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グローバリゼーションと英語科学論文教育の充実化 (後編)

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化学と生物 Vol. 52, No. 4, 2014

バイオサイエンススコープ

グローバリゼーションと英語科学論文教育の充実化 (後編)

峯 芳徳

Department of Food Science, University of GuelphCanada

前編では,日本と北米の大学でのCommunication教育の 違いと,特に大学院での英語科学論文教育の重要性について 述べましたが,後編では,日本人研究者が英語で論文を書く うえで,どのようなことに気を配り原稿を執筆すれば,英語 圏のHigh Impact Journalにアクセプトされる質の高い論文 を書くことができるのか,実践的なガイダンスをお伝えしま す.

DO science and WRITEscience

前編でも述べたように,研究のゴールは実験をし,新規の データを得るだけではなく,それを論理的にまとめて,論文 として社会の評価を得ることが最終目標です.これなくし て,研究者として世に認められることはありえません.しか しながら,論文作成に膨大なエネルギーを費やし,ジャーナ ルに投稿したからといって,必ずしもアクセプトされるとは 限りません.そこに至るまでには,厳しいPeer review(査 読)が待ち受けています.動機が何であれ,しっかりとした Motivationがなければ論文化するのは難しく,研究室で実験 を終えただけになってしまいがちです.したがって,“DO” 

and “WRITE” scienceの2つが伴って,初めて目標が達成さ れたと言えるのです.

また,論文を書くにあたり,もう一つ重要なことは,論文 に使われるデータには再現性(Reproducibility)があるとい うことです.再現性のないデータは論文として評価されませ ん.さらに,英語科学論文に使用される英語はなるべく簡潔

(Simplicity)に,そして読者にとって,できるだけ最小限の 最適な語彙を使って,わかりやすく(Clarity)問題提起,

結果が論理的にオーガナイズされた書き方で,クリアーな結 論 を 導 く こ と が 大 切 で す.何 を(What),何 の た め に

(Why),どのように(How)その研究が行われ,結果とし て何が得られたのか(What was learned)の論旨がしっか り主張できていることが重要です.

質の高い論文は充実した実験ノートの記録 から始まる

近ごろ気になることですが,新しく研究室に入ってきた大 学院の学生の多くが,実験ノートの取り方をよく知らないと

いう現実に直面します.その一方で,そのことに無関心な指 導教官も数多くいるという現実もあります.筆者の所属する 大学でも5 〜6年ほど前から,その現象は特に顕著で,大学 院教育で頭を抱えています.学生との議論中,実験ノートの 生データを見ながら議論しなければならない場合があります が,肝心のデータの記録が残っていなかったり,メモ程度に しか書き留めておらず,問題解決の糸口が全くつかめないこ とが多々あります.これは最近の学生の生活習慣がスマホに 代表されるように,テキストメッセージのインスタントライ フが主流のため,自分でノートに,実験の条件,経過,問題 点,結果,考察などを詳しく記録するという習慣が失われつ つあるためかと思います.筆者の研究室では,オリエンテー ションで,いかに研究の実験ノートの記録が大切であるか を,時間をかけて教育しています.また,実験ノートの生の 記録は,自分がこの研究を行った,唯一の証明であることを 教えています.学生はExcelで多くの研究データを管理しま すが,その元になる生データ(実験ノート)がなければ,そ の研究が本当に行われたとは証明できません.また,論文の 原稿を作成するうえでも,特に実験結果の説明,結論の導き に実験ノートは欠かせないものです.なぜなら,そこには,

いかにこの実験とタックルしたか,生身の記録があり,その ことが論文作成で欠かせないものだからです.そこからデー タを読み込むことが研究者の研究者たるゆえんです.筆者が 2006年にフランスの国立農業研究所(INRA)に7カ月研究 滞在したとき,ドクターの学生数名を指導したINRAの教育 方針が印象的でした.新規のドクターの学生が研究所に来た ときに,半日ほどのオリエンテーションがあり,そのほとん どを使って,いかに実験ノートが学生,ひいてはこの研究所 の財産であり,具体的にどのように実験記録を取っていくの かを詳しく指導しており,これができない学生は厳しく教授 から注意を受けていたのが印象的でした.たしかに筆者の研 究室の学生を観察していても,実験ノートをきちんと取れる 学生は良い研究をしており,良い論文をまとめています.一 方,実験ノートをきちんと残せない学生は,研究も中途半端 で良い論文をまとめることができません.極端かもしれませ んが,学生の実験ノートの取り方ひとつで,この学生が卒業 時に,どの程度成長することができるか,どの程度の研究成 果を残せるのか,ある程度の予測ができます.したがって,

実験ノートをきちんと書く習慣と教育をしていくことが,質 の高い論文作成の第一歩と考えています.

