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一様連続性

ドキュメント内 数学解析 (ページ 84-87)

6 Weierstrass の最大値定理 (1 次元版 )

9.5 一様連続性

定義 9.10Rn, f: ΩRm とする。f が Ω で一様連続 (uniformly continuous)であ るとは、

(∀ε >0)(∃δ >0)(∀x0 Ω)(∀x1 Ω :|x1 −x0|< δ) |f(x1)−f(x0)|< ε が成り立つことをいう。

fがΩで連続であるとは、

(∀x0 ∈K)(∀ε >0)(∃δ >0)(∀x1 ∈K :|x1−x0|< δ) |f(x1)−f(x0)|< ε

ということであるから、一様連続性は連続性よりも強い条件である。後者はδεaによっ て決まるが、前者は δε のみによって決まる。

9.11 (C1級の関数で考えてみる) f: RR,f(x) =x2 (x∈R),K := [a, b]とする。

M := max

x[a,b]|f(x)|= max

x[a,b]|2x|= 2 max{|a|,|b|}

とおくと、x0, x1 [a, b] に対して

|f(x1)−f(x0)| ≤ sup

θ(0,1)

|f(x0+θ(x1−x0))| |x1−x0| ≤M|x1−x0| が成り立つ。ゆえに任意の正の数 ε に対して、δ := Mε+1 とおくと、

(∀x0, x1 [a, b] :|x1−x0|< δ) |f(x1)−f(x0)|< M δ ≤ε が成り立つ。ゆえにfK = [a, b] で 一様連続である。

しかしf は R で一様連続ではない。maxxR|f(x)| が存在しないので、上の議論が成立し ないことに注意しよう。

96. 例9.11の fはRで一様連続でないことを示せ。

定理 9.12 K は Rn の有界閉集合、f: K Rm は連続とするとき、fK で一様連続 である。

証明 背理法を用いる。fK で一様連続でないと仮定すると、ある正の数 ε が存在して (7) (∀δ >0)(∃x∈K)(∃y∈K :|x−y|< δ) |f(x)−f(y)| ≥ε

が成り立つ。n= 1,2,3, . . . に対して,δ:= n1 とすると xn∈K, yn∈K, |xn−yn|< 1

n, |f(xn)−f(yn)| ≥ε

を満たす xn, yn 取れる。こうして点列 {xn}, {yn} を作ったとき、K の点列コンパクト性に より、{xn}の収束部分列 {xnk}kN が存在する。すなわち

(∃a ∈K) lim

k→∞xnk =a.

このとき

|ynk−a|=|(ynk −xnk)(a−xnk)| ≤ |ynk−xnk|+|(a−xnk| ≤ 1

nk+|xnk −a| →0 (k → ∞).

fa で連続であるから、

f(xnk)→f(a), f(ynk)→f(a).

ゆえに

|f(xnk)−f(ynk)| ≥εk → ∞ として

0 =|f(a)−f(a)| ≥ε(>0).

これは矛盾である。ゆえに fK で一様連続である。

9.13 K = (0,1],f(x) = 1x (x∈K) とするとき、f: K R は一様連続ではない。任意の δ >0 に対して,

δ := min {

δ,1 2

}

, x= δ

2, a= δ 4 とおくと、

|x−a|= δ

4 < δ, |f(x)−f(a)|= 2

δ 4 δ

= 2 δ 1.

これは ε= 1 として (7)が成立していることを意味する。ゆえに f は一様連続ではない。

10 積分

10.1 はじめに

積分の計算の話は1年次の微積分で学んだはずであるが、理論も重要である。

色々な話があるが、ここではRiemann積分の基礎を説明する。具体的には、積分の定義と、

「[a, b]上の連続関数 f は積分可能である」ことの証明と、多次元への一般化である。

それ以外に重要なことに、広義積分、Lebesgue 積分があるが、前者については「画像処理 とフーリエ変換」、後者については「応用測度論」で説明を聴くことが出来る。

高校数学では、次のように定積分を定義した。関数f の原始関数 F (F =f を満たす関数 F) をとり、

b a

f(x)dx:= [F(x)]ba=F(b)−F(a) とおき、これを f の [a, b] における積分と呼ぶ。

以上の定義で、十分豊富な議論が出来たが、「原始関数はいつでも存在するのか、何か条件 が必要か」、「原始関数が存在するとして、どうやって見つけるか」という問にどう答えたら 良いだろう。

高校数学では、ほとんどの場合、原始関数がすぐ分かる場合だけを扱った(事前に色々な関 数の導関数を調べておいて、その知識を逆引きして用いた)。

実際には、原始関数が分からないことは多い。次の各積分は、被積分関数の原始関数が初等 関数で求まらない。

1 0

xα1(1−x)β1 dx (α, β >1, 非整数の場合も考える),

x

0

sint t dt,

x 0

et2 dt,

1

0

dx

(1−x2)(1−k2x2).

(ここでは詳しいことは説明しないが、どれも名前がついている重要な積分である。)

そこで、原始関数を使わないで積分を定義することになる。アイディアは簡単で、座標軸と グラフで挟まれた領域の面積として定義する。高校数学では、積分を原始関数を用いて定義し て、後から、それが面積を表すことを導くわけだが、それとは逆に面積を用いて定義して、後 からそれと原始関数を結びつけるのである。

(歴史的には、積分は面積を用いて定義されたと言える。つまり、高校数学流は由緒正しい ものではないことになる。)

元々、面積・体積については、非常に古くから研究されていて、すでに古代ギリシャ(紀元 前!) のエウドクソス (BC 408〜BC 355, 現トルコのクニドス(Cnidus)に生まれ、クニドス にて没する)、アルキメデス (シュラクサイの Archimedes, BC 287頃–BC 212, 現イタリアの

Syracuse に生まれ、Syracuse にて没する)の段階で、高度な議論がなされていた。

ニュートン、ライプニッツの時代に、「微分積分学の基本定理」と呼ばれる事実が発見され た。それは言葉で言うと、微分と積分が互いの逆演算であることを意味する。

(1) (積分してから微分)

d dx

x

a

f(t)dt=f(x).

(2) (微分してから積分) ∫ b a

F(x)dx= [F(x)]ba.

高校数学はこの(2) の事実を利用して、原始関数で積分を定義した、ということになる。

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