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SAW の本数と mean square displacement.

ドキュメント内 数理物理学 - Random walk と self-avoiding walk (ページ 60-65)

6 Pre-Sierpi´ nski gasket 上の self-avoiding walk .

6.5 SAW の本数と mean square displacement.

命題37から(xc−(,0)∈Doであり,DoR2+ は開集合なので,δ >0 がとれて,(xc−(, δ)∈Do とで きる.|Zn,i(βc−√

1λnt)||Zn,i(βc)|,t∈R,に注意すると,系42からn0n1 なる自然数がとれて,

nn0|Zn,2(βc−√

1λnt).よって,

|Zn+m,1(βc−√

1λnt)|Xm,1(xc−(, δ), nn0, m1, t∈A . これと 命題39からC >0と γ >0 が存在して,

|Zn+m,1(βc−√

1λnt)|Cexp(−γ2m), nn0, m1, t∈A, (116) および,

Zn+m,2(βc+λn)Cexp(−γ2m), nn0, m1, t∈A . (117) n0を上記のものにとり,n > n0とする.t∈Rを|t| ∈[1, λnn01]を満たすものとし,m=

&

log|t| logλ '

+1

([·]は整数部分)とおくと,n−mn0 かつλ1λm|t|<1を満たす.よって,

n(t)||Zn,1(βc−iλnt)|

Zn,1(βc) =|Znm+m,1(βc−iλ(nm)(λmt))| Zn,1(βc)

Cexp(−γ2m)

Zn,1(βc) Cexp(−γ|t|ν) Zn,1(βc) . その上, lim

n→∞Zn,1(βc) =xc と lim

n→∞φn(t) =g(

1t)だから,命題49と優収束定理から,

nlim→∞

R[0n−n01](|t|)φn(t)−g(

1t)|dt= 0.

他方,

R[0n−n01](|t|)φn(t)−φn(t)|dt

2

λn−n01

exp(−h2nt2/2)dt

2 (h2nλnn01)1exp((hnλnn01)2/2)

= 2λn01b2λnn1exp(−λ2n0+2b2n/2), となるが,bが十分大きければ,右辺はn→ ∞で0 に収束する.即ち,

nlim→∞

Rn(t)−g(

1t)|dt= 0

を得るので,主張は証明された.

命題 53 正定数 C1,C2,および実定数γ1 γ2 が存在して,

C1kγ1exp(βck)N(k)C2kγ2exp(βck), k∈N. 証明. W(0)=

k=0

W(k)とおき,D: W(0)Zを,

D(w) = min{n∈Z+|w(i)∈Fn, i= 0,1,· · ·, L(w)} (118) で定義する.

Mn =

wW(0), D(w)n

exp(−βcL(w)), n∈Z+,

とおいて,くりこみ群(命題36)を証明したときのようにMn+1 の和を分類すると,2変数正係数多項式f1 があって,

Mn+1f1(ZMn(βc))Mn, n∈Z+, (119) と書けることが分かる.系42からZMn(βc)は n→ ∞で収束するから,A1>0と A2>1 がとれて,

MnA1An2, n∈Z+. (120)

定義から2D(w)1L(w)なので,

exp(−βck)N(k)M[logk/log 2]+1A1A22Alog2 k/log 2 となって,主張の上からの評価を得る.

下からの評価を得るために,bを 命題52が成り立つ(十分大きな)数とする.kn =

2 logλbnλn と おくと,

(pn(Mxc)∗gn)(ξ) =

R

gn(ξ−η)pn(Mxc)() において

R\[ξkn+kn]

gn(ξ−η)pn(Mxc)()gn(kn) = (2πb2n)1/20, n→ ∞, となるので,命題52から,

nlim→∞sup

ξR(Mxc)(ξ)

[ξkn+kn]

gn(ξ−η)pn(Mxc)()|= 0.