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論文の構築

一般的にどのジャーナルでも論文の構成は 1) タイトル,

2) 著者・所属先,3) アブストラクト,4) イントロダクショ ン,5) 実験材料と方法,6) 結果,7) ディスカッション,8) 

結論,9) 引用文献の順となっています.各セクションにつ いて,注意すべき点を下記に述べます.

1.  タイトル

タイトルはその論文の顔とも言うべきもので,多くの研究 者に自分の研究成果を読んでもらううえで,最初の印象とし て非常に重要です.誰でも行うように膨大な文献検索で,論 文のタイトルにインパクトがないと人の目にとまりません.

本人が思うほど,他者が自分の論文をいつも読んでくれるわ けではありません.この研究者は,どういう研究をして,何 を新規に報告しているのか一目瞭然にわかる,人の目をひく タイトルが重要です.そのためにはできるだけ簡潔な単語で 研究全般の内容を正確に反映しているものでなければなりま せん.

2.  要旨(アブストラクト)

多くの読者にとって,タイトルが目をひくものであれば,

本論を読む前に,要旨に目を通して論文の概要を捉えようと します.研究者にとって,膨大な情報をすべて細かく読みこ なすのは至難の業で,まず,この要旨の内容から論文の質,

インパクトを判断します.要旨がうまく書かれていない論文 はその先を読んでもらうことができません.多くのジャーナ ルの要旨は200 〜250 words以内で書くように指定されてお り,その限られた中で,読者に正確に素早く,簡潔に本論文 の内容,結論が把握できるようししなければなりません.ま た,内容が読者の興味をひくかも重要です(さらに深く,内 容を読んでもらえるのか,あるいは,そこで終わるのか). 具体的には 1) 何のためにこの研究がなされたのか, 目的と Scopeがしっかり書かれている(Objectives and scope),2) 

どのような方法で研究されたのか(Methodology),簡潔に かつ正確に記述されている,3) 結果(Results)が正確に要 約されている,最後に,4) 結論と成果の意義(Conclusion  and implication)が明確に記されていることが肝要です.こ れだけの内容を簡潔に,しかも正確な英語で200 〜 250  wordsで,どのようにまとめるのか,最初はたいへん難しい と思われますが,この要旨は論文原稿の最後に作成するの が,良いかと思います.よくRejectされる原稿を見ている と,この要旨の書き方が未熟で,正確に必要な情報を網羅し てない場合が多いのです.ただ単にこういう実験をしたとい う,記述的(Descriptive)な要旨ではアクセプトに至りま せん.

3.  イントロダクション

論文の原稿を審査するうえで,完成度の低い未熟なイント

ロダクションを見かけることがありますが,“Bad beginning  is bad ending”の傾向があります.これは,本人の勉強不足 と情報分析不足が原因です.自分の研究テーマが,だれが,

どのような論文を過去に出しているかを正確につかんでおか なければ,良いイントロダクションを書くことができませ ん.俗に言う,“Who is who”を常日頃から情報集収して論 文を読みこなす習慣をつけることをお勧めします.また,論 文のイントロダクションを書くうえで重要なことは,本研究 に関する過去の情報を正確にしかも簡潔にまとめて,なぜ本 研究を行うに至ったかを論理的に書くことです.よく,肝心 な情報は一部で,直接関係のない周辺情報に紙面を費やし,

本来の目的から逸れている原稿を見かけます.また,4 〜 5 ページにもわたり,総説のようなLiterature reviewを書く 著者もいますが(だらだらと長いイントロダクションは読ん でもらえません),これも焦点が絞り込めず,賢いイントロ ダクションの原稿とは言えません.質の高いイントロダク ションとは 1) 研究テーマに関するバックグラウンド情報,

問題提起を正確に記述(Nature and scope of problem in- vestigated),2) 過去の研究成果のレビュー(どういう研究 が過去に行われ,何がわかって,何がまだ必要なのか,論理 的に展開(Pertinent literature),3) 本研究は何を解決しよ うとしたのか(Objectives),4) 問題解決のための仮説(Hy- pothesis),5) 目的を達するためどのような手法が用いられ たのか(Method of the investigation),6) 本研究から何が 得られたのか(Principle results of the investigation)をわ かりやすく展開すべきです.

