校
話すこと・聞くこと
教材 言葉 の 地図
お気に入りの一品を紹介する
P25 P47 P179 P223 P177
内容を整理して説明する
調べた内容を聞く
発言を結びつけて話し合う
子どもの権利︵みちしるべ︶
話す 構成の検討,考えの形成 話の中心的な部分と付加的な部 分,事実と意見との関係などに 注意して,話の構成を考える。
表現,共有
相手の反応を踏まえ,自分の考 えがわかりやすく伝わるよう表 現を工夫する。
聞く
構造と内容の把握,精査・解釈,
考えの形成,共有 記録したり質問したりしながら 内容を捉える。
共通点や相違点を踏まえ,自分 の考えをまとめる。
話し合う 話し合いの進め方の検討,考え の形成,共有 話題や展開を捉えながら話し合 い,互いの発言を結びつけて考 えをまとめる。
話題の設定,情報の収集,内容 の検討
日常生活の中から話題を決める。
集めた材料を整理し,伝え合う 内容を検討する。
知識および技能 語彙 情報 語彙 情報 語彙
づける関係 予想する 総括する
話したり,聞いて質問したり意 見を述べたりする。
少人数で話し合う。
言語活動例
話し合い
質 問 説 明
報 告 紹 介
一年生で学ぶ内容と身につけたい言葉の力
学びナビ 学びナビ
考える力︑判断する力︑表現する力など学習の流れと身につけたい言葉の力
01-00-02言葉の地図.indd 8 2020/02/27 17:08:11
人の暮らし方を考える 不平等のない社会を考える
人間の生命・存在を考える
日常生活/環境/
プラスチックごみ 社会生活/人権/
心のバリアフリー グローバル/世界/
未来の創造
1 年
172
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01-07-01子どもの権利 四校
「子どもは黙って大人の言うことを聞きなさい。
」こんなことを言われて理り不ふ尽じんな思いをしたことはありませんか。
子どもが生きて成長していくためには、大人から守られ助けられることが必要で
す。このため、子どもは心身ともに未熟だから、大人の言うとおりにするべきだというのが、長い間、世界中で支配的な考え方でした。
この子どもに対する見方を大きく変えたのが、国連で一九八九年に作られた「子
どもの権利条約」です。子どもには大人とは異なる特別の保護が必要です。同時に、子どもは、一人の人間として、大人と同じように人権をもっています。子どもの権利条約は、子どもには、生きる権利や成長する権利、暴力から守られる権利、教育 ●
専門的な事 こと柄がらなどを表す語句の意味をおさえ、文章内容を捉える。
● 論理の構成や展開に着目して、筆者
の主張を読む。
● 自分の経験と関連づけて読み、自分
の考えをまとめる。
目 標
子どもの権利
大おお谷たに美み紀き子こ
国連
国際連合の略。国際平和と安全の維い持じ、国際協力を目的とする国際機構。子どもの権利条約 子どもの権利について定める国際条約。五十四条からなる。日本国内では、一九九四年から効力が発生した。支配的意
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115 根拠をもとに意見文を書く 02-04-04根拠をもとに意見文を書く 五校
根
こん拠
きょをもとに意見文を書く
推論する
学びナビ 自分の考えや主張を形成するために︑わかっている事柄や事実・体験などをもとに︑まだわからない事柄につ
いて考えることを﹁推論﹂といいます︒
ここが大事 推論をもとに自分の考えや主張を書
くときには︑根拠︵事実︶に︑説明を加えた﹁理由づけ﹂によって︑考えを支えることが大切です︒
同じ理由づけでも︑確かな根拠に基づいた理由づけがより適切です︒ ●
多様な考え方がある問題について根拠をも
とに推論して考える︒
● 考えの理由づけを示して意見文を書く︒
目 標
主張・意見
理由づけ 根拠(事実)
・データに基づく事実・体験に基づく事実
・ データや体験の説明 や分析 ・ 自分の立場や見方を
決めて考える︒ ・
事柄を整理して考え
る︒
森林の保護のために︑割り箸は使わないほうがいい︒ 森林の保護のために︑割り箸ばしは使ったほうがいい︒ 題材構成考えの形成・記述推すい敲こう共有▼▼▼▼
■ 推論をもとに﹁森林の保護﹂について自分の考えを導き出す︒
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03-02-01薔薇のボタン 六校
仕事部屋の壁かべに、ある写真家の作品をかけている。縦約一メートル、横約八十センチの大きな写真である。写っているのは、細長く裂けた二枚の布地。色はあせたピンクで、プラスティックの赤いボタンが縫いつけられている。薔薇の花の形をした飾りボタンだ。一列に並んだこのボタンがあることで、破れ、ほつれたこの布地が、ブラウスの前*立ての部分であることがわかる。昭和二十年八月六日の朝、広島の少女が着ていたブラウスだ。
生き地じがほぼまっすぐに裂けていることや、プラスティックのボタンが溶けずに無傷であることから、爆ばく風ふう
でちぎれたのではなく、治療の際、脱がせようとして鋏はさみ を入れたのではないかと思われる。その子は亡なくなり、ブラウスが残った。 このブラウスの写真が撮られたとき、私はその場にいた。二〇一〇年一月、広*島平和記念資料館でのことだ。撮影者は*石いし内うち都みやこ氏。広島で被爆した人たちの遺品を継続して撮影している写真家である。 石内氏の写真との最初の出会いは、二〇〇八年に刊行された﹃ひろしま﹄という写真集だった。収録されている遺品のほとんどが衣服で、若い女性のものが多い。驚いたのは、その服たちの美しさである。花柄のスカート、襟に白いレースの縁取りがついたギ*ンガムチェックのワ
薔
ば薇
らのボタン
●目的に応じて本や文章などを読
み、知識を広げたり、自分の考
えを深めたりする。
梯かけはし
久く美み子こ 読書への招待
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目標と 振り返り
03-02-01薔薇のボタン.indd 48 2020/02/27 17:40:16
▲ 1年P 170『子どもの権利』
▲ 2年P 115
『根拠をもとに意見文を書く』
▲ 3年P 48『薔薇のボタン』
▲ 1 年P 8『言葉の地図』