これと 命題50から,自然数 n2( >0がとれて,

hn1pn(Mxc)([ξ−kn, ξ+kn])(, nn2, ξ∈[λ1, λ2].

k∈Nとする.nを,λnk∈[1, λ]なる自然数とする.kが十分大きければnn2となり,kn1−λ1 が従うので,

pn(Mxc)([λnk−2kn, λnk])hn(.

w∈W1(n)かつL(w)kならば,まっすぐ外に延長することでL=kなるW(0) のpathを得ることがで きることを合わせると,

Zn,1(βc)hn(

wW1(n), k2knλnL(w)k

exp(−βcL(w))exp(βc2knλn) exp(−βck)N(k).

よって

N(k)Zn,1(βc)(bλnn1/2exp(2βcb(2 logλ)1/2n) exp(βck).

n logk

logλ なので,これは主張の下からの評価を意味する.

17 (119)の証明を図を書いて確認せよ.特に f1 を具体的に与えよ.

19 次節のmean square displacementの結果を強化するためには,pathの本数の漸近評価(命題53)

sub-leading orderまで強化しないといけない.

6.5.2 大偏差型評価とreflection principle. 自然数n, mに対して,

Un,m=

wW(0), D(w)n, L(w)λn+m/2

exp(−βcL(w)),

Vn,m=

wW(0), D(w)=n+1, L(w)λn−m

exp(−βcL(w)),

とおく.

命題 54 正数A2,C,γ が存在して,

Un,mCAn2exp(−γλm/2),

Vn,mCAn2exp(−γ2m), n∈N, m∈N. A2(120) と共通にとれる.

証明. r= (λ−√

λ)/4とおいて,

Sn,m,i =

w∈Wn,i, L(w)λn+m/2r

exp(−βcL(w)), n∈N, m∈N, i= 1,2,

を定義する.(119)のときの類似の図形的考察により,そこでのf1 (2変数の正係数多項式,f(0,0) = 1) を用いて,

Un+1,mf1(ZMn(βc))Un,m+1+

# 2

i=1

Sn,m,i∂f1

∂xi(ZMn(βc))

$ Mn,

を得る.(120)を得たときと同様に,自然数n1 が存在してf1(ZMn(βc))A2,nn1,を得る.ここでA2 は(120)と同じもの.系42と(120)からC1>0がとれて,

A2(n+1)Un+1,m A2nUn,m+1+C1 2 i=1

Sn,m,i, nn1, m0. (121)

L(w)2·3D(w)に注意すると,λn+m/2>2·3n ならばUn,m= 0となるが,条件はm2nかつn >1 ならば満たされる.n1>1 ととってよい.これより,

A2nUn,mC1 [23n]

k=0

2 i=1

Snk1,m+k,i, n4n1, m0. (122) 他方,

Sn,m,iexp(−rλm/2)

w∈Wn,i

exp((βc−λn)L(w)) = exp(−rλm/2)Zn,i(βc−λn). (123)

系42と 命題47からC2>0 がとれて,

Zn,1(βc−λn) =g(n)1 (1)Zn,1(βc)C2, n∈Z+. また,命題38から,xc,n= exp(−βc+λn)およびMxc,n = (xc,n, x2c,n)とおくと,

Zn,2(βc−λn)Rn(Mxc,n)Zn,1(βc−λn)R0(Mxc,n)C2=xc,nC2.

よって,Zn,i(βc−λn),i= 1,2,n∈Z+,は有界である.これを(122), (123)と合わせると,Un,mについ ての主張を得る.

Vn,mの評価を得るには,

Tn,m,i=

w∈Wn+1,i, L(w)λn−m

exp(−βcL(w)), n∈N, m∈N, mn, i= 1,2,

とおく.上と同様の図形的考察から,TMn,m= (Tn,m,1, Tn,m,2)とおくと,

Vn,mf1(TMn,m)Mn−Mn= (f1(TMn,m)−f1(0,0,0,0))Mn. L(w)λnm ならば1−λmnL(w)0 となることに注意.これより,

Tn,m,i

w∈Wn,i

exp((βc+λmn)L(w) + 1) =e Zn,i(βc+λmn), i= 1,2, n, m∈N, nm.

これと(117)と (120)からVn,mについての主張を得る.