4.  実験材料と方法

ジャーナルのガイドライン,あるいは字数制限によってこ のセクションをどこまで詳しく書くべきか,各ジャーナルに よって多少異なりますが,基本は読者がこの論文を読んだと きに同じ実験が再現できるような情報が正確に記述されてい ることが重要です.実験方法のデザイン,条件,使用した試 薬,分析機器,統計処理の手法など,できるだけ正確に詳し く提供することが肝要です.字数制限で詳しく網羅できなく ても,その実験方法の条件などが得られる参考文献を正確に 加えることも重要です.アメリカ化学会のジャーナルでは,

この実験方法は,第三者が正確に再現できるように詳しく記 述されていない原稿には,再提出を要求するか,あるいは,

Rejectの場合が多いのです.

5.  結果

論文の原稿を書き始める前に,これまで蓄積されたデータ からどれを論文の代表的なデータとして使用するのか,まず 検討しなければなりません.初心者の原稿を見ていると,と にかく得られたデータをできるだけ羅列して載せようとする 傾向にありますが,これではかえって論旨の焦点が絞れず,

結論がわかりにくい論文となります.本論文で,代表的ある いは重要と思われるデータを中心に正確に記述し,しかもロ ジカルに,どのようにして結論が導かれたのかわかりやすく

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説明する必要があります.ここでは実験方法について,再度 細かく説明する必要はありません.また,全体の結果から,

ある程度,完結してストーリーが伝わるようにしなければな りません.

6.  ディスカッション

データはたいへん面白く,研究結果は,それなりによくま とまっているのに,Rejectされる原稿を分析してみると,多 くの場合,ディスカッションがうまく構築されていません.

それだけ,このセクションは論文の善し悪しを決めるといっ ても過言ではないほど重要なものなのです.逆に言えば,

ディスカッションの弱い論文はHigh Impact Journalではア クセプトされません.ディスカッションで必要なことは,1) 

結果を単に反復するのではなく,実験結果から導かれる新規 原理を論理的に展開する.2) 本研究から何が新規に解明さ れ,何がまだ未解明かをはっきり述べる.大きく飛躍して,

本研究から導かれる以上の飛躍した展開を避ける.3) 各結 論,ディスカッションについて,どのデータが十分にサポー トされているのか理解しながら展開する.また,本研究から 得られる議論の限界も明確にし,どの部分がSpeculationな のか明瞭に書く.4) いままでの報告のどの部分を支持し,

どの部分に矛盾があるのか明瞭にする.5) 本研究の成果の 重要性について,理論的側面(基礎研究)とその応用面も含 め,議論を展開する.このときにできるだけ大きなピク チャーを描き,成果を過小評価しない.6) 最後に結論をク リアーにまとめる.このとき,どの実験結果がそれぞれの結 論をサポートしているのかを明瞭に認識すべきです.

7.  文献引用

ジャーナルによってそのスタイルは異なるので,原稿を仕 上げる前に必ず確認が必要です.

以上,論文の原稿を作成するうえで留意すべき点をまとめ ましたが,High Impact Journalにアクセプトされる原稿を 作成するのは,日々,このような科学英語論文を書く訓練を し,その構築の基礎を習得していくことが肝要かと考えま す.また論文投稿の前に,校正会社へ英語校正を依頼する研 究者も多いようですが,この場合に重要なことは,単にNa- tive English Speaker(s) ではなく,研究の内容を正確に理 解でき,適切な表現にアドバイスできる校正担当者にチェッ クを依頼するのが重要なことだと思います.ジャーナルの編 集をしている中で経験するのは,英文校正証明書を提出しな がらも,科学英語として不適切な表現の使われ方など,論文 内容まで理解して校正しているとは言えないようなものが 多々あります.最も残念なものは“a”や“the”などの日本人研 究者がよく間違いやすい冠詞だけの訂正程度の校正もありま す.より質の高い英語論文にするには,いわゆるJapanese  Englishの表現を,いかに英語を母国語とする研究者が読み やすい表現にするかという視点で英文校正依頼をされたほう が良いかと思います.

ジャーナル編集長とのやり取り

どのジャーナルに投稿する場合でも,論文がアクセプトさ れるためには,ある程度,編集長(Editor)とのやり取りの コツを習得しておくことは,レビューのプロセスをスムーズ に行ううえで大切なことです.特に編集長は原稿の採否を最 終判断する絶対的権力を有しているので,対等にやり取りが できるコミュニケーション能力が要求されます.まず,誰も が準備しなければならないのはカバーレターです.最近で は,インターネットなどでテンプレートを容易に入手できま すが,日本人研究者は,これを利用し,型通りに書いている ものを多く見かけますが,これは,あまりお勧めできませ ん.カバーレターは編集長に対する挨拶レターではありませ ん.重要なことは,なぜ,このジャーナルに論文を載せたい のか,しっかりした動機づけと,この論文で何を読者に訴え たいのか,明確なメッセージがないと編集長には伝わりませ ん.最低限必要な情報は 1) イントロダクション,原稿のタ イトル,著者名,代表者名,どのジャーナルに投稿している のか,2) いかなる理由で本研究が行われたのか,また,そ の成果はジャーナルの読者にとってどのように関連するのか

(読者の興味をひくのか),3) 本研究で,何を新規に発見し,

そのインパクトは何か.この場合,多くの日本人研究者は単 にアブストラクトをコピーしてカバーレターに貼り付ける人 が多いようですが,これはお勧めできません.2 〜3の文章 で,完結にしかも的確に強調することが大切です.また,言 うまでもありませんが,本原稿の内容がほかのジャーナルに 重複投稿されていないこと,そしてすでに論文として発表さ れていないことを最後に宣誓しなければなりません.さらに すべての共著者が投稿前の論文に目を通して,承諾を得てい ることも明記すべきです.

さらに最近のジャーナルの多くは,オンライン投稿システ ムで,その際,論文の原稿を査読してほしいSuggested re- viewersを4 〜 5人自己申告できるようになっています.そ のPotential reviewer(s) に実際に査読を依頼するか否かは 編集長の判断です(著者と利害関係が判明した場合は編集長 は査読者候補として除外します).投稿原稿の代表者は,そ の場合に注意が必要なのは,“Conflict of interest”の研究者 名は絶対に避けなければなりません.たとえば,友人,指導 教官,同僚の教官,共同研究者,過去に共著論文がある,留 学先のホスト教授など,論文投稿者(代表者,共著も含)に 何らかの関係のあるReviewer(s) を推薦してはいけません.

実に驚くことに,日本人研究者も含めて,アジアからの投稿 者は少しでも論文が有利に審査されることを期待しているた めか,友人の研究者名などを数多く推薦してきます.最近は 研究者のデータベースは充実しており,研究者同士の関係は すぐに調べてわかるようになっています.こういう行為はか えって,編集長の心証を悪くする場合があるので,推薦する 査読者は自分と利害関係がなく,ぜひ自分の論文を読んでも らいたい,また,その能力,知識を十分備えていると思われ

(4)

258 化学と生物 Vol. 52, No. 4, 2014 るReviewer(s) を選出するべきです.また,研究者にとっ

て論文化前の原稿を,同じ研究テーマで競合している,ある いはどうしても見られたくない場合もあります.その場合 は,その理由を添えてカバーレターに査読を避けて欲しい研 究者名を挙げておくと,編集段階で考慮されます.

投稿後,約2 〜3週間のうちに編集長サイドでスクリーニ ングが行われ,ジャーナルが要求するスタンダードな論文の 質が達していない場合や,ジャーナルのスコープから外れて いる場合,また,ジャーナルの規定どおりに原稿が作成され ていない場合など,外部の査読なしでRejectされる場合が あります.特にImpact Factorの高いジャーナルは,多くの 原稿が集まるので,投稿者にとって最初の関門はこのスク リーニングを突破できるかどうかです.筆者がときどき気に なるのは他ジャーナルでRejectされた原稿をほとんど修正 なしで,そのまま他ジャーナルに再投稿する場合(引用文献 のフォーマットも変えずに)を見受けますが,こういう投稿 の仕方はよりいっそう,アクセプトされるチャンスが低くな ります.少なくとも,コメントをよく吟味して,必要に応じ て追加実験をし,原稿の質を上げて再投稿すべきです.