18 命題54 の主張を一般のdSGに一般化し,証明も一般化せよ.(rの定義の分母,Sn,m,i,Tn,m,ii の種類,(121) の下から(122) までの数値,等が変わる.また,Zn,i(βc−λn)が有界である理由はi

よって違うが,この部分は,仮定した上で証明してみよ.)

定理51 の証明. 定理51の前半は 命題53で証明されたので,後半を証明する.

k∈Nに対してK(k) =

&

logk logλ '

とおくと,λK(k)k < λK(k)+1である.命題54から,mK(k)を 満たすm∈Nと k∈Nに対して,

{w∈W(0)|L(w) =k, D(w)K(k)−m}exp(βck)UK(k)m,2m Cexp(βck+ (K(k)−m) logA2−γλm)

Cexp(βck+ logλA2 logk−γλm). これと 命題53から,十分大きな αに対して,

P˜k[D(w)K(k)−αlog logk]

C C11exp((logλA2−γ1) logk−γ(logk)αlogλ)Cexp((logk)3). 定義から,2D(w)1w2D(w)である.よって十分大きなαに対して,53

klim→∞

P˜k[w<(logk)αkν] exp((logk)2) = 0. 次に,m, !∈Nに対して 命題54から,

{w∈W(0)|L(w) =k, D(w) =K(k) +m+!+ 2}exp(βck)VK(k)+m++1,m+

Cexp(βck)AK(k)+m++12 exp(−γ2m+)

CA2exp(βck+K(k) logA2+mlogA2−γ2m1)A2exp(−γ21).

よって,

P˜k[D(w)K(k) + (α/log 2) log logk] =

=0

P˜k[D(w) =K(k) +!+ (α/log 2) log logk]

C(C1A2)1

=0

A2exp(−γ21)

×exp((logλA2−γ1) logk+αlog2A2log logk−γ

8(logk)α). よって,十分大きな αに対して,

lim

k→∞

P˜k[w>(logk)αkν] exp((logk)2) = 0. 以上より,α >0が存在して,

lim

k→∞

P˜k[w<(logk)αkν または w>(logk)αkν] exp((logk)2) = 0. (124) k∈Nおよびs >0とする.Reflection principle ([35, Lemma (4.2)])により,

Ek[ 2(D(w)1)s, |w(k)|2D(w)1]Ek[ 2(D(w)1)s, |w(k)|2D(w)1].

これと|w(L(w))|w2D(w)から,

2s1Ek[ 2sD(w)]Ek[|w(k)|s]Ek[ ws ]Ek[ 2sD(w)]. (125) 次に,

Ek[ ws ]((logk)αkν)s(1−P˜k[w(logk)αkν]). これと(124)から,

lim

k→∞(logk)kEk[ ws ]>0. (126) 同様に,

Ek[ ws ] ((logk)αkν)s+ksP˜k[w(logk)αkν], を得て,これと(124)から,

lim

k→∞(logk)kEk[ ws ]<∞. (127) (125), (126), (127)から主張を得る.

53[32]ではνκと書かれているが,序章の定理の主張では1となっていたため,証明中の以下の部分では1となってい て,誤って,証明中の以上の部分と逆数になっていた.

20 (i) Mean square displacementの指数は,Floryの議論と呼ばれる「物理的近似」(近似の数学的 意味や精度に関する数学的保証のない近似)の数値がZdでは良い値を与えているとされる.この議 論を dSG に拡張したものと厳密な結果の数値比較を§A.11に掲げておく.

(ii) Sierpi´nski gasket上のself-avodiding walkの連続極限についてはこの講義では触れないので,[29, 32]

を参照されたい.

19 (i) 定理51の証明中で引用した reflection principle(必要ならば[35, Lemma (4.2)] を参考に

して)詳しく説明せよ.

(ii) 一般の dSG上のSAWについてくりこみ群軌道の存在と唯一性を証明せよ54

(iii) Sierpi´nski gasket上のSAWについて,mean square displacementの指数をの意味で(既に知られ ている の意味より強く)証明せよ55

補遺.

A 初等的事項の補遺.

ドキュメント内 数理物理学 - Random walk と self-avoiding walk (ページ 60-65)