さて,スクリーニングを無事通過して外部の査読審査後,

投稿後1 〜2カ月すると編集長からコメント付で論文に対す る評価が届きます.多くの場合,1回でアクセプトされるこ とは希で,まず,マイナーかメジャーな訂正が要求されま す.あるいはそこまでのレベルに達していない場合はReject の結果が届きます.編集長から査読結果のレポートが届いた ら,まず,その文面から編集長がこの論文に対してある程度 好意をもっているのか,それとも重大な欠陥があると懸念を もっているのかを推測します.Revised manuscriptを再投 稿する場合は,編集長,外部の評価者のコメントにできるだ け丁寧に一つ一つ,回答してエビデンスに基づいて,論理的 に回答することが大切です.コメントに対して同意できない 場合は,その理由を詳しく記して反論することが大切です.

必要に応じて追加の実験ダータが要求されますが,どこまで やるべきかを,個々で判断し,追加データが原稿のアクセプ トに絶対条件の場合は追加データを出し,あまり本質に重要 でないと判断した場合はその理由をしっかり書いて反論する 必要があります.日本人研究者の場合,この反論をロジック で行うのが苦手のようで,すべての要求にできるだけ応えよ うとしますが,編集長はすべての追加実験を要求しているわ けではないので個々に判断すべきです.要はRevised manu- scriptを提出する際,カバーレターがいかに論理的に編集長 の懸念を払拭できるかが鍵です.編集長は代表著者からのレ スポンスを元に,第三者の意見も聞きながら,最終判断をし ます.

Revised manuscript提出後に約1カ月以内に最終結果の

メールが編集長から届きますが,筆者がかかわっている ジャーナル(J. Agric. Food Chem.)では最終判断の前に必 ず,論文原稿に不正がないかチェックしています.具体的に は,1) ほかに同じデータ,あるいは使い回しで似たような 論文を出していないか,2) データが故意に捏造されていな いか,3) 研究グラントとのConflictがないか,4) 動物実験,

臨床試験などがしかるべき研究機関の認可を受けて行われた か,5) 原稿の記述が他人からの盗用でないかなど,厳しく 調査します.特に日本人研究者を含め,非英語圏の研究者か らの投稿で一番多いのは,ほかの研究者の論文の記述を許可 なく使用(Plagiarism),あるいは自分自身の過去の論文か らの転用(Self plagiarism)が実に目に余る点です.最近で は“Cross Check”をはじめ,IT技術の発展で,比較的容易に このような不正を発見することが可能になっていますので,

論文作成の場合は自分の言葉で原稿を書くとこが肝要です.

また,大学の教育現場でも,アカデミック不正に対するコン プライアンスの教育,意識向上を図るべきだと思います(1〜4)謝辞:本原稿は第67回日本栄養・食糧学会(名古屋,2013)での教育講 演(How to publish your work in high-impact journals)の内容を追加 加筆したものです.このような機会を与えていただいた,東京大学・加 藤久典教授,名古屋大学・下村吉治教授,東北大学・宮澤陽夫教授なら びに日本大学・熊谷日登美教授に深謝いたします.

  1) A.  M.  Coghill  &  L.  R.  Garson :“The  ACS  Style  Guide :   Effective  Communication  of  Scientific  Information,” 

Third Edition, Oxford University Press, 2006.

  2) M. Kanare :“Writing the Laboratory Notebook,” Oxford  University Press, 1985.

  3) A. H. Hofmann :“Scientific Writing and Communication :   Papers, proposals, and presentations,” Oxford University  Press, Springer, 2010.

  4) A.  Wallwork :“English  for  Writing  Research  Papers,” 

Springer, 2011.

プロフィル

峯  芳 徳(Yoshinori MINE)    

<略歴>1993年東京農工大学大学院農  学研究科にて博士(農学)を取得/1995 年 Assistant/Associate Professor, Univer- sity of Guelph, Ontario, Canada/2006年

〜 現 在,A full professor, University of  Guelph, Ontario, Canada/2007年 Visiting  professor, INRA (France)/2010年 〜 現 在,Associate  editor  of  J.  Agric.  Food  Chem. (ACS publications)/2013年 Visit- ing professor, Kyoto University (Japan)

<研究テーマと抱負>食品タンパク質由 来の抗炎症ペプチド,腸管免疫,卵アレ ルギー.グローバル化時代の研究開発人 材育成に貢献していきたい<趣味>ゴル フ,絵画鑑賞,旅行,ワイン

参照

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